留学・就活

履歴書の文例と解説:パート2

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2021年05月24日

 【Collaboration blog】

皆さん、こんにちは!

今回は留学生の就活(就職活動)ブログの第4弾です。まず、過去3回のタイトルを思い出してみましょう(各タイトルの青い文字をクリックするとそのブログが読めます)。

第1回では「志望動機」や「自己PR」の書き方など、履歴書の重要ポイントを全体的に解説しました。

第1回:履歴書を書く前に知っておこう!

第2回では、“story” の大切さや「結論とその理由を明確にした書き方」について解説し、先輩が書いた履歴書の文例2本(学生時代に勉強以外に力を注いだこと)も紹介しました。

第2回:履歴書の文例と解説:パート1

第3回では、「長所・短所」の記載を格段にレベルアップさせるためのある二つの方法を紹介しました。

第3回:「長所・短所」を効果的に書こう!

今回は第2回に引き続き、先輩が書いた文例を紹介し、編集部がポイントを解説します。今回の文例は「長所」についてです。

※先輩の文例については、WA.SA.Bi.とKOKOROの編集部が誤字・脱字を修正し、実名は伏せています。

※文例①、②は第2回「履歴書の文例と解説:パート1」で紹介しています。今回は文例③~⑤を紹介し、解説します。

文例③:長所

ケース③:「語学力とコミュニケーション能力」

=ベトナム人、大学生、日本語能力試験(JLPT)N2

原文:『私の長所は語学力とコミュニケーション能力です。中学校のときから、私は英語の授業でいつも外国人と一緒に勉強しました。現在、TOEICの点数は935点です。さらに、高校時代、◯◯大学に交換留学をしたことがあります。たくさん友達ができました。コミュニケーションスキルとチームワークも身につきました。将来は、世界各国に友達を作りたいと思います』

→→この文例では、「長所」が志望企業でどのように役立つのかをPRできていません。筆者の経験(授業、交換留学)やスキル(TOEICの点数)が就職してからどのように役立つかという目線で書かれておらず、ただの「自慢」で終わってしまっています。

例えば、文章の最後で「世界各国に友達を作りたい」という個人の希望を書いていますが、そのことは企業にとっては関係がありません。

履歴書はあくまでも「就職」するために必要なもの。履歴書を受け取った企業からすると、その人が入社したときに仕事で活躍してくれるかどうかという点が重要なのであって、「世界各国に友達を作る」という個人の希望には興味がありません。このままでは的外れな自己PRとなってしまい、採用担当者に「この人を採用したい」と思わせることは困難です。

そこで、編集部がこの文章を添削して新しい文例を作りました。

修正例:『私の長所は高い英語力とコミュニケーション力です。中学校以来、常に外国人と一緒に英語の授業を受けて「使える英語」を意識し、自宅でも毎日2時間以上、英語学習を続けてきました。その結果、TOEICで935点を取り、その後、交換留学で海外に行く機会も得ました。留学先では、現地の多くの友人と交流し、異国の地で友人・知人の輪をできるだけ広げました。就職後も、こうして培った英語力やコミュニケーション力を生かし、海外事業や取引先との関係構築などに貢献できればと希望しております』

文例④:長所

ケース④: 「コミュニケーション力と笑顔」

=ベトナム人、大学生、JLPT・N2

原文:「私の長所はコミュニケーション力と笑顔です。笑顔でお客様の懐に飛び込む力を発揮できたのは、◯◯店でリーダー職でアルバイトをした時のことです。お店が忙しい時に、お待たせしてしまったお客様の席に行き、積極的にお声かけをするように心掛けました。また、お帰りの際には、会計をしながら笑顔で感想をうかがうなど積極的にコミュニケーションをとってきた結果、名前を覚えていただき、「◯◯さんがいるから来たよ」と言ってもらえるようになりました。これによって、私自身の緊張もほぐれ、さらに自信を持ってお客様に話しかけやすくなりました。貴社においても笑顔とコミュニケーションでお客様との信頼関係を築き、貢献したいと考えております。」

