体験談(留学・高度)
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今回の先輩
ホアン・ティ・ザンさん
1997年生まれ、ゲアン省出身
2015年 5月 Le Hong Phong高校卒業
2015年 9月 環太平洋大学次世代教育学部入学
2019年 9月 環太平洋大学次世代教育学部卒業
2019年 10月 シューワキャリアパワー 入社
ホアン・ティ・ザンさん
1997年生まれ、ゲアン省出身
2015年 5月 Le Hong Phong高校卒業
2015年 9月 環太平洋大学次世代教育学部入学
2019年 9月 環太平洋大学次世代教育学部卒業
2019年 10月 シューワキャリアパワー 入社
はじめに
たくさんのベトナム人技術者を雇う大阪の会社でベトナム人の採用や在留資格(ビザ)の取得・更新手続きを担当するザンさん。日本人と円滑にコミュニケーションできる会話力に加え、仕事への真面目な取り組みが評価されている。まだ新入社員だが貴重な戦力として会社に貢献するザンさんの充実した留学生活を、本人の体験談で振り返る。
留学のきっかけ
高校3年のとき、高校で岡山県の環太平洋大学の留学説明会がありました。数日後に行われた同大学の試験を受けた結果、学費(年80万円)の半分を4年間免除される資格を得られたため、留学を決意しました。先進国の日本で留学し日本で就職したいと思ったのと、母が応援してくれたからです。
留学にかかった費用は約300,000,000 VND(ベトナム・ドン、約138万円)で、渡航費や1年分の学費、半年分の寮費、当面の生活費を除くと、留学あっせん業者に80,000,000~100,000,000 VNDの手数料を支払った計算になります。留学中は勉強中心でアルバイトは制限時間内にとどめたので、実家への仕送りはできませんでしたが、日本で就職してから毎月送金しています。
日本語の勉強
留学が決まってから、地元の日本語センターで2カ月間だけ勉強しましたが、もちろんそれでは足りません。日本語がほぼできない状態で2015年9月に訪日し、環太平洋大学に入りました。最初の半年間は寮(2人1室)に住み、大学でも寮でも日本語の勉強に専念しました。その結果、半年で日本語能力試験(JLPT)N3のレベルになりました。
大学の日本語の授業も徐々に内容が分かるようになりました。また、最初は大学の紹介で食品工場でアルバイトをしましたが、会話力がついたので居酒屋に採用され、卒業まで3年半働きました。お客さんから注文を聞いたほか、休憩時間や終了後に日本人のアルバイト仲間とたくさん話をし、日本語が上達しました。
JLPT受験の教材は「新完全マスター」シリーズ(文法、語彙)を重宝しました。ヒアリングは実生活とYou Tubeのさまざまな学習番組で鍛え、訪日から約2年でN2に合格しました。工夫した点は、漢字やフレーズを紙に書き、声を出して覚える▽新しく覚えた単語や文法を実際の会話ですぐに使う▽使い方や意味が分からなければ日本人に聞く▽mazziなどのアプリも活用する――といったことでした。
日本での生活
私はアルバイトで遅く帰宅した翌朝も授業には遅れず、居眠りもしませんでした。時間のある時は大学の図書館でベトナム人仲間と一緒に自習もしました。
長時間アルバイトをして実家に送金する人もいますが、私は「就職してから送金します」と母に約束し、1週28時間という法律の枠内にとどめました。毎月の給料は8~9万円で、ときどき親からの仕送りを足して学費と生活費をまかないました。3、4年生のときは技能実習の受入組合の通訳の仕事も不定期にあり、時給1,500~3,000円もらえたので、親の援助は受けなくて済むようになりました。
私の家計簿(1カ月の平均)
※100円=21,749 VND(2020年4月23日現在)
収入(合計115,000円~130,000円)
アルバイト2件(飲食店、通訳) | 合計115,000 円~130,000円 ※居酒屋(時給950円):80,000~90,000円 ※通訳(時給1,500~3,000円):30,000~50,000円 |
支出(合計108,500円~115,500円)
家賃 | 27,000円 ※1人暮らし、ワンルーム ※水道・Wi-Fi込み |
授業料 | 50,000円 ※授業料(半額)+設備費など |
光熱費 | 5,000~7,000円 ※電気・ガスの合計 |
携帯電話 | 1,500円 ※LINEモバイル |
食費 | 20,000円 ※週3回はバイト先の飲食店で格安のまかないを食べた |
雑費 | 5,000円~10,000円 ※衣類、学習教材、交通費など |
毎月の差額・貯金(平均5,000~15,000円)
※大学の試験などでアルバイトがあまりできないときは、貯金を取り崩して生活。運転免許証取得など緊急の出費には親が援助。
※実家への仕送りはなし。ベトナムへの一時期国(4年間で2回)や就職活動などの資金は、長期休暇時に毎週40時間働いて貯金した。
さまざまな経験
授業や本からの知識だけでは広がりがないので、さまざまな活動にも参加しました。3、4年のときは学園祭でゼミ仲間と出店を出しました。卒業式などのスタッフも引き受け、後輩の留学生が来るときに先生と一緒に関西空港に出迎えるボランティアもやりました。大学の募集に応じて地元の小学生との交流会にも参加しました。
受入組合のアルバイトの求人は少なかったのですが、1度通訳を担当すると、「次回からも頼みたい」と言われ、通訳以外に、訪日したばかりの技能実習生たちに日本の習慣などを教える講師を任されたこともあります。受入組合に付き添ってさまざまな会社を訪問し、先方の仕事内容に応じた日本語を使ったので、言葉の面でも勉強になりました。
就職活動
就職活動(就活)は苦しい活動ですが、大学が留学生の就活のケアをしっかりやってくれました。学内に留学生の就活をサポートする組織もあり、私たち留学生も日本人と同じようにインターンシップに参加できましたし、会社説明会(合同・単独)にもたくさん参加できました。また、担当の先生がとても親切でした。
3年生の夏休みには、岡山県内の機械工場で2週間インターンをしました。ベトナム人技能実習生が十数人いて管理する人材が必要なため、「卒業後に、よかったらうちに来ませんか」と声もかけていただきました。4年生になって、さまざまな会社説明会に参加し、3社から内定をいただきました。
