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日本の災害危険情報と避難指示

近年は気候変動の影響により、大雨による洪水や土砂災害が増えています。そのため、日本では気象情報や避難情報が頻繁(ひんぱん)に発表されます。これらの情報の意味を正しく理解し、早めに適切に行動することが自分や家族の命を守ることにつながります。この記事では、災害危険情報や避難指示について紹介します。※トップの写真はNHKニュース(2026年6月3日)より 〈この記事の内容〉 1.現在の災害情報の概要 2.従来の災害情報との違い ...

2026年07月10日
  • 外国人のための防災の基礎知識と情報収集方法

    2026年06月04日
    日本は災害が多い国です。地震、台風、大雨などが毎年のように発生しています。災害が起きたときに、その災害に関する知識が少ない場合や備えをしていない場合、避難が遅れたり当面の生活に困ったりします。外国人にとっては、言葉や文化の違いによって必要な情報を正しく理解できず、避難のタイミングが遅れることもあります。この記事では、外国人が災害時にできるだけ安全に行動できるように、防災の基本をまとめました。 〈この記事の内容〉 1.日本で起こりやすい災害 2.大雨や台風のときはどう行動するか 3.地震のときはどう行動するか 4.津波の被害を避けるには 5.火山が噴火したときはどう行動するか 6.災害時の避難 7.災害への備え(備蓄など) 8.災害時の情報収集 9.まとめ 1.日本で起こりやすい災害 日本で起こりやすい災害には次のようなものがあります。地域ごとにハザードマップがあり、災害被害の予測について事前に知ることができます。 台風・大雨 事前に予報が出ますが、雨が長く続くと、川のはんらんや洪水、土砂崩れが起こります。 地震 日本ではどの地域でも地震が起きます。揺れが大きい場合、建物が倒れる、家具が倒れる、窓ガラスが割れる、停電、断水などが同時に起こることがあります。 津波 地震の後に発生し、大きな波が非常に速いスピードで陸地に押し寄せます。第二波や第三波などもありますので、長時間の警戒が必要です。 噴火 火山の近くでは火山灰や噴石の影響があります。大きな火山が噴火すると、遠方にも被害が及びます。 2.大雨や台風のときはどう行動するか 日本では近年、地球温暖化の影響で、各地でしばしば集中豪雨(ゲリラ豪雨)が降ります。また、台風も大型化し、たくさんの雨を伴います。 大雨によって洪水が発生すると、建物が水につかることがあります。また、大雨によって山や斜面が崩れたり、土砂が流れて建物が壊れたり道路がふさがれたりすることがあります。 このような洪水や土砂災害から命を守るために、次のような行動をとってください。 大雨や台風への備え ・普段からハザードマップ(災害の発生するおそれがある場所が書いてある地図)で洪水や土砂災害の危険がある場所を確認しておきましょう。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] ハザードマップポータルサイト(国土交通省) 大雨や台風のときの行動 ①海や川を見に行かない ・海や川の様子を見に行って、風雨の影響で水中に転落するケースが非常に多く発生しています。絶対に水辺に近づかないでください。 ②早めに避難 ・気象庁の災害情報などをもとに早めに避難しましょう。避難タイミングをのがすと、風雨がひどくなったり道路が通行止めになったりして移動できなくなることがあります。 ・市区町村から「避難指示」が出たときは、近くの避難所に必ず避難してください。 3.地震のときはどう行動するか 日本の周辺には、複数のプレートが存在しており、世界有数の地震多発地帯となっています。地震から命を守るために、次のような行動をしてください。 地震への備え 地震が起きた場合に避難する場所を家族と話し合っておきましょう。 地域の防災訓練に参加し、災害時の避難方法や避難経路を学んでおいてください。 家具が倒れないように固定しておきます。また、倒れても大丈夫なように、家具の配置にも気をつけます。 地震が起きたときの行動 地震が発生したら、次の点に注意してください。 ① 落下物や転倒物から身を守る ・建物の中にいる場合→落下物から身を守るため、机やテーブルの下に入り、揺れが収まるまで待ちましょう。 ・外出している場合→建物の近くにいると、看板や建物の壁、割れたガラスなどが落ちてくる可能性があるので、カバンなどで頭を守りながら安全な場所に避難してください。 ・車に乗っている場合→車を道路の左はしに停めてエンジンを止め、歩いて安全な場所へ避難してください。 ② 火の始末(火災を防ぐ) ・揺れが収まったら、台所やストーブなどの火を消してください。 ・もし出火した場合は、消火器などでできるだけ消火しましょう。 ・地震の後は、ガス漏れが起きている可能性があるので、火はつけないでください。 ③エレベーターを使わない ・故障して中に閉じ込められる危険性があります。 ④安全な場所に避難 ・揺れが強いと、建物の倒壊や火災の危険があり、山や丘では土砂くずれの危険性もあります。揺れが収まったら、近くの避難場所などへ移動してください。 4.津波の被害を避けるには 海底の下で大きな地震が発生すると、海底が盛り上がったり沈んだりします。これに伴って津波が発生します。 津波への備え 普段からハザードマップなどで危険地域や避難場所への経路などを確認しておきましょう。 地域の防災訓練に参加し、災害時の避難方法を学んでおいてください。 津波が起きそうなときの行動 津波が海岸に近づいてくるのを見てから避難を始めても間に合いません。以下のことに気をつけて早急に避難してください。 ①揺れを感じたら避難 ・海や大きな川の近くで強い揺れを感じたときや、弱い揺れでも長い時間ゆっくりした地震を感じたときは、すぐに海や川から離れ、高台や避難ビルなど高い場所に避難してください。 ②警報を聞いたら避難 ・地震を感じなくても、気象庁から津波警報が発表されたときは、すぐに高い場所に避難しましょう。 ③長時間、警戒する ・最初の津波より第二波や第三波の方が大きい場合もあります。地震の揺れが収まってから長時間の警戒が必要です。 5.火山が噴火したときはどう行動するか 日本には多くの火山があります。噴火から命を守るために、以下の行動をしましょう。 噴火への備え 普段からハザードマップで自分の住む地域にどのような災害の危険性があるのか確認しておいてください。 登山をするとき→気象庁のサイトやハザードマップで火山に関する情報を確認▽登山届を提出▽通信機器やヘルメットを準備。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] Compass(登山届けを出すためのサイト) 噴火が起きたときはこうする ①マスクや布で口をおおう ・火山灰を吸い込んではいけません。火山灰には、細かいガラス片や鉱物の破片が含まれており、肺などに悪影響を与えます。 ②避難 ・建物の中に避難し、火山灰や噴石から身を守ります。 ・市区町村から「避難指示」が出たときは、すぐに安全な場所に避難してください。 ③登山中に噴火が発生したとき ・すぐに火口から離れ、山小屋やシェルターなどに避難してください。 ・頭を守るためにヘルメットをかぶってください。 6.災害時の避難 避難所の様子(さまざまなタイプの避難所があります) 避難場所 ・災害が発生しそうな場合や発生した場合、早めに安全な場所に避難してください。 ・住んでいる地域の避難場所を普段から確認しておいてください。 ※各市区町村のホームページなどで確認できます。 ・避難場所へ行くことが難しいときは、近くの安全な場所(しっかりした建物など)に逃げましょう。 避難指示 ・災害による被害が発生する可能性が高まった場合、自治体が「避難指示」を発令します。テレビやラジオ、スマートフォンへの緊急速報メールなどで避難指示を知ることになります。「避難指示」が出る場合は命の危険もありますので、近くの避難所などにすぐに避難してください。 避難方法 ・避難をするときには、必ず火を消してから外出してください。また、持ち物をできるだけ少なくして背中に背負うなどし、両手が自由に使えるようにしてください。 7.災害への備え(備蓄など) 災害に備えた備蓄 災害時に当面の生活を続けるために、水・食料や緊急用トイレなどの備蓄が必要です。 基本的な備蓄 飲料水:最低でも1人1日3ℓ×3日分以上備蓄してください。大きな地震などが起きると、水道管が破損して長期間、断水することも多いので、できれば1~2週間分準備しておく方が望ましいです。 生活用水:断水に備えて生活用水の備蓄も必要です。 食料(保存食):缶詰やレトルト食品。大災害が起きたら、店の商品はあっという間になくなり、長期間買えなくなります。道路が寸断されると、品物が長期間入ってきません。数日分の備蓄を推奨する記事も多いですが、できれば2週間分以上の備えがある方が良いでしょう。 災害用トイレ:通常のトイレで水が流れなくなりますので、使い捨てトイレ(または大きなゴミ袋)を多めに用意しておきましょう。 非常用持ち出し袋(防災リュック):懐中電灯やラジオ、電池など災害時に必要なものを詰め込んだ袋です。モバイルバッテリーや現金(災害時は電子決済ができないことがあります)、常備薬なども入れておきましょう。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 防災リュックを準備しましょう(JP MIRAI) 外国人にとっては身分証関係も重要 ・在留カード、パスポート、在留資格関連書類:本人確認やさまざまな手続きに必要です。 ※コピーだけでも非常持ち出し袋などに入れておきましょう。 避難場所を事前に知っておく ・大きな災害のときには公共施設などが「避難所」として使われます。避難所になる場所はあらかじめ決まっていますので、市区町村のホームページなどで普段から確認しておいてください。 ・災害が起きたら、自治体の情報などを確認して早めに避難してください。 ・避難所では地域住民との共同生活が原則です。日ごろから「おはようございます」「こんにちは」とあいさつをするなどして、地域住民と良い関係をつくっておきましょう。 連絡方法や集合場所 連絡方法や集合場所を事前に決めておく ・災害が起きた場合に家族や友人と連絡を取り合う方法や集合場所を決めておきましょう。通信障害や停電もありますので、スマートフォンがいつでも使えるとは限りません。 紙に書いた連絡先 ・家族・友人・勤務先・学校の連絡先を書いた紙を持っておくと、災害時にスマートフォンの電波が届きにくい場合や電源が切れた場合に役立ちます。 8.災害時の情報収集 災害が起こりそうなときや災害が起こった場合はどのように情報を収集したらよいでしょうか。 災害時の情報収集ツール 災害時の情報収集ツールには、テレビ・ラジオのニュースや行政の公式サイト、スマートフォンで受け取る緊急速報メールやエリアメール(大きな音とともに通知が届く)などがあります。 災害時に役立つサイトやアプリを紹介します。 外国人向けの災害情報サイト [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 国土交通省の防災ポータル(多言語)※さまざまな災害情報にアクセスできるポータルサイト。各自治体の情報(避難情報など)にもここからアクセスできます。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 気象庁の災害情報(多言語)※さまざまな災害情報を多言語で発信 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] ハザードマップポータルサイト 外国人向けの防災アプリ(スマートフォン用) ・Safety Tips:地震・津波・台風などの災害情報や避難情報を多言語で通知します。 ・NHK WORLD-JAPAN:通常ニュースや災害情報を多言語で配信します。 ※アプリは事前にダウンロードしておくことが重要です。 外国人向けの相談窓口 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 外国人在留支援センター(FRESC)※在留資格や生活について相談できる窓口。災害時にも今後の仕事や生活について相談できます。 フェイクニュースに注意 ・災害時にはフェイクニュースが多発します。特にSNSでたくさんのデマが飛び交うこともあります。不確かな情報を信じないでください。 ・公式情報を優先する:自治体や公的機関、報道機関からの情報を確認してください。 9.まとめ 日本は地震や台風、大雨などの自然災害が多い国なので、災害への備えや知識が重要です。 大雨や台風のときは水辺に近づかず、早めに避難します。 地震のときは落下物から身を守ることと火の始末に特に注意してください。 津波のときは一刻も早く高い場所へ逃げることが重要です。 噴火の際には火山灰から身を守るための対策が必要です。 さらに、災害への備えとして、水や食料などの備蓄、在留カードなど重要書類の管理、避難場所の事前確認などが大事です。 災害時には正確な情報を得ることが重要です。SNSの不確かな情報に惑わされず、自治体や公的機関、報道機関の情報を優先してください。多言語対応の情報サイトやアプリも活用しましょう。 日ごろから準備しておくと、実際の災害時に被害を大きく減らし、避難生活にもしっかり対応することができます。できることから防災対策を始めていきましょう。
  • 日本に長く住むあるベトナム人の大みそかとお正月

