わたしの体験

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2020年04月23日 わたしの体験

今回の先輩

Nguyễn Thị Linh(グエン・ティ・リン)さん

1992年生まれ、Dak Lak(ダクラク)省出身
2010年 6月  Nguyen Cong Tru高校卒業
2010年 9月  ホーチミン工業大学経営管理学部(短期大学課程)入学
2013年 11月 ホーチミン工業大学経営管理学部(短期大学課程)卒業
2014年 9月 KAIZEN吉田スクール入学
2015年 9月 KAIZEN吉田スクール卒業
2015年 9月 栃木県の工場で技能実習開始
2018年 9月 実習修了
2018年 9月 送出機関で日本語教師
2019年 11月 人材紹介会社入社

はじめに

 外国生活に興味があったリンさんは、インターネットで評判のよい送出機関を探して1年間勉強し、技能実習で日本に行った。実習先にはベトナム人が100人。残業代は少なかったが、送出機関の費用が安かったので、借金返済には困らなかった。日本に行く前も行ってからも日本語の勉強をがんばったため、職場の日本人たちと仲良くなり、食事や観光に何度も連れて行ってもらった。日本語能力試験(JLPT)N3に合格して帰国したが、会話力はN2以上のレベルだ。楽しかった実習生活とその秘訣をリンさんの体験談で紹介する。

技能実習先の日本人・ベトナム人で川遊び。黄色い服(右)がリンさん。【2017年】

ネットの書き込みで送出機関を選択

 私は短大卒業後、日本で働いたことのある男性から「日本はきれいな国で、日本人はとても親切だ」と聞きました。外国生活にも興味があったので、技能実習で日本に行くことにしました。送出機関はインターネットで探しました。「Muon di nhat cong ty nao uy tin(日本に行きたいが、どの会社がよいか)」と検索し、レビューが一番よかった「エスハイ(KAIZEN吉田スクール)」を選びました。全寮制ではなく授業は午後だけで、午前はアルバイトをしました。エスハイでは、いくつかの会社から自分で選んで面接を受け、最低8カ月間、日本語を勉強します。私は1年間勉強してから日本に行きました。エスハイに支払った費用はほかの送出機関に比べて安く、ほとんど借金をせずに訪日することができました。

KAIZEN吉田スクールの仲間とホーチミンのバーガーショップでおしゃべり

【インタビュー】
 ※編集部がエスハイの責任者に聞きました。

・技能実習生がエスハイに支払う費用はいくらですか?
――送出手数料はDOLAB通達の3,600 USD以下で、学費を含めても、借金なしで支払える費用に抑えています。出稼ぎではなくキャリアアップのために訪日してもらいたいので、生徒の負担をなるべく小さくするのが当社の方針です。

・ブローカー(紹介エージェント)への手数料はだれが負担しますか?
――当社は学生募集部を持っており、外部からの生徒紹介は受けていません。

・技能実習生へのアドバイスは。
――お金を稼ぐためだけに日本に行くと、味気ない滞在になります。実習だけで日本語が上達するわけではなく、3年間住んでもJLPTでN4を取れない人もたくさんいます。しかし、日本語や日本のことを学べば学ぶほど、実習や生活が楽しくなり、帰国後の可能性も大きく広がります。

実習先の会社の敷地で集めた桜の花【2018年4月】

日本での仕事と生活

 私は2015年9月、栃木県で技能実習を始めました。ベトナム人実習生が約100人(男女半々)いる大きな工場で、歯科医が使う医療機器の組み立てや検査が私の仕事でした。残業の少ない部署だったのであまり貯金はできませんでしたが、ベトナム人仲間が多く、職場の日本人もとても親切だったので、とても楽しい3年間でした。また、送出機関に支払う費用が少なかったので、借金返済で苦労することもありませんでした。

実習先の寮の部屋で仲間とおしゃべり(壁には日本語の単語表)【2018年】

私の家計簿(1カ月の平均)

 ※100円=21,900 VND(2020年4月13日現在)

収入(約100,000円)

手取り給料 100,000円
※税金、社会保険料、寮費、水道・光熱費を引いた後の手取り額
※このうち寮費は23,000円(水道・光熱費込み、Wi-Fi代込み、米支給)。4人で1部屋。

支出(合計 40,000円)

食費 25,000円
※自炊
外食 5,000~10,000円
雑費 5,000~10,000円
※生活用品、衣類

差額(貯金)60,000円

 ※実家への送金は年間約50~60万円。残りは日本での旅行などに使った。

職場の日本人とベトナム人で紅葉見物【2016年10月】
ベトナム人仲間と寮の近くで【2016年】

ベトナム人仲間のつながり

 たくさんのベトナム人仲間と寮生活を共にしたので、休みの日には一緒に買い物に行ったり、お弁当を持って近くにピクニックに出かけたりしました。先輩たちが実習を修了するときや、代わりに後輩の実習生が入ってくるときは、みんなで送別会や歓迎会もしました。

