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マンガ・読書感想文コンクール

“大同生命”という日本の保険会社をつくった「広岡浅子」の伝記マンガのベトナム語版が発刊されました。このマンガを読んで感じたこと、勉強になったことを、A4・1枚程度の感想文に書いて応募してください。入賞者には賞金が渡されるほか、応募者全員にデジタルギフト券が贈られます。 このコンクールには、ベトナムと日本から計655作品の応募がありました。厳正な審査の結果、12人の受賞者が選ばれ、2023年11月に表彰式を行いました。くわしくはこちらをお読みください。 主人公は女性の実業家 ...

2023年04月05日
  • ベトナムの常識・日本の非常識_35:「はい」は1回だけ

    2023年03月28日
    あなたが職場の上司から指示を受けたとき、ベトナムでは「はい、はい、はい」と返事をするのは一般的なことです。また、目上の人には車内で助手席に座ってもらうのが普通です。ところが、日本で同じことをすると……。 「はい」と3回連続で言うのは… 失礼です 上司から仕事の指示を受ける場面を想像してみてください。ベトナムでは、あなたが何か仕事の指示を受けたとき、「はい、はい、はい」または「OK、OK、OK」と答えるでしょう。これはベトナムではごく普通の返事で、指示をしっかり理解したという証しであり、礼儀正しい表現です。 しかし、日本で「はい」を2、3回続けて言うと、相手に良い感情を持たれません。上司やお客さんから指示や依頼、説明などを受けたときは、「はい」と1回だけ答えましょう。相手の顔を見て「はい」と1回だけ言えば、「(あなたの指示や説明を)理解しました」という意味になります。日本で仕事をするときは、このことを覚えておいてください。 話す相手が上司ではなくても、日本で「はい、はい、はい」と答えるのはよくありません。ある日本語の先生が教えてくれたことですが、日本人が「Yes」または「OK」と答えるとき、「はい」は1回だけです。「はい、はい」と答えると、「相手を軽く見ている」「聞き流している」「面倒くさそうにしている」などと誤解されてしまうそうです。「はい、はい、はい」も同じです。 ですから、上司とのやり取りだけではなく、アルバイト先の飲食店でお客さんの注文を受ける場面などでも、注文に対し「はい、はい」や「はい、はい、はい」と答えるのは失礼にあたります。お客さんが気分を損ねて帰ってしまうかもしれませんので、気をつけましょう。 食べるときはおわんを手で持つ ベトナムでは、おわんをテーブルに置いてスプーンで食べるのが一般的です。はしを使う場合も、おわんを置いて食べることについて何も気になりません。しかし、日本の文化では、おわんをテーブルに置いたまま、首を伸ばしておわんに口を近付けてはしやスプーンで食べると、「行儀が悪い」と思われてしまいます。日本では、おわんを片手で軽く持ち上げて口に近付けてから、はしやスプーンで食べる方が良いのです。ただし、大きなお皿については、片手で持ち上げる必要はなく、テーブルに置いたままで大丈夫です。 私は、日本の小学校に通う娘から、給食の時間に「3つのノー」運動があるということを聞くまでこのことを知りませんでした。「3つのノー」とは、①テーブルにこぼさない ②食べ物を残さない ③テーブルの上におわんを置いたまま食べない、の3つです。 日本人には、おわんやお茶わんをテーブルに置いたまま顔を近付けて食べることはペットのような食べ方と映るのかも知れません。さらに、おわんやお茶わんを手に持つことは、お米を作っている農家の人たちへの感謝の気持ちも表しているそうです。お子さんが日本の学校に通っていたり、職場で日本人の同僚と一緒に食事をしたりする場合は、このことに注意してください。 車に乗るとき、目上の人はどの席? 日本では車に乗る時、ベトナムとは異なる座席のマナーがあります。これは多くの国に共通することかもしれません。 ベトナムでは、運転席の隣の席(助手席)は家族や親しい友人のための優先席だと考えられています。