    2025年09月08日
    私は日本人男性と結婚し、日本に住んで長い年月がたちました。子育てをしていたころは「お正月は日本とベトナムのどちらの国にとっても大事なイベント」と娘に伝えたかったので、毎年年末には日本の伝統的なお正月の準備をして新年を祝ってきました。その習慣は、娘が大きくなった今も続けています。わが家の年末年始の様子を紹介します。〈執筆:日本に長く住むベトナム人女性〉 ※上の写真は日本の「おせち料理」 〈このページの内容〉 ・年末の過ごし方:お正月の準備 ・わが家のお正月 ・お正月のさまざまな過ごし方 年末の過ごし方:お正月の準備 かがみもち 大そうじと正月の飾り わが家では毎年、年末に家族で大そうじをします。みんなで手分けして部屋や押し入れの中を整理し、不要になったものは捨てます。そして、部屋の窓やバルコニーの大きなガラス窓をていねいにふき、日ごろはあまりそうじをしないキッチンの換気扇もきれいにします。家中がきれいになったら、リビングに「かがみもち」を置きます。かがみもちは日本のお正月の風物詩の一つです。 おせち料理作り 年末になると、日本のデパートやスーパーマーケットで、四角い箱(重箱)に詰められた「おせち料理」のサンプルや写真をよく目にしますね。日本では、日持ちする料理を詰め合わせて1月1日~3日(三賀日)に食べる文化があります。これを「おせち料理」と言います。この記事の冒頭の写真がおせち料理です。私は、おせち料理の中で自分で作れるものは自分で作っています。12月30日や31日はその料理作りでも忙しくしています。 ちなみに、日本に住むベトナムの若者たちの中には、日本の正月に、ベトナムの旧正月(テト)のときと同じようにバインチュンや伝統料理を準備して集まり、宴会を楽しむ人も多いようです。 年こしそば 年越しそば 日本では12月31日のことを「大みそか」と呼びます。大みそかの夜、日本ではそばを食べる習慣があります。このそばを「年こしそば」と言います。わが家でも、大みそかの夜は、家族で年こしそばを食べ、NHKの「紅白歌合戦」を観ながら過ごすのが定番。日本では、大みそかの夜をこのようにして過ごす家庭が多いです。 除夜の鐘(じょやのかね) 大みそかの深夜、お寺に行って108回の除夜の鐘を鳴らす行事に参加してから新年を迎え、そのまま初詣をする人もいます。 わが家のお正月 初もうでの風景 元旦の朝 元日の朝は、家族でおせち料理を囲み、おもちを入れた「雑煮」(ぞうに)を食べます。お雑煮は正月用の特別なみそ汁です。その後、子どもたち(自分の子どもや孫、親せき)に「お年玉」を渡します。お年玉は新年の特別なお小づかいです。 初もうで わが家では、元日の午後は、夫の両親の家を訪問して新年のあいさつをします。その後、神社へ行って「初もうで」。お参りの後は、縁起物の「破魔矢(はまや)」を買い、「おみくじ」を引きます。そして、神社の境内にある露店でたこ焼きなどを買って食べるのも楽しみです。 ちなみに、神社の宗教は神道(しんとう)、寺の宗教は仏教(ぶっきょう)ですが、ほとんどの日本人が宗教の違いを気にせず、神社や寺の景観や立地、にぎやかさなどの基準で行き先を決めます。また、同じ人が日ごろから神社にも寺にも行きます。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 初詣で人気の高い全国の社寺 三賀日(さんがにち)の過ごし方 わが家では、1月2日以降は、それぞれの予定にしたがって過ごします。私は関東地方の大学同士が長距離のリレー競走をする「箱根駅伝」が好きで、1月2日も3日もテレビにかじりついています。三賀日(1月1日~3日)はこのように、お祝いの料理を食べたり、親せきを訪問したり、初もうでに行ったり、自由時間をゆったり過ごしたりする期間です。 お正月のさまざまな過ごし方 わが家の年末年始を紹介しましたが、お正月の過ごし方は人や家庭によってさまざまです。 家族の再会 お正月は、家族・親族が再会する時期です。故郷を離れて暮らしている人は年末年始に実家に帰省することも多く、親や親せきといっしょに過ごします。 旅行・レジャー 年末年始には、海外や国内に旅行に行く人もたくさんいます。このため、年末年始の公共交通はとても混雑し、ホテルの宿泊費も高くなります。これは日本のゴールデンウィーク(4月末~5月上旬)や盆休み(8月)と同じです。また、たとえば東京に住んでいる人が遠くに行かない代わりに都内の高級ホテルでぜいたくな年末年始を過ごすというケースもあります。 日本に住んでいる私のベトナムの友人にも、日本の正月休みを利用してベトナムに帰省する人が多いです。ベトナムの旧正月(テト)の時期に日本で長期休暇を取るのは難しいケースが多いためです。 もち 日本のお正月の食べ物で欠かせないのは「もち」です。ベトナム人はもちにハムなどをはさんで食べますが、日本人は焼いたもちを雑煮(ぞうに)の中に入れたり、もちにのりを巻いてしょうゆをつけたり、大根おろしとしょうゆをつけたりして食べます。私はチーズをはさんでしょうゆをつけて食べるのが好きです。 年賀状 日本では、新年のあいさつをはがきに書いて郵便で送る「年賀状」という文化が長く続いています。日本郵便は毎年11月1日に年賀はがきを発売します。絵や図柄が裏に印刷されている年賀はがきもあれば無地の年賀はがきもあります。無地の年賀はがきに家族の写真やあいさつ文をパソコンなどで印刷して送る人も多くいます。 年賀はがきの発行枚数は2003年にピークの約44.6億枚を記録しましたが、近年はメールやSNSで年始のあいさつをすませる人が急増し、年賀状文化は急速に衰退しています。年賀はがきの発行枚数は年々減り、2025年用(2024年12月発売)は約10.7億枚でした。
  • 東京で生活・通学・仕事をする外国人の強い味方「東京都多言語相談ナビ」/無料

    2025年02月26日
    東京都で生活や仕事、勉強をしているベトナム人の皆さん、仕事や生活で困ったことがあったとき、「信頼できる相手に相談したい」と思ったことはありませんか? そのようなとき、あなたはベトナム人が運営するSNSで情報を探すことが多いことでしょう。しかし、SNSの情報の中には重大な間違いが含まれることもよくあります。「確かな相手に相談したい」「法律的な知識についても専門家に相談したい」。そんなときは、「東京都多言語相談ナビ」を使ってみてはいかがでしょうか? この記事では、公的機関が提供する電話相談サービス(無料)や地域の日本語教室(低額)を探すためのサイトについて紹介します。 〈このページの内容〉 1. ベトナム語で生活相談 2. 無料の法律相談 3. 無料の在留相談(ビザ・入管関係) 4. 日本語教室を探すサイト 5. まとめ 1. ベトナム語で生活相談 「東京都つながり創生財団」(つながり財団)はフリーダイヤルで外国人からのさまざまな相談に応じています。不要品を回収してもらう方法(粗大ゴミの出し方)や役所でのさまざまな手続き、年金のこと、保育園や学校のこと、医療のこと、交通事故のことなど、あなたの悩みや質問に、つながり財団のベトナム人スタッフが答えます(ベトナム人以外のスタッフがベトナム語通訳と一緒に答える場合もあります)。 相談は無料です。 このサービスの名前は「東京都多言語相談ナビ」です。ベトナム語も含めてさまざまな言葉で相談することができるので「多言語」という名前がついています。もちろん、日本語が得意な場合は、日本語でも相談できます。 東京都多言語相談ナビ 【相談できる人】 ・東京都内に住んでいる人 ・東京都内で働いている人(住所は東京以外でもOK) ・東京都内の学校に通っている人(住所は東京以外でもOK) 【相談できる日】 ・月~金(10:00~16:00) ※日本の祝日をのぞきます。 【電話番号】 0120-142-142 ※電話料金はかかりません。 ※電話にはベトナム人以外の人が出る場合もありますが、あなたが「ベトナム語でお願いします」と言えば、ベトナム人スタッフに代わるかベトナム語通訳を加えます。 【相談料】 ・無料 ※1回の相談時間は60分までです。 どんな相談が多いの? 「東京都多言語相談ナビ」に外国人から寄せられる相談はさまざまで、相談の種類としては次のようなものが多いです。 ・在留資格(広い意味の「ビザ」) ・住宅 ・医療 ・労働関係 ・結婚・離婚 ・出産・育児 ・保育園や幼稚園 ・学校 ・生活一般 ・交通事故 ◆具体的な相談例 生活一般 ・粗大ゴミ(大型ゴミ)の捨て方がわからない(ベッドを捨てたい、スーツケースを捨てたい、など)。・役所から手紙が届いたが、手続きの仕方がわからない。・保育園の探し方や申し込み方を教えてほしい。 医療 ・虫歯の治療をしたい(どこの歯科に行けばよいか、保険は使えるのか、など)。・予防接種を受けたい。 住宅(賃貸住宅) ・電気やガスを止められた。・アパートの契約期間がもうすぐ満了する。更新するにはどうしたらよいか。・アパートの退去の手続きについて教えてほしい。 その他 ・国民年金の納付書が届いたが、どうしたらよいかわからない。 変わった相談もありますか? 「東京都多言語ナビ」にはさまざまな相談があり、めずらしい相談もあります。相談ナビが分からない質問については、ほかに相談できるところを案内します。 ◆相談例 相談例① ・5、6人の警察官が家に押しかけ、尿検査を強要された。ベランダでお灸(きゅう)を使用していたため、薬物使用を疑った近所の人が通報したようだ。 相談例② ・ベランダに置いていた粗大ごみが台風でふき飛ばされ、階下の部屋の窓ガラスと車を破損させてしまった。自然災害によって予期せず加害者となってしまったが、どこまで責任を負うべきか。→この相談には無料の法律相談を紹介しました。 2. 無料の法律相談 もし、あなたがトラブルに巻き込まれた場合や日本の法律が分からなくて困っている場合は、無料で法律相談を受けられます。日本の弁護士が対応し、通訳もつきます。 【無料法律相談】 ・1回60分まで ・予約が必要です。多言語相談ナビに電話して予約してください。 0120-142-142 【相談できる人】 ・東京都内に住んでいる人 ・東京都内で働いている人(住所は東京以外でもOK) ・東京都内の学校に通っている人(住所は東京以外でもOK) 【相談できる日】 ・月・水・金曜日(①13:30~、②14:45~) ※日本の祝日をのぞきます。 ◆相談例 日本語学校 ・高額な入学料と授業料を前納したが、授業に不満なのでやめることにした。授業料を返してほしい。 離婚 ・日本人の配偶者と離婚したいが、財産分与はどうなるか、どの国の法律が適用されるか。・日本人の配偶者と離婚したが、相手が子どもの養育費を払ってくれない。 賃貸住宅 ・家主から退去するように言われたが、従う必要があるのか。・退去にあたって部屋の修繕費を請求されたが、内容に納得できない。 交通事故 ・仕事でレンタカーを使って事故を起こした。勤務先の会社が保険等で対応してくれない。自分はどこまで責任を負うべきか。 交通事故 ・レンタカーで冷蔵庫を運んでいる途中に駐車車両にぶつかったが、相手と連絡が取れないので、立ち去った。その後、警察から連絡がきた。保険は使えるか。→これについては、警察に通報せずに立ち去ったので、保険は適用されません。交通事故を起こしたら、まず警察(電話で110)に連絡し、警察官に現場に来てもらわなければなりません。 3. 無料の在留相談(ビザ・入管関係) 東京都多言語相談ナビは「無料在留相談」も行っています。在留資格(広い意味のビザ)のことや在留期間のことなど、入管手続きで分からないことがあれば、遠慮なく相談してください。 【無料在留相談】 ・1回60分まで ・予約が必要です。多言語相談ナビに電話して予約してください。そのときに在留カードに書いてある内容を聞きますので、在留カードを手もとに用意して電話してください。 0120-142-142 【相談できる人】 ・東京都内に住んでいる人 ・東京都内で働いている人(住所は東京以外でもかまいません) ・東京都内の学校に通っている人(住所は東京以外でもかまいません) 【相談できる日】 ・毎月4番目の火曜日(14:00~16:00) ※日本の祝日をのぞきます。 【相談の場所】 ・つながり財団の事務所(西新宿) ・Zoom(オンライン) 【相談例】 ・特定技能外国人だが、妻を日本に呼べるか。 ・入管から書類が届いたが、内容を理解できない。 ・留学生だが、特定技能ビザや就労ビザに切り替えるにはどうしたらよいか。 4. 日本語教室を探すサイト つながり財団は、東京都内の日本語教室を探すためのウェブサイト「東京日本語教室サイト」も運営しています。 日本で仕事や留学をしているベトナム人の皆さんには、「安い費用で日本語をもっと教えてもらいたいなあ」と思っている人も多いことでしょう。「東京日本語教室サイト」はそういう人たちにボランティア団体などが低額で授業を提供している「日本語教室」を紹介するサイトです。 ※「日本語教室」は「日本語学校」ではありません。地域の日本人たちが低額で日本語を教えてくれる教室です。 そのサイトで紹介されている日本語教室には、先生と会って対面で教えてもらう教室とオンラインで教えてもらう教室の2種類があります。紹介されている教室はすべて東京都内の教室で、たくさんの教室が紹介されています。 もし、その中に興味のある教室が見つかった場合は、教室紹介ページの中にメール送信フォームがありますので、そこから問い合わせや申し込みをすることができます。 5.まとめ この記事では、「東京都多言語相談ナビ」の活動を中心に紹介しました。多言語相談ナビは、外国人が日本で生活や仕事、留学などをする上でのさまざまな悩みや質問について、その外国人の母国語で相談に乗ってくれます。 その中で法律に関する専門知識が必要な相談があれば、弁護士と通訳が対応する無料法律相談も受けられます。 また、入管手続きやビザに関する問題については、特別な相談日を設けて対応しています。 休みの日や仕事が終わった後の夜などに教室やオンラインで日本語の勉強をしたいと思っている人には、地域の人と知り合いになれて、低額で日本語を学ぶことができる日本語教室を探すための「東京日本語教室サイト」も運営しています。 「東京都つながり創生財団」は公的な団体で、営利団体ではありませんので、これらの無料サービスはいずれも安心して使えます。東京都に住むベトナム人の皆さん、あるいは東京都で仕事や留学をしているベトナム人の皆さん、「東京都多言語相談ナビ」のサービスをぜひ使ってみてくださいね。