【良い点】

コミュニケーション力や笑顔がアルバイトの仕事でどのように役立ったかが分かり、筆者が就職後にも人と接する仕事(営業など)で活躍する姿を想像することができます。

【改善点】

店の「リーダー」だったと書きながら、リーダーとしての活躍ぶりを十分にPRできていません。社外(顧客)に対してはコミュニケーション能力が高く、営業などで能力を発揮する可能性があり、社内に対しては、リーダーシップを発揮して後輩の育成などを行える、というような内容になれば、印象はさらに良くなります。

編集部がこの文章を添削してみました。

修正例:『私の長所はコミュニケーション力と笑顔です。居酒屋でアルバイトを2年間続けましたが、お客様に常に笑顔で接し、積極的に話かけるように心がけました。ご来店時からお会計まであらゆる場面でお客様とのコミュニケーションを大事にし続けた結果、混雑時にお客様をお待たせすることになった際にも苦情が出ませんでした。また、私の名前を覚えてくださり、「あなたがいるからまた来たよ」と言ってくださるお客様もいました。最初は日本語で話しかけることに緊張しましたが、積極的に働きかけ続けることで緊張も和らぐことを学びました。また、後輩たちに接客時の心がけを伝えてきたことでリーダー役も任せて頂けるようになりました。貴社においても、お客様とのコミュニケーションを大事にし、貴社が築いてきた信頼をさらに深め、事業発展に貢献できればと希望しております』

文例⑤:長所

ケース⑤: 「何事も学び、吸収する能力」

=ベトナム人、大学生、JLPT・N1

原文:「私は何事についても学び吸収する能力に自信があります。物事や状況を分析することが得意で、どのようなことも素早く学び吸収します。来日して1年が経過したころ、集中的に努力して日本語能力試験N2に合格でき、大学時代にN1も取れました。アルバイトなどの職場でも仕事をまずは理解することに自信があります。社会人となると日本語以外にも、経済、社会問題などあらゆることが必要になります。ビジネスに必要となることを社会人としても学び、吸収し続けて参ります。」

→→常に学び、吸収し、成長する意欲があることは分かります。ただ、具体的なStoryがないため、全体的に説得力の弱い文章になっています。例えば「物事や状況を分析することが得意」と書いていますが、それを読み手に納得させる story が何も書かれていません。

また、「職場でも仕事をまず理解する」ことに自信があると書いていますが、具体的な story がないので、「自信」の根拠が読み手にわかりません。

履歴書では、具体的な体験・経験などの story を盛り込むことで、あなたの人物像が企業の採用担当者にわかりやすく伝わり、あなたが入社後に活躍する姿をイメージしてもらいやすくなります。それを書くことで文字数が多くなりすぎる場合は、この文例ではN1合格については削除してもよいと思います。そのことは履歴書の「免許・資格等」の欄に記載することができるからです。

この文章について story を想像しながら添削してみます。

修正例:『私の長所は物事を積極的に学び吸収することです。例えば、日本語については来日して1年経ったころから集中的に勉強し、その年に日本語能力試験N2に合格。その後、大学時代にN1も取得しました。アルバイト先では、職場のルールや専門用語、商品についての理解を深めるために自分のノートを作成しました。上司から言われたことだけではなく、わからないことを自分から質問し、ノートに書き留めました。それを1年以上続けた結果、このノートを整理したものが後輩のマニュアルとして活用されるようになりました。また、社会人になる準備として、日ごろからニュースをチェックするように努め、大学の先生やアルバイト先の上司との会話で話題に出すように心がけています。貴社に入社した後も、1日でも早く戦力になることができるように、学び、吸収して参ります』

今回は履歴書の「長所」の文例3本を紹介し、添削や解説を行いました。あなたの履歴書で「長所・短所」について書く際の参考にしてください。次回も文例紹介と解説を行います。