例えば、私の家族が車に乗るとき、父はいつも運転する私の隣(助手席)に座り、後部座席には母と妻と子供たちが座ります。この配置の根拠は簡単で、父は家族で最年長なので一番良い席(広々とした視界がある助手席)に座るのです。これはおそらく多くのベトナム人家庭で共通のルールになっていると思われます。 しかし、日本のルールはこれとは違います。卒業式のとき、友人と車で日本語教師を迎えに行きました。私は友人(運転手)の隣(助手席)に座っていましたが、先生の家に到着すると、いったん車から降りて先生に助手席に座ってもらい、私は後部座席に回りました。それが先生への敬意だと考えたからです。 先生は少しとまどったような顔をしていましたが、何も言いませんでした。行事が終わった後、先生から興味深い文化の違いを聞きました。日本では、目上の人やお客さんを後部座席に座らせることが多いそうです。例えば、会社の上司や先輩とあなたがタクシーで移動する場合、上司と先輩に後部座席に座ってもらい、あなたは助手席に座るのがマナーなのだそうです。日本で仕事をする人はこのことにも気を付けてください。
  • 新入社員向けの基本ビジネスマナー_02

    2023年02月10日
    就職活動を終えてこれから日本で働き始める人や働き始めて間もない人は、日本での基本的なビジネスマナーを学びましょう。「電話の受け方」「お茶の出し方」「ホウ・レン・ソウ」について解説した新入社員向けの基本ビジネスマナー_01に続き、この記事では「メールの基本的なマナー」と「敬語の使い方の注意点」を紹介します。 メールの基本的なマナー 留学生の皆さんは大学・学校の先生や職員の方々と電子メールでやりとりをしたことがありますよね? その中には、学校からの連絡事項であって返事をしなくてもよいメールもあります。しかし、仕事関連のメールとなると、社外からのメールであれ社内からであれ、必ず返信する必要があります。これから紹介する5つのことに気をつけましょう。 件名(タイトル)をよく考える メールの件名には内容や重要度を知らせる役割がある メールを受け取る人が最初に見るのが件名(タイトル)です。そのため、送り手はメールの用件がひと目でわかるような件名を書くことが大切です。 「御社訪問の日程について」 「〇〇記念式典の準備会合について」 「御社ビル清掃サービスの契約更新のお願い」 などと書けば、件名を読むだけでメールの内容がだいたいわかります。 忙しい人は大事なメールから読む 1日に何十本ものメールを受け取る人もたくさんいます。そういう人たちにメールを送信する場合、件名は一層重要です。彼らは件名で判断して重要なメールを先に読み、内容がよくわからないメールは後回し(場合によっては数日後)にする場合も多いからです。 社名を入れる メールの件名にあなたの社名や名前を入れると、相手がメールの内容を想像することが一層容易になります。また、後からメールを検索する際にも便利です。 「3日の打ち合わせ資料(森興産、ブイ・リン)」 などと書けば、相手は一目でメールの内容や送り主がわかります。過去のメールを後から探す際にも、件名にメールの内容や送信者の会社名・名前などが入っていると、とても探しやすいです。 24時間以内に返信する 仕事を進めるためにメールで連絡を取り合うことはひんぱんにあります。その際、多くの人はメールを送ってから1日以上返事がないと、不安になります。そこで、メールを受信してからなるべく早く返信する習慣を付けましょう。事情があって遅くなっても、受信から24時間以内に返信するように心がけてください。 ・あなたの返信が早いと、相手はあなたに下記のような好印象を持ちます。 仕事が早い 仕事ができる 信頼できる ・あなたの返信がいつも遅いと、相手はあなたのことを下記のように思いがちです。 この人と一緒に仕事をするのは不安だ 返信が遅いので、仕事が円滑に進まない そもそも、相手はあなたの返信を待って仕事を次のステップに進めることが多いので、返信が遅いと、相手に迷惑をかけることになります。 