今の仕事と生活
現在勤務している「シューワキャリアパワー」(本社・大阪府堺市)はベトナム人のエンジニアを直接雇用して自社でも使用し、取引先にも派遣しています。社員の待遇は日本人と同じで、寮費も会社が半額を負担してくれます。私の仕事は、最初は通訳・翻訳が中心で、今は、人材開発(ベトナム人社員の採用や在留資格取得・更新手続きなど)に比重が移りました。ベトナム人社員や取引先とのやり取りがたくさんあり、やりがいのある仕事です。
同じ大学のベトナム人仲間が私を含め大阪で4人働いているので、休日には彼女たちと出かけることもあります。また、自宅で日本語の勉強も続けています。
これから留学する皆さんに
私は日本に来て4年間学び、会社に就職して半年以上経ちました。その間に日本語を覚えただけではなく、たくさんの経験を積み、ベトナムにいたころの自分と比べて大きく成長できたように感じています。
親と離れてアルバイトをしながら生活し、自立心が育ちました。外国人の友だちもたくさんでき、世界が広がりました。また、勤務先は外国人を大切にしてくれますし、気さくな人が多いので、働きやすい職場です。日本に来てよかった、この会社に就職できてよかったと感じています。これから日本に来る後輩の留学生の方々も日本でたくさんの勉強と経験を積み、世界を広げていただけたらと思います。
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留学生の就活体験記_01(2022年卒業)
岡山の私立大学を卒業し今年から日本で働くザンさんは4年間授業料無料の特待生でしたが、新型コロナの影響で就職活動には苦戦しました。しかし、模範的な就活を続けたため、最後は希望に合った企業から内定をもらえました。日本で就職したい留学生向けに彼女の模範的な就活ノウハウを紹介します。 まずは自己分析からスタート 私が就職活動(就活)の準備を始めたのは大学3年の始めごろです。 ・大学の「キャリアデザイン」の授業で、就活の準備や流れについて学習 ・自分に合った仕事を考えるために、まず自己分析。マイナビの適性診断を参考に先生と相談。 マイナビの適正診断の結果、「コミュニケーション力が高い」などの結果が出ました。ただし、この診断で選ぶ回答には自分に当てはまるものがない場合もあり、分析に限界があります。そこで、結果を参考にして大学の先生と何度か面談し、自己分析を仕上げていきました。その過程で、どのような仕事につきたいかがわかってきたので、次に業界や企業について調べました。 大学のサポート 私の通った環太平洋大学(IPU)は手厚い就活サポートをしてくれました。2年生のときから就活に関する授業が始まり、就活が終わるまでフォローしてくれました。IPUが留学生にしてくれたことを紹介します。 ・就活の基礎知識の授業 ・先生が学生の自己分析をサポート(大学3年) ・先生が学生の個別相談に応じ、履歴書を一緒に作成(大学3年) ・会社説明会や留学生を採用している企業の情報を学生に配信 ・何度も面接練習(ビデオ電話も利用) ・いつでも相談に対応 エントリーシートや履歴書は「学生時代に力を入れたこと」や「自己PR」を重点的に書き、3年生の11月までに仕上げました。履歴書に関する授業もありましたが、履歴書を完成させるまでにキャリアセンターの先生に4回、個別指導もしてもらいました。 私の就活スケジュール 3年生の3月以降は合同説明会があり、たくさん参加しました。エントリーシートは約20社(マイナビから10社、リクナビから10社)に出しました。そのうち約80%は小売業で、残りはベトナムに拠点を持つ会社でした。 このうち書類選考をパスして面接に進めたのは約10社でした。1社落ちたら新たに1社エントリーするようにしました。そして、その会社のことをよく研究し、面接で聞かれる質問を考えて一生懸命練習しました。面接練習は大学の先生にも手伝ってもらいました。 会社の業務内容については次のような手段で調べました。 ・マイナビやリクナビの就活サイト(会社情報) ・各社の公式サイト ・岡山県の会社については大学のキャリアセンター(サイトよりくわしい) また、大学が主催する合同説明会(4回)や岡山県の団体が主催する合同説明会もありました。説明会の多くが新型コロナの影響でオンラインで開催されました。 留学生を採用する企業 私はたくさんエントリーシートを出すのではなく、その会社が留学生を採用する意欲を調べてから出すようにしました。留学生の採用予定がない企業に応募しても、ほぼ100%不合格になり、不採用の連絡が続くと自分が落ち込んでしまうからです。留学生の採用意欲については、次のようなことに注意して調べました。 ・就活サイトの会社情報ページに「留学生積極採用」というタグが付いていることがある。 ・会社情報ページの採用実績欄に留学生の採用実績を記している会社もある。 ・新卒採用の多い会社なら、留学生限定の説明会を開催することもある。 ・大学のキャリアセンターが、留学生を積極的に採用している企業を把握している場合がある。 内定 面接のため新幹線で東京へ(左)、面接の際に撮影した社内風景 私は約20社にエントリーシートを出して約10社の面接を受け、2社から内定をいただきました。最初に内定をいただいたのはスーパーマーケットの会社です。そのときの内定までの流れを紹介します。 ・マイナビのサイトからエントリーして説明会に参加(4月末) ・説明会から1週間以内に履歴書を郵送(書類選考) ・オンラインで一次面接(5月上旬) ・対面で最終面接(5月中旬) ・内定連絡(5月末) その後も就活を続け、11月に東神開発という高島屋の子会社から内定を頂きました。商業ビルの管理が主な仕事ですが、昔からベトナムでショッピングモール開発なども行っており、私は将来はベトナムで働く可能性もあります。 この会社については、マイナビに登録した私の情報を見たマイナビグローバルという会社が、非公開の求人票(大卒ベトナム人限定)を送ってきてくれたのが応募のきっかけでした。 同社に決めたのは、仕事内容と会社の雰囲気からです。就活では各社の人事や幹部の方々と接する機会がありますが、その方々と一緒に働きたいと思えるかどうかも企業選びのポイントだと思います。 