体験談(技能) | 最新ニュース

VOL. 91 来日後も勉強を続け職場のリーダーに

食品工場で技能実習生から特定技能外国人になったトゥエットさん。彼女は、来日直後は日本人の話すことが全然わかりませんでしたが、毎日3時間勉強を続け、数カ月で少し会話ができるようになり、2年でJLPT・N3に合格しました。今は、職場のベトナム人のリーダーとして活躍しています。 今回の先輩 グエン・ティ・トゥエットさん 2017年高校卒業〈ハイズオン省〉...

2023年05月29日
  • VOL. 88 支援団体の支援で在留延長と再就職

    2023年03月17日
    作業の準備・後片付け(毎日約2時間)に残業代が支払われないなど、建設の技能実習生の平均よりかなり低い給料で働かされたうえ、職場での暴力・暴言もあって失踪したフイさん。一度は日本が大嫌いになりましたが、支援団体のサポートで日本滞在を延長して働き、特定技能の試験にも合格しました。 今回の先輩 カ・チャン・ホアン・フイさん 2013年高校卒業〈ホーチミン市〉 2013年観光バスの添乗員〈タイニン省〉 2016年トラック運転手〈ロンアン省〉 2019年送出機関で勉強〈ホーチミン市〉 2019年来日→講習→技能実習〈山梨県〉 2020年失踪し、友人宅に4カ月間滞在〈東京〉 2021年日越ともいき支援会で保護〈東京〉 2021年アルバイト〈北海道、長野、鹿児島〉 2022年一時帰国 〈1995年生まれ、ホーチミン市出身〉 ◆このページの内容 • 日本語をほとんど学ばずに来日 • コンクリート関係の仕事 • 長い移動時間に睡眠禁止 • 十分にもらえなかった残業代 • 私の家計簿 • 低賃金と暴力・暴言 • 組合に相談しても改善せず • 失踪中の生活 •「日越ともいき支援会」に助けられ • 漁業やレストランでアルバイト • これからも日本で働く 日本語をほとんど学ばずに来日 私は高校を出て、観光バスの添乗員やトラック運転手をしていましたが、毎月の給料は約7,000,000 VNDしかありませんでした。そんなとき、いとこが日本に技能実習に行って順調に働いていたので、私も出稼ぎのために技能実習をすることになりました。 私は送出機関に登録し、会社の面接を待ちながら日本語で自己紹介をする練習をしました。2019年4月に面接に合格後、きちんとした日本語の授業を受けましたが、それは3カ月間だけだったので、ほとんど日本語が分からない状態で日本に行きました。送出機関には132,000,000VND(当時のレートで約65万円)を支払い、これ以外に寮費や食費(外食)なども必要でした。 コンクリート関係の仕事 生コンクリートを送り込むトラック(イメージ写真) こうして私は2019年7月に来日し、翌月からコンクリート関係の技能実習を始めました。勤務先は山梨県の会社で、大きなトラックが数台ありました。トラックの荷台には折りたたみ式のアームとホースが付いており、工事現場でこれらを伸ばして、離れた場所や高い場所に生コンクリート(生コン)を流し込みます。ミキサー車で作った生コンをトラックのポンプとホースで建築物に送り込むのです。 私たちの作業(イメージ写真) 私たち技能実習生は生コンを流し込む場所にホースの先を運びました。その後、生コンを床に流し込むときはホースを置いて固定できますが、壁などに流し込む場合は、私たちがホースを肩に担いで2、3時間立ち続けました。太いホースは2人で担ぎ、細いホースは1人で担ぎますが、細いホースでもかなり重く、担ぎ続けるのはきつい仕事でした。 長い移動時間に睡眠禁止 私たちの平均的な1日はこうでした。 4:30 起床 5:00 トラック6、7台で会社(私たちの寮の隣)を出発。現場まで平均1時間~1時間半。 6:00~6:30 現場到着。仕事の準備(平均1時間)。準備が早く終われば休憩。 8:00~17:00 仕事(途中で3回・計90分休憩) 17:00 後片付けなど 18:00 現場を出発 19:00~19:30 帰宅 現場への往復は、トラック1台に3人(日本人1人、ベトナム人2人)が乗り、日本人が運転しました。しかし、私たちが何か話すと日本人が怒り、眠っても怒られるので、私たちは車内でずっと黙って景色を眺めていました。技能実習生はSIMを持っていないので車内では携帯電話も使えず、移動時間はとても退屈で疲れました。 十分にもらえなかった残業代 external link KOKORO|給与、残業代、有給休暇 会社から現場まで片道3、4時間かかることもありました。しかし、往復6~8時間の移動が毎日続いても、手当はまったく増えませんでした。また、それ以外にも次のようなことがありました。 ①毎日忙しく、昼の休憩なしで働き続けることが2日に1回ほどありました。しかし、昼の休憩(1時間)をつぶして働いても残業代は増えませんでした。 ②毎日、準備と後片付けで平均2時間働きましたが、この時間にも残業代が支払われませんでした。 準備以外の正規の作業時間が延びることもありましたが、私たちがもらった残業代(毎月5時間分)はそれすらカバーできない額でした。このため手取り給料は9~10万円しかありませんでした。 私の家計簿(1カ月の平均) ※今の職場での家計簿 ※100円=約18,218 VND(2023年2月2日現在) 収入:100,000円 給料 ¥100,000 *税金や社会保険、寮費、光熱費などを引いた手取り給料 *寮費(15,000円)、電気・ガス・水道(6,000円) 支出:45,000円 食費(主に自炊) ¥30,000 生活雑貨、衣類 ¥10,000 交際費など雑費 ¥5,000 毎月の差額:55,000円 低賃金と暴力・暴言 私はベトナムでこの会社の社長に面接(通訳付き)をしてもらったとき、毎月18万円もらえると聞きました。しかし、来日して先輩に聞くと、手取り18万円もらえたのは1回だけだったそうです。 移動時間が長く、仕事内容は過酷で、残業代も十分に支払われないうえ、一緒に働く日本人の一部(3人)は気に入らないことがあるとすぐに怒鳴りました。私はラチェットレンチという工具で頭をたたかれたことも2回あり、ヘルメットをかぶっていても大変な衝撃でした。私はこのような理不尽な職場に失望し、失踪することにしました。 組合に相談しても改善せず 左:仕事で毎日顔が汚れました。右:疲れて休憩時間に現場で眠る先輩。 技能実習では監理団体(組合)が実習生のケアをします。組合の担当者はベトナム人通訳を伴って毎月2回、会社に来ましたが、私たちとの面談には毎回、会社幹部が立ち会いました。組合によっては、正社員の通訳が実習生の悩みを直接聞くシステムもありますが、この組合の通訳は毎回違う人(アルバイト)で、頼りになりませんでした。私たちは残業代不払いや移動時間に眠れないことなどを改善してほしいと組合に何度かお願いしましたが、何ひとつ改善されませんでした。 失踪中の生活 こうして、私はこの会社で働き始めて13カ月目の2020年9月、現金20万円と小さな荷物を持って会社を去りました。社長に告げ口されると困るので、ほかの実習生2人にも黙って失踪しました。 思い描いていた日本とは違ったので、私は一刻も早くベトナムに帰りたいと思いました。しかし、新型コロナの影響でベトナムへの航空券が手に入らなかったので、チケットが取れるまで友人のミン君(仮名)の家に泊めてもらうことにしました。彼は日本で知り合った友人で、別の会社を失踪し、東京に住んでいました。私は電車を約3時間乗り継いで彼のところに行きました。彼は不法就労をしている様子でしたが、私は早く帰国したいので働きませんでした。しかし、航空券はなかなか買えず、2021年1月に入ると、所持金は約5万円しか残っていませんでした。 「日越ともいき支援会」に助けられ external link KOKORO|日越ともいき支援会 そんなとき、ミン君が「NPO法人日越ともいき支援会」のことを聞いて私に教えてくれました。2021年1月、私は支援会にベトナム語でメッセージを送り、事務所を訪ねました。すると、その日から支援会のシェルターに無料で住めることになり、数十人の元実習生と共同生活を送りました。 私は支援会で約2カ月間、毎日、日本語の授業を受け、自習も何時間もしました。その間、支援会は外国人技能実習機構(OTIT)や以前の組合、入管と連絡を取り、私が日本に残って働くためのさまざまな打ち合わせや手続きをしてくれました。おかげで私は新型コロナに関連する特例の在留資格を取得できました。この在留資格の期間は6カ月でしたが、その後2回更新でき、私は日本で約1年半、アルバイトをすることができました。 漁業やレストランでアルバイト 左:ホタテ貝。右:軽井沢。 ホタテの養殖 日本に残って働けることになった私は、支援会の紹介で北海道のホタテ養殖業者で2021年3月から3カ月間アルバイトをすることになりました。小さなホタテ貝を海から引き上げ、貝がらに穴を開けて糸でつなげるのが主な仕事で、主に陸で働き、ときどき船に乗りました。 レストラン ホタテ養殖の繁忙期が終わり、東京に戻って支援会などに泊めてもらった後、9月から3カ月間、長野県・軽井沢の高級レストランで働きました。野菜を切ったり皿を洗ったりする仕事で、まかない(従業員向けの食事)を1日3食食べられるのが魅力でした。軽井沢は有名なリゾート地なので、休みの日には、別の店で働くベトナム人と一緒に町を散策しました。 ラーメン店 3つめのアルバイトは鹿児島県のラーメン店「田所商店」で、仕込み(野菜やチャーシューを切る)、麺(めん)をゆでる、食材を炒(いた)める、スープを作る、皿洗いなど幅広い仕事を担当しました。全国展開の人気店で、私はこの店で2021年12月の新規オープンから約9カ月間働きました。一緒に働いた日本人は皆さん親切で、来日してから一番働きやすい職場でした。 これからも日本で働く 私は北海道のアルバイトから長野県のアルバイトに移る間、日越ともいき支援会に泊めてもらったほか、JP MIRAI(JICAなど主催)が東京で開いた元技能実習生向け研修会に参加しました。約1カ月半に渡ってJICAの施設に住み、日本語の授業を受けたり、今後のキャリアについて学んだりしました。 日越ともいき支援会のおかげで、私は引き続き日本で働く方法があることを知りました。そして、JFT-Basicで238点を取り、特定技能「外食業」の技能試験にも合格しました。そこで、2022年9月にいったんベトナムに帰国し、特定技能の在留資格を申請中です。特定技能外国人として再び来日したら、これまでと同じラーメン店で働きます。これまでの日本滞在では、来日前に借りたお金を返すのが精一杯だったので、今度こそしっかり貯金したいと思います。
  • VOL. 86 OTITと支援団体の支援で職場変更(技能実習)