ところで、ほとんどの会社が土日祝に休業します。もし金曜日にメールを受信した場合は、翌週の月曜日までに返信するとよいでしょう。 急ぎの用件はメールだけに頼らない トラブルやミスが起きたとき、納品スケジュールが押しているとき、予定の緊急調整が必要なときなど、急ぎの用件でメールを送る場合があります。しかし、相手がそのメールをいつ読むかはわかりません。場合によっては、2、3日放置されてしまう恐れもあります。 急ぎの場合は、メールを送るだけではなく、相手に早く確認してもらえるように電話やSNSなどでメールを読んでくれるように催促することも大切です。そして、緊急性が高い場合は、メールを送るより先に電話をかける方がよいでしょう。 早めにお礼メールを送る お客さんはあなたのために時間を作ってくれています。そのため、お客さんと打ち合わせをした後には、なるべく「お礼メール」を送りましょう。 お礼メールの内容は、感謝の気持ちのみならず、打ち合わせた内容のまとめや今後の課題・展望も書きましょう。そうすることで、その後の仕事がスムーズに進みます。 送信前に誤字・脱字や添付ファイルを確認する メールの送信ボタンを押す前に、件名、相手の名前、本文などに誤字・脱字がないか確認しましょう。もし、相手の名前を間違えてしまうと、大変失礼になります。また、本文に重要な誤字・脱字があると、あなたの仕事の信用性にかかわります。 また、添付ファイルの付け忘れや間違ったファイルを送ってしまうこともよくあるミスです。間違ったファイルを添付していないか、送信ボタンを押す前に添付ファイルの内容を必ず確認するようにしましょう。そうすることで添付忘れも防げますね。 敬語の使い方の注意点 しっかりとあいさつをする これから一緒に働く人たちと良い関係を築いていくための最初のステップはあいさつです。 社内でのあいさつの言葉 ・おはようございます。 ・お疲れ様です。 社外でのあいさつの言葉 ・お世話になります。 ・お世話になっております。 こうした言葉を欠かさないようにしましょう。仕事でよく使う言葉については、下記の記事でくわしく紹介していますので、こちらも参考にしてください。 仕事で使う日本語 適切な返事やあいづち 「うん」はNG 日本人の友人と話すとき、「うん」「そうだね」などという返事をよくしていると思います。しかし、お客様や目上の人と話すときに「うん」とか「そうだね」などの言葉を使うのは御法度(ごはっと)です。「うん」や「そうだね」は自分と対等か立場が下の相手にしか使ってはいけません。お客様や上司、先輩にうっかり「うん」とか「そうだね」などと答えてしまうと、大変失礼なことになります。 「はい」は1回 返事をする際に「はい、はい」や「なるほど、なるほど」のように、本来は一度ですむ言葉を2回繰り返して使うと、相手は「適当にあしらわれている」と感じたり、あなたのことを「軽薄な人だ」と思ったりしますので、気をつけてください。 同意を表す表現 ・私もそう思います。 ・私もそのように思います。 ・私もそのように感じておりました。 ・おっしゃる通りです。 ・おっしゃる通りかと存じます。 承諾や同意の言葉 ・承知しました。 ・承知いたしました。 ・かしこまりました。 ・左様(さよう)でございます 。 ビジネスシーンにふさわしい言葉を選び、失礼がないように気をつけましょう。 主語に応じた敬語を選ぶ 敬語の中には、「丁寧(ていねい)語」、「尊敬(そんけい)語」、「謙譲(けんじょう)語」があります。 尊敬語と謙譲語を使い分けるのは外国人には難しいことですが、次の手順を知っておくと、少し簡単になります。まず、「その行為をするのはだれ?」と考えると、主語が分かります。主語を確認した上で、次の原則に当てはめると、敬語の間違いが激減します。 ・主語が相手や他人(主に目上の人)のとき→尊敬語 ・主語が自分や身内のとき→謙譲語 敬語の大事な原則や間違いやすい事例を知りたい方は下記の記事を読んでください。 これでスッキリ!敬語はこうして覚える また、丁寧語の「〜です」「〜ます」は使用頻度(ひんど)が高いので、意識しなくても使えるように普段から使って慣れておきましょう。 