新しく来た後輩実習生を歓迎するため、寮の仲間で野外で食事会【2016年】

 大きなスーパーまで自転車で15分かかり、1人だと寂しいので、いつも寮の仲間数名で一緒に行きました。その時は、回転寿司(=安く寿司を食べられる店)やうどんを一緒に食べて帰るのも楽しみでした。ただ、残業代が少ないので、私も仲間も節約を心がけていました。

買い物のため桜並木の道を仲間と一緒に自転車で【2016年】

親切な日本人の先輩たち

 職場の日本人たちは本当に親切でした。仕事もていねいに教えてくれ、週末に雪や雨で自転車に乗りにくいときは、車で買い物に連れて行ってくれました。また、食事や観光にもよく連れて行ってくれました。先輩たちが車で寮に迎えに来て、寮で作ったお弁当やコンビニで買ったおにぎりを公園で食べたりもしました。先輩たち私のことを「リンちゃん」と呼び、遊びでも仕事の休憩時間でもよく一緒におしゃべりをしました。楽しかったですし、日本語の会話力もつきました。技能実習は、給料だけではなく職場環境も大事だと思いました。

日本人の先輩や実習仲間と夜桜見物【2017年4月】
日本人の先輩や実習仲間と栃木県益子町のひまわり畑へ【2018年8月】

 職場全体に日本人と実習生との交流が深く、大人数での飲み会や社員旅行もありました。特にお世話になった先輩たちとは帰国後も連絡を取り合い、先輩たちがベトナムに遊びに来てくれることもあります。私の結婚式にも2人の先輩が出席してくれました。

帰国が近付いた実習生たちのために、職場の日本人とベトナム人とで野外で食事会【2016年7月】
私の帰国後、ホーチミンに来てくれた日本人の先輩3人と実習仲間とで食事会【2019年】

日本語学校の同級生と結婚

 私と同じころに福岡県で技能実習をしたKAIZEN吉田スクールの同級生が今の夫です。最初はただの同級生同士でしたが、日本で実習場所が違っても多くの同級生と連絡を取り合ううち、夫から「元気ですか」「仕事はうまく行っていますか」など個別メッセージが来るようになりました。やがて互いの交信が頻繁になり、交際するようになりました。互いの実習先が遠かったので、長期休暇のときに会って一緒に観光や食事を楽しみ、帰国後に結婚しました。

今の夫と福岡市内で【2017年12月】

日本語の勉強

 残業が少なかった分、仕事が終わってから毎晩2時間(20時~22時)、日本語の勉強ができました。また、毎週末、日本人のボランティアによる無料の日本語教室(2時間)に通いました。さらに、1年間毎日のように日本語で日記を書き、それを職場のリーダーに時々添削していただきました。

無料日本語教室の先生の紹介で浴衣をレンタルし、実習仲間で日本の夏をエンジョイ【2017年】

 こうして、訪日から約2年後、JLPTのN3に合格しました。寮のルームメート2名もN3に合格し、あと1人はN2に合格しました。教材やYou Tube番組は次のようなものを使いました。

・You Tube “Chữ Hán Đơn Giản(簡単な漢字)”

・You Tube  “日本語の森”

・「耳から覚える 日本語能力試験」シリーズ(出版社:アルク) 

https://www.alc.co.jp/jpn/article/nihongo/n3-n5/

実習仲間と一緒に浴衣姿で花火見物【2017年】

帰国後

 私は2018年9月に帰国後、知人の紹介である送出機関で日本語教師をしました(手取り月給約8,000,000 VND)が、結婚を機に1年で退職しました。今は、ホーチミンの人材会社で勤務(手取り月給約12,000,000 VND)しており、勤務先の社長(日本人)と話すときや日本語を使う仕事への応募者と面接する際に日本語力が役に立っています。今の仕事はFacebookで求人情報を見たのですが、「N3」「短大以上」が条件でした。

技能実習時代に寮の近くで【2017年】

後輩へのアドバイス

 私はもしチャンスがあれば、また日本で暮らしたいと思っています。これから技能実習をする人には、仕事以外では、よく遊びよく学んでほしいと思います。また、ベトナム人がこれからも日本で温かく受け入れられるよう、ルールを守って過ごしましょう。

埼玉県の氷川神社で【2017年8月】

 そして、せっかく日本に行くなら、日本語をしっかり身に付けた方が帰国後も役に立ちます。日本に行く前からしっかり勉強しておくと、職場の日本人も仕事を教えやすく、日本人と早く仲良くなり、日本語が早く上達します。また、実習経験者から情報を集め、給料だけではなく職場環境も重視して実習先を選んでください。

日本人の先輩や実習仲間と一緒に休日にお出かけ【2016年7月】