    2023年03月03日
    ベトナムで聞いた内容とはまったく違う仕事を毎日させられたチュンさん。外国人技能実習機構(OTIT)に相談して約束違反の仕事はなくなったものの、職場変更はできませんでした。しかし、実習生を支援する団体に相談すると状況が一変し、別の職場で技能実習を再開することができました。 今回の先輩 グエン・デュック・チュン さん 2011年高校卒業 2012年兵役 2014年建設関係の仕事〈ハノイ〉 2019年送出機関で日本語学習〈ハノイ〉 2019年訪日→講習→技能実習〈愛知県〉 2021年アルバイト〈愛知県、岐阜県〉 2022年別の会社で技能実習再開〈静岡県〉 〈1993年生まれ、ナムディン省出身〉 ◆このページの内容 • 母に楽をさせるために出稼ぎ • 事前の約束と違う仕事 • 外国人技能実習機構(OTIT)に相談 • 約束違反の仕事がなくなる • 技能実習の継続を断念 • 支援団体の支援で状況が一変! • 支援団体に頼ろう • 技能実習を再開 • 私の家計簿 •TikTokで日本語会話 •将来のこと 母に楽をさせるために出稼ぎ ベトナムでしていた仕事 私は兵役を終えてからハノイのいくつかの会社で働き、溶接やクレーン車の運転などをしました。しかし、毎月の給料が平均約8,000,000 VND(当時の約4万円)しかなかったので、外国で出稼ぎをして母に楽をさせてあげたいと思うようになりました。そして、日本より給料の高い韓国にも興味がありましたが、日本の技能実習の方が採用されやすかったので、そちらにしました。 私は親せきから紹介されたハノイの送出機関に登録し、訪日までに 計約120,000,000 VND(当時の約60万円)を自分の貯金で払いました。そして、最初の企業面接で合格し、送出機関の日本語センターで6カ月間、日本語を学びました。 事前の約束と違う仕事 清掃前(左)と清掃後(右)のグリストラップ こうして私は2019年10月に来日し、11月から愛知県の会社で技能実習を始めました。日本に来る前の約束では、私はガス管や水道管などを設置する「配管」の仕事をすることになっていました。しかし、実際の仕事の大半は清掃関係でした。私と同僚のベトナム人が実際に担当した仕事を紹介します。いずれも単発の仕事ではなく、何回も行った仕事です。 グリストラップ清掃 日本の飲食店には、油や残飯などが下水に直接流れ込まないよう、それらを分離して貯める「グリストラップ」という装置があります。この装置は定期的に掃除しなければなりません。私たちは飲食店に行って、グリストラップに貯まった汚れをホースで吸引し、残った汚れを洗剤とブラシで洗い落としました。 川の清掃 川や池の清掃 小さな川の水面に水草やゴミが貯まる場合があります。私たちは川に入ってそれらをホースで吸引する仕事をしました。しかし、ベトナム人2人と日本人2人で現場に行った場合、川に入るのはベトナム人だけでした。ほかにも汚れる仕事や重い物を運ぶ仕事はベトナム人だけがさせられることがよくありました。また、冬に浅い池に入って大量の水草を刈り取る仕事もありました。 溝掃除 道路脇の溝にたまった土砂をかき出しました。 外国人技能実習機構(OTIT)に相談 external link OTITの母国語相談 私は約1年、このような約束と違う仕事にがまんしました。しかし、外国人技能実習機構(OTIT)の母国語相談のことを知り、OTITに会社を指導してもらいたいと思って2020年11月にOTITのHPからベトナム語でメッセージを送りました。すると、メールで返信があり、相談員と何度かベトナム語でやり取りしましたが、途中で4週間近く返事が来なくなりました。 このため、私は母国語相談に見切りを付け、今度はOTIT名古屋事務所に直接電話をかけました。私は監理団体(組合)から支給された携帯電話を持っていたので、それを使いました。すると、1カ月以内にOTITから会社に連絡があり、社長と事務長と私の3人でOTIT名古屋事務所に行くことになりました。後で知ったのですが、母国語相談はOTITが外部に委託しており、相談員のレベルに個人差があるそうです。 約束違反の仕事がなくなる OTITに相談後、この写真のような約束違反の仕事はなくなった。 OTIT名古屋事務所では、社長と事務長がまず事情を聞かれ、その後、私が仕事内容やいじめの有無などについて聞かれました。数日後、OTITのスタッフが会社で私だけに会い、「これからどうしたいか」と聞いたので、私は「職場を変わりたい」と答えました。その後、OTITと組合が協力して他の会社を私に紹介し、私は面接を受けましたが、その会社は自分に合わないと思って断りました。 ただし、社長と私がOTITから呼び出しを受けて以来、私は清掃の仕事から外され、毎日、配管に関する本を読むだけの仕事に変わりました。それから約4カ月後、OTITは会社に立ち入り調査をしましたが、結果はすぐには出ませんでした。私は約束と違う仕事から外されてうれしかったのですが、本を読むだけの生活に嫌気がさしてきました。 技能実習の継続を断念 それから半年後の2021年6月、私は会社をやめました。事前に、技能実習生などを支援している在日ベトナム人から紹介された岐阜県内の組合に連絡したところ、新しい職場を紹介してくれるとのことでした。新しい組合がこのことをもとの組合やOTITに連絡してくれたので、私は会社をやめて新しい組合の宿泊施設に身を寄せたのです。 新しい会社で技能実習を始めるまでそこに無料で住めることになり、無職の状態で3カ月間滞在しました。そこには、私と同じような転籍待ちの人や帰国の飛行機待ちの人が数人おり、一緒に海に遊びに行くなどしました。また、日本語の勉強にも力を入れました。 アルバイト生活のときに京都や大阪に旅行 この組合は私が新しい会社で働くための入管手続きを申請してくれましたが、3カ月近く経っても許可がおりませんでした。そのころ、前の会社に対するOTITの調査結果が出たのですが、「会社のやり方は違法とまでは言えない」という内容でした。このため、私が新しい会社で働くための入管の許可が降りない可能性があると言われ、途方にくれました。 私は今後どうしたらよいかOTITに相談したところ、「技能実習をやめて新型コロナ関連の特例の在留資格(帰国困難の特定活動)を取れば、日本に6カ月以上滞在でき、その間はアルバイトができる」というアドバイスでした。私はもとの組合に手伝ってもらってその在留資格に変更し、期間限定でアルバイトをすることにしました。 支援団体の支援で状況が一変! 榑松さんと私〈名古屋市で〉 こうして私は2020年9月にアルバイト生活を始めました。最初は愛知県の工場でパチンコの機械を組み立てる仕事、次は岐阜県の工場でシリンダー製品にシールをはる仕事をし、最後に岐阜県の車の部品工場で働きました。 そんなとき、私は、技能実習生の支援実績が豊富な「外国人実習生SNS相談室」のことを知り、代表の榑松佐一(くれまつ・さいち)さんに会って相談しました。榑松さんは、私が技能実習生に戻れるようOTITと交渉してくれました。すると、私はOTIT名古屋事務所に1年ぶりに呼び出され、前の会社での仕事内容についてもう一度ヒアリングを受けました。その結果、OTITがもう一度新しい会社を探して私を技能実習生に戻してくれることになりました。 支援団体に頼ろう external link KOKORO|総まとめ・ベトナム人向け相談窓口 榑松さんはOTIT名古屋事務所に対し、私が川や池の掃除をしている動画などを見せ、約束の職種と違うので、私の職場変更を支援してくれるように交渉しました 私が1年前に社長と一緒にOTITに呼ばれたときにもその動画を見せたのですが、そのときは、職場変更を最後までは支援してもらえませんでした。しかし、榑松さんの交渉後、私はOTITの支援で技能実習生に戻り、職場も変わることができました。 OTITは技能実習生にとって大事な機関ですが、私の説明や交渉が不十分だったのかも知れません。後輩の皆さんも、もし行き詰まった場合は、このように支援団体に頼ってください。 技能実習を再開 日本人従業員と一緒に富士山へ 「外国人実習生SNS相談室」に相談して約3カ月後の2022年3月、私はOTITが探してくれた静岡県の建設会社に面接に行き、そこで働けることになりました。そして、新しい在留資格をもらうまで別の職場でアルバイトを続け、5月からこの会社で技能実習を再開しました。 この会社では実際に配管の仕事をさせてもらっていますし、日本人の従業員たちも親切です。古い下水管は汚いので、それを運ぶのは嫌な仕事ですが、この会社では日本人も嫌な仕事を公平に分担し、ベトナム人だけに押しつけることはありません。私は休憩時間に日本人従業員とおしゃべりすることも多く、中には、休日に車で富士山のふもとの観光施設に連れて行ってくれた人もいます。 私の家計簿(1カ月の平均) ※今の職場での家計簿 ※100円=約18,218 VND(2023年2月2日現在) 収入:115,000~140,000円 給料 ¥115,000~¥140,000 *税金や社会保険、寮費、光熱費などを引いた手取り給料 *寮費(15,000円)、電気・ガス・水道(10,000円) *勤務日の昼弁当の費用も給料から天引き 支出:40,000円 食費(主に自炊) ¥30,000 生活雑貨、衣類 ¥5,000 交際費 ¥5,000 毎月の差額:75,000~100,000円 TikTokで日本語会話 私のTikTokアカウントとJFT-Basicのスコア ところで、私は週に3、4回、TikTokのライブで知り合った日本人とビデオ通話で会話をしています。前の会社をやめる少し前から日本語の勉強時間を増やし、職場やTikTokで日本人と積極的に話すことも続けているので、日本語力がかなり伸びました。国際交流基金のJFT-Basicでも235点を取り、「生活に支障がない程度の日本語能力水準」と判定されました。 将来のこと 配管工事の仕事現場 私は来日後の2019年12月~2023年1月(途中3カ月間は無職)に約280万円を貯金しました。来日前に送出機関に支払った費用を差し引いても約220万円あります。今後、日本でさらに半年間働けますので、貯めたお金で帰国後に家を買いたいと思っています。 2023年8月に技能実習が終ったらいったん帰国し、婚活をしながら将来日本に戻るかベトナムで働くか考えます。日本に戻る場合は特定技能外国人になれるよう、介護の技能試験に既に合格し、農業の技能試験も勉強中です。また、ベトナムで働く場合は日本語力を生かして工場で良いポジションを得たいと思っています。
  • VOL. 84 技能実習と特定技能の計4年で370万円貯金