まとめ この記事では、新入社員が覚えておくべきビジネスマナーとして「メールの基本的なマナー」と「敬語の使い方の注意点」について説明しました。 【メールの基本的なマナー】 ・件名をよく考える(端的でわかりやすい件名を付ける) ・24時間以内に返信する ・急ぎの用件はメールだけに頼らない ・早めにお礼メールを送る ・送信前に誤字・脱字や添付ファイルを確認する 【敬語の使い方の注意点】 ・しっかりとあいさつをする ・「うん」はNG ・「はい」は1回 ・主語に応じた敬語を選ぶ これから日本で働く皆さんや日本で働き始めて間もない皆さん、この記事と新入社員向けの基本ビジネスマナー_01で紹介したマナーを覚えれば、基本的には大丈夫です。職場や取引先の皆さんから信頼される社員に早くなれるよう、ビジネスマナーにも注意しながらがんばってください。
  • 新入社員向けの基本ビジネスマナー_01

    2023年01月28日
    日本で留学生の就職活動をサポートしていると、「入社するまでに、どのようなことを勉強しておけばよいですか?」とよく聞かれます。その質問への私たちの答えは「ビジネスマナーの勉強」です。基本的なビジネスマナーを入社前に知っておくと、他の新入社員より一歩先からスタートできます。そこで、新入社員向けのビジネスマナーについて2回に分けて紹介します。今回は「電話の受け方」や「お茶の出し方」、そして日本でとても重視されている「ホウ・レン・ソウ」についてです。 電話は3コールまでに出る 会社にかかってきた電話の相手は、電話に出てみないと分かりません。そのため、「電話に出るときは自分が会社を代表する立場なのだ」という自覚を常に持つことが大切です。 まず、電話がかかってきたとき、相手を待たせるのはよくありませんので、できるだけ早く電話に出てください。人間は10秒以上待たされることを不愉快に感じてしまう傾向があります。電話の場合、呼び出し音を何回も聞くと、相手に対して悪い印象を持ちやすくなります。一般的に1コールが3秒、3コールで約10秒なので、3コール以内を目標に受話器を取るように心がけましょう。 一番良くないのは「だれかほかの人が受話器を取るだろう」と考えて人任せにすることです。多くの職場では、入社歴の浅い人が先に電話に出ることが暗黙の了解になっています。手が離せない仕事をしている場合を除いて、入社して1、2年の間は「自分が一番先に受話器を取ろう」というぐらいの気持ちを持ちましょう。 ただ、1コールもたたず、呼び出し音が鳴った瞬間に電話を取られると少し驚いてしまいます。そのため、1コールか2コール鳴った後に電話に出ることが望ましいでしょう。 電話の受け方 会社にかかってきた電話に対しては、基本的には以下のように対応します。 ①私 : はい、〇〇(自分の会社名)でございます。お電話ありがとうございます。 ②相手: 私、〇〇(会社名)の△△と申します。お世話になっております。 ③私 : 〇〇の△△様でいらっしゃいますね。お世話になっております。 ④相手: 様はいらっしゃいますか? 相手の名前を確認 もし、相手の会社名や名前を聞き取れなかった場合は、聞き返して相手の名前を確実に把握しましょう。「恐れ入りますが、もう一度会社名とお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」など聞いてください。すると、相手は社名と自分の名前をもう一度言いますので、あなたは担当者に「〇〇社の△△様からお電話です」と伝えることができます。 相手が自分の名前を名乗らずにだれかを指名した場合も、「恐れ入りますが、お宅様(おたくさま)のお名前を教えて頂けますか?」と聞いてください。 自分の名前を名乗る 相手が電話の相手を指名せず、あなたでも対応できる内容だった場合、③の「いつもお世話になっております」の前に「私は☆☆(自分の名前)と申します」と答えましょう。これは、相手が名前を名乗ったことへの返礼の意味にもなります。自分が相手に対応する場合、基本的に自分の名前を名乗るようにしましょう。 