わたしの体験

今回の先輩

チャン・ジエウ・アインさん
  • 2011年グエンジャティエウ高校卒業〈ハノイ〉
  • 2011年ハノイ国家大学・人文社会科学大学東洋研究部日本研究科入学
  • 2013年東京大学留学(10カ月)
  • 2016年ハノイ国家大学・日越大学地域研究部日本研究科(大学院)入学
  • 2017年東京大学留学(4カ月)
  • 2018年日系損保会社入社〈ハノイ〉
  • 2020年商社入社〈東京〉

〈1993年生まれ、ハノイ市出身〉

ハノイの大イベントで「さくら親善大使」に選ばれたアインさん。華やかなイメージだけではなく、日本語も英語も流ちょうに話す。大学院を経て日本の商社に就職し、現在は東京で働く。外国語を身に付けるある方法や採用面接の準備の仕方など、学歴を問わずあらゆる留学生や留学希望者の役に立つ勉強や就職活動のノウハウを、アインさんが紹介する。

ハノイ市内で〈2017年〉

さくら親善大使

さくら親善大使に選出〈2019年3月〉

ハノイで2年に1度、ハノイ市や在ベトナム日本国大使館、AICグループが「さくら親善大使」を選びます。私は大学院生だった2019年、日本大使館勤務の大学の先輩から依頼され、応募しました。私はこういう華やかな世界とは無縁だと思っていたので、義理だけで応募し、気楽に参加できました。また、書類選考や面接で残ったトップ15人の中で日本語力に関しては私が有利だったので、最後までリラックスして臨めました。

ただ、最後に残った5人の中で私の身長(162㌢)が一番低く、慣れない12㌢のヒールの靴をはいて歩くのが大変でした。他の参加者もハイヒールだったので、結局、身長差は縮まらなかったのですが……。その後、思いがけずグランプリに選ばれ、とても驚きました。こうして選ばれたおかげで、訪日して首相をはじめ要人の方々とお会いする機会をいただきました。また、さまざまな日越交流イベントに司会やゲストとして招かれました。

準グランプリの女性と私〈2019年〉

日本関係のイベントで当時の日本大使ご夫妻と〈ハノイで2019年〉

大学でトップの成績

大学の仲間と食事会〈2016年〉

一方、大学では、日本の政治・経済や外交、文化などを勉強しました。2年のときのGPA(Grade Point Average)は3.82(満点4.00)で研究科トップ、卒業時は2番でした。成績が認められ、3年のときにAIKOMという交換留学プログラムで東京大学に約10カ月間、留学しました。東大では、英語での授業(総合日本研究、日本文化分析など)と日本語に関する授業がありました。

東京での留学生活

東大では授業料を免除され、大学の寮に住みました。また、佐藤陽国際奨学財団から毎月10万円の奨学金を受給したほか、アルバイトを3つ経験しました。

・牛丼店(2カ月間勤務)…Facebookの求人広告

・日本語学校(2カ月間勤務、通訳とベトナム人学生のサポート)…Facebookの求人広告

・別の日本語学校(週1回、約8カ月間勤務)…妹の留学先。先方から勧誘。

留学中は、AIKOMの英語授業を一緒に受けた東大生や訪日前にハノイで知り合った東京の私大生たちと交流しました。寮で部屋が隣だった中国人留学生とは、よく一緒に外食や買い物、旅行に行きました。同じ奨学金を受給していたベトナム人仲間や妹の留学生仲間とも行動を共にしました。

留学中に奨学金受給者の集まりで友だちになった日本人〈ハノイで2017年〉

私と同時期に日本留学中だった妹(中央)やその友人と東京観光〈2014年〉

私の家計簿(1カ月の平均)

※100円= 22,161 VND(2020年12月3日現在)

収入(合計14,000円)
奨学金

100,000円

アルバイト1件

40,000円

※長期休暇時以外は1件のみ

支出(合計93,500円~103,500円)
家賃

10,000円

※大学の寮(ワンルーム)

