文化
ベトナムの常識・日本の非常識_33:日本人は強い香水が苦手です

ベトナムではステキな香水を付けることであなたの魅力が増し、その香りが強すぎるからといって周囲に嫌がられることはありません。しかし、日本で強いにおいの香水をつけると、周囲の人たちがあなたに近付きたがらなくなる場合もあります。この記事では、「きつい香水のにおいに対する日本人の感性」と「日本で豊かなあごひげを生(は)やすことの意味」について解説します。
香りのルール

ここ数年、ベトナムで香水の人気がますます高まっています。 YouTube や TikTok でも「美しくある必要はない。豪華である必要もない。香りがあればよい」とPRする動画をよく見かけます。友人が日本に留学する前に私にメッセージを送ってきたので、私は日本での生活についてアドバイスしました。その中で、彼が「いつもいい香りでいたいので、香水をたくさん持ってく」と言い出したので、私は即座に「それはやめなさい!」と忠告しました。日本ではきつい香水のにおいは歓迎されないからです。

日本では最近、スメル・ハラスメント(略称スメハラ)という言葉が話題になっています。「スメハラ」とは、体臭や口臭などのにおいによって周囲に迷惑をかけることです。口臭や汗などの体臭、タバコのにおいに加え、強過ぎる香水のにおいも周囲に不快感を与えることがあります。日本人も香水を好んで用いますが、きついにおいはポピュラーではありません。強いにおいを嫌がる日本人が多いためです。
このため、来日すると、強いにおいの香水をつけている人が周りにほとんどいないことに気付きます。私には強い香水を使っている西洋人の友人が何人かいるのですが、その人たちと一緒に電車に乗ると、周囲の乗客がその人たちを何となく遠ざけている様子が分かります。

日本ではきつい香水のにおいは歓迎されない
また、日本の寿司屋さんには、強い香水をつけた人の入店を断っている店もあります。それは、香水のにおいによって他の客が寿司を味わうことを妨げられる可能性があるからです。ベトナムでは、どんな香水をつけても自由ですが、日本ではマイルドな香りを選ぶか、香水を多くつけすぎないようにしてください。
豊かなあごひげを生やすのは慎重に

多くのベトナム人男性は豊かなあごひげを「男らしさ」の証しとして誇りに思っています。それはおそらく西洋文化の影響です。洋画に出てくる、ジーンズとヘビーデューティーなブーツをはいて大型バイクに乗り、豊かなあごひげを生(は)やしている俳優たちにあこがれて、若者がひげを生やす傾向が強まったのだと思います。しかし、日本の文化、特にビジネス社会では、豊かなあごひげはファッショントレンドとして広く支持されているわけではありません。

16~17世紀の日本では、ひげは権力の象徴でした。しかし、第二次世界大戦後、日本の文化は劇的に変化しました。産業や経済が発展し、サラリーマンがスーツを着て仕事に行くようになりました。ひげは毎日そって髪もきちんと整えるのが一般的になったのです。
最近は、若い日本人女性の多くが全身脱毛に多額のお金を使うほか、私の友人の日本人男性にも、顔や腕、脚などの脱毛をするためにサロンに通う人が何人かいます。彼らは、無駄な毛を処理することで清潔感を保てると考えています。ワキ毛を永久脱毛する男性も増えています。

大阪メトロ
ひげを巡っては、大阪市営地下鉄(現・大阪メトロ)の運転士だった男性2人が2016年、「『ひげはきれいにそること』とする職場の内規に従わずひげを伸ばしていたために、人事考課で低く評価された」として、大阪市を相手に訴訟を起こし、「ひげ」が話題になったこともあります。裁判所は「ひげをはやすのは個人の自由」として、大阪市に計44万円の慰謝料を支払うよう命じました。この裁判の影響で、日本人のひげに対する偏見が多少減ったと言えるかも知れません。
ただ、脱毛に走る若い日本人男性たちは「ひげはきれいにそり、全身の無駄な毛も処理した方が、特に女性に好印象を与える」と考えているようです。昔のアメリカ映画によく出てくるような豊かなあごひげが好きな人もそのことは一応知っておきましょう。
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新入社員向けの基本ビジネスマナー_02
