今回のベトナムの常識日本の非常識は、下記の三つを紹介します:
1. 人との距離を詰めすぎない。
2. 夏の服装~過度の露出は避けて。
3. 北に枕を置いて寝ない。
ハノイで英語クラブのホストをしていたとき、私は欧米の友だちからよく文句を言われたものでした。
「ベトナム人は、スーパーでの会計や映画館のチケット売り場、ATMやケンタッキーの会計などで、すぐ後ろに距離を詰めて並んでくる。後ろの人の息づかいまで感じるほどだよ」。3年間ハノイに住んでいるアメリカ人のブライアンの言葉です。
実を言うと、最初私はこのことについてそれほど大きな問題だと感じてはいませんでした。彼らはただ“普通に”並んでいるだけだと。それでもっと客観的に捉えるべきだと、私は他のベトナム人にも聞いて回ったのですが、やはり同じような感覚を持っている人が多いのでした。
人との距離を詰めすぎない
しかし、日本に来て初めてわかったのですが、日本人はもちろん他の先進国の人々は、一様に他者との間隔を空けることを尊重していたのです。大都市の駅やスタジアムでの観戦などを除いて、日本人は公共の場でできるだけ人との距離を保とう(少なくとも片手を伸ばした長さ分)とします。
扶桑の国(日本)の人々は小さいころから、隣の人がSNSを見たり、新聞を読んでいたりしていたら、その画面や文字が見えない程度の距離をとるよう教わります。日本で行列に並ぶ時は、自分の息づかいが前の人が感じてしまわないよう、また前の人が見ている画面の文字が見えないような間隔をとって並ぶようにしましょう。
冬に日焼けを避け、豊かでメリハリのある体になろうと運動をする…夏になってその成果を発揮し、道行く人が思わず振り返るような曲線美を見せられないようなら、あなたは自分自身に自信をなくしてしまうでしょう。ベトナム人はよく冗談で「日々の暮らしが豊かになればなるほど女性の服は短くなる」と言うほどです。
そのように若者の心を躍らせることのできる女性たちの姿は、まさに豊かさと勤勉さを表現していると言えます。だから女性が自らを自慢することは、多くのベトナム人に受け入れられるのです。
けれどもこの感覚は、時として日本人に嫌悪感さえ与えてしまいかねないのです。来日すれば、あなたは日本の女性が暑さの中で頭からつま先までしっかりと着込んでいることに理解できないでしょう。ましてや上着を何層も重ねているとなれば。
夏の服装~過度の露出は避けて
一般的に、日本は昔から“控えめさ”を尊重する国でした。加えて高齢者は日本の人口の約28%を占めます。そのためあなたが公共の場で高齢者にバッタリと会って偏見に苦しむ可能性は、若者から体のラインを称賛される可能性よりも高いのです。
ですから日本人のファッションをできるだけ取り入れるのが一番無難なのではないでしょうか。服装は『上はしっかり、下はふんわり』を心がけましょう!
北に枕を置いて寝ない
ベトナム人は枕元に鏡を置きません。同様に日本人にも寝る時のタブーがあります。“それは北の方角に枕を置いて寝ない”というもの。なぜ日本人はそれをタブーとするのでしょうか?
それには二つの説があると言われています。
一つは、日本人は伝統的に死者の頭を北の方角に向けて寝かせて納棺していました。そのため生きている人が頭を北側に向けて寝るのは縁起が悪いとされ、そのタブーを“北枕”と呼ぶようになったのです。
二つ目は科学的な理由によるものです。地球には北から南に引っ張る磁力があります。南には陰(マイナス)極、北には陽(プラス)極が働いています。人にもその磁力が働いていて、陰極は足側、陽極は頭側となっているのです。したがって北側に頭を置いてしまうと陽極同士が反発しあってしまい、それが原因で睡眠障害や疲れが溜まってしまうのです。誰だって体の調子が悪くなるのを望んではいませんよね?