水道・光熱費

5,000円

※電気・ガス・水道の合計

インターネット

2,500円

※寮の定価

携帯電話

6,000円

食費

30,000円

※主に自炊

雑費

40,000円~50,000円

※衣類、学習教材、交通費など

差額・貯金(平均約40,000円)
差額

40,000円

※旅行などに利用

寮の自室からの眺め〈2013年11月〉

留学後もときどき日本を訪問〈鎌倉で2016年〉

ハノイの日系企業に就職

当時の天皇・皇后両陛下に謁見〈ハノイで2017年〉

大学の最後の年、日本の大手航空会社から採用内定をいただきました。両親は喜びましたが、大学教授の勧めで大学院に進むことに決め、内定を辞退しました。大学院の授業料は免除され、修士2年の2017年には、訪越中の当時の天皇・皇后両陛下や安倍晋三首相に日越大学の学生代表としてお会いさせていただきました。また同年、大学院のカリキュラムで再び東大に4カ月間、留学できました。

就職後も「さくら親善大使」として日越交流イベントに参加〈ホイアンで2019年8月〉

しかし、企業で働きたいという思いを捨てきれず、修士課程在学中、人材会社の紹介で日本の大手損保の現地法人に就職しました。法人顧客を担当し、やりがいがありましたが、仕事で日本語をあまり使いませんでした。そこで、もっと日本語を使って上達するために日本で働くことにしました。

2回目の留学中に東京で大雪〈寮の庭で2018年1月〉

就職活動:自己負担ゼロで海外面接

ここからは、私が日本での仕事をどうやって得たかを紹介します。皆様の参考になれば幸いです。

大学時代に航空会社から内定をいただいたきっかけはConnect Job JAPAN主催のジョブフェアでした。書類選考で選ばれてシンガポールで面接を受け、次の面接を日本で受けました。両国への渡航費は主催者や企業がすべて負担してくれました。この企画に参加するには一定の英語力か日本語力が必要でした。

今の仕事は日経HRのジョブフェアで見つけました。書類選考と同社の面接で参加を認められ、2019年8月、東京でのジョブフェアに参加し、今の勤務先から内定をいただきました。日本語力を生かして働くなら、日本で働く方がポストも多く、給料もよいと思います。また、ジョブフェアを利用すれば、自己負担なしで外国で面接を受けられます。

就職活動:採用面接前にすべき3つのこと

私は以前、日本人ビジネスマンから採用面接での心構えを教えてもらい、それをヒントにしっかり準備をしました。その手順はこうです。

自分は何をやりたいか、どの会社でそれができるかを考える。

その企業が求める人物像を調べる。インターネット、先輩、知り合いなどから情報を集める。

企業のビジョンや経営方針、事業内容からキーワードを見つけ、自分のエピソードと結びつける。

※自分の長所・短所・やりたいことなどを分析し、企業ビジョンと合致している部分について面接でアピールする。その際、自分の経験やエピソードも交えて話す。

就職活動:実際の面接で聞かれたこと

さくら親善大使の選考会に参加したメンバーと横浜観光〈2019年9月〉

商社の面接で実際に聞かれたことは▽自分の長所・短所▽なぜこの会社で働きたいのか▽具体的にどのような仕事をしたいか▽10年後のキャリア――などでした。私は知人から「商社では銀行と違って積極的な性格を売り込んだ方がよい」と助言されていたので、「アフリカの僻地で空港を作りたい」という夢を、この商社の事業と関連づけながら話しました。私の話の内容だけではなく、話し方や意気込み、バックボーンなども見られたのではないかと思います。ちなみに、この会社の最初の2回の面接は英語、最終面接は日本語でした。

その日に習ったことはその日に覚える

私は日本語能力試験(JLPT)N1です。私はアニメ「銀魂」の登場人物の性格や考え方が好きで日本に興味を持ち、大学で初めて日本語を勉強しました。外国語大学と比べて日本語の授業は少なかったのですが、私は授業の復習に力を入れ、その日に習ったことはその日のうちに覚えました。そして、試験のときにまた復習しました。こうすると、学んだことが頭に定着します。

また、日本語の勉強を兼ねてアニメ動画(音声・日本語、字幕・ベトナム語)もよく見ました。漫画本を読んでストーリーを覚えているので、なるべく音声に集中しました。

自分に日本語で話しかける

年に2、3回、私の大学で東京の大学生たちと一緒に研究をし、一緒に日本語で発表する取り組みがありました。東京に留学した際も彼らと交流し、日本語を使う機会を増やしました。東大の日本語の授業も役立ちました。外国語の上達はネイティブ・スピーカーと話すことで早まると思います。