就職活動を終えてこれから日本で働き始める人や働き始めて間もない人は、日本での基本的なビジネスマナーを学びましょう。「電話の受け方」「お茶の出し方」「ホウ・レン・ソウ」について解説した新入社員向けの基本ビジネスマナー_01に続き、この記事では「メールの基本的なマナー」と「敬語の使い方の注意点」を紹介します。 メールの基本的なマナー 留学生の皆さんは大学・学校の先生や職員の方々と電子メールでやりとりをしたことがありますよね? その中には、学校からの連絡事項であって返事をしなくてもよいメールもあります。しかし、仕事関連のメールとなると、社外からのメールであれ社内からであれ、必ず返信する必要があります。これから紹介する5つのことに気をつけましょう。 件名(タイトル)をよく考える メールの件名には内容や重要度を知らせる役割がある メールを受け取る人が最初に見るのが件名(タイトル)です。そのため、送り手はメールの用件がひと目でわかるような件名を書くことが大切です。 「御社訪問の日程について」 「〇〇記念式典の準備会合について」 「御社ビル清掃サービスの契約更新のお願い」 などと書けば、件名を読むだけでメールの内容がだいたいわかります。 忙しい人は大事なメールから読む 1日に何十本ものメールを受け取る人もたくさんいます。そういう人たちにメールを送信する場合、件名は一層重要です。彼らは件名で判断して重要なメールを先に読み、内容がよくわからないメールは後回し(場合によっては数日後)にする場合も多いからです。 社名を入れる メールの件名にあなたの社名や名前を入れると、相手がメールの内容を想像することが一層容易になります。また、後からメールを検索する際にも便利です。 「3日の打ち合わせ資料(森興産、ブイ・リン)」 などと書けば、相手は一目でメールの内容や送り主がわかります。過去のメールを後から探す際にも、件名にメールの内容や送信者の会社名・名前などが入っていると、とても探しやすいです。 24時間以内に返信する 仕事を進めるためにメールで連絡を取り合うことはひんぱんにあります。その際、多くの人はメールを送ってから1日以上返事がないと、不安になります。そこで、メールを受信してからなるべく早く返信する習慣を付けましょう。事情があって遅くなっても、受信から24時間以内に返信するように心がけてください。 ・あなたの返信が早いと、相手はあなたに下記のような好印象を持ちます。 仕事が早い 仕事ができる 信頼できる ・あなたの返信がいつも遅いと、相手はあなたのことを下記のように思いがちです。 この人と一緒に仕事をするのは不安だ 返信が遅いので、仕事が円滑に進まない そもそも、相手はあなたの返信を待って仕事を次のステップに進めることが多いので、返信が遅いと、相手に迷惑をかけることになります。 ところで、ほとんどの会社が土日祝に休業します。もし金曜日にメールを受信した場合は、翌週の月曜日までに返信するとよいでしょう。 急ぎの用件はメールだけに頼らない トラブルやミスが起きたとき、納品スケジュールが押しているとき、予定の緊急調整が必要なときなど、急ぎの用件でメールを送る場合があります。しかし、相手がそのメールをいつ読むかはわかりません。場合によっては、2、3日放置されてしまう恐れもあります。 急ぎの場合は、メールを送るだけではなく、相手に早く確認してもらえるように電話やSNSなどでメールを読んでくれるように催促することも大切です。そして、緊急性が高い場合は、メールを送るより先に電話をかける方がよいでしょう。 早めにお礼メールを送る お客さんはあなたのために時間を作ってくれています。そのため、お客さんと打ち合わせをした後には、なるべく「お礼メール」を送りましょう。 お礼メールの内容は、感謝の気持ちのみならず、打ち合わせた内容のまとめや今後の課題・展望も書きましょう。そうすることで、その後の仕事がスムーズに進みます。 送信前に誤字・脱字や添付ファイルを確認する メールの送信ボタンを押す前に、件名、相手の名前、本文などに誤字・脱字がないか確認しましょう。もし、相手の名前を間違えてしまうと、大変失礼になります。また、本文に重要な誤字・脱字があると、あなたの仕事の信用性にかかわります。 また、添付ファイルの付け忘れや間違ったファイルを送ってしまうこともよくあるミスです。間違ったファイルを添付していないか、送信ボタンを押す前に添付ファイルの内容を必ず確認するようにしましょう。そうすることで添付忘れも防げますね。 敬語の使い方の注意点 しっかりとあいさつをする これから一緒に働く人たちと良い関係を築いていくための最初のステップはあいさつです。 