新型コロナの影響 大学でオンライン企業説明会に参加 新型コロナの影響で一番大変だったことは、不景気で採用が厳しかったことです。就活が終わってからキャリアセンターの先生も言っていましたが、今回は全体的にかなり厳しい就活だったそうです。TOEIC満点の同級生2人もかなり苦戦していました。 また、会社説明会や面接がオンラインで行われることが多く、友だちと一緒に行動することが少ないので、孤独におちいりがちでした。そこで、IPUは大学に学生を集め、オンライン合同説明会を一緒に受けられるようにしてくれました。私はこれに参加して先生や友だちと話をし、気分転換や情報交換をすることができました。 ところで、オンラインの説明会が多かったので、たくさんの説明会に参加できたのはよい点でした。「今日は東京の会社の説明会に参加し、明日は大阪の会社の説明会に参加する」といったこともオンラインなら時間的にも費用的にも負担が少なく、助かりました。 まとめとアドバイス これから本格的に就活をする後輩の皆様に、私が就活を終えて感じたことを紹介します。 資格 私は履歴書に書ける資格としては、日本語能力試験(JLPT)N1、ビジネス日本語能力テスト(BJT)J2、TOEIC 860点だけでした。 就活中に感じたことは、日本語の資格が非常に重視されるということです。ほかの資格をたくさん取るよりも、できれば大学3年の冬までにN1(難しければN2)を取っておくことをお勧めします。また、BJTも多くの企業に知られていたので、受けてよかったと思いました。 私はベトナムの高校で英語を集中的に学習しTOEICのスコアは860でしたが、就活ではそれほど重視されなかったように感じました。 納得するまであきらめないで 私は一つ目の内定を4年生の5月に、二つ目を11月にもらい、2番目の会社を選びました。最初に内定をいただいたのは、第一希望の会社に最終面接で不採用となり、落ち込んでいたときでした。就職先を決めた友だちも増え始め、あせりもあったので、まだ納得していないのに、その会社に決めようかとも思いました。 しかし、一つ内定をもらったからこそ、別の会社にも積極的にチャレンジできると思い、納得できるまで就活を続けることにしました。11月に内定をもらった会社については、とても縁を感じています。 私は一つ目の内定を4年生の5月に、二つ目を11月にもらい、2番目の会社を選びました。最初に内定をいただいたのは、第一希望の会社に最終面接で不採用となり、落ち込んでいたときでした。就職先を決めた友だちも増え始め、あせりもあったので、まだ納得していないのに、その会社に決めようかとも思いました。 しかし、一つ内定をもらったからこそ、別の会社にも積極的にチャレンジできると思い、納得できるまで就活を続けることにしました。11月に内定をもらった会社については、とても縁を感じています。 皆さんも、あせりや心の疲れに負けそうになるときがあるかも知れませんが、自分が納得できるまであきらめずに就活を続けてください。そして、学校の先生や友だちに遠慮せずに相談し頼ることで、お互いに支え合って就活を乗り切っていただければと思います。がんばってください。
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Vol. 47 さくら親善大使の素顔は努力家の才媛
今回の先輩 チャン・ジエウ・アインさん 2011年グエンジャティエウ高校卒業〈ハノイ〉 2011年ハノイ国家大学・人文社会科学大学東洋研究部日本研究科入学 2013年東京大学留学(10カ月) 2016年ハノイ国家大学・日越大学地域研究部日本研究科(大学院)入学 2017年東京大学留学(4カ月) 2018年日系損保会社入社〈ハノイ〉 2020年商社入社〈東京〉 〈1993年生まれ、ハノイ市出身〉 ハノイの大イベントで「さくら親善大使」に選ばれたアインさん。華やかなイメージだけではなく、日本語も英語も流ちょうに話す。大学院を経て日本の商社に就職し、現在は東京で働く。外国語を身に付けるある方法や採用面接の準備の仕方など、学歴を問わずあらゆる留学生や留学希望者の役に立つ勉強や就職活動のノウハウを、アインさんが紹介する。 ハノイ市内で〈2017年〉 〈このページの内容〉 • さくら親善大使 • 大学でトップの成績 • 東京での留学生活(私の家計簿) • ハノイの日系企業に就職 • 就職活動:自己負担ゼロで海外面接 • 就職活動:面接前にすべき3つのこと • 就職活動:実際の面接で聞かれたこと • その日に習ったことをその日に覚える • 自分に日本語で話しかける • アルバイトでも日本語上達 • 日本のここが好き • 商社の仕事 さくら親善大使 さくら親善大使に選出〈2019年3月〉 ハノイで2年に1度、ハノイ市や在ベトナム日本国大使館、AICグループが「さくら親善大使」を選びます。私は大学院生だった2019年、日本大使館勤務の大学の先輩から依頼され、応募しました。私はこういう華やかな世界とは無縁だと思っていたので、義理だけで応募し、気楽に参加できました。また、書類選考や面接で残ったトップ15人の中で日本語力に関しては私が有利だったので、最後までリラックスして臨めました。 ただ、最後に残った5人の中で私の身長(162㌢)が一番低く、慣れない12㌢のヒールの靴をはいて歩くのが大変でした。他の参加者もハイヒールだったので、結局、身長差は縮まらなかったのですが……。その後、思いがけずグランプリに選ばれ、とても驚きました。こうして選ばれたおかげで、訪日して首相をはじめ要人の方々とお会いする機会をいただきました。また、さまざまな日越交流イベントに司会やゲストとして招かれました。 準グランプリの女性と私〈2019年〉 日本関係のイベントで当時の日本大使ご夫妻と〈ハノイで2019年〉 大学でトップの成績 大学の仲間と食事会〈2016年〉 一方、大学では、日本の政治・経済や外交、文化などを勉強しました。2年のときのGPA(Grade Point Average)は3.82(満点4.00)で研究科トップ、卒業時は2番でした。成績が認められ、3年のときにAIKOMという交換留学プログラムで東京大学に約10カ月間、留学しました。東大では、英語での授業(総合日本研究、日本文化分析など)と日本語に関する授業がありました。 東京での留学生活 東大では授業料を免除され、大学の寮に住みました。