生活・ビザ

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2020年07月17日 生活・ビザ

     皆さんは、日本の交番(KOBAN)を利用したことはありますか?交番は警察官の詰め所のことですが、ベトナムのđồn công anとは雰囲気が少し違いますね。今回は世界に誇れる日本の交番をご紹介します!

ベトナム人女性の体験

     知人の女性が来日して間もないころ、道路で子供がけがをした時のエピソードを次のように綴っています。

     日本の交番にとてもお世話になった思い出があります。

     来日したばかりのある週末、生活用品など必要なものを買うため家族4人で出掛けました。買い物は夜の11時近くまでかかり、膨大な荷物となりました。

     両手が荷物でいっぱいだった私たち夫婦は、8歳の息子に幼い娘が乗っているベビーカーを押してもらいました。その時、息子が押すベビーカーが段差にぶつかって転倒し、娘が道に飛ばされて激しく出血するほどのけがを負ってしまったのです。

     深夜だったため、一般の病院はどこも閉まっていて救急のみの対応となっています。最寄りの救急病院に連れて行こうと思いタクシーを呼びましたが、血を流している娘を見て乗車拒否されてしまいました。

     どうすべきか、一瞬途方に暮れましたが、私はふと交番のことを思い出しました。「交番のお巡りさんは、困った人にとても親切で頼りになる」という評判を聞いていたので、「相談すれば助けてくれるかもしれない」と思ったのです。頼るところがないので、とりあえず私たちは交番に行きました。到着するとお巡りさんたちは娘のことをとても心配してくれて、救急車を呼んでくれました。交番で救急車の到着を待ち、娘と一緒に救急病院に行きました。幸い娘は大したけがではなく、事なきを得ました。

     救急車に乗ったのが初体験だったこともあり、この夜の出来事は私にとってとても思い出に残る海外でのエピソードの一つです。

交番の仕事

     交番は事件や事故の対応、周辺のパトロールはもちろん、道案内や落とし物の届け出、通学する子供たちの見守り活動、交通整理、お年寄りの家庭訪問など、その仕事は多岐にわたります。

     日本で「素晴らしい」と思える文化の一つに、「落とし物が見つかりやすい」ということがあります。その文化が育ったのは、日本各地に交番があることも理由だと思います。

     落とすと大変なものの一つにお財布があります。警視庁遺失物センターによると、2018年に東京都内で落とし物として交番や警察署などに届けられた現金は計約38 億に上ります。その中で持ち主に返還されたのは約28億円で、実に7割以上だそうです。もともと日本人は小さいころから「落とし物は交番に届けなさい」と教育されているそうで、まじめな国民性であるうえ全国に交番が配置されているため、落とし物が見つかりやすいのでしょう。日本人だけでなく、外国人にとっても落とし物を届けたり探したりしやすい環境の国だと思います。

世界に広がる”KOBANシステム”

     日本の交番システムは世界中に広がっており、「KOBAN」と表記する国が存在します。アジア諸国では最初にシンガポールが交番のシステムに関心を示し、1983に設置しました。インドネシアは2004年から導入、カンボジアにもKOBAN があります。

     ラテンアメリカ諸国では、ブラジルやホンジュラス、エルサルバドルにKOBAN が設置されています。中でもその効果が顕著に現れたのはブラジルです。

     ブラジルでは、1997年から日本を参考にしたKOBANが設置され始め、2005年には日本の国際協力機構(JICA)がブラジル政府の依頼を受け、サンパウロ州に専門家を派遣するなどして交番を拠点に地域の平和と安全を守る「交番システム」の定着を目指す「地域警察活動プロジェクト」を開始しました。すでに270カ所を超えるKOBANが誕生しています。

     その結果、あるKOBANの管轄区内では約10年前に比べ、犯罪件数が15分の1以下になったといいます。①常に警察官が近くにいることで犯罪の抑止につながる②地域に密着したお巡りさんが地元の人々と信頼関係を構築している――などKOBAN設置の効果が発揮され、事件や事故が起きてからではなく「起きる前に予防する」という考え方が根付いてきたと言えます。

もっと使いやすい交番へ

     地域の人々への親しみやすさを目指している交番。私の周りでも「助けられた」という人はたくさんいます。しかし外国人である私たちは、どうしても「言葉の壁」を心配してしまうものです。

     そんなニーズに応じるため、日本の警察は外国語対応に取り組んでいます。外国人が訪ねることが多い全国の観光地や交通の要所などの交番に外国語ができる警察官や通訳を配置し、外国人とのコミュニケーションを円滑にする対策をとっています。

     警視庁は、歌舞伎町交番(新宿署)、渋谷駅前交番(渋谷署)の2カ所をモデル交番として、外国語を話せる警察官などを常時1名以上配置しています。大阪府警は、関西国際空港内のターミナル交番に、英語の指定通訳員を24時間体制で配置し、外国語対応モデル交番として運用しています。

     また近年では、警察学校でベトナム語などの語学研修も行われています。