    2023年02月20日
    技能実習生の間で人気のない建設業ですが、建設の中でも内装業では比較的トラブルが少ないとされています。内装会社で技能実習をしたチュンさんや仲間のほとんどが同じ会社で特定技能外国人になりました。職場の様子やチュンさんが日本語を話せるようになった秘訣を紹介します。 今回の先輩 ホアン・クァン・チュンさん 2014年 高校卒業〈クアンビン省〉 2015年韓国系企業の工場で勤務〈ドンナイ省〉 2018年送出機関で日本語を勉強(8カ月間) 2018年訪日→講習→内装の技能実習〈兵庫県〉 2021年 同じ会社で特定技能に移行 〈1996年生、クアンビン省出身〉 ◆このページの内容 •日本に行こうと思った理由 •ベトナムの送出機関 •電車で通勤 •7週間の出張も •同じ会社で技能実習から特定技能に •4年間で実家に450万円送金 •ボランティア日本語教室 •日本に残るかベトナムに帰るか 日本に行こうと思った理由 送出機関の教室で 私は高校を卒業後、半年あまり両親の農業(稲作)を手伝い、その後、高校の同級生が働くドンナイ省のワイヤー工場で2018年まで3年間働きました。しかし、毎日12時間(週6日間)働いても、残業代を含めて毎月約10,000,000 VND(約55,000円)しかもらえませんでした。これでは、どんなにまじめに働いてもほとんど貯金できません。 そんなとき、同年代で仲良しの親せきが日本に技能実習に行ったので、彼が休暇を取って一時帰国したときに技能実習の費用や仕事、給料について教えてもらいました。その話を聞いて、私も日本で働いて両親にお金を送りたいと思い、技能実習生になることにしました。 ベトナムの送出機関 送出機関の先生や仲間たち 私は勤務先のドンナイ省に近いホーチミンの送出機関を選びました。そして、企業面接に合格したので、会社を辞めて送出機関の寮に入り、8カ月間日本語を勉強しました。私がこの送出機関に支払った費用は約160,000,000 VND(手数料、教育費、寮費、ビザ取得費など)です。 ※編集部コメント:この費用は当時のベトナムの送出機関の平均ですが、国が決めた費用よりかなり高いです。 私が合格した会社は建築の内装を行う会社なので、送出機関での授業の半分は日本語で、残り半分は内装の勉強や実習でした。私は毎晩4時間自習して日本語をできるだけ覚えるようにしました。そして、来日後も日本語の勉強を続け、会社に相談したいことは組合(監理団体)に頼らず自分で直接相談するようにしています。その方が自分の意図が確実に伝わるからです。 電車で通勤 私たちの住む地域を走る電車とモノレール 私の会社にはベトナム人が13人(技能実習生8人、特定技能外国人4人、エンジニア1人)います。私は同期・後輩の計4人と一緒に1戸建ての寮に住み、6:00に起きて6:30に家を出ます。寮は大阪府にあり、勤務先は大阪・兵庫・京都などの建築現場です。電車が発達しているので電車やバスで現場に通い、不便な場所に行くときだけ日本人が運転する車で一緒に行きます。7:30までにマンションやホテルなどの建築現場に着き、8:00から18:00まで働きます。私は天井や壁のボードのはり方も学びましたが、最近は、フローリングをはる仕事が中心です。 現場には、さまざまな会社から作業員が集まります。私たちは1つの現場に1~3人で行くことが多いのですが、通常は他社との連絡のために日本人も一緒です。しかし、私は日本語が上達したので、15階建てぐらいまでの規模の現場なら1人で担当することも多くなりました。 7週間の出張も 出張先の鹿児島市の風景 私の会社は兵庫県に本社があり、東京と福岡に支社があります。支社の仕事で人が足りないときは私たちが出張で手伝うのですが、特定技能外国人になってから出張が増えました。例えば、2022年9月23日から11月16日まで鹿児島県(福岡支社の管内)に出張し、新築19階建て高級ホテルの内装(フローリング)を担当しました。 このときは3人で車で現地に行き、大阪から鹿児島まではフェリーに乗りました。フェリーでの移動は12時間かかりましたが、1人部屋の船室を使わせてもらったので、快適でした。鹿児島では、台所や冷蔵庫、洗濯機があるウイークリーマンション(1人1室)に住み、車で運んでもらった自分の炊飯器や鍋でいつも通り自炊しました。 同じ会社で技能実習から特定技能に フローリングはり付け工事の様子 私たちの会社は忙しいので、週に1度しか休めません。しかし、残業代や休日出勤手当はきちんと支払われますし、お盆や正月などには連休もあり、用事があるときは有給休暇も取れます。また、一緒に仕事をしている日本人の皆さんは親切ですし、新年会やバーベキュー・パーティーなど会社主催の楽しい食事会もあります。社長もやさしい人で、先輩は社長に相談してベトナムに約6週間、一時帰国することができました。 このように働きやすい職場なので、3年間の技能実習が終った後、帰国する仲間以外は皆、他社に移らずこの会社で特定技能外国人になっています。特定技能なってからは、毎月の手取り給料が約3万円増え、ボーナス(20万円以上)も年に1度もらえるようになりました。 4年間で実家に450万円送金 「自分へのごほうび」として買ったiPhone 私は技能実習の3年間で約300万円を実家に送りました。そして、特定技能外国人になってからは、基本給も上がり出張手当も多かったので、1年間で約150万円を送ることができました。弟もシンガポールの中華料理店で働いて実家にお金を送っているので、両親は約2年前、私と弟のお金で自宅を建て替えました。そのときに銀行からもお金を借りましたが、それももうすぐ完済できそうです。 私は忙しいのであまり旅行もしませんし、欲しいものもほとんどありません。日本で買った主な物と言えば、約25,000円の腕時計と日本語能力試験(JLPT)・N3に合格したときに「自分へのごほうび」として買った約70,000円のiPhoneぐらいです。 私の家計簿(1カ月の平均) ※特定技能外国人になってからの家計簿 ※100円=約18,218 VND(2023年2月2日現在) 収入:190,000円 給料 ¥190,000 *税金や社会保険、寮費、光熱費などを引いた手取り給料 *寮費(25,000円)、光熱費(4,000~5,000円)、Wi-Fiと携帯電話の通話料金の一部(2,500円)は給料から天引き 支出:50,000円 食費(主に自炊) ¥30,000 生活雑貨、衣類 ¥10,000 雑費 ¥10,000 毎月の差額:140,000円 ボランティア日本語教室 external link KOKORO:ボランティア日本語教室 私たちのような現場仕事では、一緒に働く日本人と最低限のコミュニケーションをとれないと仕事に支障があります。これは技能実習をめぐるトラブルの大きな要因にもなっています。私は来日して8カ月でJLPT・N3に合格し、同期や後輩のベトナム人も勉強して必要最低限の日本語会話ができるようになりました。仕事の休憩時間などに日本人とよく雑談をするので、そのことも日本語力向上につながっています。 私は来日してからも毎晩1、2時間、日本語の勉強を続けています。また、地元の国際交流協会が主催するボランティア日本語教室(無料)にも3年間通いました。この教室では、先生が参加者の外国人に日本語を2時間教えてくれるのですが、マンツーマンのときも多く、毎週1回通うだけで大きな効果がありました。最近も、後輩の実習生に教室を紹介するために一緒に行きました。 日本に残るかベトナムに帰るか ベトナム人仲間に誘われてボランティアのゴミ拾いに参加〈大阪市で2022年〉 私は自習と日本語教室と職場での会話によって日本語をかなり話せるようになり、今はJLPT・N2を目指して勉強しています。しかし、日本語教師や通訳を目指しているわけではありません。技能実習や特定技能で内装に関する知識・技術を身につけたので、将来もこの業界で生計を立てていきたいと希望しています。 しかし、将来、日本に残るかベトナムに帰るかについては悩んでいます。私は来日前、ベトナムの工場で毎日12時間・週6日間働いても給料が10,000,000 VNDしかなく、「ベトナムでまじめに働いても一生貯金はできない」と思って日本に来ました。しかし、ここ数年でベトナムでの給料も上がり、その工場に残った友人の給料は当時の1.7倍になりました。ベトナムでも高層マンションは増えており、フローリングの需要も拡大していく可能性があります。将来の結婚や家族生活、ベトナムでの今後の所得増加を考えると、特定技能が終わったら帰国するという選択肢もあると思っています。