また、佐藤陽国際奨学財団から毎月10万円の奨学金を受給したほか、アルバイトを3つ経験しました。 ・牛丼店(2カ月間勤務)…Facebookの求人広告 ・日本語学校(2カ月間勤務、通訳とベトナム人学生のサポート)…Facebookの求人広告 ・別の日本語学校(週1回、約8カ月間勤務)…妹の留学先。先方から勧誘。 留学中は、AIKOMの英語授業を一緒に受けた東大生や訪日前にハノイで知り合った東京の私大生たちと交流しました。寮で部屋が隣だった中国人留学生とは、よく一緒に外食や買い物、旅行に行きました。同じ奨学金を受給していたベトナム人仲間や妹の留学生仲間とも行動を共にしました。 留学中に奨学金受給者の集まりで友だちになった日本人〈ハノイで2017年〉 私と同時期に日本留学中だった妹(中央)やその友人と東京観光〈2014年〉 私の家計簿(1カ月の平均) ※100円= 22,161 VND(2020年12月3日現在) 収入(合計14,000円) 奨学金 100,000円 アルバイト1件 40,000円 ※長期休暇時以外は1件のみ 支出(合計93,500円~103,500円) 家賃 10,000円 ※大学の寮(ワンルーム) 水道・光熱費 5,000円 ※電気・ガス・水道の合計 インターネット 2,500円 ※寮の定価 携帯電話 6,000円 食費 30,000円 ※主に自炊 雑費 40,000円~50,000円 ※衣類、学習教材、交通費など 差額・貯金(平均約40,000円) 差額 40,000円 ※旅行などに利用 寮の自室からの眺め〈2013年11月〉 留学後もときどき日本を訪問〈鎌倉で2016年〉 ハノイの日系企業に就職 当時の天皇・皇后両陛下に謁見〈ハノイで2017年〉 大学の最後の年、日本の大手航空会社から採用内定をいただきました。両親は喜びましたが、大学教授の勧めで大学院に進むことに決め、内定を辞退しました。大学院の授業料は免除され、修士2年の2017年には、訪越中の当時の天皇・皇后両陛下や安倍晋三首相に日越大学の学生代表としてお会いさせていただきました。また同年、大学院のカリキュラムで再び東大に4カ月間、留学できました。 就職後も「さくら親善大使」として日越交流イベントに参加〈ホイアンで2019年8月〉 しかし、企業で働きたいという思いを捨てきれず、修士課程在学中、人材会社の紹介で日本の大手損保の現地法人に就職しました。法人顧客を担当し、やりがいがありましたが、仕事で日本語をあまり使いませんでした。そこで、もっと日本語を使って上達するために日本で働くことにしました。 2回目の留学中に東京で大雪〈寮の庭で2018年1月〉 就職活動:自己負担ゼロで海外面接 ここからは、私が日本での仕事をどうやって得たかを紹介します。皆様の参考になれば幸いです。 大学時代に航空会社から内定をいただいたきっかけはConnect Job JAPAN主催のジョブフェアでした。書類選考で選ばれてシンガポールで面接を受け、次の面接を日本で受けました。両国への渡航費は主催者や企業がすべて負担してくれました。この企画に参加するには一定の英語力か日本語力が必要でした。 今の仕事は日経HRのジョブフェアで見つけました。書類選考と同社の面接で参加を認められ、2019年8月、東京でのジョブフェアに参加し、今の勤務先から内定をいただきました。日本語力を生かして働くなら、日本で働く方がポストも多く、給料もよいと思います。また、ジョブフェアを利用すれば、自己負担なしで外国で面接を受けられます。 就職活動:採用面接前にすべき3つのこと 私は以前、日本人ビジネスマンから採用面接での心構えを教えてもらい、それをヒントにしっかり準備をしました。その手順はこうです。 ❶自分は何をやりたいか、どの会社でそれができるかを考える。 ❷その企業が求める人物像を調べる。インターネット、先輩、知り合いなどから情報を集める。 ❸企業のビジョンや経営方針、事業内容からキーワードを見つけ、自分のエピソードと結びつける。 ※自分の長所・短所・やりたいことなどを分析し、企業ビジョンと合致している部分について面接でアピールする。その際、自分の経験やエピソードも交えて話す。 就職活動:実際の面接で聞かれたこと さくら親善大使の選考会に参加したメンバーと横浜観光〈2019年9月〉 商社の面接で実際に聞かれたことは▽自分の長所・短所▽なぜこの会社で働きたいのか▽具体的にどのような仕事をしたいか▽10年後のキャリア――などでした。私は知人から「商社では銀行と違って積極的な性格を売り込んだ方がよい」と助言されていたので、「アフリカの僻地で空港を作りたい」という夢を、この商社の事業と関連づけながら話しました。私の話の内容だけではなく、話し方や意気込み、バックボーンなども見られたのではないかと思います。ちなみに、この会社の最初の2回の面接は英語、最終面接は日本語でした。 その日に習ったことはその日に覚える 私は日本語能力試験(JLPT)N1です。私はアニメ「銀魂」の登場人物の性格や考え方が好きで日本に興味を持ち、大学で初めて日本語を勉強しました。外国語大学と比べて日本語の授業は少なかったのですが、私は授業の復習に力を入れ、その日に習ったことはその日のうちに覚えました。そして、試験のときにまた復習しました。こうすると、学んだことが頭に定着します。 また、日本語の勉強を兼ねてアニメ動画(音声・日本語、字幕・ベトナム語)もよく見ました。漫画本を読んでストーリーを覚えているので、なるべく音声に集中しました。 自分に日本語で話しかける 年に2、3回、私の大学で東京の大学生たちと一緒に研究をし、一緒に日本語で発表する取り組みがありました。東京に留学した際も彼らと交流し、日本語を使う機会を増やしました。東大の日本語の授業も役立ちました。外国語の上達はネイティブ・スピーカーと話すことで早まると思います。 また、私はよく日本語で自分に話しかけました。その日のできごとを自分に話して聞かせ、それに対して自分で質問したり、その質問に自分で答えたりします。これをすべて日本語で行い、学んだばかりの単語や文法を用います。言葉は使わなければ忘れてしまいます。英語もこの手法で身に付けました。 アルバイトでも日本語上達 アルバイトで貯めたお金で高校での親友とタイに旅行〈プーケットで2018年〉 交換留学が終わってから就職するまで4年間、私はハノイで日本人にベトナム語を教えました。