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2020年08月11日 ブログ

     7~8月になると、日本に住んでいる皆さんは“お盆”という言葉を耳にすることが多いと思います。その言葉を聞くと、大抵の人が“盆踊り”を連想するのではないでしょうか。また、交通渋滞とか列車の混雑、航空券が入手し辛い(または高い)とまで連想する人も。


2018年に行われた渋谷盆踊りに集まった大勢の人たち Ⓒ毎日新聞社

     しかし、お盆の意味をじっくりと調べてみると、何とも心穏やかな気分になれるのです。ではお盆とは一体何か?昔と今で、お盆の意味や過ごし方は違うのか?この機会に見ていきましょう!

     お盆とは正式には盂蘭盆会(うらぼんえ)といい、日本では1400年以上前からある風習です。お盆には、霊魂が人間界(地上)に戻ってくると言われています。この次期、家族でご先祖様の魂を迎えるために“精励迎え”という儀礼をします。

時期

     3~4日間にわたって行われますが、始まる時期によってその名前も異なります。
▪ 八月盆(または旧盆):8月13日~16日で全国的に行われる。
▪ 七月盆(または新盆):7月13日~16日で、東京を中心とした一部の地域で行われます。

     他にも沖縄県などでは“旧暦盆”という陰暦の7月15日に行われるお盆もあり、地域やお寺によっては、独自の暦で行われるお盆もあります。

     その昔、日本の暦は太陰暦で数えられ、お盆は陰暦の7月に行われていました。明治時代に太陽暦に代わると、7月のお盆の時期が農民(当時日本人の約8割を占めた)の繁忙期と重なったため、人々がゆっくりご先祖様を迎えられるようお盆は8月に移ったのです。

お盆に行うこと

▪ 13日夕方~:火を焚いて霊魂をお迎えするー迎え盆・迎え火
     この日は、ご先祖様をお迎えします(精霊迎え)。

     多くの家庭ではオガラ(麻の皮を剥いだ後残る芯の部分)を焚いてご先祖様をお迎えし、この世とあの世を行き来できるよう、キュウリやナスで動物を模した置物を用意します。キュウリで作ったが精霊馬(しょうりょううま)で、「足の速い馬に乗って、早く帰ってきて」という意味があります。ナスで作られたのは精霊牛(しょうりょうし)で、歩みが遅い象徴です。別れがたさから「子孫と一緒の時間が長くなるように」という願いが込められています。家庭によっては、祖父母の案内にと自宅の玄関からお墓までの道に提灯を灯すこともあります。浴衣を着て、お墓でオガラを焚いて祖先を迎える地域もあります。

▪ 13日~15日
     ご先祖様への感謝や尊敬の気持ちを表したり、祖父母が思い出を振り返れるようなお供え物(お線香、お花、灯燭、水、食べ物など)を供えます。

▪ 15日(16日)の夜:火を焚いて魂を送ります(送り盆・送り火)
     この日は、祖先、祖父母を送る“精霊送り”を行います。川のある地域では舟や灯ろうを流す“精霊流し”を行い、長崎県では大きな船を使ったお祭りも行われます。

     『京都五山送り火』のように山に火で巨大な文字を浮かび上がらせる行事もあります。毎年8月16日に開催され、5つの山に文字や絵が浮かび上がります。『大』、『妙』、『法』の漢字のほか、船や鳥居の形を模した送り火が次々点火されます。


和歌山県で行われている精霊流しで送り出される灯ろう Ⓒ毎日新聞

     “盆踊り”を踊る地域もあります。(諸説ありますが)元々陰暦7月の満月の夜に先祖の魂を送り返すために始まった儀式と言われ、無事にお盆の終わりを迎えたことを喜び、踊ります。

     ご紹介したように、地域によって様々な風習がありますが、共通するのは火や提灯などが使われること。日本では、炎や灯りが祖先や祖父母の魂を導くと信じられているのです。今年は新型コロナウイルスの影響で、行事が中止されたり縮小されるそうです。

“お盆”と“お彼岸”の違い

     “お盆”と“お彼岸”はよく間違えられます。共通点と相違点をご紹介します。

     いずれもご先祖さまや祖父母のお墓にお参りにいくところは同じです。異なるのは時期と目的で、お盆は8月(もしくは7月)の13日~16日に霊魂を迎える行事ですが、お彼岸はベトナムのThanh minh(タイン ミン)と同じように年2回、3月(春分)と9月(秋分)にお墓参りに行きます。

日本人がお盆を行う意味

     日本人にとってお盆は、ご先祖様を迎える大事な行事であると同時に、待ち遠しい機会なのです。若者が実家に帰って家族と過ごしたり、仕事を忘れゆっくりする時期でもあります。

     私の義母は「義父の祖先に恥じぬよう一生懸命子育てをした」といい、お盆にはお仏壇を掃除してお供え物をします。義父は、ビールを飲みながらお仏壇の前でこの1年のことをご先祖様に報告するのを楽しみにしています。

終わりに

     日本に住んでいると、日本人は仕事第一で家族は二の次と感じる時があります。でも、義理の両親から「故人に恥じることない人生を送ろう」と努めている日々についての話を聞くと、家族や祖先への深く優しい愛情を感じられます。それは、充実した日々を過ごし、精一杯生き、祖先からもらった命を大切にする日本人のことをよく知ると分かります。

     ご先祖様を思うと、今年もお盆の時期が待ち遠しくなるのです。