社内でのあいさつの言葉 ・おはようございます。 ・お疲れ様です。 社外でのあいさつの言葉 ・お世話になります。 ・お世話になっております。 こうした言葉を欠かさないようにしましょう。仕事でよく使う言葉については、下記の記事でくわしく紹介していますので、こちらも参考にしてください。 仕事で使う日本語 適切な返事やあいづち 「うん」はNG 日本人の友人と話すとき、「うん」「そうだね」などという返事をよくしていると思います。しかし、お客様や目上の人と話すときに「うん」とか「そうだね」などの言葉を使うのは御法度(ごはっと)です。「うん」や「そうだね」は自分と対等か立場が下の相手にしか使ってはいけません。お客様や上司、先輩にうっかり「うん」とか「そうだね」などと答えてしまうと、大変失礼なことになります。 「はい」は1回 返事をする際に「はい、はい」や「なるほど、なるほど」のように、本来は一度ですむ言葉を2回繰り返して使うと、相手は「適当にあしらわれている」と感じたり、あなたのことを「軽薄な人だ」と思ったりしますので、気をつけてください。 同意を表す表現 ・私もそう思います。 ・私もそのように思います。 ・私もそのように感じておりました。 ・おっしゃる通りです。 ・おっしゃる通りかと存じます。 承諾や同意の言葉 ・承知しました。 ・承知いたしました。 ・かしこまりました。 ・左様(さよう)でございます 。 ビジネスシーンにふさわしい言葉を選び、失礼がないように気をつけましょう。 主語に応じた敬語を選ぶ 敬語の中には、「丁寧(ていねい)語」、「尊敬(そんけい)語」、「謙譲(けんじょう)語」があります。 尊敬語と謙譲語を使い分けるのは外国人には難しいことですが、次の手順を知っておくと、少し簡単になります。まず、「その行為をするのはだれ?」と考えると、主語が分かります。主語を確認した上で、次の原則に当てはめると、敬語の間違いが激減します。 ・主語が相手や他人(主に目上の人)のとき→尊敬語 ・主語が自分や身内のとき→謙譲語 敬語の大事な原則や間違いやすい事例を知りたい方は下記の記事を読んでください。 これでスッキリ!敬語はこうして覚える また、丁寧語の「〜です」「〜ます」は使用頻度(ひんど)が高いので、意識しなくても使えるように普段から使って慣れておきましょう。 まとめ この記事では、新入社員が覚えておくべきビジネスマナーとして「メールの基本的なマナー」と「敬語の使い方の注意点」について説明しました。 【メールの基本的なマナー】 ・件名をよく考える(端的でわかりやすい件名を付ける) ・24時間以内に返信する ・急ぎの用件はメールだけに頼らない ・早めにお礼メールを送る ・送信前に誤字・脱字や添付ファイルを確認する 【敬語の使い方の注意点】 ・しっかりとあいさつをする ・「うん」はNG ・「はい」は1回 ・主語に応じた敬語を選ぶ これから日本で働く皆さんや日本で働き始めて間もない皆さん、この記事と新入社員向けの基本ビジネスマナー_01で紹介したマナーを覚えれば、基本的には大丈夫です。職場や取引先の皆さんから信頼される社員に早くなれるよう、ビジネスマナーにも注意しながらがんばってください。
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新入社員向けの基本ビジネスマナー_01
日本で留学生の就職活動をサポートしていると、「入社するまでに、どのようなことを勉強しておけばよいですか?」とよく聞かれます。その質問への私たちの答えは「ビジネスマナーの勉強」です。基本的なビジネスマナーを入社前に知っておくと、他の新入社員より一歩先からスタートできます。そこで、新入社員向けのビジネスマナーについて2回に分けて紹介します。今回は「電話の受け方」や「お茶の出し方」、そして日本でとても重視されている「ホウ・レン・ソウ」についてです。 電話は3コールまでに出る 会社にかかってきた電話の相手は、電話に出てみないと分かりません。そのため、「電話に出るときは自分が会社を代表する立場なのだ」という自覚を常に持つことが大切です。 まず、電話がかかってきたとき、相手を待たせるのはよくありませんので、できるだけ早く電話に出てください。人間は10秒以上待たされることを不愉快に感じてしまう傾向があります。電話の場合、呼び出し音を何回も聞くと、相手に対して悪い印象を持ちやすくなります。