受話器を取るのが遅れた場合 電話に出るまで長くかかった場合、「お電話ありがとうございます」の前に「大変お待たせしました」などと言うのがよいでしょう。 お茶の出し方 通常、お客様が来社したら、お茶を出します。コーヒーを出す会社もあります。基本的な作法は次の通りです。 ①応接室のドアを3回ノックします。「失礼します」と伝えてから入室します。 ②サイドテーブルがある場合、お盆をサイドテーブルに置いてお茶を出す準備をします。サイドテーブルがない場合、お盆を片手で持ちながら、もう片方の手で作業をします。 ③茶碗と受け皿を両手で持って、「上座」に座っている役職の高いお客様から順に「どうぞ」、「失礼します」などと声をかけながらお茶を出します。 お茶を出す席順は入り口から一番遠い上座から順に、下座の人が最後になるように出すとよいでしょう。また、先にお客様にお茶を出し終えてから、自分の会社の人に出すようにしてください。 上座と下座の順については、この記事を参考にしてください。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 目上の人との食事会でのマナー ④お茶を出し終えたら、ドアの前でお客様に向かって「失礼しました」とおじぎをしてから退室します。 ⑤応接室の外に出たら、ドアを開けたままお客様に向かってもう一度おじぎをし、頭を下げたままドアを閉めます。 「ホウ・レン・ソウ」は欠かせない 日本の会社で働く際によく耳にする言葉が「ホウ・レン・ソウ」です。これは次の三つの言葉の頭文字を合わせた言葉です。 ・ホウ=報告(ほうこく)・レン=連絡(れんらく)・ソウ=相談(そうだん) 報告・連絡・相談は日々の生活においても基本的なことです。仕事では、いつ・どうやって「ホウ・レン・ソウ」を行うかが重要となります。 ❌ 仕事の進捗状況を報告しない。 上司や先輩から仕事を任されたときは、その人に仕事の進捗を必ずこまめに「報告」してください。上司や先輩があなたに助言やサポートをしたり、職場での仕事の割り振りを調整したり、次の仕事を適切なタイミングで指示したりするには、あなたの仕事の状況を把握することが不可欠です。 そのためには、あなたが自分の仕事の状況を上司・先輩にこまめに報告しなければなりません。日本の会社ではこまめな「報告」がとても重視されています。 ❌ リマインドしない。 相手がとても忙しいとき、あなたの報告・連絡・相談・依頼などにすぐに対応できないこともあります。その場合、タイミングをみて、遠慮せずに自分からもう一度相手に「ホウ・レン・ソウ」を行って対応を促してください。 ❌ 自分の判断だけで行動する。 新入社員の場合、分からないことがたくさんあるはずです。自分の仕事に関してわからないことが出たり判断に迷ったりした場合は、上司や先輩に遠慮なく尋ねてください。 まとめ 今回は、新入社員が知っておくべき基本的なビジネスマナーのうち「電話対応」や「お茶・コーヒーの出し方」、「ホウ・レン・ソウ」について説明しました。 ・電話には3コールまでに出る。 ・電話対応の際、必要に応じて自分の名前を名乗る。 ・電話対応の際、必要に応じて相手の社名や名前を聞く。 ・お茶の出し方 ・仕事の進捗について上司や先輩にこまめに報告する。 ・上司や先輩が忙しくてすぐに対応できないときは、同じ内容の「ホウ・レン・ソウ」を繰り返す。 ・分からないことがあるときや迷ったときは上司・先輩に相談する。 このような基本的なビジネスマナーを入社後1カ月ぐらいでマスターするように意識して取り組んでみてください。また、こうした事柄を入社前に頭に入れておき、実際に働き始めてからもときどき読み返すことで、実体験と結びついた習慣になっていくことでしょう。 ビジネスマナーを身につけて、日本の会社で活躍してくださいね。

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【在ベトナム日本国大使館後援】

  • ベトナムの常識・日本の非常識_20:日本人は目を見て話すのが苦手?