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【在ベトナム日本国大使館後援】

  • vol. 17 特集:こんなに違う、送出機関への費用 / 徹底比較

    日本で技能実習をするためには送出機関に依頼しなければなりません。多くの人が親戚や知人、学校の先生などの紹介で送出機関を選んでいますが、実は、送出機関によって費用や教育内容に大きな差があります。自分で情報を集めてよい送出機関を選び、自分で送出機関に連絡することで、費用を大きく節約することができます。 それでは、先輩の技能実習生たちが送出機関に支払った費用はいくらでしょうか?KOKORO編集部が取材した中から8人の実例を紹介します。最後の2社だけが規定の範囲内の費用です。送出機関によって総費用にどれぐらいの差があるのか……驚かないでくださいね。 ※100円=21,678VND(2020年4月8日現在) ケース1:総額187,500,000 VND ・送出機関の所在地:ハノイ ・送出機関の選び方:親の知人の紹介 ・技能実習開始年:2017年(食品工場) ・技能実習3年間の送金額=約200万円(約436,820,000 VND) [iconpress id="local_3262" title="sad" style="color:rgba(215,0,0,1); font-size:25px;" ] 送出機関等に支払った費用 寮費(7カ月分) 500,000 VND 食費(7カ月分) 14,000,000 VND 授業料(7カ月分) 8,000,000 VND 渡航時(送出手数料) 165,000,000 VND 合計 187,500,000 VND ※送出機関に支払った費用の中から、紹介者(親の知人)に1,000 USD相当の謝礼が支払われた。 ※渡航時に実際には165,000,000ドンを支払ったが、領収証は3,600ドル分だけだった。ベトナム政府が決めた上限と同額の領収証だが、実際の支払いは領収証記載額の約2倍だった。 【編集部からのアドバイス】技能実習制度では、仲介者(紹介エージェント)が介入したり仲介者が手数料を受け取ったりすることを送出機関が認めることは禁じられています。在ベトナム日本国大使館は、送出機関を選ぶ際は、仲介者を通さず送出機関に直接連絡(電話・電子メールなど)するよう呼びかけています。送出機関に直接コンタクトしてうまくいかない場合は、別の送出機関を選ぶこともできます。 ※仲介業者に関する在ベトナム日本国大使館公式サイトのページ ※外国人技能実習機構(OTIT)が公表している送出機関の一覧 【編集部からのアドバイス】ベトナム政府の規定では、日本語の事前教育費は約520時間に対し590万ドン以下、送出手数料は3,600ドル以下(3年契約の場合)となっています。また、日本への往復の旅費は日本の技能実習先(受入企業)が負担することになっています。これらを上回る金額の場合は、内容を確認した上で領収書をもらいましょう。また、金額が不透明な場合は、他の送出機関の選択も検討しましょう。 ケース2:総額145,000,000 VND ・送出機関の所在地:ハノイ ・送出機関の選び方:親戚の知人の紹介 ・技能実習開始年:2016年(食品工場) ・技能実習3年間の送金=約280万円(611,548,000 VND) [iconpress id="local_3262" title="sad" style="color:rgba(215,0,0,1); font-size:25px;" ] 送出機関等に支払った費用 紹介手数料 20,000,000 VND 寮費(6カ月分) 15,000,000 VND 授業料(6カ月分) 20,000,000 VND 渡航時(送出手数料) 90,000,000 VND 合計 145,000,000 VND ※「紹介手数料」は親戚の知人への支払い ※「送出手数料」には日本に行く飛行機代も含む(=本当は払わなくてよい) ケース3:総額180,000,000 VND ・送出機関の所在地:ハノイ ・送出機関の選び方:学校の先生の紹介 ・技能実習開始年:2015年(工場) ・技能実習3年間の送金=約150万円 (327,615,000 VND) [iconpress id="local_3262" title="sad" style="color:rgba(215,0,0,1); font-size:25px;" ] 送出機関等に支払った手数料 紹介手数料 なし VND 寮費(7カ月分) 120,000,000 VND 授業料(7カ月分) 送出手数料 教科書 食費、雑費 60,000,000 VND 合計 180,000,000 VND  ※「送出手数料」には日本に行く飛行機代も含む(=本当は払わなくてよい) ケース4:総額220,000,000 VND ・送出機関の所在地:ハノイ ・送出機関の選び方:友人が使った送出機関 ・技能実習開始年:2016年(食品工場) ・技能実習3年間の送金=約250万円 (546,025,000 VND) [iconpress id="local_3262" title="sad" style="color:rgba(215,0,0,1); font-size:25px;" ] 送出機関等に支払った手数料 紹介手数料 10,000,000 VND 寮費(6カ月分) 210,000,000 VND 授業料(6カ月分) 渡航時(送出手数料) 合計 220,000,000 VND ケース5:総額142,000,000 VND ・送出機関の所在地:ハノイ ・送出機関の選び方:大学で説明があった ・技能実習開始年:2014年(工場) ・技能実習3年間の送金=約200万円 (約436,820,000 VND) [iconpress id="local_3262" title="sad" style="color:rgba(215,0,0,1); font-size:25px;" ] 送出機関に支払った費用 紹介手数料 不明 VND 寮費(4カ月分) 142,000,000 VND 授業料(4カ月分) 渡航時(送出手数料) 合計 142,000,000 VND ※これ以外に渡航時に「保証金」として2,000 USDを送出機関に預け、帰国後に返してもらった。技能実習の途中で失踪しないようにするための保証金だった。 【編集部からのアドバイス】ベトナム政府の規定では、送出機関が保証金を預かることは禁止されています。 ケース6:総額140,000,000 VND ・送出機関の所在地:ハノイ ・送出機関の選び方:親戚の勤務先 ・技能実習開始年:2018年(建設) (917,322,000 VND) ・技能実習3年間の送金(見込み)=約420万円 ※【編集部・註】日本でどんなに節約しても、これほど大きな金額を送金できるケースはめったにありません。 [iconpress id="local_3262" title="sad" style="color:rgba(215,0,0,1); font-size:25px;" ] 送出機関に支払った費用 紹介手数料 なし VND 寮費(6カ月分) 140,000,000 VND 授業料(6カ月分) 渡航時(送出手数料) 合計 140,000,000 VND ケース7:総額90,000,000 VND ・送出機関の所在地:ホーチミン ・送出機関の選び方:インターネットのレビューをよく読んで、よさそうな送出機関を探した ・技能実習開始年:2015年(工場) ・技能実習3年間の送金=約200万円(約436,820,000 VND) [iconpress id="local_99" title="smile" style="color:rgba(0,207,249,1); font-size:25px;" ] 送出機関に支払った費用 紹介手数料 なし VND 寮費 なし(通学) VND 授業料(12カ月分) 90,000,000 VND 送出手数料 合計 90,000,000 VND 【編集部によるこの送出機関への取材結果】 ※有料の紹介は受けない ※寮はあるが、強制ではない ※行政が決めた費用の上限を守っている ※この人は社会人向けの日本語コースに1年間通った ケース8:総額105,000,000 VND ・送出機関の所在地:ハノイ ・送出機関の選び方:親戚の勤務先 ・技能実習開始年:2019年(食品工場) ・技能実習3年間の送金(見込み)=約300万円(約655,230,000 VND) [iconpress id="local_99" title="smile" style="color:rgba(0,207,249,1); font-size:25px;" ] 送出機関に支払った費用 紹介手数料 なし VND 寮費(12カ月分) 105,000,000 VND 授業料(12カ月分) 送出手数料 合計 105,000,000 VND 【編集部によるこの送出機関への取材結果】 ※行政が決めた費用の上限を守っている ※食事は自炊か近くの食堂利用(自己負担) まとめ:送出機関の選び方 ①知人や親戚の紹介がベストの送出機関とは限らない②送出機関によって総費用が大きく異なる ③高い費用を払ったからといって、よい技能実習先を紹介されるとは限らない。逆に、安い費用でもよい実習先を紹介してもらえる事例はたくさんある。④送出機関に自分で連絡して手続きをするだけで、違法な紹介手数料(1,000 USD相当のケースが多い)を支払わなくてすむ。直接の申し込みを断られた場合、他の送出機関を検討してもよい。 ⑤情報を収集して自分で送出機関を選ぶことが一番大事・まずKOKOROサイトの体験談を読み、いろんなケースがあることを理解する。https://www.kokoro-vj.org/vi/post_category/category/kinh-nghiem-cua-toi・場合によっては、KOKOROで体験談が紹介されている先輩に問い合わせる(=メールアドレスを掲載している先輩がいる)。・他のインターネットサイトも調べる(特にレビューをたくさん読む)。・複数の技能実習経験者に送出機関に関する情報を教えてもらう。 ⑥紹介手数料(紹介者に支払う謝礼)を禁止している送出機関は費用の上限を守っている確率が高いので、そういう送出機関を探す。 【送出機関に詳しい専門家からのアドバイス】・これから送出機関を選ぶ人へのアドバイスは?――技能実習経験者から情報を集めるのが有効です。ただし、実習を終了して帰国した人よりも、現在日本にいる現役の技能実習生から話を聞くのが一番よいと思います。帰国した実習生は特定の送出機関と結びつき、手数料と引き換えにその送出機関に生徒を集める役割を持っているケースが多いからです。・現役の実習生に何を聞けばいいですか?――この特集記事に書かれているような、送出機関に支払った費用や送出機関での教育内容を聞きましょう。また、現役の実習生は受入組合で知り合った他の実習生とも情報交換していますので、他の送出機関の情報も知っています。・一般には、親戚・知人や学校の先生から送出機関を紹介してもらうケースが多いですが。――全員とまではいいませんが、大半が送出機関から手数料をもらう「ブローカー」という立場の人たちです。自分で情報を収集することで費用を大きく節約できる可能性があります。  ※送出機関の選び方について、詳しくはKOKOROサイトの下記ページも参照してください。 5. Những điểm cần chú ý trong chế độ thực tập kỹ năng : [Lựa chọn công ty phái cử] 【送出機関の手数料のポイント】  送出機関が技能実習生から受け取る費用は海外労働管理局(DOLAB)の通達で下記のように定められています。 ・送出手数料(渡航に関する費用)…通常(3年契約)の場合で3,600 USD以下 ・在留資格認定証明書が発給される前の費用徴収は禁止 ・保証金を徴収することは禁止・約520時間の日本語教育に対する「事前教育費」は5,900,000 VND以下