日本語を使いながら教えるので、私の日本語も上達しました。最初は教室だけで教えましたが、途中から家庭教師もしました。相手はJICA、JETROや企業の駐在員やご家族で、人間関係も広がりました。また、Facebookで見つけた通訳のアルバイトもしました。イベントでの通訳が多く、家庭教師と合わせてよいアルバイト収入になりました。 日本のここが好き ベトナム人仲間で食事会〈東京で2020年9月〉 日本人の気遣いと「おもてなし」の精神が好きです。日本では、道路にほとんどゴミが落ちていませんし、電車内で大声で話す人もいません。お店でのサービスも粋です。例えば、買い物をして袋をもらわないとき、店員さんが商品にシールを貼ってくれますが、そのシールの端っこを折り曲げ、あとではがしやすいようにしてくれます。また、日本では飲食店で自席にかばんを置いてトイレに行く人がたくさんいます。だれもかばんを盗まないからです。電車内にものを置き忘れても、鉄道会社に連絡すると帰ってくるケースがよくあります。 商社の仕事 英語を話せるので、日本の次に好きな米国での就職も考えましたが、日本文化の高尚さにひかれて日本を選びました。また、前の職場の同僚が以前働いていた米国系企業である日突然、大量解雇があり、その日に出勤停止になったそうです。日本企業なら事前通告が通例です。雇用慣習でも日本企業に利があると考えました。 私は現在、ベトナムでのDX(デジタルトランスフォーメーション)事業を担当しています。仕事で使う言葉は主に日本語で、日本人と現地のベトナム人が一緒に話す場面では英語を使います。将来、仕事を通じてベトナムの社会課題の解決ができればと希望しています。2020年11月下旬からはベトナムへの長期出張もあり、やりがいを感じて仕事をしています。 今回の先輩 Trần Diệu Anh(チャン・ジエウ・アイン)さん 2011年NGUYỄN GIA THIỀU高校卒業〈ハノイ〉 2011年ハノイ国家大学・人文社会科学大学東洋研究部日本研究科入学 2013年東京大学留学(10カ月) 2016年ハノイ国家大学・日越大学地域研究部日本研究科(大学院)入学 2017年東京大学留学(4カ月) 2018年日系損保会社入社〈ハノイ〉 2020年商社入社〈東京〉 〈1993年生まれ、ハノイ市出身〉 ハノイの大イベントで「さくら親善大使」に選ばれたアインさん。華やかなイメージだけではなく、日本語も英語も流ちょうに話す。大学院を経て日本の商社に就職し、現在は東京で働く。外国語を身に付けるある方法や採用面接の準備の仕方など、学歴を問わずあらゆる留学生や留学希望者の役に立つ勉強や就職活動のノウハウを、アインさんが紹介する。 ハノイ市内で〈2017年〉 〈このページの内容〉 • さくら親善大使 • 大学でトップの成績 • 東京での留学生活(私の家計簿) • ハノイの日系企業に就職 • 就職活動:自己負担ゼロで海外面接 • 就職活動:面接前にすべき3つのこと • 就職活動:実際の面接で聞かれたこと • その日に習ったことをその日に覚える • 自分に日本語で話しかける • アルバイトでも日本語上達 • 日本のここが好き • 商社の仕事 さくら親善大使 ハノイで2年に1度、ハノイ市や在ベトナム日本国大使館、AICグループが「さくら親善大使」を選びます。私は大学院生だった2019年、日本大使館勤務の大学の先輩から依頼され、応募しました。私はこういう華やかな世界とは無縁だと思っていたので、義理だけで応募し、気楽に参加できました。また、書類選考や面接で残ったトップ15人の中で日本語力に関しては私が有利だったので、最後までリラックスして臨めました。 ただ、最後に残った5人の中で私の身長(162㌢)が一番低く、慣れない12㌢のヒールの靴をはいて歩くのが大変でした。他の参加者もハイヒールだったので、結局、身長差は縮まらなかったのですが……。その後、思いがけずグランプリに選ばれ、とても驚きました。こうして選ばれたおかげで、訪日して首相をはじめ要人の方々とお会いする機会をいただきました。また、さまざまな日越交流イベントに司会やゲストとして招かれました。 さくら親善大使に選出〈2019年3月〉 準グランプリの女性と私〈2019年〉 日本関係のイベントで当時の日本大使ご夫妻と〈ハノイで2019年〉 大学でトップの成績 一方、大学では、日本の政治・経済や外交、文化などを勉強しました。2年のときのGPA(Grade Point Average)は3.82(満点4.00)で研究科トップ、卒業時は2番でした。成績が認められ、3年のときにAIKOMという交換留学プログラムで東京大学に約10カ月間、留学しました。東大では、英語での授業(総合日本研究、日本文化分析など)と日本語に関する授業がありました。 大学の仲間と食事会〈2016年〉 東京での留学生活 東大では授業料を免除され、大学の寮に住みました。また、佐藤陽国際奨学財団から毎月10万円の奨学金を受給したほか、アルバイトを3つ経験しました。 ・牛丼店(2カ月間勤務)…Facebookの求人広告 ・日本語学校(2カ月間勤務、通訳とベトナム人学生のサポート)…Facebookの求人広告 ・別の日本語学校(週1回、約8カ月間勤務)…妹の留学先。先方から勧誘。 留学中は、AIKOMの英語授業を一緒に受けた東大生や訪日前にハノイで知り合った東京の私大生たちと交流しました。寮で部屋が隣だった中国人留学生とは、よく一緒に外食や買い物、旅行に行きました。同じ奨学金を受給していたベトナム人仲間や妹の留学生仲間とも行動を共にしました。 留学中に奨学金受給者の集まりで友だちになった日本人〈ハノイで2017年〉 私と同時期に日本留学中だった妹(中央)やその友人と東京観光〈2014年〉 私の家計簿(1カ月の平均) ※100円= 22,161 VND(2020年12月3日現在) 収入(合計14,000円) 奨学金 100,000円 アルバイト1件 40,000円 ※長期休暇時以外は1件のみ 支出(合計93,500円~103,500円) 家賃 10,000円 ※大学の寮(ワンルーム) 水道・光熱費 5,000円 ※電気・ガス・水道の合計 インターネット 2,500円 ※寮の定価 携帯電話 6,000円 食費 30,000円 ※主に自炊 雑費 40,000円~50,000円 ※衣類、学習教材、交通費など 差額・貯金(平均約40,000円) 差額 40,000円 ※旅行などに利用 寮の自室からの眺め〈2013年11月〉 留学後もときどき日本を訪問〈鎌倉で2016年〉 ハノイの日系企業に就職 大学の最後の年、日本の大手航空会社から採用内定をいただきました。