一般的に1コールが3秒、3コールで約10秒なので、3コール以内を目標に受話器を取るように心がけましょう。 一番良くないのは「だれかほかの人が受話器を取るだろう」と考えて人任せにすることです。多くの職場では、入社歴の浅い人が先に電話に出ることが暗黙の了解になっています。手が離せない仕事をしている場合を除いて、入社して1、2年の間は「自分が一番先に受話器を取ろう」というぐらいの気持ちを持ちましょう。 ただ、1コールもたたず、呼び出し音が鳴った瞬間に電話を取られると少し驚いてしまいます。そのため、1コールか2コール鳴った後に電話に出ることが望ましいでしょう。 電話の受け方 会社にかかってきた電話に対しては、基本的には以下のように対応します。 ①私 : はい、〇〇(自分の会社名)でございます。お電話ありがとうございます。 ②相手: 私、〇〇(会社名)の△△と申します。お世話になっております。 ③私 : 〇〇の△△様でいらっしゃいますね。お世話になっております。 ④相手: 様はいらっしゃいますか? 相手の名前を確認 もし、相手の会社名や名前を聞き取れなかった場合は、聞き返して相手の名前を確実に把握しましょう。「恐れ入りますが、もう一度会社名とお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」など聞いてください。すると、相手は社名と自分の名前をもう一度言いますので、あなたは担当者に「〇〇社の△△様からお電話です」と伝えることができます。 相手が自分の名前を名乗らずにだれかを指名した場合も、「恐れ入りますが、お宅様(おたくさま)のお名前を教えて頂けますか?」と聞いてください。 自分の名前を名乗る 相手が電話の相手を指名せず、あなたでも対応できる内容だった場合、③の「いつもお世話になっております」の前に「私は☆☆(自分の名前)と申します」と答えましょう。これは、相手が名前を名乗ったことへの返礼の意味にもなります。自分が相手に対応する場合、基本的に自分の名前を名乗るようにしましょう。 受話器を取るのが遅れた場合 電話に出るまで長くかかった場合、「お電話ありがとうございます」の前に「大変お待たせしました」などと言うのがよいでしょう。 お茶の出し方 通常、お客様が来社したら、お茶を出します。コーヒーを出す会社もあります。基本的な作法は次の通りです。 ①応接室のドアを3回ノックします。「失礼します」と伝えてから入室します。 ②サイドテーブルがある場合、お盆をサイドテーブルに置いてお茶を出す準備をします。サイドテーブルがない場合、お盆を片手で持ちながら、もう片方の手で作業をします。 ③茶碗と受け皿を両手で持って、「上座」に座っている役職の高いお客様から順に「どうぞ」、「失礼します」などと声をかけながらお茶を出します。 お茶を出す席順は入り口から一番遠い上座から順に、下座の人が最後になるように出すとよいでしょう。また、先にお客様にお茶を出し終えてから、自分の会社の人に出すようにしてください。 上座と下座の順については、この記事を参考にしてください。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 目上の人との食事会でのマナー ④お茶を出し終えたら、ドアの前でお客様に向かって「失礼しました」とおじぎをしてから退室します。 ⑤応接室の外に出たら、ドアを開けたままお客様に向かってもう一度おじぎをし、頭を下げたままドアを閉めます。 「ホウ・レン・ソウ」は欠かせない 日本の会社で働く際によく耳にする言葉が「ホウ・レン・ソウ」です。これは次の三つの言葉の頭文字を合わせた言葉です。 ・ホウ=報告(ほうこく)・レン=連絡(れんらく)・ソウ=相談(そうだん) 報告・連絡・相談は日々の生活においても基本的なことです。仕事では、いつ・どうやって「ホウ・レン・ソウ」を行うかが重要となります。 ❌ 仕事の進捗状況を報告しない。 上司や先輩から仕事を任されたときは、その人に仕事の進捗を必ずこまめに「報告」してください。上司や先輩があなたに助言やサポートをしたり、職場での仕事の割り振りを調整したり、次の仕事を適切なタイミングで指示したりするには、あなたの仕事の状況を把握することが不可欠です。 そのためには、あなたが自分の仕事の状況を上司・先輩にこまめに報告しなければなりません。日本の会社ではこまめな「報告」がとても重視されています。 ❌ リマインドしない。 