    2020年04月17日

  • Vol. 14 やさしい日本人に囲まれ仕事も勉強も充実

    今回の先輩 グエン・フィ・フンさん 1995年生まれ、ハイフォン市出身 2013年 6月 Nguyễn Bỉnh Khiêm高校卒業2013~2017年 建設業、飲食店店員、農業など2017年12月 ハノイの送出機関に所属2018年 1月 面接合格2018年10月 アクティスで技能実習開始 E-mail: Huyhung25081995@gmail.com グエン・フィ・フンさん 1995年生まれ、ハイフォン市出身 2013年 6月 Nguyễn Bỉnh Khiêm高校卒業2013~2017年 建設業、飲食店店員、農業など2017年12月 ハノイの送出機関に所属2018年 1月 面接合格2018年10月 アクティスで技能実習開始 E-mail: Huyhung25081995@gmail.com はじめに 建築会社で実習するフンさんら技能実習生3人が住む福岡市郊外の寮(マンションの1室)を訪ねた。広いリビングルームと寝室二つの部屋に3人は暮らし、日本人の先輩もよく遊びに来る。夏は暑く冬は寒い屋外の現場で3人は一生懸命働き、日本人の先輩たちからも大事にされているという。彼らの実習や生活の様子、訪日から1年弱でN3に合格した勉強の仕方などを、フンさんの体験談で紹介する。 寮でルームメートや日本人の先輩と。左端がフンさん。【2019年10月】 建築の技能実習 私たちの現場と鉄筋。福岡市内の高層マンション建築現場で。【2019年7月】 私の実習先は福岡県大野城市の建築会社「アクティス」で、社員は数十人です。ベトナム人技能実習生は福岡に私たち3人、関東の営業所に6人います。 日本は地震の多い国なので、建築物の柱に鉄筋がたくさん入っています。鉄筋は工場から運ばれてきたときは4㍍しかないので、建築現場で「圧接」や「溶接」という手法でつなぎ合わせ、必用な長さにします。その鉄筋を縦横に組んで柱の形にし、周囲にコンクリートを流し込みます。私たちが現場で鉄筋をつなぐと、後の仕事はほかの会社が担当します。 圧接してつないだ鉄筋 実習生は、熟練作業員が鉄筋を圧接するための準備(現場を掃除、鉄筋や機材の運搬・セッティング、鉄筋のさびた部分を切除など)と片付けを担当しています。7時までに出社し朝礼に参加後、車で現場に行きます。現場での勤務は8時~17時(途中で休憩が計2時間)の場合が多く、その後、会社に戻って翌日の機材をそろえます。現場での圧接作業には経験が必用ですが、私たち実習生も毎月1度、訓練で圧接の練習をします。訓練や会議(週1回)で帰宅が遅くなった場合や遠くの現場に行くために朝早く出た場合は、残業代が支払われます。 福岡市北部の作業現場から見た夕日【2019年1月】 やさしい職場 訪日したばかりのときは、日本語も仕事もあまり分かりませんでしたが、日本人の先輩たちが丁寧に教えてくれました。失敗しても怒らず、おだやかに教えてくれます。会社の日本人が皆やさしく、働きやすい職場です。私の弟は高校生ですが、卒業したらこの会社の実習の面接を受けさせる予定です。 社員全員で沖縄に年に1度の研修旅行(2泊3日)【2019年3月】 研修旅行の際、沖縄の「美ら海水族館」で【2019年3月】 大先輩の喜納(きな)弘さん(60)は私たちの面倒を特によくみてくれます。週末に寮を訪ねてきて一緒にご飯を食べることも多いですし、ときどき私たちを近くの観光地に案内してくれます。また、社長も年に数回、寮に遊びに来て一緒にご飯を食べます。私の誕生日には社長の奥さんもケーキを持って来て一緒に祝ってくれました。また、職場の20人近くで焼き肉やおでんを食べにいくこともあります。 寮に社長(左端)が訪れ一緒に食事【2019年8月】 【インタビュー】職場の大先輩・喜納弘さんの話 フン君は、最初から日本語が上手だったので話しやすく、すぐに親しくなりました。性格も素直で、職場の皆からかわいがられています。私はフン君とルームメートのマオ君、カオ君を孫のように思っており、週末はよく一緒に過ごしています。 私たちの現場作業はとても忙しいのですが、この3人は指示された仕事を確実にこなします。また、機材の名前や仕事の流れを覚えるのも早かったです。最近、日本の建築業には若い人が集まらず、うちの職場も大半が40代か50代です。若い人はほとんどが半年以内にやめ、長く続くのは5人に1人ぐらいです。そんな中、ベトナムからフン君たちのような優秀な人材が来てくれて助かっています。 喜納さんやマオさんと一緒に福岡県内でイチゴ狩り【2019年1月】 送出機関 私はハノイの送出機関で6カ月間勉強をしてから訪日しました。高校卒業後、中国系の工場で働いていましたが、送出機関で働いている親戚から「日本に行けば、給料が高いし日本語も勉強できる。帰国後、日本語力を生かした仕事もある」と勧められたのがきっかけです。2018年1月、アクティスの社長が送出機関に面接に来て、7人の中から私と今のルームメートのマオ君の2人を選んでくれました。 ハノイで送出機関の仲間たちと【2018年5月】 送出機関には、寮費、食事代、授業料、送出手数料などすべて含めて140,000,000ドンを支払いました。ここに支払ったお金と日本への持参金、雑費を含め、父は銀行から計200,000,000ドンを借りました。 日本での生活 広くてきれいな寮ですが、寮費は1人5,000円だけです。実家に毎週1回、メッセンジャーのビデオ電話をかけますが、Wi-Fiも寮費に含まれています。また、家具や家電はすべて会社が用意してくれました。ほかの出費は、食費とたまに遊びにいくためのお金、衣類ぐらいで、1カ月で約5万円です。 休日に博多駅前で。2カ月に1度ぐらい、博多などの繁華街に出かける。【2019年8月】 私の家計簿(1カ月の平均) ※100円=21,943 VND(2020年3月31日現在) 収入(180,000円~220,000円) 手取り給料 180,000円~220,000円 ※税金、社会保険料、寮費、水道・光熱費を引いた後の手取り額 ※このうち寮費は5,000円(2ベッドルームに3人/冷蔵庫・洗濯機・エアコンなど家電は会社が用意) ※このうち水道・光熱費(水道・電気・ガス)は毎月5,000円 ※Wi-Fiも寮費に含まれる 支出(合計 50,000円) 食費・交通費・雑費 50,000円 ※夕食は自炊。朝食はコンビニでパンを購入。作業現場でジュースやランチの弁当を購入。 ※たまにルームメートや友人と遊びに行く ※衣類なども含む 差額(貯金) 130,000~170,000円 ※貯金を両親に送金。借金200,000,000 VNDは1年間で完済。 ※【編集部から】貯金できる額は実習先によって大きく異なるので、事前の情報収集が大切です。 福岡市内で喜納さんたちとリバークルーズ【2019年8月】 1年間でN3合格 私は訪日して10カ月後の日本語能力試験(JLPT)でN3に受かりました。私は子どものときから日本のアニメに親しんできました。一番好きなのは「ONE PIECE」で、ベトナム語版の本も持っています。2番は「ドラゴンボール」です。送出機関で日本語の勉強を始めて、アニメ動画(字幕:ベトナム語)の日本語音声が少しわかるようになり、今はかなり分かります。 送出機関では、授業にも宿題にも真面目に取り組み、You Tubeでも勉強して、約300人の中で一番の成績でした。送出機関の先生(N2)には今でもメッセンジャーのビデオ電話で日本語の文法などを教えてもらっています。1回1時間で、以前は週3回電話していましたが、今は月に10回です。 送出機関の日本語センターの先生(中央)やクラスメートと【2018年1月】 訪日後は、週に2回、19時~21時、会社の費用負担でベトナム人留学生(N1)が会社にきて日本語を教えてくれます。それ以外は、日本語教材やYou Tubeで勉強しています。You Tubeでは「日本語の森」や「Riki nihongo」をよく見ます。 ■Riki nihongo 携帯電話はSIMを使わず、Wi-Fiだけでの使用です。You Tube動画やFacebookで紹介されている単語、模擬試験の問題などを携帯電話機に保存し、仕事の休憩時間に覚えています。分からない問題は、先輩の日本人たちに聞くと、皆さん親切に教えてくれます。 Facebookの学習ページのスクリーンショット 日本語の問題も携帯電話に保存して仕事の休憩時間に学習【2019年10月】 最後に 日本に来て一番よかったのは、空気がきれいなことと、日本語で話す機会がとても多いことです。技能実習が終わったら特定技能の在留資格を取得し、引き続き今の会社で働きたいと希望しています。将来はベトナムでも圧接・溶接の技術が必要とされる時代が来ると思うので、10年ほど日本で働いたら、学んだ技能を生かしてベトナムで建築の仕事を続けたいと思います。 寮で手料理を前に【2019年10月】

    2020年04月06日

  • Vol. 12 実習先の経営者に信頼され、ベトナム法人社長に

    今回の先輩 レ・ヴァン・ロイさん 1989年生まれ、タインホア省出身2007年 6月 Le Viet Tao高校 卒業2007年 9月 Truong Dai Hoc Cong Nghiep Viet Hung(ベトナムハンガリー工業大学専門学校)入学2010年 6月 Truong Dai Hoc Cong Nghiep Viet Hung 卒業2010年 7月 IIG旅行社日本語学科 入学2011年 1月 IIG旅行社日本語学科 卒業2011年 2月 株式会社テクノタイヨーで技能実習開始2014年 2月 株式会社テクノタイヨーで技能実習修了2014年 3月 テクノタイヨー・ハノイ事務所勤務2019年10月 テクノタイヨー・ベトナム有限会社設立 Mail: Loi@techno-t.co.jp はじめに 大阪の中小企業の工場で3年間技能実習をし、帰国後に同社の二つのベトナム現地法人の社長を任されているロイさん。6才と1才の息子の父で、月収約24,000,000ドン(約11万円)。社長として、営業や取引先のケア、製造委託先に製品の仕様を説明し品質を管理する仕事、現地法人の人材育成などを担当し、日々、駆け回っている。日本の品質をハノイで見事に実現し、現地法人はJETROが選出した「ベトナム優良企業(北・中部ベトナム編)2019」にも掲載されるようになった。 現地法人の自社工場【2019年10月】 実習先の社長、水野敏雄さんは「受入組合から勧められて実習生の受け入れを始めた。最初は安く雇える人材としか考えていなかったが、ロイ君が来てくれて、彼の仕事ぶりや能力、考え方に感銘を受けた。今は、実習生や元実習生を会社の財産と考えており、日本人並みの待遇も提供している」と話す。水野社長に信頼され、現地法人を任されるようになったロイさんの体験談を以下に紹介する。 結婚5周年の記念にハノイ市内のレストランで。妻や息子2人とおい。【2019年7月】 訪日前の勉強が大事 私は大学卒業前、送出機関が大学で行った説明会に参加しました。当時、技能実習生の受け入れは現在ほど多くはなく、面接合格者の多くは大学卒や短大卒でした。私は、大学で専攻した機械関係の知識を高めたかったので実習生に応募しました。 送出機関では半年間勉強しました。毎月試験があり、クラス36人の中で1、2番の成績でした。そのためには、授業だけではなく自習もがんばりました。朝5時に起きて7時~11時に勉強します。午後は4時間授業を受け、寮に戻ったら19時~22時に勉強し、23時に消灯です。つまり、1日のうち授業が4時間、自習が7時間でした。さらに、試験前には朝2時~5時にも自習をしました。ほかにも同じように努力している人が何人かいました。 こうした努力が実り、2011年2月に訪日後、同年7月に日本語能力試験(JLPT)N4に合格、2013年7月にN3に合格、帰国直後の2014年7月にN2に合格しました。最近は、ほとんど話せない状態で日本に行く人もいますが、その場合は、行ってから苦労します。そして、基礎的な日本語力や学習の習慣がついていないので、日本に3年間住んでも日本語はあまり上達しません。 N4合格を祝って受入組合が連れて行ってくれた京都の伏見稲荷神社【2011年秋】 日本での暮らし 日本では、3年間で約350万円を両親に送りました。両親は送出機関への支払いのために借りた約60万円を返済後、残ったお金で私名義の土地を地元で買いました。私の場合は、手取り給料が十分にあったうえ寮費も安かったので、十分な送金ができました(こうした状況は実習先によって異なります)。 寮は実習先から自転車で7分の所にあり、2ベッドルームでした。ここに1年目は1人で住み、2年目は2人で住みました。電化製品や家具は会社が用意してくれました。 私の家計簿 ※100円=21,943 VND(2020年3月31日現在) [supsystic-tables id=16] 日本では、送出機関や受入組合の研修での同期生たちとよく会いました。実習先はばらばらですが、メンバーの誕生日や長期休暇の時に集まり、近くに旅行したり、ご飯を食べたりしました。実習先の日本人の先輩たちとも時々飲みに行きました。 送出機関や受入組合での同期約10人で京都へ【2013年10月】 日本人の先輩が会社をやめる際の送別会【2013年】 実習修了後、現地事務所で勤務 実習先のテクノタイヨーでは、金属材料を機械で削って加工する仕事をしました。機械の操作に専門知識が役立ちました。また、訪日前に日本語をしっかり勉強し、訪日後も勉強を続けたので、職場での日本人との会話も日に日に上達しました。 社長の水野さんは私の仕事ぶりや語学力を気に入ってくれ、「君の実習が終わってからも一緒に仕事をしたい」と言ってくれました。私が2014年2月に帰国する約1年前から、社長は私を伴って何回かベトナムを訪れてハノイ事務所を開設し、製品製造の委託先をいくつか見つけました。そして、これまで日本だけで製造していた製品をベトナムでも委託生産し、日本に輸出するという新事業が始まり、私は帰国と同時に新事業の責任者になりました。その後、後輩実習生2人も帰国して事業に加わり、2015年に現地法人「テクノタイヨー・ベトナム(TTV)」を設立し、私が社長になりました。 自社工場を設立 さらに、2018年4月にはもう一つの現地法人「ヴィナテクノ(VT)を」設立し、ハノイに自社工場を開設しました。ステンレスを加工して台所用品などを製造する工場です。TTVは製造の注文を取ってテクノタイヨーに輸出する商社、VTはTTVが製造を委託するメーカーの一つです。技能実習時代に寮でルームメートだったタオさん(30)がVTでの品質管理や出荷計画、納期管理、人事・総務などを担当しています。TTVは7名、VTは25名で、全員ベトナム人です。 ヴィナテクノの自社工場での作業風景【2019年10月】 ヴィナテクノの自社工場での昼休み【2019年10月】 私は自社製品に自信を持っています。今、ベトナムで広く売られている大半のキッチンウエア(中国製、韓国製、ベトナム製)と比べ、当社製品は表面処理がすぐれ、手にけがをすることもありませんし、さびにくいです。今後は、ベトナム国内にも販路を開拓していきたいと思っています。 いずれもヴィナテクノ社の製品 技能実習先の社長 水野社長は社員を大事にしてくれます。私たち技能実習生が借金をかかえて訪日することを知っているので、受注の少ない時期でも残業をなるべく私たちに回してくれました。私の帰国後、兄もこの会社で実習をしていますが、私たちの父が亡くなった2018年7月、兄が帰国するための航空券を社長が買ってくれたうえ、兄を空港まで車で送ってくれました。タインホアで行った私の結婚式(2014年7月)にも参加してくれました。また、簡単な仕事だけでなく難しい仕事もベトナム人に振り分け、日本人と平等に扱ってくれました。 出張でテクノタイヨーを訪問した際の私と水野社長【2020年3月】 日本のよさと実習生へのアドバイス 日本に行ってすぐ、電車の乗り継ぎに迷ったことがあります。監理団体の研修会場から会社の寮に初めて一人で帰る際、大阪の天王寺駅でどの電車に乗り換えたらいいか分からなくなりました。この駅では乗り場が20カ所近くあり、とても複雑だったのです。困り果てて、近くにいたおばあさんに片言の日本語で聞くと、言葉が通じないためホームまで連れて行って電車のドアが閉まるまで待ち、手を振って見送ってくれました。私はありがたくて涙が出そうになりました。これに限らず、日本には親切な人が多いと感じました。私が勤務した大阪は特に人情の厚い町として知られています。 また、日本人の仕事のやり方はとても勉強になりました。①責任感が強く、失敗してもあまり言い訳をせず、同じ失敗を繰り返さないように努力します。 ②計画を立ててその通りになるように努力します。   ③ 時間や約束を守ります(ベトナム人も守ろうとしますが、困難に出会うと簡単に約束を破り、言い訳をするケースが多く見られます)。日本でこういう姿勢を身につけることができ、本当によかったです。これから日本に来る実習生の皆さんも日本で自分を成長させてください。そのためにも、まずは日本語の勉強をまじめにがんばりましょう。 旅行先のミャンマーにて【2019年5月】

