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2020年04月24日 ブログ

 ベトナム人が自信をもって日本に持ち込める文化の一つに「料理」があります。でも時として、母国の素晴らしい料理が日本人にとって決してそうではない場合もあるのです。今回は私の体験を交えてお伝えしていきます。

日本で誇れるベトナム料理

 「ベトナム料理、大好きです!フォー作ってくださいよ~!」ケイナさん(23歳・女性)は私がベトナム人だと知った途端、そう話しかけてくれました。ケイナさんはまだ若いこともあって海外旅行は未経験でしたが、ベトナム料理が非常に魅力的な料理であることを知っていたのです。彼女は「フォーや春巻きなどが好き」とのことでした。

 今年3月、福岡市にある九州大学で国際交流を深めるための料理コンテストが開催されました。各国のチームはそれぞれ「自国の郷土料理」3品を出品し、味はもちろん、その料理を通じて“多様な文化”を表現することが、審査の最優先基準とされています。

 ベトナムチームは当初から優勝候補チームの一つに挙げられていました。20近いチームが参加する料理コンテストで「強豪」と呼ばれる背景には、昔から多くのベトナム人たちが旅行カバンの中に「自国の料理に対するプライド」も詰め込んで来るからだと言われています。

 しかし……、“桜の国・日本”では、我々ベトナム人にとって当たり前の料理でも、彼らがすべてを受け入れてくれるわけではない、ということを知っておく必要があるのです。

 ある時私は九州大学の外国人学生支援センターに勤めている女性に、「ベトナム人は『Tiết canh vịt』-『アヒルの生血のよせ物』や『Đuông dừa』『ヤシの木で生息する幼虫』という食文化がある」と話しました。それを聞いた時の彼女の驚きの顔を、今でもハッキリと覚えています。日本人は人とのお付き合いで“気配り”ができる、と世界的に有名です。彼らは難しい要求に対して「できない」とハッキリ断ることが苦手で、その代わりに「検討する」と応えることが多いといいます。ところが、彼女は「幼虫を食べる」という話を受けて「食べない」と一言。そして「虫を食べるの?」と聞いてきたのです。私からすると、日本料理で「躍り食い」という生きたまま食べる料理は信じられませんが、彼らにとって「幼虫を食べる」ことは、ベトナム人の感覚とは異なり受け入れがたいことのようでした。

© Việt Nguyễn

日本では“受け入れがたい料理”、“禁止されている食べ物”

 前述した幼虫の話と似ていますが、ベトナム語講師のMei Mei(メイメイ)さんによると、彼女の日本人の生徒さんたちにとって北部ベトナムで一般的な「蛹(さなぎ)料理」は、鳥肌が立ってしまうほどゾッとする料理である、といいます。ただ、食卓に蛹が並ぶ光景にゾッとしてしまう感覚は、犬肉や猫肉と比べればまだマシであるらしいのです。

 私が知り合いの鉄平さんから偶然聞いた話です。鉄平さんには韓国人のガールフレンドがいて、その彼女から「韓国人は犬肉を食べる」と聞いた時、お互いの文化や感覚の不一致を感じたそうです。鉄平さんは、ベトナムでも犬肉や猫肉を食べることを知って更に驚きました。国によって食文化が異なることを十分理解している人ですが、彼にとって犬や猫はペットであり、食べ物であるとはどうしても認めることができないのです。

 その逆もあります。日本人にとっては古くから親しまれ一般的であるものでも、私たちベトナム人にとって受け入れがたい食べ物だって少なからずあるのです。それは「納豆」です。発酵した大豆を使った食べ物ですが、ネバネバとした粘り気と、そのにおいには耐えがたいものがあります。一度鼻先に近づけてみれば、台湾の「臭豆腐」にも似た臭いを感じます。日本の食卓に並ぶ納豆はとても一般的な食べ物で小学校の給食にも登場します。しかし、納豆を食べた多くのベトナム人の友人たちからは「納豆は腐った味がする」と聞かされました。

 納豆はベトナム人にとって受け入れがたい食材の一つですが、今後みなさんも理解しがたい、受け入れがたい食べ物に遭遇するかもしれません。生きたまま、かつまだ動いているもの(「イカの踊り食い」や「カエルの活け造り」、「馬刺しなど)のような…。ただ、それらは日本人が一般的に食べるものなので、怖い物ではありません。しかし、ベトナム人の食文化にどうしても合わない食べ物は無理に食べなくても良いと思いますよ。日本の食文化とも上手にお付き合いしましょう。