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【在ベトナム日本国大使館後援】

  • 在日ベトナム人の菓子・外食ランキング

    *By KOKORO(毎日新聞社+VAIJなど主催、在ベトナム日本国大使館など後援) SNSでのアンケート結果をもとに在日ベトナム人の生活(菓子、外食、衣料)についてまとめました。 「在日ベトナム人100人に聞きました」シリーズです。SNSでのアンケート結果をもとに日本に長期滞在(または在住)するトナム人の生活(菓子、外食、衣料)についてまとめました。 Q. 日本に住む若いベトナム人100人に聞きました。「ベトナムに一時帰国する際に買う(買った)お土産用のお菓子は何ですか?」 ➡1位:  Kitkat (49%) 2位:  Meiji(チョコレート) (17%) 3位:  東京ばな奈 (8%) 日本に住むベトナム人に定評のある5種類の菓子と「その他」の6つの選択肢から2つを選んでもらいました。その結果、KitKatが有効回答のうち49%を獲得して断トツ1位。2位は明治のチョコレートでした。主に首都圏でしか買えない「東京ばな奈」は3位で、北海道の名品「白い恋人」を上回りました。 KitKatはウエハースをチョコレートでコーティングした菓子で、英国で古くから売られていました。日本では1973年に不二家が販売を始め、現在はネスレ(Nestlé) が引き継いでいます。観光地の「ご当地商品」もあります。 ◆KitKatのご当地商品 ◆ 東京ばな奈 東京ばな奈は東京、品川、上野、新宿、池袋、大宮、横浜、新横浜などの各駅や空港(羽田、成田、中部国際)などで買えます。 Q. 日本に住む若いベトナム人100人に聞きました。「あなたがよく行く外食のお店は何ですか?」 ➡1位:  回転寿司 (23%) 2位:  牛丼 (20%) 3位:  ラーメン (19%) 回転寿司が23%でトップでした! 牛丼やラーメンもわずかな差で続きました。高い寿司屋さんには行きにくいですが、1皿100円ぐらいから食べられる回転寿司はベトナム人にも日本人にも人気です。 また、世界に誇る日本のラーメンは短期滞在の人にもぜひ食べていただきたいですね。日本滞在中に名店の味を食べ比べてみてください。 4位以下は、「うどん・そば店」「ファミリーレストラン」「中華料理店」「ハンバーガーショップ」と続きました。 Q. 日本に住む若いベトナム人100人に聞きました。「好きな日本食は何ですか?」 ➡1位: 寿司 (24%) 2位: 牛丼 (15%) 3位: 刺身 (15%) 4位: ラーメン (15%) 好きな日本食を3つずつ選んでもらったところ、やはり「寿司」がトップ!2~4位は牛丼、刺身、ラーメンがほぼ横並びでした。 Q. 日本に住む若いベトナム人100人に聞きました。「あなたは自分が普段着る服をどこで買いますか?もっともよく使う店を教えてください」 ➡1位:  UNIQLO (39%) 2位:  GU (18%) 3位:  Zara (17%) 4位:  H&M (16%) UNIQLOが1位。UNIQLOは日本では各地に店舗があり、オンラインでも購入できます。ベトナムへのお土産にもUNIQLOを活用している20代ベトナム人女性(社会人)は「UVカットのパーカーやウルトラ・ライト・ジャケットなどが喜ばれています」と話しています。 2~4位のGU、ZARA、H&Mはほぼ同率。5位は安さに定評のある「しまむら」でした。 「在日ベトナム人100人に聞きました(菓子・外食・衣料編)」、いかがでしたか?日本に来たばかりのベトナム人の方々、これから来る方々、参考にしてくださいね。 ※今回のアンケートの対象は主に20~30代の在日ベトナム人(留学生、社会人、技能実習生、家族滞在など)で、約7割が女性でした。

    2020年12月25日

  • Vol. 60 技能実習で本当はいくら貯金できるの?