    2020年03月30日

  • Vol. 11 目先の金より生涯収入 / 私のN1必勝法

    今回の先輩 Cường Đỗ Mạnh(ドー・マイン・クオンさん) 1995年生まれ、ハノイ出身2013年 6月 DAN PHUONG高校卒業2013年 9月 ハノイ工業大学入学2014年 6月 送出機関の日本語センター入学2014年 6月 ハノイ工業大学休学2014年 12月 山梨県で技能実習開始2017年 12月 技能実習修了、ベトナムに帰国2018年 1月 送出機関入社2018年 10月 送出機関退社2019年 1月 日本の健康器具販売会社のベトナム法人入社 Mail: domanhcuong271195@gmail.com 実習3年でN1に合格した日本語力が武器 ハノイ市内の小さなオフィスの2階。長い順番待ちの末にやっと27席の一つずつに座った中高年の男女がクオンさんの健康講座に聞き入る。いすには電気健康器具の通電シートがしかれ、30分の講座を聴く間、器具を無料体験できる。肩こりや頭痛など様々な症状に効果があるといい、これが目的で何度も足を運ぶ人が多い。ここは日本の健康器具販売会社のPRセンターで、ハノイに7カ所あるうちの一つだ。講座は4人のスタッフが30分ずつ交代で担当し、1日に14回行う。初回に会員登録し、2回目からは受付に会員カードを出した順に受講できるが、1階待合室はいつも満員で、3時間待ちのこともある。 健康について講義をするクオンさん【2019年10月】 この器具は1台129,000,000ドン(税込・約61万円)と89,000,000ドン(同・約42万円)の2種類。皆が買うわけではないが、来てくれるだけで歓迎するのがクオンさんの方針だ。器具は買わなくても、友人を連れてきてくれる人もいるし、無料体験で健康になってくれればPRにもなる。来場者は居心地がよいのか、2019年4月のオープンから10カ月間で会員は約400人に達した。そのほとんどが口コミで、器具は1カ月に7台から十数台売れる。クオンさんの手取り月給は約16,000,000ドンだが、センターの売り上げに応じてコミッションが加算され、その額が月給の3、4倍になることもしばしばだという。 収入安定で家庭もますます安泰。妻とハノイ市内のフォー店で。【2019年10月】 クオンさんはセンター長で、人材会社のサイトで「N2以上、営業が得意」という条件を見て応募した。技能実習の3年間で日本語能力試験(JLPT)のN1に合格した日本語力がクオンさんの武器だ。 以下に、クオンさん本人による日本での実習体験を紹介する。 日本語センターで先々まで予習 私は大学で溶接を専攻していましたが、ある日、学内で技能実習生の送出機関のポスターを見ました。「日本に行けば毎月15万円(約30,000,000ドン)稼げる」「日本語を身につけ、日本語の先生になれる」と書いてありました。溶接の仕事に興味を感じていなかった私は技能実習生になろうと決心しました。大学を休学して送出機関に入りました。寮から約10㌔離れた実家には毎週1回帰りましたが、勉強に集中するため宿泊せず日帰りでした。 送出機関の日本語センターで使った「みんなの日本語」という教科書は1~25課がN5向け、26~50課がN4向けで、授業で35課まで習いました。しかし、私は自分で50課まで勉強してから日本に行きました。最後は、成績が8クラス計約200人の中で一番でした。先に自習したことを授業で復習する形になり、よく覚えられたのだと思います。 目先の金より将来の収入 私はセンターで約8カ月間勉強して2014年12月に日本に行きました。実習先は、金属ワイヤーを加工して金網などを作る山梨県内の工場でした。ベトナム人男性が10人(3年目は15人)いて、日本人と合わせて100人余り。コイル状のワイヤーをクレーンで直線機という機械にセットし、機械からワイヤーが真っすぐになって出てきたら指定の長さに切断するのが私の仕事でした。 9台の機械を受け持ちましたが、機械からワイヤーが出てくるのを待つ時間が長いので、その間に日本語を勉強しました。また、残業はなるべく入れないよう会社にお願いし、夜の勉強時間を確保しました。最初はたくさん残業したのですが、「技能実習3年分の残業代」と「日本語を身につけた後に何年にもわたって稼げるお金」を比較し、「目先のお金」より「将来の仕事と生活」を選んだのです。 機械から直線になって出てきたワイヤーを切断【2017年】 会社の役員(手前左から2人目)やベトナム人の実習生仲間たち【2016年】 私のN1必勝法〈ツール編〉 私は訪日から1年後の2015年12月に日本語能力試験(JLPT)のN2に不合格(あと1点で合格)でしたが、2016年7月にN3に合格し、2017年12月にN1に合格しました。 JLPTのN1に合格【2017年12月】 ◇参考書、問題集◇ 私は日本語教材にお金を惜しみませんでした。日本に行く前に約1万円(約2,116,000ドン)、訪日後も約19万円(約40,197,000ドン)使いました。日本語力を確実に身につければ、将来回収できると確信していたからです。私が使った教材の中で、ある程度勉強した人には「新完全マスター」シリーズが特にお勧めです。 ・「新完全マスター」シリーズ(出版社:スリーエーネットワーク) お世話になった日本語教材の数々 ◇ヒアリング◇ ヒアリングは「耳から覚える日本語能力試験 語彙トレーニング」に付いていたCDを毎日聴きました。CDの中身をパソコンを使ってアイフォンに保存し、仕事中にイヤホンで聴いたのです。また、インターネットの「SAKURA TV」もよく視聴し、仕事中や休日には、日本人と積極的に会話もしました。 ・「耳から覚える 日本語能力試験」シリーズ(出版社:アルク) ・SAKURA TV ◇単語暗記アプリ◇ 単語は「AnkiMobile」という有料アプリ(アンドロイド携帯からは無料)を使って覚えました。私はヒアリング力と単語力が強かったのですが、単語力はこのアプリの力によるところが大きかったです。 AnkiMobile 私のN1必勝法【生活編】 仕事のない週末は、アパートか山梨県立図書館で勉強しました。図書館はエアコンが効いていて快適ですし、静かで、勉強に最適でした。早めに起きてJR甲府駅構内のベンチで朝8時から勉強し、駅近くの県立図書館が開くとそちらに移りました。お昼は近くの甲府城でお弁当を食べ、その後、国立山梨大学に行きます。ここでボランティアの日本人が無料の日本語教室(毎週日曜日14時~16時)を開いており、いろんな国の人と一緒に勉強しました。 山梨県立図書館 Ⓒ毎日新聞社 同僚の実習生は休日は遅くまで眠るかスマートフォンで遊ぶことが多く、だれも日本語の勉強をしていませんでした。私はあまり遊ばず、「生活費を稼ぎながら日本に留学(自習留学)」という感覚で、できるだけ学習に時間を取りました。勉強に集中するため最初の2年間はFacebookもやめたほどでした。 私の家計簿(1カ月の平均) ※100円=21,156 VND(2020年2月17日現在) 手取り給料(100,000円~155,000円) 手取り給料 85,000円~93,000円※税金、社会保険料、寮費を引いた後の手取り額※このうち寮費は20,000円(2ベッドルームのアパートに3、4人/冷蔵庫・洗濯機・エアコンなど家電は会社が用意) 支出(合計40,000円~50,000円) 光熱費 0円※寮費に込み(水道、電気、ガス) インターネット 1,000円※寮の6、7人でシェア※携帯電話はSIMなし(Wi-Fiのみ使用) 食費・交通費 37,000~60,000円※勉強時間確保のため主に外食中心※図書館への交通費。たまに仲間とレジャー。※教材費は別途 差額(貯金) 平均40,000円 ※貯金を2、3カ月に1回、両親に送金。1回の送金は10万円程度。 ※送出機関に支払うための借金を3年間で返しただけで貯金はゼロ。しかし、帰国後、高収入を継続し、両親にも還元。 寮(会社が実習生のために借りたアパート)。周囲にはモモやブドウの畑がありました。【2017年】 送出機関での仕事 2017年12月に帰国後、父の知人の紹介で大手送出機関に入社しました。資料の翻訳や面接での通訳、営業などが仕事です。営業先は、日本の受入組合や受入会社などで、ハノイから日本に電話して面会約束を取り、出張して技能実習などの求人を回してくれるよう交渉します。合意すれば、先方にベトナムに視察に来てもらい、その際に飲食店やマッサージ、カラオケなどで接待します。しかし、ほどなく仕事内容に疑問を感じるようになり、10カ月で退職しました。仕事をするからには、なるべく世の中の役に立つ仕事をしたいと思っていたのですが、この仕事は違うのではないかと思ったからです。 送出機関でもよいことはありました。例えば、妻と出会えたこと(笑)。【2018年】 日本人の親切 ほとんど仕事と勉強だけの生活でしたが、目標に向かって努力を続けたので充実感がありました。また、職場で楽しい仲間や親切な先輩たち恵まれ、楽しい思い出もたくさんできました。 【日本の「お父さん」「お母さん」】 私たち技能実習生にとても親切にしてくれる三科さんという60歳代の先輩がいて、野菜や果物を私たちの寮によく差し入れてくれました。「ベトナム人には日本の冬の寒さはつらいだろう」と、服や靴下、手袋を買って持ってきてくれたこともあります。私たちは5、6人で月に1、2度、電車に乗って三科さん宅に遊びに行き、ご飯をごちそうになったり、一緒にボーリングに出かけたりしました。私たちは三科さんご夫妻のことを「お父さん」「お母さん」と呼んでいました。山梨大での無料日本語教室を見つけてきてくれたのも三科さんで、最初の日、ご夫婦で車で私を大学に連れて行き、教室が終わるまで外で待っていてくれました。 三科さん宅で日本のお正月をお祝い。実習生仲間6人で訪問。【2016年1月】 三科さんと工場の社員食堂で【2017年秋】 【国際交流イベント】 常務の福岡さんは、地元自治体が主催する年2回の国際交流イベントに私たちをポケットマネーで行かせてくれました。地元の外国人約100人が集まるイベントで、職場の実習仲間約10人でよく参加させていただきました。 【日本人の先輩たち】 日本人の先輩たちと私たち実習生とでバーベキューを楽しんだりスケートに行ったりもしました。こういう時は、先輩たちが費用をほとんど負担してくれました。また、年に2、3回、先輩たちとベトナム人仲間とで飲みに行くこともありました。 職場の十数人で魚釣りの後、釣った魚でバーベキュー【2015年6月】 山梨県の遊園地「富士急ハイランド」でアイススケート。背後に富士山。【2016年】 【寮の仲間】 寮の仲間とは、後輩実習生の歓迎会をしたり、時々花見や近くに観光に行ったりしました。休日の夕方はサッカーをすることもありました。私が図書館から帰るのに合わせて夕方に設定してくれたのです。 職場の仲間たちと桜の花見【2015年4月】 甲府市内の中学校グラウンドで技能実習仲間でサッカー【2017年秋】 仲間の部屋で私(左下)と同期生の送別会【2017年12月】 せっかく行くならよい留学・就労を このように、私の日本滞在は充実した内容でした。日本に行ったからといって、何もせずに自動的に日本語が身につくわけではありません。逆に、しっかり準備してから訪日し、日本でも毎日努力すれば、日本語力や仕事に対する日本的な考え方など大きな財産が身につきます。なるべく少ない借金で日本に行き、日本在留中はお金を稼ぐより能力を磨くことを優先すれば、留学や技能実習が終わってからの仕事のやりがいも収入もまったく違ったものになるでしょう。後輩の皆さまのご検討をお祈りします。

