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中秋節

中秋節4
2021年09月16日

 

中秋節は古くから続く秋の伝統行事で、アジア各国で旧暦の8月15日に行われるお月見の習慣です。ベトナムと日本の中秋節について紹介します。

中秋節の由来と伝説

中秋節は紀元前に中国で始まったと言われています。中国や日本、ベトナムで旧暦の8月は稲の収穫時期にあたり、収穫後の“一休み”として農家がゆっくり過ごす習慣が生まれたとされています。

中秋節が佳節(めでたい日)となったのは、「月」に関する神話や伝説に由来します。最も有名な伝説は「嫦娥(じょうが)、月に奔(はし)る」で、弓の名手・后羿(こうげい)の妻嫦娥が悪者に薬を飲まされて天に昇り、月で暮らすことになったという話です。后羿が悲嘆にくれて妻を思い、庭にテーブルを置いて妻が好きだった果物を供えたことが始まりとされています。

月を神様として崇めているベトナムには「クオイの伝説」があります。クオイはある日、その葉を口にするとどんな傷でも治るという不思議な木を手に入れます。しかし、この木には清い水しか与えてはいけないのに、妻が汚い水を与えてしまった途端、木が一気に伸び始めました。クオイは押さえようと木につかまりましたが、どんどん伸びて月まで運ばれてしまいました。こうしてクオイは月に住むことになったというお話です。ベトナムでは今でも、月に見える陰をクオイさんが木の根本に座っている姿に見立てています。

日本の中秋節は奈良時代(710~794年)に中国から伝わったと言われています。「十五夜」もしくは「中秋の名月」と呼び、やはり月見の習慣があります。この習慣は近年、月を見ながら宴会を行う習慣に変化しており、「月見の宴」と言われることもあります。また、ベトナム人が月の陰を見てクオイを連想するのに対し、日本人は「ウサギの餅つき」を思い浮かべます。

中秋節の行事

ベトナムの中秋節では中秋灯と呼ばれる灯ろうを持って村や町を歩き回ります。これは、月に行ってしまったクオイが地上に戻ってこられるよう道しるべを示していると言われています。また、中秋節には子どものお祭りの要素もあります。子どもたちは中秋灯を持って近所を巡り、月の光の下でさまざまな遊びをし、両親や学校などが用意してくれたお菓子や食べ物を食べます。

中秋節のイベントに欠かせない麒麟踊り

中秋節は、お世話になっている方々に感謝を伝えるため月餅(げっぺい)やお茶、お酒などを振る舞う機会でもあります。また、町中で楽しい麒麟(きりん)踊りを見かけます。
麒麟が家を訪ねてくると幸運が舞い込んでくると言われ、皆こぞって麒麟を誘います。

一方、日本の「お月見」は秋の収穫に感謝する行事です。一般的には旧暦の8月15日(2021年は9月21日)の「十五夜」のことをいいます。

中秋節の食べ物

ベトナムの月餅(左)と日本の月見団子(右)

ベトナムの中秋節の食べ物は「バインヌオン」(月餅)と「バインゼオ」(甘い餅ケーキ)が定番です。日本では、月餅は町中で売られていますが、月見の際に食べる習慣はありません。日本の月見では「月見団子」を食べます。月見団子は満月に見立てて丸い形になっており、月がよく見える場所に台を置き、大きな皿などに十数個の団子を高く盛るのが伝統的な供え方です。すすきも一緒に供えます。

在日ベトナム人の中秋節

故郷から離れて暮らす在日ベトナム人の皆さんは中秋節をどう過ごしますか?できれば、集まって仲間と一緒に過ごしたいですね。留学生や技能実習生の一部は故郷の中秋節の日、中華街で中秋節の雰囲気や食べ物を楽しんだり、月餅や料理を用意して仲間と一緒にパーティーをしたりしています。留学生のために中秋節のパーティーを開く日本語学校もあり、それが近隣の在日ベトナム人と出会う機会になる場合もあります。また、最近は新型コロナの影響で見送られていますが、通常は、日本各地のベトナム人ゆかりの寺院でも中秋節の行事が行われています。

external link ベトナム人ゆかりの寺院(東日本)

external link ベトナム人ゆかりの寺院(西日本)