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2020年06月15日 ブログ

     両親と別れ、異国の地に降り立った留学生の誰もがまず頭を悩ませ、心配するのが「どうやってアパートを探すか」ということでしょう。日本に来たばかりの彼らは日本語レベルも高くなく、頼る人もいません。ましてアパートを借りるときの手続きや、どのくらいお金がかかるかも、見当がつくはずもありません。

     もちろん私もその一人でした。ベトナムの寮で3カ月間暮らしたときは、親から援助を受けましたが、その後日本に来たときは、自分でアパートを探す必要がありました。日本語もままならないまま、家を借りる方法はもちろん、そもそも家を借りることができるのか、いくらかかるのかもわからず、心配だらけでした。

     しかし、日本に7年住み、不動産コンサルタント業を営む今は、日本で家を借りるときの手続きがよくわかるようになりました。今回は、日本に来たばかりの皆さんの手助けになれるよう、専門家の視点で日本の住宅賃貸について書きたいと思います。

日本で住まいを探すには?

     日本で住まいを見つける方法はたくさんあります。来たばかりの留学生の中には、先に来日している友だちやセンパイに評判のよい不動産会社を知っているか尋ねる人や、ウェブサイトやFacebookで家を探す人もいるでしょう。

     日本にあるベトナムの不動産会社はwebに広告を出しているので、ネット検索で例えば『住宅 東京 探す』とでも打てば、簡単に見つかります。これらの業者を利用することのメリットは、やはり“ベトナムの不動産会社”ということで、日本語に自信がなく日本のことがよくわからないベトナム人でもしっかり相談ができ、安心して賃貸手続きを行えることでしょう。

     一方、日本でしばらく働き日本語力もある人たちは日本の不動産会社を利用して家探しをするケースもあります。日本の不動産会社は信頼性が高いのですが、ベトナムの不動産会社より紹介手数料が割高であることが多いです。

日本で家を借りるときに支払う費用

     ベトナムで家を借りる場合は月々の家賃のみですが、日本では通常、最初に多くの費用がかかります。例えば
•  礼金:入居時に家主に支払う費用(通常、家賃の1カ月分)
•  敷金:部屋を汚したり損傷させたりしたときの修繕費用に充てるために、借主が家主に預ける費用(通常、家賃の1カ月分)
•  家賃保証会社への支払い:日本で家を借りる場合、連帯保証人が必要な場合があります。保証人がいなければ、家賃保証会社に代金を支払って保証をしてもらいます。借主が家賃を滞納すると、家主(または家主の代理人の管理会社)が保証人や保証会社に借主の代わりに家賃を支払うよう請求します。この場合、保証人や保証会社には支払い責任が生じます。

•  クリーニング代:借りる物件のタイプによって異なりますが、通常、1部屋のみの場合は2.5~3.5万円、2部屋以上の場合は5.5万円以上の費用となる場合が多いです。
•  火災保険料:2年契約で1.5~2.2万円程度
•  鍵交換費用:防犯上の理由から新しい鍵に交換します。通常は1~3万円程度。
•  仲介手数料:不動産会社に支払います。規定はありませんが、日本の不動産会社の場合、家賃の1カ月分が相場です。
•  その他:賃貸契約書作成料や24時間サポートサービス。
     これらには、物件によっては支払わなくてもよい項目もあります。しかし、日本で家を借りる場合、すべて合わせると、最初に1カ月の家賃の3~5倍の費用がかかるということになります。

立地によって家賃相場が大きく異なる

     立地によって家賃相場(平均家賃)は大きく変わります。物件の立地と家賃の関係について次のことを知っておきましょう。

  • 1オフィス街や繁華街の多い都心(都会の中心)では家賃が高く、外国人が借りられる住まいも少なくなります。
  • 2人気路線の沿線では家賃相場が高くなります。首都圏では、JR山手線や京王・井の頭線、東急・目黒線、東急・大井町線、りんかい線などの沿線は家賃が特に高くなっています。関西では、北大阪急行線や阪急・宝塚線、阪急・北千里線、阪急・神戸線、JR神戸線などの沿線の家賃が高いです。また、同じ沿線でも、都心から離れるほど家賃が安くなる傾向があります。

  • 3都心からの距離に関わりなく、人気の住宅地の家賃相場は高くなります。
  • 4同じ地域でも、各停しか停車しない駅の周辺の家賃相場は、急行の停車する駅の周辺と比べて安いことが多いです。
  • 5駅周辺に店が少ない地域の家賃相場は、駅周辺に繁華街のある地域と比べて安いことが多いです。

日本での不動産手続き手順

  • 1日本で住まいを借りる場合、以下の書類が基本的に必要です: パスポート、在留カード、学生証(学生の場合)、勤務証明書(働いている場合)

※不動産会社や家主によっては、これらに加えて所得証明書(給与明細書、源泉徴収票、収入証明書など)を要求される場合もあります。また、保証会社から、緊急時に連絡がとれる日本人の保証人を求められる場合があります。来日したばかりの人は日本人の保証人を求められないよう、不動産コンサルティング業者や不動産会社に希望を伝えましょう。

  • 2賃貸借契約までの流れ:不動産会社の店で複数の物件資料を読み、スタッフの話も聞いて、物件を絞り込みます。その後、スタッフと一緒に現地を訪問します。通常、スタッフが乗用車で現地に連れて行ってくれます。1回で2~5軒ぐらいの物件を案内してもらうことも可能なので、複数の物件を遠慮なく見比べてください。気に入った物件が見つかれば、申し込み手続きへと進みます。

  • 3申請者の個人情報は管理会社や保証会社に送られます。その後、情報が正しいかどうかを確認し申請者の信頼性を審査するために、管理会社や保証会社から申請者に電話がかかってきます。電話は日本語か、日本人の保証人を必要としない会社であれば申請者の母国語でやり取りします。保証人がいない場合、申請者が日本語を少し話すことができれば、審査に通りやすくなりますが、自身の個人情報に関してうまく受け答えができないと、審査に落ちてしまう可能性が非常に高くなります。
  • 4審査が終わり、家主、管理会社、保証会社のそれぞれから承認されると、晴れて契約書に署名ができます。契約期間は2年間。その2年が過ぎても同じ場所に住みたい場合、期間延長を申し出ることができます。その場合、更新料(通常、家賃1カ月分)がかかる場合があります。また、火災保険や保証会社への支払いも新たに発生します。

日本で家を借りる時に注意すること

     国によって習慣は当然異なります。日本に来たばかりのベトナム人は次のような日本の習慣を知らないことが多いです。

•  入居する前に家賃を払う。
•  段ボールや生ゴミ、不燃物、ガラス製品などゴミの種類によって分別する。
•  日本人は、近所への配慮として、家の中ではなるべく大声や騒音を出さないようにして生活しています。それにならって、家の中で大声で話をしたり音楽を大音量で流したりするのを控えること。
•  住まいを引き払う場合、退去予定の1カ月以上前に通知する。通知が遅れると、ペナルティとして家賃1カ月分を支払わなければならない場合があります。また、退去時には、家具や家財を残さず掃除してキレイにしてから引き払いましょう。

     以上が、私がみなさんとシェアしたい、日本で家を借りるときの注意点です。これを読んでもらうことで、みなさんにより安心して家探しをできるようになってもいただければ幸いです。