また、私はよく日本語で自分に話しかけました。その日のできごとを自分に話して聞かせ、それに対して自分で質問したり、その質問に自分で答えたりします。これをすべて日本語で行い、学んだばかりの単語や文法を用います。言葉は使わなければ忘れてしまいます。英語もこの手法で身に付けました。

アルバイトでも日本語上達

アルバイトで貯めたお金で高校での親友とタイに旅行〈プーケットで2018年〉

交換留学が終わってから就職するまで4年間、私はハノイで日本人にベトナム語を教えました。日本語を使いながら教えるので、私の日本語も上達しました。最初は教室だけで教えましたが、途中から家庭教師もしました。相手はJICA、JETROや企業の駐在員やご家族で、人間関係も広がりました。また、Facebookで見つけた通訳のアルバイトもしました。イベントでの通訳が多く、家庭教師と合わせてよいアルバイト収入になりました。

日本のここが好き

ベトナム人仲間で食事会〈東京で2020年9月〉

日本人の気遣いと「おもてなし」の精神が好きです。日本では、道路にほとんどゴミが落ちていませんし、電車内で大声で話す人もいません。お店でのサービスも粋です。例えば、買い物をして袋をもらわないとき、店員さんが商品にシールを貼ってくれますが、そのシールの端っこを折り曲げ、あとではがしやすいようにしてくれます。また、日本では飲食店で自席にかばんを置いてトイレに行く人がたくさんいます。だれもかばんを盗まないからです。電車内にものを置き忘れても、鉄道会社に連絡すると帰ってくるケースがよくあります。

商社の仕事

英語を話せるので、日本の次に好きな米国での就職も考えましたが、日本文化の高尚さにひかれて日本を選びました。また、前の職場の同僚が以前働いていた米国系企業である日突然、大量解雇があり、その日に出勤停止になったそうです。日本企業なら事前通告が通例です。雇用慣習でも日本企業に利があると考えました。

私は現在、ベトナムでのDX(デジタルトランスフォーメーション)事業を担当しています。仕事で使う言葉は主に日本語で、日本人と現地のベトナム人が一緒に話す場面では英語を使います。将来、仕事を通じてベトナムの社会課題の解決ができればと希望しています。2020年11月下旬からはベトナムへの長期出張もあり、やりがいを感じて仕事をしています。

今回の先輩

Trần Diệu Anh(チャン・ジエウ・アイン)さん

  • 2011年NGUYỄN GIA THIỀU高校卒業〈ハノイ〉
  • 2011年ハノイ国家大学・人文社会科学大学東洋研究部日本研究科入学
  • 2013年東京大学留学(10カ月)
  • 2016年ハノイ国家大学・日越大学地域研究部日本研究科(大学院)入学
  • 2017年東京大学留学(4カ月)
  • 2018年日系損保会社入社〈ハノイ〉
  • 2020年商社入社〈東京〉

〈1993年生まれ、ハノイ市出身〉

ハノイの大イベントで「さくら親善大使」に選ばれたアインさん。華やかなイメージだけではなく、日本語も英語も流ちょうに話す。大学院を経て日本の商社に就職し、現在は東京で働く。外国語を身に付けるある方法や採用面接の準備の仕方など、学歴を問わずあらゆる留学生や留学希望者の役に立つ勉強や就職活動のノウハウを、アインさんが紹介する。

ハノイ市内で〈2017年〉

さくら親善大使

ハノイで2年に1度、ハノイ市や在ベトナム日本国大使館、AICグループが「さくら親善大使」を選びます。私は大学院生だった2019年、日本大使館勤務の大学の先輩から依頼され、応募しました。私はこういう華やかな世界とは無縁だと思っていたので、義理だけで応募し、気楽に参加できました。また、書類選考や面接で残ったトップ15人の中で日本語力に関しては私が有利だったので、最後までリラックスして臨めました。

ただ、最後に残った5人の中で私の身長(162㌢)が一番低く、慣れない12㌢のヒールの靴をはいて歩くのが大変でした。他の参加者もハイヒールだったので、結局、身長差は縮まらなかったのですが……。その後、思いがけずグランプリに選ばれ、とても驚きました。こうして選ばれたおかげで、訪日して首相をはじめ要人の方々とお会いする機会をいただきました。また、さまざまな日越交流イベントに司会やゲストとして招かれました。