    技能実習の3年間でいったいいくら貯金できるのでしょうか? 実習生が3年間で送金できる額は職場によって違います(これは高い送出機関を使っても同じです)。しかし、日本での給料が少ない場合でも、訪日前の送出機関への支払いが少なければ、平均以上の貯金をすることができます。 技能実習でいくら貯金できるか 日本で3年間技能実習をすれば、いったいいくら貯金できるのでしょうか?「日本に行くための借金を返済しても、さらに500,000,000 VND(約237万円)貯金できる」と勧誘する人もいます。確かにそのようなケースもありますが、決して多数ではありません。 ※100円=21,115 VND(2021年4月8日現在) 約40人の技能実習経験者へのヒアリングから典型的な8例をセレクトし、実習生が3年間で貯金できた金額とその背景を紹介します。後半では「送出機関の選び方」もお伝えします。それでは、8人のうち3年間で貯金できた額の少なかった事例から順に紹介します。 8位:234,800,000 VND 2017年から3年間、食品加工場で技能実習をした先輩の事例です。3年間の送金額が平均より少し少ないことに加え、送出機関への支払い額が平均より大きかったことが、貯金の少ない要因です。 A:送出機関に支払った額 187,500,000 ₫ B:3年間で日本からベトナムに送ったお金 ¥2,000,000 422,300,000 ₫ B-A:残ったお金(貯金) 234,800,000 ₫ 7位:283,790,000 VND 2014年から3年間、静岡県の電気器具部品工場で実習した先輩の事例です。 ・送出機関に支払った額は平均的ですが、政府の規定よりはかなり多いです。 ・日本での手取り給料があまり多くありませんでした。 A:送出機関に支払った額 138,510,000 ₫ B:3年間で日本からベトナムに送ったお金 ¥2,000,000 422,300,000 ₫ B-A:残ったお金(貯金) 283,790,000 ₫ 6位:307,875,000 VND 2016年から3年間、食品加工場で技能実習をした先輩の事例です。ベトナムへの送金額は平均的ですが、送出機関にかなり多くの費用を支払ったため、残ったお金が少なくなりました。 A:送出機関に支払った額 220,000,000 ₫ B:3年間で日本からベトナムに送ったお金 ¥2,500,000 527,875,000 ₫ B-A:残ったお金(貯金) 307,875,000 ₫ 5位:332,300,000 VND 2015年から3年間、栃木県の医療機器工場で技能実習をした先輩の事例です。インターネットで評判のよい送出機関を探して1年間勉強してから日本に行きました。 残業代が少なく、ベトナムに送金できた額は平均より少なかったのですが、送出機関に支払った費用が安かったので、借金返済には困りませんでした。また、送出機関の日本語教育がよく、日本語力をつけてから訪日したので、職場の日本人たちと仲良くなり、満足度が高い実習生活を送れました。 親切な先輩や多くの仲間と楽しい日本生活(送出機関を紹介) A:送出機関に支払った額 90,000,000 ₫ B:3年間で日本からベトナムに送ったお金 ¥2,000,000 422,300,000 ₫ B-A:残ったお金(貯金) 332,300,000 ₫ 4位:412,875,000 VND 2019年から鹿児島県のパン工房で技能実習をしている先輩の事例です。3年間でベトナムに送金できそうな額は平均的ですが、送出機関に支払った額が少ないので、貯金額は平均以上になりそうです。 また、職場の日本人がみな親切なのと、監理団体(受入組合)の担当者がとても親切なので、日本で充実した生活を送っています。 いきいきとパン作り(送出機関と監理団体を紹介) A:送出機関に支払った額 115,000,000 ₫ B:3年間で日本からベトナムに送るお金(予想) ¥2,500,000 527,875,000 ₫ B-A:残るお金(貯金・予想) 412,875,000 ₫ 3位:446,220,000 VND 2016年から3年間、食品加工場で技能実習をした先輩の事例です。送出機関に支払った額は平均的ですが政府の規定よりは高いです。しかし、ベトナムへの送金額は平均以上を確保できたので、残ったお金も多くなりました。ただし、平均以上の送金をできるかどうかは訪日前には分かりにくいので、費用の少ない送出機関を選ぶ方がより確実に平均以上の貯金を残せます。 A:送出機関に支払った額 145,000,000 ₫ B:3年間で日本からベトナムに送ったお金 ¥2,800,000 591,220,000 ₫ B-A:残ったお金(貯金) 446,220,000 ₫ 2位:528,450,000 VND 2019年から東京の水産加工場で技能実習をしている先輩の事例です。ベトナム政府の費用規定を守っている送出機関を選び、送出機関への支払いが少なかったので、平均よい多い貯金になりそうです。 優良な送出機関を選んで無借金で技能実習(送出機関を紹介) A:送出機関に支払った額 105,000,000 ₫ B:3年間で日本からベトナムに送るお金(予想) ¥3,000,000 633,450,000 ₫ B-A:残るお金(貯金・予想) 528,450,000 ₫ 1位:538,450,000 VND 2017年から3年間、宮崎県の農場や併設の食品加工場で技能実習をした先輩の事例です。ベトナムの日本語学校で2年間学んでから訪日。職場で技能実習生のリーダー的存在になり、2020年から同じ職場で特定技能外国人になりました。 「送出機関に支払った額」には日本語学校の授業料も含まれています。この学校では、生徒が1年半~2年間勉強し、日本語能力試験(JLPT)N3レベルになってから日本に行きます。授業料は月2,000,000 VNDで、遠方の生徒も受け入れます。生徒に紹介する技能実習先は、教師たちが現地を訪問して給料や職場環境などを調べて選んだ職場だけです。また、送出機関には国が決めた手数料しか支払いません。 技能実習から特定技能へ(日本語学校を紹介) A:送出機関に支払った額 95,000,000 ₫ B:3年間で日本からベトナムに送ったお金 ¥3,000,000 633,450,000 ₫ B-A:残ったお金(貯金) 538,450,000 ₫ まとめ 技能実習生が3年間でベトナムに送金できる額は多くの場合、200万円~300万円(約422,000,000~634,000,000 VND)です。これは高い送出機関を使っても安い送出機関を使っても同じです。そこで、より多くの貯金を残すためには、費用の少ない送出機関を探すことが大切です。 ベトナム政府の規定では、送出機関による日本語教育費は約520時間に対し590万ドン以下、送出手数料は3,600ドル以下(3年契約の場合)となっています。しかし、実際の費用はこれよりかなり高くなっています。費用が高くなる背景には次のようなものがあります。 ・日本の監理団体(組合)への謝礼=技能実習の求人1人につき1,000~1,500ドル ・実習生を送出機関に紹介する人(ブローカー)への謝礼=1人につき500~1,500ドル こうした費用は実習生から送出機関への支払いに上乗せされます。しかし、最近はこのような謝礼を払わない送出機関も少しずつ増えてきました。こうした送出機関を探すと、支払いが少なくなり、3年間の技能実習で残せるお金も増えることになります。 送出機関の選び方 それでは、良心的な送出機関や監理団体をどうやって探したらよいのでしょうか? ポイントをお伝えします。 送出機関を選ぶ手順 インターネットで情報収集 「信用できる送出機関ランキング」などのキーワードで検索します。 技能実習の先輩から情報収集 帰国した人より現在日本にいる現役の実習生から話を聞く方が有効です。 送出機関に直接連絡 送出機関に自分で直接連絡して申し込むだけで、紹介手数料(500~1,500 USD)を節約できます。 監理団体(受入組合)に直接連絡 日本に行ってからのケアを重視するなら、最初に監理団体を選ぶのが得策です。監理団体のケアは非常に重要です。 送出機関を訪ねる できれば授業も見学しましょう。 送出機関を選ぶ際のポイント 先輩たちが支払った費用 技能実習生の求人を紹介した受入組合の幹部に求人1人につき1,000~1,500ドルの謝礼が支払われる事例がまん延しています。その費用は実習生から送出機関への支払いに上乗せされます。 給料、生活費、送金額 KOKOROサイトのすべての体験談に先輩たちの給料や生活費、送金額が掲載されています。 送出機関での日本語教育の内容 日本語力をある程度身に付けてから日本に行った方が職場に溶け込みやすく、日本で日本語も上達します。日本語力を高めると、その後の就職にも有利です。 給料以外の処遇、監理団体のケアの内容 技能実習では給料以外の処遇や監理団体のケアも非常に大切ですが、監理団体によって実習生のケアに大きな差があります。 紹介手数料(紹介者への謝礼)の有無 紹介手数料を禁止している送出機関は、政府が決めた費用規定を守っていることが多く、良心的な紹介やケアを期待できる可能性が高くなります。 DOLABの認定 ベトナム労働・傷病兵・社会省(MOLISA)の海外労働管理局(DOLAB)から認定された送出機関は日本の外国人技能実習機構(OTIT)のHPに掲載されています。 外国政府認定送出機関一覧(OTIT) それでは、この記事を参考に送出機関を上手に選び、無駄な支出のない技能実習を目指してください。