    2020年03月16日

  • Vol. 10 Skypeで無料日本語授業を受講

    今回の先輩 BÙI THI HÀ(ブイ ティ ハー)さん 1998年2月1日生まれ、タインホア省出身2016年6月 Thạch Thành 1高校卒業2017年4月 福岡県の食品工場で技能実習開始 はじめに 私より4カ月早く宮崎県で技能実習を始めた姉(28)の後を追うように、私も2017年4月に福岡県の食品(弁当)工場で実習を始めました。コンビニエンスストアで販売する麺類のトッピングを容器に入れるのが私の実習内容(仕事)です。職場ではあまり日本語を話す機会がありませんが、夜間や休日にSkype(インターネット電話)を使って日本人の先生と会話をし、YouTubeやFacebookでも日本語を勉強しています。 また、貯金したお金はベトナムの両親に送っていますが、残ったお金で1、2カ月に1度、コスメを買うのが楽しみです。日本のコスメはベトナムでも人気ですが、高くて手が出ません。でも、日本でなら半分近い値段で買えます。日本語ももっと勉強したいですし、買い物も楽しいので、技能実習が終わっても、できれば特定技能の在留資格で日本に残れたらいいなあと思います。 宮崎県で技能実習をしていた姉と博多で【2019年5月】 技能実習先での仕事 職場では衛生管理のため、このような格好をしています【2019年】 私の技能実習先は、大手コンビニで発売する持ち帰り用のそばやうどん、焼きそば、冷麺などを製造しています。流れ作業で、トッピングの卵やキュウリ、にんじんなどを容器に入れるのが私の仕事です。日本人の先輩たちは皆さん親切で、時間や仕事のルールもしっかり守るので、一緒に働いてとても勉強になりました。 また、職場には、ベトナム人の実習が39人(女性23人、男性16人)いますので、ホームシックにはなりません。時々、実習仲間で食事会やお出かけをします。 職場では衛生管理のためこのような格好をしています【2019年】 私の技能実習先は、大手コンビニで発売する持ち帰り用のそばやうどん、焼きそば、冷麺などを製造しています。流れ作業で、トッピングの卵やキュウリ、にんじんなどを容器に入れるのが私の仕事です。日本人の先輩たちは皆さん親切で、時間や仕事のルールもしっかり守るので、一緒に働いてとても勉強になりました。 また、職場には、ベトナム人の実習が39人(女性23人、男性16人)いますので、ホームシックにはなりません。時々、実習仲間で食事会やお出かけをします。 寮の近くのレストランで技能実習仲間の誕生祝いを兼ねて食事会【2019年9月】 Skypeで日本語会話を練習 職場にはたくさんの日本人がいますが、それぞれ黙って自分の作業をします。単純作業なので指示や質問もあまりありません。ですから、仕事中に会話をすることはほとんどなく、日本語の勉強は夜間か休日が中心です。私は日本に来て2年あまりで日本語能力検定試験(JLPT)のN3に合格しました。こうした資格を取ると、帰国後の就職で有利になります。私は、日本に来てからも問題集やFacebook、You-tubeなどを使って、毎日1時間~2時間、日本語の勉強を続けてきました。 問題集はこれを使っています Facebookでは例えば「Cùng Nhau Đỗ N3-N2 (日本語のグループ N3-N2)」というページを使い、You-tubeでは例えば「Riki Nihongo Dayo」といったチャンネルを見て勉強しています。Facebookで出てきた単語はスクリーンショットで保存し、仕事の休憩時間などに繰り返し覚えます。 FBの日本語学習ページからスクリーンショット また、日本に来て2年目からは、週に1度、Skypeを使って日本人教師の授業も受けています。Lotus Works というNPOが日本で働くベトナム人技能実習生に提供しているサービスで、週1〜2回、約30分間の日本語指導を無料で受けられます。日本での生活についても相談に乗ってくれます。興味のある人はLotus Works のHP(ベトナム語)から問い合わせてください。 Lotus Works のHP(ベトナム語もあります)http://lotusworks.biz/vi/index.html 日本での暮らし 私たちの職場は繁華街から遠く、普段は近くのスーパーに自転車で食材を買いに行くぐらいです。でも、職場のベトナム人仲間と一緒に2カ月に一度ぐらい、自転車・バス・電車を乗り継いで福岡市や久留米市の繁華街に遊びに行きます。その時は、コスメや衣類(ZARA、UNIQLO、H&Mなど)を選ぶのが楽しみです。 同僚のアインさんと「博多」にお出かけ【2019年10月】 [iconpress id="local_120" title="book" style="color:#525252; font-size:25px;" ]私の家計簿(1カ月の平均) ※100円=21,145 VND(2020年2月7日現在) 手取り給料(100,000円~155,000円) 手取り給料 95,000円~150,000円※税金、社会保険料、寮費を引いた後の手取り額※このうち寮費は15,000円(寮は3ベッドルームのマンションに6人) 支出(合計 40,000円~50,000円) 光熱費・通信費    5,000円※電気・ガス・水道代・Wi-Fiの合計 携帯電話  0円※SIMなし(Wi-Fiのみ使用) 食費 20,000円※主に自炊 雑費・交通費  15,000~25,000円※化粧品や衣類、繁華街への交通費など※あまり買い物をしない 差額(貯金)  差額(貯金)  60,000円~120,000円※冬は残業がほとんどなく収入が少ないが、春・夏(4~10月)は残業が多く収入も多い。※貯金を2カ月に1回、両親に送金。1回の送金は10万円程度。 日本のコスメが大好き 日本の商品で特に気に入っているのは、お手ごろな美容グッズ(コスメ)です。ベトナム人女性は韓国や日本のコスメが大好きです。私は例えばこうしたコスメグッズをよく買います。 日本の衣類やコスメを紹介するベトナム語のサイトもたくさんあり、そこにベトナム語で商品説明が紹介さていますし、パッケージの日本語の説明も7割ぐらいは理解できます。日本のファッションや美容に関するサイトには、例えばこういうものがあります。 Sakurafashion.vn こういう商品もチェック 日本の景色を楽しむ 姉は2019年12月に帰国するまで、年に1、2回、福岡に来て私の部屋に泊まっていきました。九州では福岡市が一番大きな都会です。姉とは「博多」や「天神」といった大きな繁華街によく一緒に行きました。 また、技能実習仲間と日帰りで旅行したり、花火大会に行ったりもします。実習先の工場は郊外にあって不便ですが、自然は豊かで、春には花がたくさん咲きます。 寮の近くで桜見物【いずれも2019年4月】 花火大会 実習仲間5、6人で花火大会を見物(福岡県久留米市)【2019年8月】 仲良しのアインさんとヒマワリを鑑賞(福岡県柳川市)【2019年8月】 日本にもう少し このように、職場ではあまり日本語を話す機会がありませんが、せっかく日本に住んでいるので日本語をもっと覚えられるように、Skypeで日本人の先生と会話をしますし、You-tubeやFacebook、問題集で毎日、勉強を続けています。また、実習仲間と遊びや買い物に出かけたり、休みの日に一人でじっくりコスメを選んだりするのもとても楽しいです。3年間では短いので、できればもう少し日本を楽しめたらいいなあと思います。