相手がとても忙しいとき、あなたの報告・連絡・相談・依頼などにすぐに対応できないこともあります。その場合、タイミングをみて、遠慮せずに自分からもう一度相手に「ホウ・レン・ソウ」を行って対応を促してください。 ❌ 自分の判断だけで行動する。 新入社員の場合、分からないことがたくさんあるはずです。自分の仕事に関してわからないことが出たり判断に迷ったりした場合は、上司や先輩に遠慮なく尋ねてください。 まとめ 今回は、新入社員が知っておくべき基本的なビジネスマナーのうち「電話対応」や「お茶・コーヒーの出し方」、「ホウ・レン・ソウ」について説明しました。 ・電話には3コールまでに出る。 ・電話対応の際、必要に応じて自分の名前を名乗る。 ・電話対応の際、必要に応じて相手の社名や名前を聞く。 ・お茶の出し方 ・仕事の進捗について上司や先輩にこまめに報告する。 ・上司や先輩が忙しくてすぐに対応できないときは、同じ内容の「ホウ・レン・ソウ」を繰り返す。 ・分からないことがあるときや迷ったときは上司・先輩に相談する。 このような基本的なビジネスマナーを入社後1カ月ぐらいでマスターするように意識して取り組んでみてください。また、こうした事柄を入社前に頭に入れておき、実際に働き始めてからもときどき読み返すことで、実体験と結びついた習慣になっていくことでしょう。 ビジネスマナーを身につけて、日本の会社で活躍してくださいね。
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ベトナムの常識・日本の非常識_34:日本の男性の子育て
「育児や夕食のしたくは主に女性の仕事」――そのような昔の日本の価値観が最近は薄れ、男性が育児に積極的に参加することが推奨(すいしょう)される機運が広がっています。このような機運の中、積極的に育児に参加する男性はある呼び方で呼ばれています。その呼称とは? 「イクメン」って何? ベトナムでは父親が子どもたちを学校に連れて行き、休日や放課後は一緒に公園で遊ぶのは、ごく普通のことです。 しかし、日本ではこのような父親は非常に興味深い呼称で呼ばれています。それは「イクメン」という呼び方です。 ベトナムでは、朝早くに子どもを学校に送り、午後は渋滞の中をバイクで迎えに行く父親は、珍しくありません。私もその1人です。午後に自由時間を取りやすいので、子どもの送り迎えや夕食作り、入浴の準備は私の日課です。ベトナムにはこのような男性がたくさんいます。だから、特別な呼び方はありません。 イクメンとは育児の「育(いく)」と「男性」を英語で言い換えた「メン」がくっついた言葉です。ハンサムな男性のことを言う「イケメン」とは違います。「イケメン」の「メン」には、顔を意味する「面(めん)」と男性を意味する「メン」の2つの意味が含まれ、「いけてる面(格好いい顔)の男性」のことを言います。一方、「イクメン」は「育児に積極的に参加する男性」のことを指します。 では、なぜこのような言葉があるのでしょう? それは、日本社会の歴史をひもとくと分かります。日本が高度経済成長(1955~73年)を続けていた時代、男性は「一家の大黒柱」としてがむしゃらに働き、仕事を最優先していました。その後も、多くの日本の男性にとって長時間労働や休日出勤は当たり前でした。2018 年に英国の新聞に掲載された社会学的研究によると、1980 年代の日本の父親が子どもと接触する時間は1 日平均 40 分未満だったそうです。 さらに古い時代には、「地震、雷、火事、おやじ」という言葉がありました。怖いものを並べた言葉で、父親が家庭の中で「えらい存在」だったことがうかがえます。 しかし、最近では、男性も育児休暇を取ることができるなど、日本社会は男性の育児参加を推奨(すいしょう)するようになりました。平日に子どもを抱いた男性を見かけることも増えており、公園などでほほえましい姿に出会うことが多くなってきました。 つめを伸ばす? 1970年代、80年代に生まれたベトナム人男性には、手の親指や小指のつめを長く伸ばしている人が珍しくありません。私が小・中学生のころ、学校のクラスで「だれのつめが長くて硬いか」を競う傾向さえありました。今でもつめを伸ばしている友人がたくさんいます。 しかし、日本の男性の大半は手のつめをきれいに短く切っており、伸ばしている人はほとんど見かけません。一方、女性たちの多くはつめをほどよく伸ばし、マニキュアやジェルネイルなどでつめのおしゃれをしています。 