生活・ビザ

生活サポート窓口で多い7つの相談

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2022年08月29日

私は、外国人向けに携帯電話の通話サービスなどを提供する会社で顧客からの生活相談を受けているベトナム人オペレーターです。日本に住むベトナム人からよく受ける相談にはどのようなものがあるでしょうか?「騒音に関して苦情を受けた」「突然、電気を止められた」「歯の治療を受けたい」「ゴミの出し方が分からない」など幅広い内容の相談があります。その中で特に多い7種類の相談の内容と私たちの対処方法をお話しします。

1. 外国人の生活サポート

私たちは外国人が日本で住宅を借りる際の家賃保証サービスや携帯電話の通信契約などを提供するGTN社で顧客からの電話相談に対応しています。

私たちが受ける相談件数はベトナムチーム(5人)だけで毎月2,000件以上。その中で特に多いもの7種類について、エピソードをまじえて紹介します。ご自身やご家族が日本で快適に暮らすための参考にしていただければ幸いです。

参考:アプリを使ったGTNの相談サービス

external link GTN アシスタンツ(GTN Assistants)

※これはGTN Mobileのオプションサービスです。GTN Mobileには下記のような特徴があるので、来日して間もない外国人から人気が高く、オプション利用者からの相談もたくさんあります。

クレジットカードや銀行口座がなくても通信契約ができる
・審査日数が短い
ベトナム語で契約手続きができる
クレジットカードも同時に申し込める

2. ベトナム人のトラブルで特に多いのは「騒音」

ベトナムのホームカラオケ

ベトナム人からのご相談で目立って多いのは騒音関係です。「近所の人が騒音で迷惑していると、警察官から注意された」というベトナム人からの相談もあれば、「近所の人たちが騒音で困っているので、入居者に注意してほしい」という管理会社からの相談もあります。

ベトナムでは早朝から街も家屋もにぎやかで活気に満ちています。家にカラオケがある家庭も多く、夜に家でカラオケを歌う人も珍しくありません。しかし、日本人は静かな住環境を好むので、室内で大きな音を出すと、近所から管理会社にすぐに苦情が入ります。

騒音に関する苦情の原因はベトナムでは問題にならないことが多いですが、日本では周囲への迷惑になってしまいます。

◆苦情の原因になる「騒音」の例

・電話をかけるときに、窓を開けたまま大声で話す。

・携帯電話をスピーカーにつないで大きな音で動画を視聴する。

・家の中で多人数で宴会をして大声で騒ぐ。

・家の中でBGMをスピーカーで流し、ワイヤレスマイクでカラオケを歌う。

これら以外に、ドアの開け閉めの音や室内の足音がうるさいという苦情が管理会社に寄せられることもよくあります(これはベトナム人だけに限りません)。

ベトナム人入居者の騒音に関する相談は多いときで1カ月に100件近くあります。私たちは日本の文化を説明して再発防止をお願いしますが、改善されない場合は、家の管理会社から再発防止の誓約書を書かされたり、中には強制退去させられたりするケースもあります。

3. ゴミの出し方のトラブル

騒音と並んで多いのがゴミの出し方に関する相談です。間違った捨て方をして管理人や近所の人から注意され、どうしたらよいか分からずに電話をしてくる方が多いです。

〈相談〉分別収集のやり方がわかりません。

分別収集の方法は市区町村によって違います。相談を受けたら、私たちオペレーターがその自治体での収集方法を調べた後、こちらから相談者に連絡して内容をお伝えしています。

