日本人は、あなたが夜に爪を切ったり、ご飯におかずやタレを混ぜて食べるのをみると、驚いたり眉根を寄せるかもしれません…。
ある夜、何の気なしに「自分の爪が伸びているな」と思ったあなたは、それを整えたいと思うでしょう。ベトナムにいるのであれば「はい、どうぞ」と言いたいのですが、日本にいる時、特にホームステイなどしている場合はやめておいた方がいいでしょう。
“夜に爪を切る”ことがなぜタブーなのか。日本には、主に二つの迷信があります。夜に爪を切ることは日本語で「夜爪(ヨツメ)」と言われ、これが違う意味の「世詰(ヨツメ)」と聞こえてしまうからです。「世詰」は「命が短くなる」という縁起の悪い言葉なので、夜に爪を切るという行為は「早死にする」につながるということです。
また、江戸時代には、「爪も親から授かった体の一部。暗闇で粗末に爪を扱う親不孝をしていると、親の死に目に会えない」と言われました。それが現代にも伝わっているのです。
現実的な理由は次のとおりです。
昔は自宅に電灯もなく、今使っているような爪切りもありませんでした。つまり暗い中で小刀などの刃物を使う危険な行為だったのです。親としては子供にそんなリスクを負わせたくないので、「早死にする」とか「親の死に目に会えない」などの迷信を使って注意したのでしょう。
ベトナムでは“鏡が割れる”ことは不吉なことだと言われていますが、日本ではそれが鏡ではなく“櫛”にあたります。日本人は、誤って櫛が折れてしまうことをとても恐れています。それはなぜしょうか?
それは日本の神様の一人である“伊邪那岐(イザナギ)”の神話に由来すると言われています。黄泉の国から逃げようと走る伊邪那岐は、迫りくる追手から逃れるために自分が髪につけていた竹の櫛を投げました。すると地面から筍(タケノコ)が生えてきて、追手はそれを食べることに夢中になり、伊邪那岐はそのすきに逃げることができた…という話があるのです。この話が元となり、「櫛は命を救う大切なもの」という言い伝えができたのです。
またほかの由来としては、昔から櫛は高級品とされ、娘が嫁ぐときに母親が持たせていたそうです。そのため日本人にとって櫛はとても大切なもので、大事にしなければならないという気持ちが強いのです。
一般的にベトナムの家庭では、湯船に浸かるという習慣がありません。しかし日本ではどの家庭にも、ホテルにもバスタブが設置されています。
ベトナム人の中には、いきなり湯船に入る人がたくさんいます。しかしこういったお風呂の入り方は、日本人からすると間違ったもので、気分の良くないことになるのです。
一般的な日本のバスルームというのは、プラスチック製の背の低い椅子がシャワーヘッドの近くに置いてあり、そこで体を洗えるようになっています。体をキレイに洗ったあと、初めて湯船に浸かって存分にリラックスできるのです。日本人は、湯船をキレイにしておくようにいつも心がけていますので、決して間違った使い方をしないようにしましょう。特に温泉などの公衆浴場では気をつけましょうね!
80年代以前に生まれたベトナム人は、豚の角煮や魚のトマト煮などタレがかかっている料理を食べる時、そのタレや具をご飯に混ぜて食べることがよくあります。私もその食べ方が大好きです。
しかし、ある日本人家族を自分の家の夕食に招待した時、私がその食べ方をすると彼らにビックリされてしまったのです。
その家族と私はとても親しい中だったので、「日本人はそうやってごはんと混ぜて食べるのは『行儀が悪い』と思うんだよ」と言ってくれたのでした。
日本人は、ご飯におかずを乗せる「どんぶり飯」を食べます。牛丼、親子丼、海鮮丼などです。しかし、お茶碗のご飯と別の皿に盛られたおかずがある場合は、それぞれを別々に順番に口に運ぶことが多いのです。日本では、お茶碗の中でご飯とタレを一緒にさせない方が「お行儀が良い」とされるのです。
日本では、お茶碗の中でご飯とタレを“一体化”させないようにしましょう!