両親は喜びましたが、大学教授の勧めで大学院に進むことに決め、内定を辞退しました。大学院の授業料は免除され、修士2年の2017年には、訪越中の当時の天皇・皇后両陛下や安倍晋三首相に日越大学の学生代表としてお会いさせていただきました。また同年、大学院のカリキュラムで再び東大に4カ月間、留学できました。 当時の天皇・皇后両陛下に謁見〈ハノイで2017年〉 しかし、企業で働きたいという思いを捨てきれず、修士課程在学中、人材会社の紹介で日本の大手損保の現地法人に就職しました。法人顧客を担当し、やりがいがありましたが、仕事で日本語をあまり使いませんでした。そこで、もっと日本語を使って上達するために日本で働くことにしました。 就職後も「さくら親善大使」として日越交流イベントに参加〈ホイアンで2019年8月〉 2回目の留学中に東京で大雪〈寮の庭で2018年1月〉 就職活動:自己負担ゼロで海外面接 ここからは、私が日本での仕事をどうやって得たかを紹介します。皆様の参考になれば幸いです。 大学時代に航空会社から内定をいただいたきっかけはConnect Job JAPAN主催のジョブフェアでした。書類選考で選ばれてシンガポールで面接を受け、次の面接を日本で受けました。両国への渡航費は主催者や企業がすべて負担してくれました。この企画に参加するには一定の英語力か日本語力が必要でした。 今の仕事は日経HRのジョブフェアで見つけました。書類選考と同社の面接で参加を認められ、2019年8月、東京でのジョブフェアに参加し、今の勤務先から内定をいただきました。日本語力を生かして働くなら、日本で働く方がポストも多く、給料もよいと思います。また、ジョブフェアを利用すれば、自己負担なしで外国で面接を受けられます。 就職活動:採用面接前にすべき3つのこと 私は以前、日本人ビジネスマンから採用面接での心構えを教えてもらい、それをヒントにしっかり準備をしました。その手順はこうです。 ❶自分は何をやりたいか、どの会社でそれができるかを考える。 ❷その企業が求める人物像を調べる。インターネット、先輩、知り合いなどから情報を集める。 ❸企業のビジョンや経営方針、事業内容からキーワードを見つけ、自分のエピソードと結びつける。 ※自分の長所・短所・やりたいことなどを分析し、企業ビジョンと合致している部分について面接でアピールする。その際、自分の経験やエピソードも交えて話す。 就職活動:実際の面接で聞かれたこと 商社の面接で実際に聞かれたことは▽自分の長所・短所▽なぜこの会社で働きたいのか▽具体的にどのような仕事をしたいか▽10年後のキャリア――などでした。私は知人から「商社では銀行と違って積極的な性格を売り込んだ方がよい」と助言されていたので、「アフリカの僻地で空港を作りたい」という夢を、この商社の事業と関連づけながら話しました。私の話の内容だけではなく、話し方や意気込み、バックボーンなども見られたのではないかと思います。ちなみに、この会社の最初の2回の面接は英語、最終面接は日本語でした。 さくら親善大使の選考会に参加したメンバーと横浜観光〈2019年9月〉 その日に習ったことはその日に覚える 私は日本語能力試験(JLPT)N1です。私はアニメ「銀魂」の登場人物の性格や考え方が好きで日本に興味を持ち、大学で初めて日本語を勉強しました。外国語大学と比べて日本語の授業は少なかったのですが、私は授業の復習に力を入れ、その日に習ったことはその日のうちに覚えました。そして、試験のときにまた復習しました。こうすると、学んだことが頭に定着します。 また、日本語の勉強を兼ねてアニメ動画(音声・日本語、字幕・ベトナム語)もよく見ました。漫画本を読んでストーリーを覚えているので、なるべく音声に集中しました。 自分に日本語で話しかける 年に2、3回、私の大学で東京の大学生たちと一緒に研究をし、一緒に日本語で発表する取り組みがありました。東京に留学した際も彼らと交流し、日本語を使う機会を増やしました。東大の日本語の授業も役立ちました。外国語の上達はネイティブ・スピーカーと話すことで早まると思います。 また、私はよく日本語で自分に話しかけました。その日のできごとを自分に話して聞かせ、それに対して自分で質問したり、その質問に自分で答えたりします。これをすべて日本語で行い、学んだばかりの単語や文法を用います。言葉は使わなければ忘れてしまいます。英語もこの手法で身に付けました。 アルバイトでも日本語上達 交換留学が終わってから就職するまで4年間、私はハノイで日本人にベトナム語を教えました。日本語を使いながら教えるので、私の日本語も上達しました。最初は教室だけで教えましたが、途中から家庭教師もしました。相手はJICA、JETROや企業の駐在員やご家族で、人間関係も広がりました。また、Facebookで見つけた通訳のアルバイトもしました。イベントでの通訳が多く、家庭教師と合わせてよいアルバイト収入になりました。 アルバイトで貯めたお金で高校での親友とタイに旅行〈プーケットで2018年〉 日本のここが好き 日本人の気遣いと「おもてなし」の精神が好きです。日本では、道路にほとんどゴミが落ちていませんし、電車内で大声で話す人もいません。お店でのサービスも粋です。例えば、買い物をして袋をもらわないとき、店員さんが商品にシールを貼ってくれますが、そのシールの端っこを折り曲げ、あとではがしやすいようにしてくれます。また、日本では飲食店で自席にかばんを置いてトイレに行く人がたくさんいます。だれもかばんを盗まないからです。電車内にものを置き忘れても、鉄道会社に連絡すると帰ってくるケースがよくあります。 ベトナム人仲間で食事会〈東京で2020年9月〉 商社の仕事 英語を話せるので、日本の次に好きな米国での就職も考えましたが、日本文化の高尚さにひかれて日本を選びました。また、前の職場の同僚が以前働いていた米国系企業である日突然、大量解雇があり、その日に出勤停止になったそうです。日本企業なら事前通告が通例です。雇用慣習でも日本企業に利があると考えました。 私は現在、ベトナムでのDX(デジタルトランスフォーメーション)事業を担当しています。仕事で使う言葉は主に日本語で、日本人と現地のベトナム人が一緒に話す場面では英語を使います。将来、仕事を通じてベトナムの社会課題の解決ができればと希望しています。2020年11月下旬からはベトナムへの長期出張もあり、やりがいを感じて仕事をしています。