    2021年04月13日

  • Vol. 59 試験に合格し特定技能に

    今回の先輩 グエン・ヴァン・トゥエンさん 2013年 中学卒業、縫製工場に勤務 2017年 送出機関に登録〈ハノイ〉 2017年 訪日→講習→技能実習〈鹿児島県〉 2020年 支援団体に仮住まい〈東京〉 2021年 ラーメン店経営会社に就職内定 〈1998年生まれ、ナムディン省出身〉 建築の技能実習中にJLPT・N2に合格したトゥエンさん。「外食」の技能測定試験を受けて合格し、特定技能でラーメン店経営会社に勤務することが決まった。トゥエンさんの実習生活や就活について紹介する。 〈このページの内容〉 • 海外で働いてみたかった • とび職の仕事 • 自習でN3、N2に合格 • 最初は給料少なく、失踪も検討 • 失踪しなかったその他の理由 • 鹿児島の親切な人たち • 特定技能を目指すことに • 技能試験に合格し他社に内定 海外で働いてみたかった 送出機関の仲間たち〈ハノイで2017年〉 私は中学を卒業後、縫製工場で働いていましたが、ある日、遠縁の親せきから技能実習生として日本に行くように勧められました。「3年間で、日本に行くための借金を返し、さらに250万円貯金できる」という説明で、両親と話し合い、日本に行くことにしました。私は以前からいつか海外で働いてみたいと思っていたので、ちょうどよい誘いだったのです。 翌月、親せきから紹介されたハノイの送出機関の研修施設に入り、1週間後に初めて面接を受けて合格しました。それから約6カ月間、この施設で勉強し、送出機関には総額約200,000,000 VND(ベトナムドン、約95万円)を支払いました。そのうち約20,000,000 VNDは保証金で、私が実習中に失踪したり会社で評判が悪かったりすると保証金は返さないという取り決めでした。 【編集部からのアドバイス】 ・送出機関によって費用が違います。費用が高いからといって日本での給料が高いわけではありません。 ・ベトナム政府の規定で3年契約の場合の送出手数料は3,600ドル以下と決められています。 ・保証金や紹介手数料は規定違反です。 ・知人の紹介だけに頼らず自分でも送出機関を探しましょう。費用を数千ドル節約できる場合もあります。 〈参考〉こんなに違う送出機関の費用 とび職の仕事 建築現場で働く私(左)〈鹿児島県で2018年〉 私は技能実習には建築以外にもいろいろな業種があることや建築が人気のない業種であることを知りませんでした。研修施設に入ってからほかの職種があることを知りましたが、もう面接に合格していたので、そのまま日本に行きました。私は2017年12月に日本に来ました。実習先は鹿児島県で、実習生は私を入れて9人でした。「機械を使うから楽で安全な仕事」と送出機関から説明を受けていましたが、実際は、きつい肉体労働でした。私の職場では、手すりなどの資材や工具を投げて受け渡しする人が多く、危険を感じました。4、5㍍先から資材や工具を投げてくるので、手が痛いですし、取り損なったら怒られるので、大変でした。 ただ、週末には息抜きができました。スーパーに買い物に行くと、他社のベトナム人実習生と知り合います。自社の同僚や他社の実習生と一緒に互いの寮で飲み会をしたり、一緒に観光に出かけたりしました。 自習でN3、N2に合格 ハノイの送出機関では毎日7時間授業があり、「みんなの日本語」を半年間で25課まで習いました。また、それ以外に自分で38課まで学習しました。1クラス約20人で、私の成績はクラスで4番目でした。日本に来てからも、毎晩、寮で2時間勉強しました。教材は「新完全マスター」シリーズと「耳から覚える」シリーズでした。私は訪日2年目に日本語能力試験(JLPT)のN3とN2に立て続けに合格しました。 日本語学習に対する会社のサポートはなく、N3やN2に合格しても給料は上がりませんでした。また、受検の際の交通費も受検料も自己負担でした。ただ、監理団体(受入組合)はN3合格の際は1万円、N2合格の際には2万円をくれました。 最初は給料少なく、失踪も検討 JLPTの受検会場近くで撮影した鹿児島県の街並み〈2019年12月〉 私の手取り給料は最初の2年間は8万~12万円で、3年目は15万円(約31,600,000 VND)の月もありました。3年間で実家に送金した額は約250万円(約526,800,000 VND)で、勧誘した親せきの説明より約100万円少ない額でした。 手取り給料が8万円しかなかったときは、失踪してもっと給料の高い仕事(不法就労)を探そうと思ったこともあります。しかし、すぐには失踪せず、JLPT・N3に合格してから失踪しようと思い、勉強に力を入れました。失踪中に警察に捕まってベトナムに強制送還されても、N3以上の合格証を持っていればベトナムでよい仕事があるだろうと考えたからです。こうして、私は訪日して1年半後にN3に合格しました。しかし、「この日本語力ではまだ仕事に使えない」と思って引き続き勉強を続け、その半年後にN2に受かりました。 失踪しなかったその他の理由 近所の公園で同僚と食事会〈2018年〉 私がN2に合格したころ、職場の先輩実習生4人が帰国し、私たちの仕事が増えました。私たち同期5人は「先輩がいなくなって仕事が増えるので、時給を上げてほしい」と上司に訴え、少しだけ時給を上げてもらうことができました。私が失踪しなかった大きな理由はJLPT合格という目標があったからですが、ほかにも次のような背景がありました。 • 寮費・光熱費・Wi-Fi費用が合計10,000円で、非常に低額だった。 • 現場への移動時間(片道10分~2時間)に対しても時給が支払われた。 ※移動時間に時給が支払われない職場もあります。 • 先輩が帰国した際に会社が時給アップに応じてくれた。 • 社内にも寮の近所にも親切な日本人がいて交流があった。 • 職場での暴力はなかった。 ※「バカ」「なにさぼってるんだ」「早くしろ」と言われることもありましたが、日本語会話がある程度できたので、半分冗談だと分かり、気になりませんでした。 私の家計簿(1カ月の平均) ※100円=21,070 VND(2021年4月8日現在) 手取り給料(平均110,000円) 手取り給料 平均110,000円 ※税金、社会保険料、寮費を引いた後の手取り額 ※このうち寮費(水道・光熱とWi-Fi含む)は10,000円 支出(合計25,000~35,000円) 食費 20,000~25,000円 ※主に自炊 雑費・交通費 5,000~10,000円 差額・貯金(平均80,000円) 貯金 80,000円 ※実家に送金 鹿児島の親切な人たち 平井さんを通じて交流が深まった地域のベトナム人仲間〈2018年のハロウィンで〉 寮の近所に銀行勤務の平井さんという男性がいて、地域の実習生仲間の紹介で知り合いました。平井さんは畑で野菜を栽培しており、そこでとれた野菜(トマト、白菜、ブロッコリー、タマネギ、サツマイモ、スイカなど)を私たち技能実習生の部屋にときどき持ってきてくれました。また、平井さんがたくさんのビールやお菓子を持って私たちの部屋に訪れ、実習生数人で一緒に飲むこともありました。逆に、私たちは平井さんの畑で草むしりをしたり料理を作って平井さんに届けたりしました。私たちは平井さんのことを「お父さん」と呼んでいました。 送別旅行〈鹿児島県で2020年〉 会社にも親切な日本人がいました。遠坂さんという50代の先輩とはよく一緒の現場に行きましたが、いつもやさしくしてくれました。また、遠坂さんは休日に私をよく車で海釣りに連れて行ってくれました。私は遠坂さんの分も弁当(春巻きなど)を作って持って行きました。遠坂さんを私たちの部屋に呼んで食事会をしたことも何度かあります。私が鹿児島を離れる際には、遠坂さんら日本人2人と同僚のベトナム人3人と一緒に送別旅行をしました。鹿児島県の指宿(いぶすき)への1泊旅行で、費用は会社が出してくれました。 特定技能を目指すことに ボランティア・グループの交流会〈名古屋市で2020年〉 私は訪日して2年目(2019年)、ベトナム人のボランティア・グループに入りました。普段は困っているベトナム人のために寄付をしたりFacebookで交流したりするだけですが、2020年にこのグループの交流会が名古屋であり、私も参加しました。このときに一緒に行動したメンバーの1人から特定技能のことを教えてもらいました。私は技能実習が終わってからも日本で働きたかったので、特定技能で雇ってくれる会社を探すことにしました。 そんなとき、FBで 日越ともいき支援会の吉水代表のことを知り、日本人の友だちがほしかったので友だちリクエストと自己紹介を送りました。吉水さんに特定技能のことも相談すると、「希望する業種の技能測定試験に合格すれば、建築とは違う業種でも特定技能外国人になれる」と教えてもらえました。 技能試験に合格し他社に内定 技能測定試験を受けるために訪れた博多駅〈2020年〉 私は技能測定試験の過去問題を調べるなどして勉強し、2020年12月、「外食業」と「飲食料品製造業」の試験に合格しました。私は試験を受けるために鹿児島から新幹線で博多駅(福岡市)に行き、試験開始に間に合わないので駅からタクシーに乗りました。タクシーに乗るのは日本で初めてです。ベトナムのタクシーと比べて料金がとても高く、十数分乗っただけで約2,500円かかりました。料金メーターがすごいスピードで上がるので、途中で降りたくなったほどです。 同じころ、技能実習としての在留資格は12月に終わるので、監理団体にお願いして帰国準備のための特定活動(6カ月)という在留資格に切り替えてもらいました。実習修了後、東京の日越ともいき支援会を訪ねて一時的に住ませてもらい、支援会とつながりのある千葉県のラーメン店経営会社の面接を受けて合格しました。それから4カ月近く経った現在は、特定技能の在留資格への変更手続き中で、在留資格の規定でまだ働けないので、支援会で仮住まいを続けています。この会社は日本全国に店がありベトナムにも2店あります。私は店で接客をしながらさらに日本語を磨き、将来はこの会社のベトナム事業にも貢献できたらと思っています。 今回の先輩 (グエン・ヴァン・トゥエン)さん 2013年 中学卒業、縫製工場に勤務 2017年 送出機関に登録〈ハノイ〉 2017年 訪日→講習→技能実習〈鹿児島〉 2020年 支援団体に仮住まい〈東京〉 2021年 ラーメン店経営会社に就職内定 〈1998年生まれ、ナムディン省出身〉 建築の技能実習中にJLPT・N2に合格したトゥエンさん。「外食」の技能測定試験を受けて合格し、特定技能でラーメン店経営会社に勤務することが決まった。トゥエンさんの実習生活や就活について紹介する。 〈Nội dung〉 • 海外で働いてみたかった • とび職の仕事 • 自習でN3、N2に合格 • 最初は給料少なく、失踪も検討 • 失踪しなかったその他の理由 • 鹿児島の親切な人たち • 特定技能を目指すことに • 技能試験に合格し他社に内定 海外で働いてみたかった 私は中学を卒業後、縫製工場で働いていましたが、ある日、遠縁の親せきから技能実習生として日本に行くように勧められました。「3年間で、日本に行くための借金を返し、さらに250万円貯金できる」という説明で、両親と話し合い、日本に行くことにしました。私は以前からいつか海外で働いてみたいと思っていたので、ちょうどよい誘いだったのです。 翌月、親せきから紹介されたハノイの送出機関の研修施設に入り、1週間後に初めて面接を受けて合格しました。それから約6カ月間、この施設で勉強し、送出機関には総額約200,000,000 VND(ベトナムドン、約95万円)を支払いました。そのうち約20,000,000 VNDは保証金で、私が実習中に失踪したり会社で評判が悪かったりすると保証金は返さないという取り決めでした。 送出機関の仲間たち〈ハノイで2017年〉 【編集部からのアドバイス】 ・送出機関によって費用が違います。費用が高いからといって日本での給料が高いわけではありません。 ・ベトナム政府の規定で3年契約の場合の送出手数料は3,600ドル以下と決められています。 ・保証金や紹介手数料は規定違反です。 ・知人の紹介だけに頼らず自分でも送出機関を探しましょう。費用を数千ドル節約できる場合もあります。 〈参考〉こんなに違う送出機関の費用 とび職の仕事 私は技能実習には建築以外にもいろいろな業種があることや建築が人気のない業種であることを知りませんでした。研修施設に入ってからほかの職種があることを知りましたが、もう面接に合格していたので、そのまま日本に行きました。私は2017年12月に日本に来ました。実習先は鹿児島県で、実習生は私を入れて9人でした。「機械を使うから楽で安全な仕事」と送出機関から説明を受けていましたが、実際は、きつい肉体労働でした。私の職場では、手すりなどの資材や工具を投げて受け渡しする人が多く、危険を感じました。4、5㍍先から資材や工具を投げてくるので、手が痛いですし、取り損なったら怒られるので、大変でした。 ただ、週末には息抜きができました。スーパーに買い物に行くと、他社のベトナム人実習生と知り合います。自社の同僚や他社の実習生と一緒に互いの寮で飲み会をしたり、一緒に観光に出かけたりしました。 建築現場で働く私(左)〈鹿児島県で2018年〉 自習でN3、N2に合格 ハノイの送出機関では毎日7時間授業があり、「みんなの日本語」を半年間で25課まで習いました。また、それ以外に自分で38課まで学習しました。1クラス約20人で、私の成績はクラスで4番目でした。日本に来てからも、毎晩、寮で2時間勉強しました。教材は「新完全マスター」シリーズと「耳から覚える」シリーズでした。私は訪日2年目に日本語能力試験(JLPT)のN3とN2に立て続けに合格しました。 日本語学習に対する会社のサポートはなく、N3やN2に合格しても給料は上がりませんでした。また、受検の際の交通費も受検料も自己負担でした。ただ、監理団体(受入組合)はN3合格の際は1万円、N2合格の際には2万円をくれました。 最初は給料少なく、失踪も検討 私の手取り給料は最初の2年間は8万~12万円で、3年目は15万円(約31,600,000 VND)の月もありました。3年間で実家に送金した額は約250万円(約526,800,000 VND)で、勧誘した親せきの説明より約100万円少ない額でした。 手取り給料が8万円しかなかったときは、失踪してもっと給料の高い仕事(不法就労)を探そうと思ったこともあります。しかし、すぐには失踪せず、JLPT・N3に合格してから失踪しようと思い、勉強に力を入れました。失踪中に警察に捕まってベトナムに強制送還されても、N3以上の合格証を持っていればベトナムでよい仕事があるだろうと考えたからです。こうして、私は訪日して1年半後にN3に合格しました。しかし、「この日本語力ではまだ仕事に使えない」と思って引き続き勉強を続け、その半年後にN2に受かりました。 JLPTの受検会場近くで撮影した鹿児島県の街並み〈2019年12月〉 失踪しなかったその他の理由 私がN2に合格したころ、職場の先輩実習生4人が帰国し、私たちの仕事が増えました。私たち同期5人は「先輩がいなくなって仕事が増えるので、時給を上げてほしい」と上司に訴え、少しだけ時給を上げてもらうことができました。私が失踪しなかった大きな理由はJLPT合格という目標があったからですが、ほかにも次のような背景がありました。 • 寮費・光熱費・Wi-Fi費用が合計10,000円で、非常に低額だった。 • 現場への移動時間(片道10分~2時間)に対しても時給が支払われた。 ※移動時間に時給が支払われない職場もあります。 • 先輩が帰国した際に会社が時給アップに応じてくれた。 • 社内にも寮の近所にも親切な日本人がいて交流があった。 • 職場での暴力はなかった。 ※「バカ」「なにさぼってるんだ」「早くしろ」と言われることもありましたが、日本語会話がある程度できたので、半分冗談だと分かり、気になりませんでした。 近所の公園で同僚と食事会〈2018年〉 私の家計簿(1カ月の平均) ※100円=21,070 VND(2021年4月8日現在) 手取り給料(平均110,000円) 手取り給料 平均110,000円 ※税金、社会保険料、寮費を引いた後の手取り額 ※このうち寮費(水道・光熱とWi-Fi含む)は10,000円 支出(合計25,000~35,000円) 食費 20,000~25,000円 ※主に自炊 雑費・交通費 5,000~10,000円 差額・貯金(平均80,000円) 貯金 80,000円 ※実家に送金 鹿児島の親切な人たち 寮の近所に銀行勤務の平井さんという男性がいて、地域の実習生仲間の紹介で知り合いました。平井さんは畑で野菜を栽培しており、そこでとれた野菜(トマト、白菜、ブロッコリー、タマネギ、サツマイモ、スイカなど)を私たち技能実習生の部屋にときどき持ってきてくれました。また、平井さんがたくさんのビールやお菓子を持って私たちの部屋に訪れ、実習生数人で一緒に飲むこともありました。逆に、私たちは平井さんの畑で草むしりをしたり料理を作って平井さんに届けたりしました。私たちは平井さんのことを「お父さん」と呼んでいました。 平井さんを通じて交流が深まった地域のベトナム人仲間〈2018年のハロウィンで〉 会社にも親切な日本人がいました。遠坂さんという50代の先輩とはよく一緒の現場に行きましたが、いつもやさしくしてくれました。また、遠坂さんは休日に私をよく車で海釣りに連れて行ってくれました。私は遠坂さんの分も弁当(春巻きなど)を作って持って行きました。遠坂さんを私たちの部屋に呼んで食事会をしたことも何度かあります。私が鹿児島を離れる際には、遠坂さんら日本人2人と同僚のベトナム人3人と一緒に送別旅行をしました。鹿児島県の指宿(いぶすき)への1泊旅行で、費用は会社が出してくれました。 送別旅行〈鹿児島県で2020年〉 特定技能を目指すことに 私は訪日して2年目(2019年)、ベトナム人のボランティア・グループに入りました。普段は困っているベトナム人のために寄付をしたりFacebookで交流したりするだけですが、2020年にこのグループの交流会が名古屋であり、私も参加しました。このときに一緒に行動したメンバーの1人から特定技能のことを教えてもらいました。私は技能実習が終わってからも日本で働きたかったので、特定技能で雇ってくれる会社を探すことにしました。 そんなとき、FBで 日越ともいき支援会の吉水代表のことを知り、日本人の友だちがほしかったので友だちリクエストと自己紹介を送りました。吉水さんに特定技能のことも相談すると、「希望する業種の技能測定試験に合格すれば、建築とは違う業種でも特定技能外国人になれる」と教えてもらえました。 ボランティア・グループの交流会〈名古屋市で2020年〉 技能試験に合格し他社に内定 私は技能測定試験の過去問題を調べるなどして勉強し、2020年12月、「外食業」と「飲食料品製造業」の試験に合格しました。私は試験を受けるために鹿児島から新幹線で博多駅(福岡市)に行き、試験開始に間に合わないので駅からタクシーに乗りました。タクシーに乗るのは日本で初めてです。ベトナムのタクシーと比べて料金がとても高く、十数分乗っただけで約2,500円かかりました。料金メーターがすごいスピードで上がるので、途中で降りたくなったほどです。 同じころ、技能実習としての在留資格は12月に終わるので、監理団体にお願いして帰国準備のための特定活動(6カ月)という在留資格に切り替えてもらいました。実習修了後、東京の日越ともいき支援会を訪ねて一時的に住ませてもらい、支援会とつながりのある千葉県のラーメン店経営会社の面接を受けて合格しました。それから4カ月近く経った現在は、特定技能の在留資格への変更手続き中で、在留資格の規定でまだ働けないので、支援会で仮住まいを続けています。この会社は日本全国に店がありベトナムにも2店あります。私は店で接客をしながらさらに日本語を磨き、将来はこの会社のベトナム事業にも貢献できたらと思っています。 技能測定試験を受けるために訪れた博多駅〈2020年〉

