首都圏(東京を中心とするエリア)にこれから住む人や住み始めたばかりの人には、大きな駅で迷子になったり目的地への行き方が分からなくなったりして困ったという経験をお持ちの人も少なくないでしょう。また、列車の種類も多いので、どの列車に乗ると目的駅に早く着くのか、追加料金がかかるのかどうか、などで迷うことも多いと思います。慣れない人でも首都圏でスムーズに電車に乗れるよう、「特急」「急行」「快速」など列車の種類別の速さや追加料金の有無などについて解説します。
東京の山手線の列車(普通列車)
JRにも私鉄にも「速い列車」と「遅い列車」があります。特急、快速、急行、快速急行、通勤快速、準急などは速い列車で、普通や各駅停車は遅い列車です。
JRでは、速い順に並べると、特急>急行>特快・快速・通勤快速>普通となります。JRでは、このうちすべての「特急」と「急行」で追加料金が必要です。
特急とは「特別急行列車」の略称で「急行」よりもさらに速い列車です。特急は大きな駅にしか停車せず、座席などの車内設備も他の列車より高級です。このため、通常の運賃に加えて「特急料金」が必要です。特急料金は指定席の場合と自由席の場合とで少し違います。ちなみに、新幹線も特急の一つです。
急行も大きな駅にしか止まりませんが、特急よりは多くの駅に止まります。通常の運賃に加えて「急行料金」が必要です。
JRの特急や急行には名前があります。
【JRの特急の名前の例】
・「あずさ」「かいじ」=中央線(塩尻、甲府、八王子、新宿駅などに停車)・「ひたち」「ときわ」=常磐線(水戸、いわき、仙台などに停車)・「成田エクスプレス」=東京都心と成田空港の間で運行・「踊り子」「湘南」=東京と伊豆方面との間で運行
特急「あずさ」(新宿-松本)
私は長野県の有名な観光地「松本城」に行くために、新宿から特急「あずさ」に乗って松本へ向かいました。8時に新宿を出て車内で友だちとしゃべりながらあっという間に2時間半が経ち、松本に到着しました。運賃は4,070円で、特急券は2,550円(計6,620円)でした。快速などを乗り継いで行くと4,070円だけで済みますし、夏休みなどに青春18切符を使うともっと安いですが、時間は4時間半ぐらいかかってしまいます。私の場合は、2,550円を払っても特急を使ってよかったと思いました。
JRでは、特急や急行の次に速いのが「特快(特別快速)」や「快速」で、追加料金は要りません。これらは普通列車と比べると停車駅が少なく、その分、目的駅に早く着きます。「通勤快速」は通勤時間帯にのみ運行する快速のことで、通常の快速より停まる駅がさらに少なくなっています。なお、普通列車は一般的には各駅に停車する列車のことを指します。
中央線の特快列車
普通列車のグリーン車
JRの快速や普通列車は基本的に運賃だけで乗車できます。しかし、例外があります。それは、快速や普通列車の一部に連結されているグリーン車に乗った場合です。列車の中央付近に2階建て車両などがあり、他の車両とは外観もシートも違います。J R東日本では、東海道線、横須賀・総武線快速、上野東京ライン(常磐線)、湘南新宿ライン、高崎線、宇都宮線など、多くの路線にグリーン車付きの普通列車があります。これらの車両に乗ると、グリーン券つまり追加料金が必要になります。
普通列車グリーン席の券売機
JR以外の私鉄の場合は、会社によって特急、快速、急行、快速急行、通勤快速、準急、各停など、さまざまな種類の列車があります。速さの順番も私鉄ごとに違います。また、一部の「特急」でのみ特急料金がかかりますが、それ以外では不要です。
表1 首都圏を走る主要な大手私鉄各線の列車の種類
JR以外の私鉄の特急は、社によって特急料金の必要な場合とそうでない場合があります。首都圏の主な私鉄では、西武鉄道の特急「秩父」「小江戸」や小田急電鉄の特急「ロマンスカー」などで特急料金が必要です。一方、車内設備や車両デザインなどが普通列車とほぼ変わらず運賃だけで利用できる特急もたくさん走っています。
西武鉄道の特急「秩父」
私は来日したばかりころ、友人に会いに新宿から京王八王子に行きました。「特急に乗ると追加料金が発生する」と先輩から教えられていたので、私は快速に乗り、所要時間は1時15分でした。しかし、友人に会うと「京王線の特急は追加料金なしで乗れる」と教えてくれたので、帰りは特急にしました。同じ距離なのに43分しかかからず、楽でした。
逆に、例えば、西武鉄道の池袋から秩父に行く際に特急「秩父」に乗ると、運賃790円に加えて特急料金710円がかかり、所用時間は77分です。快速急行を利用する場合は、特急料金は不要で所要時間は107分です。「秩父」はとても快適ですが、留学生や技能実習生には、「30分だけの違いなら快速急行を使おう」という人も多いのではないでしょうか。
京王線の特急(追加料金不要)
首都圏の鉄道各社の列車の種類と速さ、追加料金の有無などについて、私の体験を交えて紹介しました。首都圏の電車は他の地域より本数や行先などがずっと多いため、慣れた人には便利ですが、初心者や外国人は混乱してしまいます。そのため、Google Mapなどの乗り換え案内アプリを利用して行先までの運賃や特急料金、所要時間などを事前に確認するとよいでしょう。また、列車の停車駅は駅のホームの案内板でも表示されるので、チェックしてみてください。
もし、その列車に乗ると追加料金がいるかどうか分からないときは、車両の外観である程度判断しましょう。「ほかの列車より座席が豪華でゆったりとしている」「車両のデザインがおしゃれ」などの特徴がある列車は、もしかすると追加料金が必要な列車かもしれませんので、ちょっと注意してくださいね。
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