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留学前にこれをやろう part_2
留学前にこれをやろう part_2 1.日本人主催のボランティア活動 2.越日学生会議(VJSC) 3.日越親友会(学習サークル) 4.ドラマ・アニメ・ニュース 5.自宅で1日3時間 6.まとめ 留学前にこれをやろう part_2 日本語能力試験(JLPT)N1・N2の先輩たちも最初はN5レベルの勉強から始めました。先輩たちの学習方法を参考に、あなたも高い日本語力を身に付け、キャリアアップにつなげましょう。また、留学する場合は、ベトナムでできるだけ日本語力を高めてから日本に行く方が、効果の高い留学ができます。 留学前にベトナムで日本語力を大きく伸ばした先輩たちの学習法をシリーズで紹介しています。今回は、ハノイの外国語大学で優秀な成績を上げた先輩が日本語の会話力を身に付けるために行ったさまざまな工夫について紹介します。 1. 日本人主催のボランティア活動 Lam sach dep Ho Guom voi NinomiyaのFBページより 私は大学で日本語を勉強し、1年間の交換留学もしました。今は日本語力を生かしてハノイの日系企業に勤務しています。しかし、留学するだけで日本語が話せるようになるわけではありません。私が大学時代に取り組んだ日本語学習のさまざまな方法を紹介します。 私は大学1、2年生のとき、月2回ほど、日曜日にハノイのホアンキエム湖の周りでゴミ拾いをするボランティア活動に参加しました。この活動は日本人が主催し、毎回20人以上のベトナム人と日本人が参加していました。 ゴミ拾いが終わると、みんなでコーヒーショップに行き、日本人はベトナム人に日本語を教え、ベトナム人は日本人にベトナム語を教えます。楽しく交流し、会話力がつきました。このグループは今も活動しています。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ]Lam sach dep Ho Guom voi Ninomiya 2.越日学生会議(VJSC) 越日学生会議“Vietnam Japan Student Conference (VJSC)”はハノイの大学生が参加できるクラブで、VJCC HanoiやJICAなどの支援で2007年に設立されました。ハノイ貿易大学に拠点があり、ベトナムと日本の大学生の交流を促進する活動を行っています。 私は大学1年のときにVJSCの交流プログラム(8カ月間)に参加しました。越日の学生10~20人が毎月2回ぐらい集まって交流するので、日本人と話しても緊張しなくなりました。日本人学生たちが観光するときにサポートしたり、彼らと一緒に越日の文化を紹介する資料を日本語で作成して発表したりしました。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ]越日学生会議(VJSC) 3.日越親友会(学習サークル) 大学1年のとき、「日越親友会」という学習サークルにも参加しました。これは、漢字、会話、文法、読解などに分かれてグループ学習をするサークルで、学費が安く、指導役の日本人もいました。私は苦手な漢字の力をつけたかったので、漢字グループに入って勉強しました。 また、このサークルで知り合った仲間とサークル活動以外でも一緒に日本語能力試験(JLPT)の勉強に取り組み、N3合格を目指しました。 4.ドラマ・アニメ・ニュース 今の時代、さまざまなオンライン・コンテンツも学習に不可欠ですね。私がお世話になったコンテンツは次の通りです。 ■ 日本のドラマやアニメ 音声は日本語、字幕はベトナム語。リスニング力が向上し、好きなセリフをまねることで発音もきれいになりました。 ■ You Tubeの学習チャンネル ■ 日本の歌 何かをしながら好きな日本語の歌を聴くこともあります。 ■ New Web Easy(NHK) やさしい日本語でニュースが書かれ、漢字にふりがなもついています。動画もあります。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ]News Web Easy 5.自宅で1日3時間 私は大学時代、家で1日3時間勉強しました。私のお勧めの教材を紹介します。 みんなの日本語 定番の入門書 「新完全マスター」シリーズ JLPT受験者に評価が高い。練習問題が多い。「読解」が特に人気。 「耳から覚える日本語能力試験」シリーズ 「語彙」が特に人気。CDやMP3もあり、聞きながら言葉を覚える。 「日本語総まとめ」シリーズ 「新完全マスター」と比べて練習問題は少ないが、毎日2ページずつ8週間で完成するプログラムで、独学でも続けやすい。 6.まとめ マインさんは大学で優秀な成績を収めましたが、日本語の会話力を身に付けるために、さまざまな機会を利用しました。マインさんの学習法の要点をもう一度振り返りましょう。 ✔︎ 日本人とベトナム人が交流するボランティア活動に参加✔︎ ハノイの大学生が参加できる交流プログラムを活用(VJSC)✔︎ 安価な学習サークルで学習✔︎ 学習サークルで知り合った仲間とグループ学習✔︎ インターネットラジオのニュースでリスニングの勉強✔︎ New Web Easy(NHK)の活用✔︎ 自宅で1日3時間学習 優秀な成績の背景には、このような地道な努力があるのですね。これを参考にあなたも日本語をしっかり学び、将来の目標のために役立ててください。 今回の先輩 Lỗ Thị Mạnh(ロ・ティ・マイン) 1997年生まれ、ハノイ市出身。2015年、ハノイ国家大学・外国語大学日本言語文化学部入学。2018年、明治大学に1年間交換留学(留学中にN2合格)。2020年、ハノイの日系IT企業に就職、大学卒業。
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ベトナムの常識・日本の非常識_17:日本企業が重視する「名もない仕事」とは?