    2020年03月10日

  • Vol. 08 技能実習後に留学で再訪日し介護福祉士に

    今回の先輩 Nguyễn Thị Hường(グエン・ティ・フーン)さん 1991年生まれ、バクリエウ(Bạc Liêu)省出身2009年 5月 Bạc Liêu 高校卒業2009年12月 技能実習送出機関2010年12月 三重県津市で技能実習開始2013年12月 技能実習修了2014年4月-2016年5月 技能実習送出機関で日本語教師2016年6月-2017年4月 人材会社で通訳・翻訳業務2017年 4月 近畿社会福祉専門学校入学、奈良厚生会病院でアルバイト開始2019年 3月 近畿社会福祉専門学校卒業2019年 4月 奈良厚生会病院に就職 技能実習から一度帰国後、留学で再訪日 私は2010年から3年間、三重県の工場で技能実習をしました。技能実習先を紹介してもらう送出機関を選ぶ際には次の2点に気をつけました。 ・寮費が安い ・教室の人数が少ない(=教育の質が高い) 技能実習生時代、実習仲間と一緒に紅葉見物(三重県)【2012年11月】 技能実習の2年目に日本語能力試験(JLPT)N2に合格し、実習を終えてベトナムに帰国後、ホーチミンで日本語教師などをしていました。そんなある日、職場の同僚から「奨学金で日本の介護専門学校に通って介護福祉士の資格を取り、介護施設に就職する道がある」と聞き、ホーチミンの人材会社「CICS」に詳しい話を聞きに行きました。介護施設でアルバイト勤務をしながら奨学金で専門学校に通い、国家資格を取得後、その介護施設の正職員になれるという話でした。 介護のバイトと奨学金で専門学校に通学 介護施設の幹部らが日本からホーチミンに来て私の面接をしてくれました。私は合格し、2017年4月、3年ぶりに日本に行きました。介護施設は奈良厚生会病院介護医療院(奈良県大和郡山市)という病院と併設の施設です。施設の寮に住み、電車で大阪市の近畿社会福祉専門学校に2年間通いました。留学生の多くは最初は日本語学校に通いますが、私はN2だったので最初から専門学校に行けました。 AHP NetworksというNPOが管理する介護留学生奨学基金で学費をすべて支払い、生活費は介護施設でのアルバイト代でまかないました。月給は手取り7~8万円で、寮費が安く学校への交通費も施設が出してくれたので、毎月3万円の貯金もできました。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] AHP Networks 専門学校は大阪城のそばにあり、城の周りには桜がたくさん咲いていました。【2017年4月】 【編集部からのアドバイス】外国人介護留学生奨学金…日本では、フーンさんが受給した奨学金以外にも、介護福祉士を目指す外国人留学生を支援する制度があります。都道府県が介護施設に助成金を支払い、各施設はこの資金をもとに留学生を支援します。支援内容は学校への入学金や毎月の学費、就職準備金、居住費などです。 制度をよく知っている留学あっせん会社を探しましょう。 国家試験に合格し介護福祉士に 約2年後、私は専門学校を卒業する直前に介護福祉士の国家試験に合格し、卒業と同時に介護施設に正式に就職できました。同時に後輩のベトナム人4人が入ってきました。彼女たちはN4なので、日本語学校に1年間通ってから専門学校に行く予定ですが、彼女たちも介護施設で仕事をしており、日本人の先輩職員たちが分かりやすい日本語で彼女たちを指導しています。 専門学校で一緒に介護福祉士の勉強をしたベトナム人の仲間。国家試験に1回で合格したのはこの中で2人だけですが、今も全員が日本の介護施設で働いています。【2018年2月】 病院の後輩ベトナム人と一緒に介護施設の近くの河原で花見。後輩たちは桜が初めてで、「きれいですね。きれいですね」と繰り返していました。【2019年4月5日】 介護の仕事 職場では、日勤(9時~17時)と夜勤(16時30分~翌朝の9時30分)があります。夜勤後は、帰宅して入浴し、ご飯を食べて寝ます。夕方起きて、携帯電話でベトナム語の映画を見たりして楽しみます。 入所者を入浴させる際は、重い人もいますが、2人でやるので大丈夫です。おむつ交換も、慣れてしまえば何ともありません(=同僚も同じように言っています)。お年寄りの排泄量は少ないですし、おむつをバケツに入れて消臭剤をかけ、ふたをすれば、においもすぐに消えます。 私は入所者とたくさん話をします。面白い人もいますし、「ありがとう」と声をかけられることも多く、やりがいを感じます。日本人の先輩たちと休憩室でお菓子を食べながらおしゃべりをするのも楽しいですし、先輩から米や魚、エビなどをもらうときもあります。皆さんが私にとても親切にしてくれます。 食事の介護【2019年7月】 私は入所者とよく話をします【2019年7月】 入所者へのケアを記録するなど事務仕事もあります【2019年7月】 【インタビュー】看護師長・永畑早苗さんに聞きました・奈良厚生会病院はどのような施設ですか?――病院と介護施設(介護医療院)が同じ建物内にあります。介護施設(238床)では医療ケアも提供しており、看護師が51人、介護福祉士がフーンさんも含めて61人います。・外国人として初めてフーンさんを雇いましたが、働きぶりはどうですか?――フーンさんは専門学校時代から日本語がとても上手だったので、すぐに職場の戦力になりました。4人の後輩ベトナム人も短期間で日本語力を高めており、今後に期待しています。フーンさんは、教えたことをすぐに理解し身につける、とても優秀な人です。そして勤勉です。彼女が私たちの職場に来てくれて、とても助かっています。彼女の働きぶりを見て、これからも外国人職員を増やそうと思いました。 病院の夏祭り。病院に借りて浴衣を着ました。【2017年8月】 日本での生活 病院の寮に安い費用で住んでいます。冷蔵庫や洗濯機、電子レンジ、テレビ、ベッドなど家具はすべて病院が用意してくれたものを無料で使っています。食事は、スーパーで食材を買い、主にベトナム料理を作ります。ベトナムの食材や調味料も大阪のお店で手に入ります。勤務時の昼食は従業員食堂で食べますが、220円の定食が提供され、安くすみます。 私の家計簿(1カ月の平均) ※就職して1年目 ※100円=21,145 VND(2020年2月7日現在) 収入(合計約215,000円) 給料  215,000円※税金、社会保険などを引いた後の手取り額※これとは別に年に2回、ボーナスも支給される 支出(合計約100,000円) 家賃(寮費) 35,000円※1人暮らし、ワンルーム、トイレ、シャワー&バス※職場まで自転車で15分。鉄道の駅まで徒歩3分。 光熱費 10,000円※電気・ガス・水道の合計 携帯電話 5,000円 食費 30,000円※主に自炊、ランチは従業員食堂 雑費・交通費 15,000円※月に数回、友人と一緒に出かける※あまり買い物をしない 差額(貯金)平均120,000円 ※余ったお金はベトナムの両親に送金したり、自分で貯金したりしています。 寮の部屋。冷蔵庫や洗濯機、電子レンジ、テレビ、ベッドなど家具はすべて施設が用意してくれました。【2017年4月撮影】 日本を楽しむ 私の住む関西には、京都、大阪、奈良という三つの大きな観光地があります。大阪は大都会で、食べ物が美味しいことでも有名です。1カ月間に9日間以上の休日がありますので、毎月数回、友人と外出します。また、私には2人の妹がいます。下の妹は2020年1月まで広島県で技能実習をし、上の妹も2018年12月までやはり広島県で技能実習をしていました。妹たちが日本にいた時は、年に2回、一緒に旅行をしたりしました。 西日本最大の都市「大阪」に上の妹と一緒に行きました。食べ物が美味しいことでも有名な街です。【2017年11月】 広島で技能実習をしていた妹たちと「安芸の宮島」という広島の観光名所に行きました。ここは日本三大景観スポットの一つです。【2017年8月】 ハイセンスでおしゃれな街、神戸。最初、上の妹と2人で行きましたが、とても素敵な街だったので、後日、下の妹も連れて行きました。【2017年11月】 日本が大好き 私はベトナムにいた時も、寝たきりの祖母の世話をしました。ベトナムでも将来、日本と同じように老人福祉施設が増えます。そのときに介護業界のリーダーになれるよう、日本で介護実務をしっかり学びたいと思います。 日本の生活は便利です。何といっても電車がとても便利です。また、おにぎりや菓子のパッケージなどに工夫がこらされていて、とても開けやすくなっています。カップ焼きそばを作る手順もよく考えられています。メーカーが消費者の気持ちを考えて作っていることがよく分かります。このように商品に細やかな気配りが見られる日本の文化が大好きです。 専門学校のハロウィン・パーティーで【2018年10月】

    2020年02月18日

主催者

Nhà tài trợ Bạch Kim

後援

  • 在ベトナム日本国大使館
  • 国際交流基金ベトナム日本文化交流センター
  • JNTOハノイ事務所
  • 関西経済連合会
  • 一般社団法人 国際人流振興協会
  • 公益社団法人 ベトナム協会
  • NPO法人 日越ともいき支援会

協力

JASSO(日本学生支援機構)

外国人労働者弁護団

WA.SA.Bi.