〈相談〉ゴミ捨て場がわかりません。

収集日の朝までゴミを置いてはいけない収集場所もたくさんあります。その場合、収集場所を探すのが難しいので、私たちが住宅の管理会社に連絡して調べます。

間違った捨て方をしたため回収してもらえなかった粗大ゴミ

〈相談〉粗大ゴミ(大型ゴミ)の捨て方がわかりません。

ゴミに関する相談の中で一番多いのが粗大ゴミの捨て方についてです。「ふとんを捨てたい」、「スーツケースを捨てたい」、「ベッドを捨てたい」といった相談です。

大型ゴミを捨てる場合、例えば東京都内では次のような手順が必要です。

①電話かインターネットで「粗大ゴミ受付センター」に事前に申し込む。

②そのゴミを回収してもらうために必要な「ごみ処理券」をコンビニなどで購入する。

③ゴミ処理券をゴミにはり、指定された収集日に決められた場所に出す。

しかし、どこに電話したらよいか、いくらの処理券を買ったらよいかなどを自分で調べられない外国人もたくさんいます。

私たちはその地域での粗大ゴミの捨て方を調べてお伝えするほか、代わりに「粗大ゴミ受付センター」に電話して回収を予約する場合もあります。また、コンビニで店員に見せれば「ごみ処理券」を買えるように、「◎◎円のゴミ処理券を売ってください」などと書いた日本語文を相談者に送ることもあります。

external link 生活ルール・習慣|KOKORO

4. 医療を受けるためのサポート

騒音とゴミ捨て以外の相談数は似たり寄ったりですが、その中で顧客の皆様に特に重宝されているのは医療に関するサポートです。まず、医療相談への私たちの基本的な対応を紹介します。

①インターネットなどでクリニックを探します。その際に日本語の口コミもよく読みます。

②相談者に候補となるクリニックをいくつか紹介し、選んでいただきます。

※英語かベトナム語OKのクリニックがあれば優先的に紹介します。
※または、電話通訳を受け入れてくれるクリニックを紹介します。

③相談者が選んだクリニックを代わりに予約する場合もあります。

④相談者が診察を請ける際にアプリ電話で通訳(医療通訳)をする場合もあります。

私たちオペレーターは正確な医療通訳をできるように研修を受けたり自分で勉強したりして医療通訳の資格を取得しています。

それでは、具体的な相談例をいくつか紹介します。

〈相談〉虫歯の治療をしたい。

医療相談の中で一番多いのは歯の治療に関する相談です。どこの歯科医に行けばよいかを調べてお伝えするほか、歯科クリニックで診察を受ける際の医療通訳(電話)も担当します。

〈相談〉手術を受けたい。

・病院を紹介
・手術前の診察で電話通訳(手術前にしてはいけないこと、手術の準備、入院の手順)

〈相談〉新型コロナにかかってしまった。

・3者通話のできる電話で相談者(男性)と保健所と私が3人で会話しました。
・その電話での打ち合わせに基づき、相談者は近くの病院に1週間入院しました。

「ワクチンの接種券が届いたがどうしたらよいか分からない」という相談もよくあります。私たちは相談者の近所の接種会場を探し、代わりに予約することもあります。

「子宮頸(けい)がんのワクチン接種を受けたい」という若い女性からの相談も多いです。

5. 電気やガスを止められた!

〈相談〉電気やガスを止められた。

料金滞納が原因で電気やガスを止められるケースがとてもたくさんあります。

この相談が多いのは留学生で、コンビニで料金を支払っている方々です。電気代やガス代をうっかり払い忘れた月があり、その後、電力会社などから督促(とくそく)状が届いたのに、内容がわからず無視していると、ある日突然、電気やガスを止められてしましまいます。

そのような場合、私たちは電力会社やガス会社に問い合わせ、電気やガスを止められた理由を聞きます。場合によっては、相談者と一緒に3者通話で電力会社などと話をします。

滞納額が分かると、コンビニの機械に入力する番号を教えてもらい、相談者に説明してコンビニで支払い手続きを行って頂きます。

6. 部屋の契約に関する相談

部屋の契約に関する相談もよく受けます。

〈相談〉契約期間がもうすぐ満了する。更新するにはどうしたらよいか?