京都の私立大学の学生でラーメン店でアルバイトをしている友人がいます。彼はステッカーをうまくはがすために親指のつめを伸ばしていました。しかし、アルバイト初日に店主からつめを切るように言われました。彼の仕事は注文を取ることと食器を片付けて洗うことなので、つめが長くても仕事はできるのですが、店主は長いつめを嫌いました。飲食店では、店員がつめを伸ばしていると、不衛生だと思われるからだそうです。 男性が日本でつめを伸ばす場合、周囲のこのような受け止め方に留意することが必要です。 ベトナムと日本のサッカーの違い ベトナムはサッカーが大好きな国です。私も学生時代に公園や野原に行って“サッカー仲間”とボールを追いかけたものでした。高校生になると、グラウンドを借りていろんなチームと一緒に練習をしたり試合をしたりしました。これはとても楽しい思い出です。 日本人もサッカーが好きです。2022年には、ワールドカップで強豪国のドイツやスペインを破り、4チームで行う予選リーグを1位で勝ち上がってベスト16に入りました。 日本代表が強くなったのには、理由があります。高校生の場合、日本人は友人を集めて練習するのではなく、学校の部活動で本格的に練習をするケースが大半です。強豪校では、優秀な監督やコーチを雇い、大きな大会で良い成績を収めるために、毎日遅くまで練習をします。高校サッカーで最もメジャーな大会は「全国高校サッカー選手権大会」で、毎年秋から各県(東京だけ2地区に分割)で予選があり、各県の代表48校が年末から年始にかけて戦います。2021~2022年に開かれた同大会は第100回の記念大会でした。 また、大学にも「全日本大学サッカー選手権大会」があり、強豪チームは毎日、組織的に長時間練習をしています。こうしたチームの主力選手たちがプロチームに入り、リーグ戦を戦います。 私が福岡県に3カ月間住んだ際、学生チームがサッカーの練習をしているのを見学しました。練習の雰囲気やトレーニングメニュー、選手同士のかけ声はプロに劣りません。小さなクラブチームでさえも、外部のコーチを雇うこともあります。このように、日本のサッカー界では、すそ野のレベルが上がっており、そこから選び抜かれた選手たちをさらに鍛えることで、欧州のクラブチームにも入れるような選手が育つのです。 こうした選手たちが欧州で経験を積み、ナショナルチームとしても国際試合を重ねることによって、ワールドカップで強豪国に負けないようなチーム力を身に付けたのでしょう。
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目上の人との食事会でのマナー
日本に住むベトナム人の皆さんは学校の先生や先輩、職場の上司など、目上の日本人と一緒に食事に行く機会もたまにあると思います。このように上下関係のある人たちが一緒に食事に行く場合、いくつかの暗黙のルールがあります。その中の重要ポイントを押さえておかないと、相手にがっかりされてしまうこともあります。実際の食事の席ではだれも教えてくれないことが多いので、この記事で日本の食事会でのマナーについて紹介します。 奥に座らない ベトナム人と交流の多い日本人に聞くと、食事会で日本人の多くの人が心がけているのにベトナム人の多くが気にしていないのは座る位置だそうです。日本では、基本的に「奥」に目上の人やお客さんに座っていただきます。奥の席を「上座(かみざ)」と言います。 店にテーブルがたくさんあって「上座」がどちらかわかりにくい場合は、店の入口から遠い方が「上座」だと思ってください。上の図では個室の入口から遠い①が一番の上座で、②が2番目の上座です。逆に、出入口に近い③④を「下座(しもざ)」と言い、目下の人が座ります。③と④の間では、④が一番下の席です。 例えば、先生や先輩、同級生と4人で食事に行く場合、先生が①、先輩が②、同級生と自分は③④の席に座ります。 床の間のある和室の場合 個室で床の間(かけ軸などが飾られているスペース)がある場合は、入口の位置にかかわらず床の間の前が「上座」になります。上の図では、①が一番の上座で②が2番目の上座です。もし床の間がなければ、この部屋の場合、③が一番の上座、④が2番目の上座になります。 例えば、お客さん、上司、先輩、自分の4人で食事に行く場合、お客さんが①、上司が②、先輩が③、自分が④という席順になります。 円卓の場合 円卓の場合は少し複雑です。入口から最も遠い席が1番の「上座」で、それ以外は番号の順番になります。 