    日越の文化の違いシリーズ第20弾。①日本人の目を見つめて話すと、あまりよい意味にとられないって本当? ②日本人の老後の「楽しみ方」にびっくり! ③日本の社会人の昼休みは「一人ランチ」も普通の光景?――今回はこうした話題を紹介します。 真っすぐ見つめるのが苦手 西洋文化が勢いよく流れ込んでいるベトナムでは、アイコンタクトは一種のコミュニケーションスキルとして広まっています。多くの研究でもアイコンタクトは意思疎通の手段として効果が認められていますし、特に若者の場合は、会話中に相手の顔や目をじっと見ることが相手への親愛の情を示す自己表現の一つになっています。 ベトナムで相手をじっと見つめたところで、「そんなに見つめないでよ。わざとらしいわね」と言われる程度で、“変な意味”にとられることはありません。しかし、日本で会話中に長いアイコンタクトをすると、“変な意味”にとられてしまう可能性があります。 日本人は相手を真っすぐ見つめて話すことが苦手 日本には「相手の顔を長く見つめると失礼にあたる」という文化(感性)があります。もちろん、日本人も相手の顔を見て話すのですが、目だけをじっと見続けることは少なく、「ネクタイの結び目」や「額の真ん中あたり」などに目線を置くことが多いのです。そして、あまり長く目を見つめると、「攻撃的」と感じられてしまうケースもあります。 さらに、男性が見つめる対象が女性の場合はより深刻なことになる可能性もあります。実際には恋愛感情がなくても、じっと見つめて話すと、相手の女性に気があると受け取られてしまい、不快に思われることがあります。こうなると、まさしく“変な意味”になってしまいます。 このような精神文化が根付いているため、日本人は相手の目を長く見ることも見られることも苦手です。しかし、グローバル化に伴って、最近では就職活動などの際に「相手の目を見て話しなさい」などと教育されることもあります。文部科学省も小学校・国語の学習指導要領に「相手を見て話したり聞いたりする」という目標を盛り込みました。せめて相手の顔を見て話しましょう、という指導のようです。 日本人の老後の「楽しみ方」 日本人の高齢者は働くことを楽しむ ベトナムでは多くの高齢者が「老後は楽しみの時期」であると捉えています。 家族を養うために長年、仕事に励んだ後、子供が仕事に就いたら、多くの人は「老後はリラックスして楽しみ、子や孫たちとの時間で満たされたい」と思う傾向があります。 このようなベトナムの老後観を普通だと思っていると、日本人の老後の「楽しみ方」かを知ってあなたは目を丸くすることでしょう。彼らはなんと……老後にも働くのです。 総務省の調査によると65歳以上の労働力人口は年々増加しています。2020年は924万人で、15歳以上の労働力人口の13%以上を占めています。継続雇用制度がスタートする前年の2013年が637万人ですから、7年間で300万人近く増えました。 例えば、多くのスーパーで、トイレ掃除、買い物かごやカートの整理、駐車場の交通整理などをお年寄りが担当しています。また、日本の主要駅には大きな有料の自転車置き場がありますが、そこのスタッフもほとんどがお年寄りです。こうしたお年寄りはたいていパートタイムで働いています。 中には75歳以上の人も働いています。彼らの子供たちはすでに成人し養う必要がありません。しかし、彼らは働くことを楽しんでいます。私が知っている福岡県のホテルでは、清掃スタッフの50%が高齢者で、最年長は78歳です。彼らは1日6〜8時間働き、ベッドのシーツや枕カバーが詰まった重い袋を運んでいます。多少の腰痛やひざの痛みがあっても、彼らは頑張り続けるのです。 “ランチで一杯”はやらない? 「ランチに行って数杯飲もうか?」。ベトナムのオフィスでよく聞かれる誘い言葉の一つです。 暑い夏の日には、私自身も昼休みを利用して数杯飲んで涼み、時には友人や同僚と顔が赤くなるまで飲み、午後には通常通り仕事に戻ったものでした。 日本でも昼休みに仲間を誘ってランチを食べる文化はあります。しかし、ビールやワインを何杯も飲むことはほとんどありません。取引先とお互いに合意したうえでビールなどを飲みながらビジネスランチをすることはありますが、昼からたくさん飲むことはありません。日本の会社は規律に厳しく、昼間から酒を飲んで職場に戻ると、勤務態度が不真面目だと思われるからです。 ベトナムと日本の昼食文化も大きく異なります。 ベトナムでは、オフィス近くの飲食店で昼食をとり、その後コーヒーを飲みながらおしゃべりをするのが一般的です。私も「決して一人で昼食をとらない」という原則を尊重する多くの人々を知っています。 しかし、日本では、「一人ランチ」のケースもたくさんあります。同僚と昼食をともにすることも多いですが、忙しい場合などに、コンビニエンスストアなどで買った弁当を公園や自分の机で一人で食べるという光景もしばしば見かけます。そもそも日本ではランチタイムがかっちり1時間以内と決められ、昼間からプライベートタイムを長く取る習慣がありません。ベトナムのように友だちや仕事仲間との親交を深めようと長いランチタイムを楽しむと、日本人からはとても不思議に思われてしまうでしょう。

    2021年08月19日

  • ベトナムの常識・日本の非常識_19:日本の小学生は毎日同じルートで登下校?

