文化

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2019年11月1日 文化

VAIJ Nguyễn Trọng Dũng

 来日して約10年、学生の時からアルバイトも含め様々な仕事をしてきましたが、最近職場で驚くことがありました。それは女性社員と話をしていた時のこと。「最近太った」と話していたのでその会話に加わったら、「それって、セクハラですよ」と、言われたのです。

 来日して約10年、学生の時からアルバイトも含め様々な仕事をしてきましたが、最近職場で驚くことがありました。それは女性社員と話をしていた時のこと。「最近太った」と話していたのでその会話に加わったら、「それって、セクハラですよ」と、言われたのです。

 そんなことで?と不思議に思い、どんなことがセクハラになるか聞いてみました。すると、体重や年齢を聞くことやボディータッチなど、ベトナムでは日常的なコミュニケーションといえるようなものばかりでした。学生だったころ、アルバイト先の女性に「若くてかわいい」と外見をほめたところ、それを注意をされたことがありました。

 ベトナムでは、相手の年齢によって言葉遣いを替えます。自分より年上か年下かで相手を呼ぶ時の言葉も変わりますから、初対面でも相手の年齢を確認し、お互いの関係性をはっきりさせる慣習があります。外見に対する感想を述べたとしても、不快に思われることはまずありません。

 しかし、男女間のコミュニケーションに寛容なベトナムでも近年、「職場でのセクハラに対する行動規範」が発表されました。どのような行為がセクハラに当たるか、6項目ほど記されています。今後、ベトナムも日本のように人の言動に厳しい国になっていくのでしょうか。  最近では、職場で何気なく発していた言葉も、一度考えてから話すようになりました。窮屈に感じることもあります。寛容だった母国が一般的なセクハラの定義によって不自然に変容していくのは、少し寂しい気持ちになります。