わたしの体験

img detail
2020年04月6日 わたしの体験

今回の先輩

グエン・フィ・フンさん

1995年生まれ、ハイフォン市出身
2013年 6月 Nguyễn Bỉnh Khiêm高校卒業
2013~2017年 建設業、飲食店店員、農業など
2017年12月 ハノイの送出機関に所属
2018年 1月 面接合格
2018年10月 アクティスで技能実習開始

E-mail: Huyhung25081995@gmail.com

はじめに

建築会社で実習するフンさんら技能実習生3人が住む福岡市郊外の寮(マンションの1室)を訪ねた。広いリビングルームと寝室二つの部屋に3人は暮らし、日本人の先輩もよく遊びに来る。夏は暑く冬は寒い屋外の現場で3人は一生懸命働き、日本人の先輩たちからも大事にされているという。彼らの実習や生活の様子、訪日から1年弱でN3に合格した勉強の仕方などを、フンさんの体験談で紹介する。

寮でルームメートや日本人の先輩と。左端がフンさん。【2019年10月】

建築の技能実習

私たちの現場と鉄筋。福岡市内の高層マンション建築現場で。
【2019年7月】

私の実習先は福岡県大野城市の建築会社「アクティス」で、社員は数十人です。ベトナム人技能実習生は福岡に私たち3人、関東の営業所に6人います。

日本は地震の多い国なので、建築物の柱に鉄筋がたくさん入っています。鉄筋は工場から運ばれてきたときは4㍍しかないので、建築現場で「圧接」や「溶接」という手法でつなぎ合わせ、必用な長さにします。その鉄筋を縦横に組んで柱の形にし、周囲にコンクリートを流し込みます。私たちが現場で鉄筋をつなぐと、後の仕事はほかの会社が担当します。

圧接してつないだ鉄筋

実習生は、熟練作業員が鉄筋を圧接するための準備(現場を掃除、鉄筋や機材の運搬・セッティング、鉄筋のさびた部分を切除など)と片付けを担当しています。7時までに出社し朝礼に参加後、車で現場に行きます。現場での勤務は8時~17時(途中で休憩が計2時間)の場合が多く、その後、会社に戻って翌日の機材をそろえます。現場での圧接作業には経験が必用ですが、私たち実習生も毎月1度、訓練で圧接の練習をします。訓練や会議(週1回)で帰宅が遅くなった場合や遠くの現場に行くために朝早く出た場合は、残業代が支払われます。

福岡市北部の作業現場から見た夕日【2019年1月】

やさしい職場

訪日したばかりのときは、日本語も仕事もあまり分かりませんでしたが、日本人の先輩たちが丁寧に教えてくれました。失敗しても怒らず、おだやかに教えてくれます。会社の日本人が皆やさしく、働きやすい職場です。私の弟は高校生ですが、卒業したらこの会社の実習の面接を受けさせる予定です。

社員全員で沖縄に年に1度の研修旅行(2泊3日)【2019年3月】
研修旅行の際、沖縄の「美ら海水族館」で【2019年3月】

大先輩の喜納(きな)弘さん(60)は私たちの面倒を特によくみてくれます。週末に寮を訪ねてきて一緒にご飯を食べることも多いですし、ときどき私たちを近くの観光地に案内してくれます。また、社長も年に数回、寮に遊びに来て一緒にご飯を食べます。私の誕生日には社長の奥さんもケーキを持って来て一緒に祝ってくれました。また、職場の20人近くで焼き肉やおでんを食べにいくこともあります。

寮に社長(左端)が訪れ一緒に食事【2019年8月】

【インタビュー】職場の大先輩・喜納弘さんの話

フン君は、最初から日本語が上手だったので話しやすく、すぐに親しくなりました。性格も素直で、職場の皆からかわいがられています。私はフン君とルームメートのマオ君、カオ君を孫のように思っており、週末はよく一緒に過ごしています。