    日本では小学生が毎日決まったルートで通学するのをご存知ですか?また、日本の道路でクラクションの音がほとんど聞こえず静かだと感じたことや、住所から建物を探すのが難しいと思ったことはありませんか? なぜでしょう? 決められた通学路で登下校 日本とベトナムでは、小学生の登下校に大きな違いがあります。 ベトナムで公立小学校に通うほとんどの子どもは、両親など保護者が毎日送迎します。これは「学校が児童に対して管理責任を持つのは校内だけで、校外での管理は家族の責任である」という考え方が背景にあるようです。 しかし、日本ではそうではありません。子どもが小学校に入ると、保護者は学校から地図を渡され、子どもの通学路を記入して学校に提出することが一般的です。学校がその通学路に同意すると、児童は毎日そのルートで登下校することがルールとなります。そして、日本では、保護者が送迎することは、特別な事情がある場合を除いてほとんどありません。その代わり、数人から十数人がグループで登校する「集団登校」というシステムを採っている学校もあります。その場合でも、下校時はばらばらに帰ります。 スクールゾーン また、ベトナムでは子どもをバイクなどで送迎することが多いのに対し、日本の小学生は通常、学校まで歩いて行きます。小学校近くの道路には「スクールゾーン」という表示が記され、通行車両に注意を促しています。そして、児童が登下校中に不審者に出会うなど危険を感じたときに助けを求めるための家が指定され、家に「こども110番の家」というステッカーが貼られています。 短いクラクションは「ありがとう」 ベトナムでの生活に慣れている私たちにとって、道路のあちこちでクラクションが鳴っているのは日常的なことです。ベトナム人はいろいろな目的でクラクションを鳴らすので、道路は金管楽器だけの交響曲を聴いているかのように騒音であふれています。それは主に道路上で他の自動車や歩行者に自分の存在を示すためです。 しかし、日本の道路でクラクションを鳴らすと、周りから不快感のこもった視線を浴びることになります。 日本のドライバーはクラクションをほとんど鳴らさないからです。日本人に聞くと、日本では譲り合いの気持ちを大事にするドライバーが多く、本当に危険なときにしかクラクションを鳴らさないそうです。もちろん、たまには鳴らしますが、それはよほど危険なときか運転手が気の荒い人の場合です。 また、日本人は「プッ」とか「プップッ」と短くクラクションを鳴らすことがあります。これは、例えば道を譲ってくれた人や自動車に感謝の気持ちを伝えるための合図です。 ところで、長崎市に住む私のベトナム人の友人は車線変更のために割り込もうとして何度もクラクションを鳴らし、パトカーに止められたことがあります。日本では、無理な割り込み(危険運転)もそのためにクラクションを鳴らすことも御法度です。 複雑な住所 ハノイでは住所から建物(家)を探すのは比較的簡単です。例えば、25番のHang Dao、95番のNguyen Thai Hoc、複雑な場合でも路地番号200の30番 Au Co ……。また、サイゴンではそれに地区名を追加するだけです。  しかし、日本ではインターネットにつながったスマホ(地図アプリ)などが手元にないと家を探すのは簡単ではありません。日本の住所はエリアやブロックごとに数字が割り当てられています。例えば、町名のあとに1-13-22と続く住所の場合、最初の1は「1丁目(1-chome)」というエリアを示し、次の13は「13番地(13-banchi)」という1丁目エリア内のブロックを指します。そして、最後の22が建物の番号です。 