契約更新の方法は管理会社ごとに違うので、管理会社に電話して調べ、やり方を相談者にお伝えします。

〈相談〉退去の手続きを教えてほしい。

退去(解約)の手続きや費用精算に関する相談もよくあります。退去を管理会社に何日前に伝えたらよいか▽部屋のクリーニング代は支払い済みなのか、これから支払うのか▽最後の月の家賃は日割り計算ができるかどうか――などを調べてお伝えします。

日本では、管理会社に退去を通告するタイミングが遅れると、契約が自動的に更新されて更新料(関東では家賃1カ月分が多い)を請求される場合が多いので、注意してください。

〈相談〉退去の際の修繕費が納得できない

退去時の修繕費をめぐって家主や管理会社とトラブルになるケースも多いです。室内でタバコを吸っていた人の場合、壁のクロスやふすまなどのはり替え費用を請求されることがあります。多くの場合、支払いに応じるしかありません。

ただし、居住年数や汚れ方にもよるので、交渉の余地はあります。私たちが交渉のサポートをする場合もあります。

〈相談〉エアコンが故障した

部屋の設備が壊れたという相談もよくあります。特に夏は「エアコンが故障した」という相談が多いです。「自分で管理会社に相談したが、なかなか対応してくれないので、相談をサポートしてほしい」と依頼されるケースもよくあります。

10年以上のエアコンなら交換してもらえることが多く、10年未満の場合は修理対応が多いです。

7. 在留資格・ビザに関する質問

〈相談〉入国手続きについて教えてほしい。

新型コロナで出入国手続きが複雑になったため、このような相談が増えました。日本に入国する前に何を準備したらよいか、日本に着いてからどのような手続きがあるかについてお伝えしています。

GTNの携帯電話を契約する人はGTNアシスタンツ (GTN Assistants) というオプションに加入し、来日前から私たちの相談サービスを利用することができます。ベトナムでもハノイとホーチミンにオフィスがあり、来日前でもGTNの携帯電話やオプションサービスに加入することができます。

入管

〈相談〉特定技能外国人だが、妻は日本に来れるか?
〈相談〉入管から書類が届いたが、内容を理解できない。
〈相談〉留学生だが、特定技能や就労ビザに切り替えるにはどうしたらよいか?

このようなご相談も昔からたくさんあります。書類に書いてある内容をお伝えしたり、難しい内容については、代わりに入管に電話して確認したりすることもあります。

8. 年金や健康保険について

〈相談〉年金の納付書が届いたが、どうしたらよいか。

「国民年金や国民健康保険の納付書が自宅に届いたが、どうしたらよいか」という相談がよくあります。これらは原則として納めなければなりません。

私たちは相談者から書類の写真を送ってもらい、意味をお伝えします。相談者の代わりに市役所などに電話して調べることもあります。

〈相談〉国民健康保険の今の未納額を知りたい。

私たちが市役所に代わりに電話するか、相談者を含む3者通話で通訳をします。

external link 年金に関する重要ポイント|KOKORO

まとめ

この記事では、私たち生活サポートの電話相談員(オペレーター)がベトナム人顧客からよく受ける相談とその対応例を紹介しました。

ベトナム人からの相談で特に多い7種類の困りごと

・騒音
・ゴミの出し方のトラブル
・医療を受けるためのサポート
・電気やガスを止められた!
・部屋の契約に関する相談
・在留資格・ビザに関する質問
・年金や健康保険について

GTNアシスタンツ(GTN Assistants)の利用者については、私たちオペレーターができるだけサポートしますが、それ以外の方々もこの記事を参考に、できるだけトラブルを避けて生活し、充実した日本生活をお送りいただければ幸いです。

リポーター

Hoàng Thị Đan Thi

1991年生まれ。フエ外国語大学を卒業後、ホーチミンの日系企業に約1年半勤務。2013年から日本で2年間留学後、2016年からGTNの生活サポート部でオペレーターとして勤務。趣味は映画鑑賞や旅行。