    2021年04月12日

  • ★特集=送出機関の探し方_01

    前ページでは、送出機関を自分で探すことで、技能実習3年間での実益(3年間の送金額―送出機関への支払い)が数千ドル単位で変わる場合があることを紹介しました。それ以外に、送出機関や監理団体の質によって、日本でのケアの内容も大きく変わります。送出機関や監理団体の選び方を紹介します。 <このページの内容> 1.なぜ送出機関を選ばなければならないのか 2.送出機関を選ぶ手順 3.KOKOROサイトの体験談 1.なぜ送出機関を選ばなければならないのか このアパートの1室にある寮から複数の技能実習生が失踪 技能実習生が大損や失敗をしないために、送出機関や監理団体について次のことを知っておきましょう。 ①送出機関選びを友人・知人や親戚、教師の紹介だけに頼ってはいけません。自分でも探すことによって費用を数千ドル単位で節約できる場合があります。 ②送出機関によって費用や日本語教育の内容などが大きく異なります。 ③費用の高い送出機関に依頼しても、日本での給料やケアが良いとは限りません。適切な費用で良い実習先を紹介してもらえるケースがたくさんあります ④送出機関の費用が高すぎると、3年間で得られる実益が平均以下になるケースが多くあります。また、多額の借金が実習生の重荷になり、失踪につながりやすくなります。 2.送出機関を選ぶ手順 送出機関の授業 それでは、良心的な送出機関や監理団体をどうやって探したらよいのでしょうか? 具体的な探し方・選び方を紹介します。 インターネットで情報収集 ・KOKOROサイトの体験談を読み、技能実習の具体例をたくさん知ってください。送出機関への支払い額や日本からベトナムへの送金額、実習先での処遇や生活などがわかります。先輩が使って良かった送出機関や監理団体の実名も紹介しています。 ・送出機関については、他のウェブサイトでも調べてください(特にレビューをたくさん読む)。 技能実習の先輩から情報収集 ・技能実習生の先輩から情報を集めましょう。ただし、帰国した人より現在日本にいる現役の実習生から話を聞く方が有効です。現役の実習生は他企業の実習生とも情報交換しているので、他の送出機関や監理団体の情報も知っています。一方、帰国した実習生は特定の送出機関と結びつき、手数料と引き換えに新しい実習生を紹介するケースが多くあります。 送出機関に直接連絡 ・送出機関に自分で直接連絡して申し込むだけで、紹介手数料(500~1,500 USD)を節約できます。友人・知人に紹介してもらった場合でも、送出機関がその人に紹介料を支払い、その額があなたからの支払いに上乗せされるケースが多数です。 監理団体に直接連絡 ・気に入った監理団体に連絡すると、その監理団体が取引先の送出機関を紹介してくれます。この場合も紹介手数料が不要です。日本に行ってからのケアを重視するなら、最初に監理団体を選ぶのが得策です。日本でのケアは非常に重要です。KOKOROの体験談には監理団体の連絡先を掲載している記事もありますので、参考にしてください。 送出機関を訪ねる ・複数の送出機関に問い合わせ、対応のよかった送出機関を訪問します。そして、送出機関を比較して最終決定します。 送出機関を訪問し、できれば授業も見学しましょう 3.KOKOROサイトの体験談 KOKOROには、新聞記者が取材した先輩実習生の体験談が数十本掲載されています。 送出機関への支払い額が少なく、3年間で得た実益(差額)が大きかった5例については、送出機関や監理団体の実名なども掲載しています。(※ただし、最終的には自分の責任で判断してください。) 実習開始年 A:送出機関に支払った額 B:日本からベトナムへの送金額か送金見込額(3年分) 収支(B-A) 実習現場 ① 2017 95,000,000 ₫ ¥3,000,000 667,053,900 ₫ 572,053,900 ₫ 農業など ② 2019 105,000,000 ₫ ¥3,000,000 667,053,900 ₫ 562,053,900 ₫ 食品工場 ③ 2019 115,000,000 ₫ ¥2,500,000 555,878,250 ₫ 440,878,250 ₫ パン工房 ④ 2015 90,000,000 ₫ ¥2,000,000 444,702,600 ₫ 354,702,600 ₫ 工場 ⑤ 2018 100,000,000 ₫ ¥2,000,000 444,702,600 ₫ 344,702,600 ₫ いちご園 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] ❶技能実習から特定技能へ(ベトナムの日本語学校を紹介) [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] ❷Top20表彰の送出機関で無借金訪日(送出機関を紹介) [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] ❸いきいきとパン作り(送出機関と監理団体を紹介) [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] ❹親切な先輩や多くの仲間と楽しい日本生活(送出機関を紹介) [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] ❺技能実習で日本語を覚えて娘に教えたい(監理団体を紹介) 送出機関への支払い額、ベトナムへの送金額、監理団体のケア、給料以外の処遇などを各記事で紹介しています。

    2021年04月12日

  • ★特集=送出機関の探し方_02

    <このページの内容> 1.送出機関を選ぶ際のポイント 2.DOLABの認定、VAMASの指標 1.送出機関を選ぶ際のポイント 送出機関などに関する情報を集める際、何に着目したらよいのでしょうか?ポイントを紹介します。 ①先輩たちが支払った費用 技能実習生の受入企業(求人)を紹介してくれた監理団体(受入組合)の幹部に求人1人あたり1,000~1,500ドルの謝礼(キックバック)が支払われる事例がまん延しています。こうした費用は、最終的には実習生から送出機関への支払いに上乗せされます。先輩たちが送出機関に支払った費用を比較すると、そういう送出機関をある程度見抜くことができます。 ②給料、生活費、送金額 例えば、KOKOROの体験談には、先輩たちが送出機関に支払った額や日本からベトナムに送金した額が具体的に書かれています。日本での生活費についても詳しく記載されています。額の相場やよい送出機関、監理団体を探すための参考にしましょう。 ③送出機関での日本語教育の内容 ・授業の内容や期間、教師のレベルなどを調べます。送出機関によっては最初と最後の数週間だけ教育し、あとは休ませるケースもあります。 ・日本語をある程度身に付けてから日本に行った方が職場に溶け込みやすく、日本で日本語も上達します。日本語力を高めると、その後の就職にも有利です。 ・逆に、失踪する実習生は、日本語力不足で基礎的なコミュニケーションができないことが背景になっている場合が多くあります。 ・日本語教育の教室は、1教室十数名以内が望ましいとされています。送出機関の日本語の授業を見学させてもらいましょう。 ④給料以外の処遇、監理団体のケアの内容 技能実習では給料以外の処遇や監理団体のケアも非常に大切です。例えば、給料が少なくても寮費や光熱費などが安ければたくさん送金できます。また、監理団体が実習生の悩みや不満に親身に対応してくれるかどうかで大きな差が出ます。 監理団体によって実習生のケアに大きな差があります。 ⑤紹介手数料(紹介者への謝礼)の有無 紹介手数料を禁止している送出機関は、政府が決めた費用規定を守っていることが多く、良心的な紹介やケアを期待できる可能性が高くなります。 ⑥保証金の有無 日本に行く際に保証金として数百ドル~1,000ドル(USD)を預かる送出機関があります。問題なく技能実習を終えて帰国すれば返金してくれますが、このような保証金を預かることはベトナム政府の規定に違反しています。このような送出機関も避けた方が無難です。 ⑦会社名を頻繁に変更していないか 違法な業務を行ったために送出機関を続けられなくなった会社が、社名を変えて営業を続けるケースがあります。 ⑧自社で業務を行っているかどうか 会社名義を他の送出機関に貸し、実際の業務を行わないケースがあります。名義を貸す送出機関も名義を借りる送出機関も避けた方が無難です。送出機関のオフィスを訪問すると、ある程度わかります。 2.DOLABの認定、VAMASの指標 DOLABの認定 ベトナムの労働者の海外派遣を扱う企業は労働・傷病兵・社会省(MOLISA)海外労働管理局(DOLAB)による認定を受けています。このうちベトナムが認定した日本に技能実習生を送り出している企業(送出機関)については、DOLABから日本の外国人技能実習機構(OTIT)に通知され、OTITのホームページに掲載されています。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 外国政府認定送出機関一覧(OTIT) VAMASのランキング 送出機関の業界団体「ベトナム海外労働者派遣協会(VAMAS)」は送出機関のランキングを毎年公表し、送出機関の評価を星の数で表しています。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] ・VAMASのホームページ(英語) [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] ・6つ星 送出機関のリスト [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] ・5つ星 送出機関のリスト [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] ・4つ星 送出機関のリスト [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] ・3つ星 送出機関のリスト ただし、関係者たちによると、VAMASランキングで星の数が多い送出機関の中にも良くない送出機関があるとのことです。ランキングをうのみにせず、あくまで一つの参考としてください。