さくら親善大使に選出〈2019年3月〉

準グランプリの女性と私〈2019年〉

日本関係のイベントで当時の日本大使ご夫妻と〈ハノイで2019年〉

大学でトップの成績

一方、大学では、日本の政治・経済や外交、文化などを勉強しました。2年のときのGPA(Grade Point Average)は3.82(満点4.00)で研究科トップ、卒業時は2番でした。成績が認められ、3年のときにAIKOMという交換留学プログラムで東京大学に約10カ月間、留学しました。東大では、英語での授業(総合日本研究、日本文化分析など)と日本語に関する授業がありました。

大学の仲間と食事会〈2016年〉

東京での留学生活

東大では授業料を免除され、大学の寮に住みました。また、佐藤陽国際奨学財団から毎月10万円の奨学金を受給したほか、アルバイトを3つ経験しました。

・牛丼店(2カ月間勤務)…Facebookの求人広告

・日本語学校(2カ月間勤務、通訳とベトナム人学生のサポート)…Facebookの求人広告

・別の日本語学校(週1回、約8カ月間勤務)…妹の留学先。先方から勧誘。

留学中は、AIKOMの英語授業を一緒に受けた東大生や訪日前にハノイで知り合った東京の私大生たちと交流しました。寮で部屋が隣だった中国人留学生とは、よく一緒に外食や買い物、旅行に行きました。同じ奨学金を受給していたベトナム人仲間や妹の留学生仲間とも行動を共にしました。

留学中に奨学金受給者の集まりで友だちになった日本人〈ハノイで2017年〉

私と同時期に日本留学中だった妹(中央)やその友人と東京観光〈2014年〉

私の家計簿(1カ月の平均)

※100円= 22,161 VND(2020年12月3日現在)

収入(合計14,000円)
奨学金

100,000円

アルバイト1件

40,000円

※長期休暇時以外は1件のみ

支出(合計93,500円~103,500円)
家賃

10,000円

※大学の寮(ワンルーム)

水道・光熱費

5,000円

※電気・ガス・水道の合計

インターネット

2,500円

※寮の定価

携帯電話

6,000円

食費

30,000円

※主に自炊

雑費

40,000円~50,000円

※衣類、学習教材、交通費など

差額・貯金(平均約40,000円)
差額

40,000円

※旅行などに利用

寮の自室からの眺め〈2013年11月〉

留学後もときどき日本を訪問〈鎌倉で2016年〉

ハノイの日系企業に就職

大学の最後の年、日本の大手航空会社から採用内定をいただきました。両親は喜びましたが、大学教授の勧めで大学院に進むことに決め、内定を辞退しました。大学院の授業料は免除され、修士2年の2017年には、訪越中の当時の天皇・皇后両陛下や安倍晋三首相に日越大学の学生代表としてお会いさせていただきました。また同年、大学院のカリキュラムで再び東大に4カ月間、留学できました。

当時の天皇・皇后両陛下に謁見〈ハノイで2017年〉

しかし、企業で働きたいという思いを捨てきれず、修士課程在学中、人材会社の紹介で日本の大手損保の現地法人に就職しました。法人顧客を担当し、やりがいがありましたが、仕事で日本語をあまり使いませんでした。そこで、もっと日本語を使って上達するために日本で働くことにしました。

就職後も「さくら親善大使」として日越交流イベントに参加〈ホイアンで2019年8月〉

2回目の留学中に東京で大雪〈寮の庭で2018年1月〉

就職活動:自己負担ゼロで海外面接

ここからは、私が日本での仕事をどうやって得たかを紹介します。皆様の参考になれば幸いです。

大学時代に航空会社から内定をいただいたきっかけはConnect Job JAPAN主催のジョブフェアでした。書類選考で選ばれてシンガポールで面接を受け、次の面接を日本で受けました。両国への渡航費は主催者や企業がすべて負担してくれました。この企画に参加するには一定の英語力か日本語力が必要でした。

今の仕事は日経HRのジョブフェアで見つけました。書類選考と同社の面接で参加を認められ、2019年8月、東京でのジョブフェアに参加し、今の勤務先から内定をいただきました。日本語力を生かして働くなら、日本で働く方がポストも多く、給料もよいと思います。また、ジョブフェアを利用すれば、自己負担なしで外国で面接を受けられます。