私たちの現場作業はとても忙しいのですが、この3人は指示された仕事を確実にこなします。また、機材の名前や仕事の流れを覚えるのも早かったです。最近、日本の建築業には若い人が集まらず、うちの職場も大半が40代か50代です。若い人はほとんどが半年以内にやめ、長く続くのは5人に1人ぐらいです。そんな中、ベトナムからフン君たちのような優秀な人材が来てくれて助かっています

喜納さんやマオさんと一緒に福岡県内でイチゴ狩り【2019年1月】

送出機関

私はハノイの送出機関で6カ月間勉強をしてから訪日しました。高校卒業後、中国系の工場で働いていましたが、送出機関で働いている親戚から「日本に行けば、給料が高いし日本語も勉強できる。帰国後、日本語力を生かした仕事もある」と勧められたのがきっかけです。2018年1月、アクティスの社長が送出機関に面接に来て、7人の中から私と今のルームメートのマオ君の2人を選んでくれました。

ハノイで送出機関の仲間たちと【2018年5月】

送出機関には、寮費、食事代、授業料、送出手数料などすべて含めて140,000,000ドンを支払いました。ここに支払ったお金と日本への持参金、雑費を含め、父は銀行から計200,000,000ドンを借りました。

日本での生活

広くてきれいな寮ですが、寮費は1人5,000円だけです。実家に毎週1回、メッセンジャーのビデオ電話をかけますが、Wi-Fiも寮費に含まれています。また、家具や家電はすべて会社が用意してくれました。ほかの出費は、食費とたまに遊びにいくためのお金、衣類ぐらいで、1カ月で約5万円です。

休日に博多駅前で。
2カ月に1度ぐらい、博多などの繁華街に出かける。【2019年8月】

私の家計簿(1カ月の平均)

※100円=21,943 VND(2020年3月31日現在)

福岡市内で喜納さんたちとリバークルーズ【2019年8月】

1年間でN3合格

私は訪日して10カ月後の日本語能力試験(JLPT)でN3に受かりました。私は子どものときから日本のアニメに親しんできました。一番好きなのは「ONE PIECE」で、ベトナム語版の本も持っています。2番は「ドラゴンボール」です。送出機関で日本語の勉強を始めて、アニメ動画(字幕:ベトナム語)の日本語音声が少しわかるようになり、今はかなり分かります。

送出機関では、授業にも宿題にも真面目に取り組み、You Tubeでも勉強して、約300人の中で一番の成績でした。送出機関の先生(N2)には今でもメッセンジャーのビデオ電話で日本語の文法などを教えてもらっています。1回1時間で、以前は週3回電話していましたが、今は月に10回です。

送出機関の日本語センターの先生(中央)やクラスメートと【2018年1月】

訪日後は、週に2回、19時~21時、会社の費用負担でベトナム人留学生(N1)が会社にきて日本語を教えてくれます。それ以外は、日本語教材やYou Tubeで勉強しています。You Tubeでは「日本語の森」や「Riki nihongo」をよく見ます。

■Riki nihongo (チャンネルへ飛びます)

携帯電話はSIMを使わず、Wi-Fiだけでの使用です。You Tube動画やFacebookで紹介されている単語、模擬試験の問題などを携帯電話機に保存し、仕事の休憩時間に覚えています。分からない問題は、先輩の日本人たちに聞くと、皆さん親切に教えてくれます。

Facebookの学習ページのスクリーンショット
日本語の問題も携帯電話に保存して仕事の休憩時間に学習
【2019年10月】

最後に

日本に来て一番よかったのは、空気がきれいなことと、日本語で話す機会がとても多いことです。技能実習が終わったら特定技能の在留資格を取得し、引き続き今の会社で働きたいと希望しています。将来はベトナムでも圧接・溶接の技術が必要とされる時代が来ると思うので、10年ほど日本で働いたら、学んだ技能を生かしてベトナムで建築の仕事を続けたいと思います。

寮で手料理を前に【2019年10月】