    2021年04月11日

  • Vol. 58 故郷で焼酎工場を作りたい

    今回の先輩 グエン・ヴァン・カインさん 2008年 高校卒業 2008年 ナムディン日本語日本文化学院入学 2010年 ナムディン学院卒業 2010年 建築の技能実習〈岡山県〉 2011年 JLPT・N3合格 2013年 JLPT・N2合格 2013年 ベトナムに帰国 2015年 南九州大学入学〈宮崎県〉 2019年 南九州大学卒業 2019年 酒造メーカーに就職(正社員)〈宮崎県〉 2019年 日本人女性と結婚 〈1990年生まれ、ナムディン省出身〉 技能実習で貯めたお金で大学に留学し、日本の酒造会社に就職したカインさん。将来は故郷で焼酎工場を作るという目標を持つカインさんの留学生活の送り方や就職活動の動き方をリポートする。 〈このページの内容〉 • ベトナムで日本語学校に1年半 • 職歴に関する書類の内容に注意 • 技能実習 • 留学 • 学費とアルバイト • ハローワークで就職活動 • 「あなたは日本でいつまで働く予定ですか?」 • ボランティア日本語教室を活用 • 日本人女性と結婚 • 宮崎のベトナム人コミュニティ ベトナムで日本語学校に1年半 故郷のYÊN CƯỜNG村〈2014年〉 私はナムディン省の高校を卒業し大学進学も考えましたが、親せきの紹介でナムディン日本語日本文化学院に入りました。自宅から遠かったので、同じ村から入学した5人でアパートをシェアしました。学院では毎日15:40ごろまで授業を受け、夕食後にまた学院に戻ってみんなで3、4時間自習しました。 ナムディン学院で1年半勉強し、本当はすぐに留学したかったのですが、お金がかかるので、まず技能実習をすることにしました。人づてにホーチミンの送出機関を紹介してもらい、約60,000,000 VND(約29万円)で日本に行くことができました。ナムディン学院で日本語を十分に学んだので、送出機関には日本語教育費は支払いませんでした。 職歴に関する書類の内容に注意 ナムディン日本語日本文化学院のクリスマス会〈2013年〉 技能実習の在留資格を申請する際に気をつけたことがあります。技能実習は、生徒が母国で経験した職業の技術を日本で高めるという名目で行われていますが、実際は、大半のケースで求人内容に合わせて生徒の職歴を偽装して在留資格を申請しています。もし、その申請の際に提出した職歴の内容を知らず、技能実習が終わってから留学の在留資格を申請する際に違う職歴を提出すると、申請が許可されないことがあります。 私は職歴に関する書類作成を送出機関だけに任せず、ナムディン学院の先生と一緒に内容をよく考えて作成しました。そして、入管に提出した書類はすべてコピーして保管しました。 技能実習 職場の先輩日本人や後輩ベトナム人と旅行〈奈良で2013年〉 こうして、私は2010年10月に訪日し、岡山県備前市で技能実習を始めました。従業員40~50人ぐらいの会社で、実習生は私を含めて2人でした。仕事は住宅や工場の解体です。建築・解体の現場には気の荒い人が多いと言われていますが、私はベトナムで日本語を十分に勉強してから訪日したので、最初から職場でのコミュニケーションがうまくいき、皆さんに親切にしていただきました。60代の先輩が私に特に親切で、よく車で日帰り旅行に連れて行ってくださいました。奈良・京都・大阪には一緒に1泊で旅行しました。この方とは留学で再訪日してからも時々お会いしています。 技能実習で私の手取り給料は毎月10万~11万円でした。ここから毎月7~8万円ずつを実家に送金し、送金額は3年間で約250万円(約522,000,000 VND)になりました。訪日時の費用や母の通院費などを差し引いても約150万円残ったので、それをその後の留学の資金にしました。 留学 大学での実習(左の奥が私) 技能実習を終えた私は帰国してナムディン学院で講師をしました。技能実習の監理団体(受入組合)が送出機関への就職を紹介してくれましたが、ロイ校長の助言で学院に戻りました。ここで1年4カ月、後輩に教えながら自分も日本語学習を続けました。技能実習生には、「日本で学んだ技術を母国に移転する」という役割があるため、一定期間を経ないと留学の在留資格を申請しても許可されないからです。 その後、ナムディン学院と提携する南九州大学(宮崎県)の入試をハノイで受け、合格しました。技能実習の3年目に日本語能力試験(JLPT)・N2に合格していたので、作文の試験を免除され、面接(日本語)だけでした。私は日本の酒造技術を学び、それを応用してベトナムで焼酎を醸造したいと考え、食品関係の学部を選びました。留学して最初の約4カ月間はアルバイトをせず、勉強に集中しました。授業で専門用語も多く、予習・復習に時間がかかったからです。大学時代は授業以外に毎日3~5時間勉強しました。平日は毎日5時間のアルバイトがあったので、授業のないときや週末に勉強しました。 学費とアルバイト アルバイト仲間の日本人たちと過ごす休日〈宮崎市内で2019年〉 留学する際は、最初に約100万円を入学金や1年目の授業料などとして支払い、それ以外に約50万円を持って日本に来ました。4年間の留学費用は主にそのお金とアルバイトとでまかないましたが、それができた背景には下記のような要因がありました。 • 南九州大学では、外国人留学生の授業料が半額 • 2年目から同郷の後輩2人とアパートをシェア • 2年生のときに1年間で計360,000円の奨学金をもらえた(大学からの紹介) アルバイトは求人サイトで探しました。日本語をある程度話せたので、1軒目の居酒屋で採用され、そこで卒業まで働きました。いなかはのんびりしているので、お客さんたちが「どこから来たの?」「学生さんですか?」などと私に話しかけてくださり、お客さんや日本人のアルバイト仲間との会話で日本語が上達しました。仲間とは、勤務後に数人で飲みに行ったり休日にショッピングモールに出かけたりもしました。 私の家計簿(1カ月の平均) ※大学3年のときの家計簿 ※100円=20,877 VND(※2021年4月2日現在) 収入(合計100,000円) アルバイト1件(居酒屋) 100,000円 支出(合計102,000円~107,000円) 家賃 12,000円 ※アパートを3人でシェア 授業料 50,000円 光熱費  7,000~10,000円 ※電気・ガス・水道代の合計 インターネット(Wi-Fi) 2000円 ※3人で分担 携帯電話 3000円 ※Y-mobile 食費  20,000円 雑費 8,000円~10,000円 ※衣類、教材、交通費など 毎月の差額・貯金 ▲2,000円~▲7,000円 ※長期休暇時のアルバイト料などで補てん ハローワークで就職活動 大学で焼酎の造り方を研究。就職活動も酒造会社に絞って応募。 私は大学2年のときに2週間、3年のときに10日間、同じ酒造会社でインターンシップをさせていただき、焼酎づくりの基礎を学びました。社長からは就職の内々定をいただいていましたが、4年生の初めに事情が変わりました。この会社が買収され、経営者が変わったのです。私の内々定も立ち消えになり、私は周囲より遅れて6月から就職活動を始めることになりました。 大学生の多くは「マイナビ」サイトを使って就活をしますが、私は公的機関であるハローワークのサイトで求人を探しました。狙いは、歴史があって従業員の少ない酒造会社です。「歴史=技術力と信用」、「少人数=酒造技術を全般的に学べる」という観点でした。ネットで調べてから6月末ごろ、地元のハローワーク事務所に行って履歴書を提出し、4社に申し込みました。すると、1社は外国人を採用していませんでしたが、残り3社は面接をしてくれました。 「あなたは日本でいつまで働く予定ですか?」 私が就職した岩倉酒造場〈2020年〉 外国人留学生の採用面接では避けて通れない関門があります。「あなたはいつまで日本で働くつもりですか」という質問です。私は日本で学んだ技術をベトナムに持ち帰って起業することが夢です。このことを面接で話すべきかどうか、私は大学の研究室の先生に相談しました。先生は「目標があるのなら、正直に答えた方がよいのではないか」という意見で、私もそうすることにしました。 2020年7月に受けた3社の面接で、やはりどの社からもこのことを聞かれました。福岡県の焼酎メーカーの担当者はわざわざ宮崎まで来てくださり、よい雰囲気で面接が進みました。しかし、終盤にこの質問が出て正直に答えると、面接の雰囲気が変わり、採用してもらえませんでした。しかし、残り2社は、私が正直に答えたのに内々定をくれました。私はその中で宮崎県西都(さいと)市の岩倉酒造場という会社にお世話になることにしました。約160年の歴史がある会社です。現在、働き始めて1年経ちましたが、とても働きやすい職場です。 ボランティア日本語教室を活用 和気町の日本語教室の先生の家で懇親会〈2013年〉 私は技能実習で日本に来た翌年にJLPT・N3、3年目にN2を取得しました。仕事が終わってから家で毎日2、3時間勉強したほか、ボランティア日本語教室に通いました。最初は監理団体の通訳の紹介で岡山市内の教室に通いましたが、授業が難しすぎました。そこで、レベル別にクラスがある倉敷市の教室に移り、毎週日曜に2時間の無料授業を受けました。家の近くの駅から倉敷までは電車で片道約80分(往復の電車賃は約2,000円)かかりましたが、将来の財産になるので時間とお金をかけました。 技能実習2年目には、岡山県和気(わけ)町でも無料日本語教室を見つけ、倉敷の教室も続けながら毎週火曜の夜に授業を受けました。和気の教室の先生は年に数回、自宅に生徒数人を招いて食事会をしてくれました。ここで知り合ったベトナム人仲間とは、テト(旧正月)の食事会をするなど交流が深まりました。 日本人女性と結婚 故郷で結婚式〈2019年〉 和気町の日本語教室の先生に私と年の近い女性がいました。この女性は勤務先の同僚のベトナム人が日本語を話せず困っている姿を見て、外国人に日本語を教えるボランティアに参加したそうです。女性はその後、仕事をやめてホーチミンに渡り、送出機関で2年間日本語を教えることになりました。同じころ、技能実習が終わってナムディンに戻っていた私は、SNS(メッセンジャー)でこの女性からのさまざまな相談に応じるようになりました。 私の留学2年目の2016年春、帰国して岡山に戻っていたこの女性が宮崎に遊びに来てくれました。すると、女性は宮崎の土地柄や気候が気に入ったと言って半年後に宮崎に引っ越して来て、私たちは付き合うようになりました。2019年11月、私たちはナムディンで約500人を招いて結婚式を挙げ、今年5月には子どもが生まれる予定です。将来は家族でナムディンで暮らす予定です。 宮崎のベトナム人コミュニティ ベトナム人のサッカーチーム(試合前の記念撮影)〈宮崎市内で2021年〉 私は2020年11月にベトナム人仲間とボランティア日本語教室を立ち上げました。毎週日曜に交代で実習生やエンジニアに日本語を教え、普段の生活サポートも行います。日本人の先生もいます。また、宮崎県には現在、ベトナム人のサッカーチームが8チームあります。私のチームには技能実習生やエンジニア、留学生がいます。毎週日曜に河川敷で練習し、ときどきメンバーの自宅で食事会をします。 このように充実した日本生活を送っていますが、数年後にはベトナムに帰って小さな焼酎醸造所を立ち上げることが私の目標です。大好きな日本でまだまだ多くのことを学びたいと思っています。 