就職活動:採用面接前にすべき3つのこと

私は以前、日本人ビジネスマンから採用面接での心構えを教えてもらい、それをヒントにしっかり準備をしました。その手順はこうです。

自分は何をやりたいか、どの会社でそれができるかを考える。

その企業が求める人物像を調べる。インターネット、先輩、知り合いなどから情報を集める。

企業のビジョンや経営方針、事業内容からキーワードを見つけ、自分のエピソードと結びつける。

※自分の長所・短所・やりたいことなどを分析し、企業ビジョンと合致している部分について面接でアピールする。その際、自分の経験やエピソードも交えて話す。

就職活動:実際の面接で聞かれたこと

商社の面接で実際に聞かれたことは▽自分の長所・短所▽なぜこの会社で働きたいのか▽具体的にどのような仕事をしたいか▽10年後のキャリア――などでした。私は知人から「商社では銀行と違って積極的な性格を売り込んだ方がよい」と助言されていたので、「アフリカの僻地で空港を作りたい」という夢を、この商社の事業と関連づけながら話しました。私の話の内容だけではなく、話し方や意気込み、バックボーンなども見られたのではないかと思います。ちなみに、この会社の最初の2回の面接は英語、最終面接は日本語でした。

さくら親善大使の選考会に参加したメンバーと横浜観光〈2019年9月〉

その日に習ったことはその日に覚える

私は日本語能力試験(JLPT)N1です。私はアニメ「銀魂」の登場人物の性格や考え方が好きで日本に興味を持ち、大学で初めて日本語を勉強しました。外国語大学と比べて日本語の授業は少なかったのですが、私は授業の復習に力を入れ、その日に習ったことはその日のうちに覚えました。そして、試験のときにまた復習しました。こうすると、学んだことが頭に定着します。

また、日本語の勉強を兼ねてアニメ動画(音声・日本語、字幕・ベトナム語)もよく見ました。漫画本を読んでストーリーを覚えているので、なるべく音声に集中しました。

自分に日本語で話しかける

年に2、3回、私の大学で東京の大学生たちと一緒に研究をし、一緒に日本語で発表する取り組みがありました。東京に留学した際も彼らと交流し、日本語を使う機会を増やしました。東大の日本語の授業も役立ちました。外国語の上達はネイティブ・スピーカーと話すことで早まると思います。

また、私はよく日本語で自分に話しかけました。その日のできごとを自分に話して聞かせ、それに対して自分で質問したり、その質問に自分で答えたりします。これをすべて日本語で行い、学んだばかりの単語や文法を用います。言葉は使わなければ忘れてしまいます。英語もこの手法で身に付けました。

アルバイトでも日本語上達

交換留学が終わってから就職するまで4年間、私はハノイで日本人にベトナム語を教えました。日本語を使いながら教えるので、私の日本語も上達しました。最初は教室だけで教えましたが、途中から家庭教師もしました。相手はJICA、JETROや企業の駐在員やご家族で、人間関係も広がりました。また、Facebookで見つけた通訳のアルバイトもしました。イベントでの通訳が多く、家庭教師と合わせてよいアルバイト収入になりました。

アルバイトで貯めたお金で高校での親友とタイに旅行〈プーケットで2018年〉

日本のここが好き

日本人の気遣いと「おもてなし」の精神が好きです。日本では、道路にほとんどゴミが落ちていませんし、電車内で大声で話す人もいません。お店でのサービスも粋です。例えば、買い物をして袋をもらわないとき、店員さんが商品にシールを貼ってくれますが、そのシールの端っこを折り曲げ、あとではがしやすいようにしてくれます。また、日本では飲食店で自席にかばんを置いてトイレに行く人がたくさんいます。だれもかばんを盗まないからです。電車内にものを置き忘れても、鉄道会社に連絡すると帰ってくるケースがよくあります。

ベトナム人仲間で食事会〈東京で2020年9月〉

商社の仕事

英語を話せるので、日本の次に好きな米国での就職も考えましたが、日本文化の高尚さにひかれて日本を選びました。また、前の職場の同僚が以前働いていた米国系企業である日突然、大量解雇があり、その日に出勤停止になったそうです。日本企業なら事前通告が通例です。雇用慣習でも日本企業に利があると考えました。

私は現在、ベトナムでのDX(デジタルトランスフォーメーション)事業を担当しています。仕事で使う言葉は主に日本語で、日本人と現地のベトナム人が一緒に話す場面では英語を使います。将来、仕事を通じてベトナムの社会課題の解決ができればと希望しています。2020年11月下旬からはベトナムへの長期出張もあり、やりがいを感じて仕事をしています。