日本の企業文化や仕事のマナーは世界でも一目置かれていますが、ベトナム人が日本で働くと最初はとまどうこともあります。日本の企業文化の中でも重要な「名もない仕事」とはなんでしょうか? また、「日本では家族より仕事の方が大事」というのは本当でしょうか? 「名もない仕事」 私はベトナムで16年間働き、その後、ここ3年間は日本のホテルで受付係として働きました。ベトナムでは、例えば、上司から「ウォーターサーバーのボトルを換えてきてください」と指示された場合、新しいボトルを持って行って空のボトルと交換すれば作業完了です。これを読んでいる皆さんも「ボトルを換えて」と言われて換えたのだからそれで終わりだと思うでしょう。 しかし、日本ではそれで作業完了ではありません。ボトルを交換するのは当然で、それに加えて、サーバーのトレイがぬれていいないか、ホルスターの紙コップは十分かなども確認しなければなりません。 もし、トレイがぬれていれば、日本人従業員なら自発的にぞうきんを持ってきてふき取り、ホルスターの紙コップが少なくなっていれば補充します。私はそういった仕事を「名もない仕事」と呼んでいますが、日本ではこのような「名もない仕事」もできる人が「仕事のできる人」として評価されます。 ぬれたトレイをふくことも、少なくなった紙コップを補充することも、お客様のためには必要なことで、いずれだれかがしなければなりません。ボトル交換を指示された従業員がそれに気付いて対処しなければ、上司が後で気付いて別の人に指示するか、紙コップがなくなってからお客様に指摘されてだれかが対応することになるでしょう。しかし、そうなる前に先に気付いて対応してくれる従業員がいれば、上司もお客様も助かります。これは日本の良い企業文化や仕事のマナーの一つだと思います。 それでは、日本人の多くはなぜそのような対処をできるのでしょうか? その一つは、日本の会社が「一つの仕事が他のどのような仕事とつながっているか」という業務の流れを従業員に包括的に教育していることが背景にあると思います。 また、日本では「一を聞いて十を知る」という言葉があります。一から十までだれかの指示を受けなければできないようでは半人前で、一つのことを聞いて関連する多くの事柄を学んだり、一つの指示を受けて関連業務も自分で考えて対処したりすることが大切だという考え方です。これは日本の職場で古くから使われている言葉で、日本の企業文化の重要な要素となっています。 日本では家族より仕事が大事? 「子どもの具合が悪いので、2時間ほど早く帰宅させてください」「子どもの学校の保護者会があるので、出社を遅らせてください」「母を病院に連れて行かなければならないので、会社を休ませてください」 このような会話はベトナムのオフィスではごく一般的です。私自身もベトナムで働いていたころは、子どものかかりつけの歯科が勤務時間内しか診療してなかったので、子どもを歯科に連れて行くためによく休みをいただきました。会社側も「家族は仕事よりも大事」という考え方で、家族に関連する遅刻や早退、休暇については気軽に認めてくれたものです。 しかし、日本では、家庭の事情で仕事を休んだり遅出・早退したりすることは、当たり前のこととは捉えられていません。日本のサラリーマンは「ひんぱんに欠勤したり遅出・早退したりすると出世に響く」と考える傾向があり、会社に相談する前に、親や友人に頼むなどできるだけ自分の出勤に影響を与えないように努力します。会社を急に休む人はあまりいません。 また、「所定の期限までに自分の仕事を完了させることは1人1人の責務」と考えることが一般的で、自分のやるべき仕事が定時に終わらなければ、終わるまで残業してから帰宅します。中には休日に仕事をする人もいます。こうした残業や休日労働に賃金が支払われないケースもあり、「サービス残業」と呼ばれて日本の長年の社会問題にもなっています。 このように、日本では「家庭より仕事が優先」という風潮が社会を長く支配してきました。これは日本の経済競争力の源にもなっていますが、バランスが必要だと指摘されています。 バランスを欠く例としては、私の娘が日本の小学校に通っていたとき、卒業式の準備が間に合わないため、担当の先生方が帰宅せず学校で2泊して作業を続けたことがありました。その先生の1人は娘の友人の母でしたが、そのとき、父親も仕事から早く帰ることができず、友人はコンビニ弁当を買って夕食を済ませるしかなかったそうです。 ただ、最近は「会社での出世や名誉より生活の充実の方が大事」と考える若者も増え、日本の企業文化も変容を迫られています。政府も「働き方改革」という施策を掲げ、働きやすい環境作りを推進しています。その結果、企業も有給休暇取得を奨励したり、早退などにも柔軟に対応したりするようになり、少しずつ変わってきてはいます。