テーブルが多い場合 個室での席順は上記の通りですが、広い部屋でテーブルが多い場合は、どこが上座か判断に悩むことと思います。そこで、大まかな基準を図にまとめました。広い部屋では、「入口から遠い」ことや「壁側」が上座の基準です。 目上の人に上座を勧める 目上の人と一緒に外食をする際、個室であれば、なるべく目上の人に先に入ってもらいます。自分が最後に入り、相手が上座に座るのを確認します。しかし、こちらに気をつかって自分が下座に座ろうとする人も多いので、お客様が下座に座ろうとしたら、上座に座るように急いでお願いしてください。これが日本の食事会での一般的なマナーです。 相手がどうしても下座に座ると言う場合は、例外的に下座に座っていただきますが、そのようなケースはなるべく避けましょう。店内で待ち合わせる場合は、先に店に着いて部屋に入り、下座に座って相手を待つとよいでしょう。 取りばしを使う 大皿料理は、共用のはし(取りばし)で自分の小皿に取り分ける 多くの国では、だれかと食事して料理をシェアする場合、それぞれが自分のはしで食べ物を取ります。しかし、日本では例外があります。 日本人は食事をするとき、自分のはし以外に「取りばし」をよく使います。シェアする料理については、取りばし(みんなで使うはし)で大皿から自分の小皿に取り分け、そのはしを元に戻してから、自分のはしで食べます。外食の際、取りばしがない場合、店員さんにお願いして持ってきてもらいましょう。 そして、目上の人が取りばしで自分の小皿に料理を取り分けてから、自分もその料理を取るようにしましょう。目上の人の分をこちらが代わりに取り分けると、さらにベターです。 お酒のつぎ方 お店でびんビールや日本酒を飲む場合、コップやおちょこ(さかずき)に自分で注ぐ必要があります。その場合のマナーを紹介します。 目上の人に注ぐ場合 ・少なくとも1杯目は目下の者から目上の人にビールやお酒をつぐように心がけましょう。その後も、相手のコップやおちょこが空(から)になっていたら、お酒を注ぐようにします。相手が「もういいです」とか「後は自分でやります」と言って断った場合はそこでやめます。 ・ビールの場合は、びんのラベルが上になるように右手でびんを持って、左手を添えます。左手は軽く添える程度でいいです。 ・日本酒のとっくりなどからおちょこに注ぐ場合もとっくりを両手で持ちます。 目上の人から注いでもらう場合 片手でグラスやおちょこを持ち、もう片方の手(指先)を底に軽く添えて両手で持ちます。和室の場合は正座してグラスやおちょこを持つ人もいます。そして、注いでもらう前と後に「ありがとうございます」とお礼を言います。テーブルにグラスを置いたまま片手を添えて注いでもらうのは失礼なことなので、気をつけましょう。 「いただきます」「ごちそうさまでした」 食べる前に「いただきます」、食べた後に「ごちそうさまでした」と言います。これは言わずと知れた日本の食事の始まりと終わりのあいさつですが、目上の人(上司や先輩など)がお金を多く支払ってくれる場合は、特に大事です。 また、目上の人が食べ始めてから自分も食べるようにしましょう。 会計後にも「ごちそうさまでした」 食事が終わったときに「ごちそうさまでした」と言いますが、会計の際やお店を出た直後に、費用を多く負担してくれた人にもう一度「ごちそうさまでした」と言いましょう。 上司・目上の人に言う場合、「おごってもらったので、ありがとうございました」という意味を表します。 お店の人に「ごちそうさまでした」と言う場合、「料理がおいしかった」「居心地がよかった」「また来店したい」などの感謝の意味を表します。 「ごちそうさまでした」は感謝の気持ちを表す言葉なので、忘れないでくださいね。 まとめ 今回は「上座」と「下座」など飲食店での席順を中心に日本の食事会でのマナーについて紹介しました。また、取りばしを使う習慣やお酒のつぎ方なども紹介しました。このようなマナーを守ることで上下の人間関係が円滑になりますので、この記事で得た知識を実際の食事会でぜひ活用してください。 また、「いただきます」や「ごちそうさまでした」を言うのも忘れないでください。 日本の文化に完全に慣れるのは難しいですが、知ってさえいれば簡単に守れることも多いので、お互いの良好な関係を深めるために、少しずつ実践していきましょう。
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