今回の先輩 (グエン・ヴァン・カイン)さん 2008年 高校卒業 2008年 ナムディン日本語日本文化学院入学 2010年 ナムディン学院卒業 2010年 建築の技能実習〈岡山県〉 2011年 JLPT・N3合格 2013年 JLPT・N2合格 2013年 ベトナムに帰国 2015年 南九州大学入学〈宮崎県〉 2019年 南九州大学卒業 2019年 酒造メーカーに就職(正社員)〈宮崎県〉 2019年 日本人女性と結婚 〈1990年生まれ、ナムディン省出身〉 技能実習で貯めたお金で大学に留学し、日本の酒造会社に就職したカインさん。将来は故郷で焼酎工場を作るという目標を持つカインさんの留学生活の送り方や就職活動の動き方をリポートする。 〈このページの内容〉 • ベトナムで日本語学校に1年半 • 職歴に関する書類の内容に注意 • 技能実習 • 留学 • 学費とアルバイト • ハローワークで就職活動 • 「あなたは日本でいつまで働く予定ですか?」 • ボランティア日本語教室を活用 • 日本人女性と結婚 • 宮崎のベトナム人コミュニティ ベトナムで日本語学校に1年半 私はナムディン省の高校を卒業し大学進学も考えましたが、親せきの紹介でナムディン日本語日本文化学院に入りました。自宅から遠かったので、同じ村から入学した5人でアパートをシェアしました。学院では毎日15:40ごろまで授業を受け、夕食後にまた学院に戻ってみんなで3、4時間自習しました。 ナムディン学院で1年半勉強し、本当はすぐに留学したかったのですが、お金がかかるので、まず技能実習をすることにしました。人づてにホーチミンの送出機関を紹介してもらい、約60,000,000 VND(約29万円)で日本に行くことができました。ナムディン学院で日本語を十分に学んだので、送出機関には日本語教育費は支払いませんでした。 故郷のYÊN CƯỜNG村〈2014年〉 職歴に関する書類の内容に注意 技能実習の在留資格を申請する際に気をつけたことがあります。技能実習は、生徒が母国で経験した職業の技術を日本で高めるという名目で行われていますが、実際は、大半のケースで求人内容に合わせて生徒の職歴を偽装して在留資格を申請しています。もし、その申請の際に提出した職歴の内容を知らず、技能実習が終わってから留学の在留資格を申請する際に違う職歴を提出すると、申請が許可されないことがあります。 私は職歴に関する書類作成を送出機関だけに任せず、ナムディン学院の先生と一緒に内容をよく考えて作成しました。そして、入管に提出した書類はすべてコピーして保管しました。 ナムディン日本語日本文化学院のクリスマス会〈2013年〉 技能実習 こうして、私は2010年10月に訪日し、岡山県備前市で技能実習を始めました。従業員40~50人ぐらいの会社で、実習生は私を含めて2人でした。仕事は住宅や工場の解体です。建築・解体の現場には気の荒い人が多いと言われていますが、私はベトナムで日本語を十分に勉強してから訪日したので、最初から職場でのコミュニケーションがうまくいき、皆さんに親切にしていただきました。60代の先輩が私に特に親切で、よく車で日帰り旅行に連れて行ってくださいました。奈良・京都・大阪には一緒に1泊で旅行しました。この方とは留学で再訪日してからも時々お会いしています。 技能実習で私の手取り給料は毎月10万~11万円でした。ここから毎月7~8万円ずつを実家に送金し、送金額は3年間で約250万円(約522,000,000 VND)になりました。訪日時の費用や母の通院費などを差し引いても約150万円残ったので、それをその後の留学の資金にしました。 職場の先輩日本人や後輩ベトナム人と旅行〈奈良で2013年〉 留学 技能実習を終えた私は帰国してナムディン学院で講師をしました。技能実習の監理団体(受入組合)が送出機関への就職を紹介してくれましたが、ロイ校長の助言で学院に戻りました。ここで1年4カ月、後輩に教えながら自分も日本語学習を続けました。技能実習生には、「日本で学んだ技術を母国に移転する」という役割があるため、一定期間を経ないと留学の在留資格を申請しても許可されないからです。 その後、ナムディン学院と提携する南九州大学(宮崎県)の入試をハノイで受け、合格しました。技能実習の3年目に日本語能力試験(JLPT)・N2に合格していたので、作文の試験を免除され、面接(日本語)だけでした。私は日本の酒造技術を学び、それを応用してベトナムで焼酎を醸造したいと考え、食品関係の学部を選びました。留学して最初の約4カ月間はアルバイトをせず、勉強に集中しました。授業で専門用語も多く、予習・復習に時間がかかったからです。大学時代は授業以外に毎日3~5時間勉強しました。平日は毎日5時間のアルバイトがあったので、授業のないときや週末に勉強しました。 大学での実習(左の奥が私) 学費とアルバイト 留学する際は、最初に約100万円を入学金や1年目の授業料などとして支払い、それ以外に約50万円を持って日本に来ました。4年間の留学費用は主にそのお金とアルバイトとでまかないましたが、それができた背景には下記のような要因がありました。 • 南九州大学では、外国人留学生の授業料が半額 • 2年目から同郷の後輩2人とアパートをシェア • 2年生のときに1年間で計360,000円の奨学金をもらえた(大学からの紹介) アルバイトは求人サイトで探しました。日本語をある程度話せたので、1軒目の居酒屋で採用され、そこで卒業まで働きました。いなかはのんびりしているので、お客さんたちが「どこから来たの?」「学生さんですか?」などと私に話しかけてくださり、お客さんや日本人のアルバイト仲間との会話で日本語が上達しました。仲間とは、勤務後に数人で飲みに行ったり休日にショッピングモールに出かけたりもしました。 アルバイト仲間の日本人たちと過ごす休日〈宮崎市内で2019年〉 私の家計簿(1カ月の平均) ※大学3年のときの家計簿 ※100円=20,877 VND(※2021年4月2日現在) 収入(合計100,000円) アルバイト1件(居酒屋) 100,000円 支出(合計102,000円~107,000円) 家賃 12,000円 ※アパートを3人でシェア 授業料 50,000円 光熱費  7,000~10,000円 ※電気・ガス・水道代の合計 インターネット(Wi-Fi) 2000円 ※3人で分担 携帯電話 3000円 ※Y-mobile 食費  20,000円 雑費 8,000円~10,000円 ※衣類、教材、交通費など 毎月の差額・貯金 ▲2,000円~▲7,000円 ※長期休暇時のアルバイト料などで補てん ハローワークで就職活動 私は大学2年のときに2週間、3年のときに10日間、同じ酒造会社でインターンシップをさせていただき、焼酎づくりの基礎を学びました。社長からは就職の内々定をいただいていましたが、4年生の初めに事情が変わりました。この会社が買収され、経営者が変わったのです。私の内々定も立ち消えになり、私は周囲より遅れて6月から就職活動を始めることになりました。 大学生の多くは「マイナビ」サイトを使って就活をしますが、私は公的機関であるハローワークのサイトで求人を探しました。狙いは、歴史があって従業員の少ない酒造会社です。「歴史=技術力と信用」、「少人数=酒造技術を全般的に学べる」という観点でした。ネットで調べてから6月末ごろ、地元のハローワーク事務所に行って履歴書を提出し、4社に申し込みました。すると、1社は外国人を採用していませんでしたが、残り3社は面接をしてくれました。 大学で焼酎の造り方を研究。就職活動も酒造会社に絞って応募。 「あなたは日本でいつまで働く予定ですか?」 外国人留学生の採用面接では避けて通れない関門があります。「あなたはいつまで日本で働くつもりですか」という質問です。私は日本で学んだ技術をベトナムに持ち帰って起業することが夢です。このことを面接で話すべきかどうか、私は大学の研究室の先生に相談しました。先生は「目標があるのなら、正直に答えた方がよいのではないか」という意見で、私もそうすることにしました。 2020年7月に受けた3社の面接で、やはりどの社からもこのことを聞かれました。福岡県の焼酎メーカーの担当者はわざわざ宮崎まで来てくださり、よい雰囲気で面接が進みました。しかし、終盤にこの質問が出て正直に答えると、面接の雰囲気が変わり、採用してもらえませんでした。しかし、残り2社は、私が正直に答えたのに内々定をくれました。私はその中で宮崎県西都(さいと)市の岩倉酒造場という会社にお世話になることにしました。約160年の歴史がある会社です。現在、働き始めて1年経ちましたが、とても働きやすい職場です。 私が就職した岩倉酒造場〈2020年〉 ボランティア日本語教室を活用 私は技能実習で日本に来た翌年にJLPT・N3、3年目にN2を取得しました。仕事が終わってから家で毎日2、3時間勉強したほか、ボランティア日本語教室に通いました。最初は監理団体の通訳の紹介で岡山市内の教室に通いましたが、授業が難しすぎました。そこで、レベル別にクラスがある倉敷市の教室に移り、毎週日曜に2時間の無料授業を受けました。家の近くの駅から倉敷までは電車で片道約80分(往復の電車賃は約2,000円)かかりましたが、将来の財産になるので時間とお金をかけました。 技能実習2年目には、岡山県和気(わけ)町でも無料日本語教室を見つけ、倉敷の教室も続けながら毎週火曜の夜に授業を受けました。和気の教室の先生は年に数回、自宅に生徒数人を招いて食事会をしてくれました。ここで知り合ったベトナム人仲間とは、テト(旧正月)の食事会をするなど交流が深まりました。 和気町の日本語教室の先生の家で懇親会〈2013年〉 日本人女性と結婚 和気町の日本語教室の先生に私と年の近い女性がいました。この女性は勤務先の同僚のベトナム人が日本語を話せず困っている姿を見て、外国人に日本語を教えるボランティアに参加したそうです。女性はその後、仕事をやめてホーチミンに渡り、送出機関で2年間日本語を教えることになりました。同じころ、技能実習が終わってナムディンに戻っていた私は、SNS(メッセンジャー)でこの女性からのさまざまな相談に応じるようになりました。 私の留学2年目の2016年春、帰国して岡山に戻っていたこの女性が宮崎に遊びに来てくれました。すると、女性は宮崎の土地柄や気候が気に入ったと言って半年後に宮崎に引っ越して来て、私たちは付き合うようになりました。2019年11月、私たちはナムディンで約500人を招いて結婚式を挙げ、今年5月には子どもが生まれる予定です。将来は家族でナムディンで暮らす予定です。 故郷で結婚式〈2019年〉 宮崎のベトナム人コミュニティ 私は2020年11月にベトナム人仲間とボランティア日本語教室を立ち上げました。毎週日曜に交代で実習生やエンジニアに日本語を教え、普段の生活サポートも行います。日本人の先生もいます。また、宮崎県には現在、ベトナム人のサッカーチームが8チームあります。私のチームには技能実習生やエンジニア、留学生がいます。毎週日曜に河川敷で練習し、ときどきメンバーの自宅で食事会をします。 このように充実した日本生活を送っていますが、数年後にはベトナムに帰って小さな焼酎醸造所を立ち上げることが私の目標です。大好きな日本でまだまだ多くのことを学びたいと思っています。 ベトナム人のサッカーチーム(試合前の記念撮影)〈宮崎市内で2021年〉

    2021年04月09日

主催者

Nhà tài trợ Bạch Kim

後援

  • 在ベトナム日本国大使館
  • 国際交流基金ベトナム日本文化交流センター
  • JNTOハノイ事務所
  • 関西経済連合会
  • 一般社団法人 国際人流振興協会
  • 公益社団法人 ベトナム協会
  • NPO法人 日越ともいき支援会

協力

JASSO(日本学生支援機構)

外国人労働者弁護団

WA.SA.Bi.