もう1つ大きな違いがあります。ベトナムでは街路に沿って家の番号が連続しているのがほとんどで、例えば、通りの片方に家番号が1、3、5、7…と並んでいると、通りの反対側には2、4、6、8…と並んでいるのが一般的です。しかし、日本の家の番号は、家が建てられた順に新しく割り振られることが多いので、連続した番号が並んでいないケースもよくあります。 ただ、日本には町ごとに郵便番号があり、オンライン検索で情報を入力する際などに便利です。地図アプリなどに郵便番号を入力すると町名が自動的に分かります。さらに建物名も入力すると、郵便番号と建物名だけで目的地への経路が表示される場合があります。

    2021年07月08日

  • ベトナムの常識・日本の非常識_18:日本人は親に電話しない?

    「飲食店で紙でおはしをきれいにふく」「友人の携帯電話を借りてゲームする」。ベトナムではよくある行いですが、日本ではある理由で歓迎されません。また、日本人はベトナム人と比べて親にあまり電話をしません。どういうことなのでしょうか? レストランではしをふくのは非常識 !? ベトナムではレストランの紙ナプキンやおしぼりで食前にはしをふいたり、割りばしを割ったときに木片を取り除くためにはしをこすり合わせるのはごく普通のことです。無意識の習慣と言ってもよいでしょう。しかし、この習慣は日本ではポピュラーではありません。それどころか、はしをキレイにしようという行為がレストラン側から不愉快に思われてしまう場合もあります。 これは私が2013年に体験した実際の話です。友人と2人で京都のラーメン店に行きました。注文した後、店主がお茶を運んできてくれました。当時ベトナムでは香港映画がとても流行していて、それらの映画に登場するお茶には主に二つの用途がありました。一つはもちろん飲むこと。そしてもう一つは「はしを浸して洗う」という用途でした。はしを浸した後は紙でふき取ります。ベトナムでは、通常、お茶を飲むには注文してお金を払わねばならず、無料で出てきた場合、そのお茶ははしを洗うためによく使われていますね。 私たちは香港映画に出てくるシーンのように、はしをお茶に浸し、店主に紙ナプキンを持ってきてくれるようにお願いしました。すると、それまでにこにこしていた店主の顔がみるみるくもり、ご機嫌斜めになってしまいました。しばらくして店主が私たちの前に戻ってきて、ぎこちない英語で「はしはしっかり洗っていますので、そのように洗う必要はありません」と話したのです。 日本で飲食店を営業するには厳しい衛生基準を満たさなければならないことを、私はそのとき初めて知りました。衛生管理の厳しい店では、食器洗浄の際に洗剤だけでなく熱湯や熱風で殺菌するなどして清潔さを保ちます。したがって、出されたはしをお茶で洗うという行動は、店主に「はしが汚れているぞ」とクレームをつけるようなものなのです。彼らのプライドは傷つきますし、それを見た他の客にもよいイメージを与えません。 訪日した際は、日本の飲食店の衛生管理を信用してくださいね。 親への電話 実家から遠く離れて大学に進学したり職場に赴任したりすることは、日本でもベトナムでも一般的です。しかし、親と離れてから後のある事柄について、日本人とベトナム人とで大きな文化の違いがあります。 ベトナム人は実家の様子を知るために学生でも社会人でも親にひんぱんに電話をかけます。日本で技能実習をしている私の知人のベトナム人女性たちもほぼ毎日、実家のお母さんに電話をかけて1時間近く話すそうですが、これはごく普通のことです。 しかし、このようなベトナム人の習慣を日本人に話すと、皆さんが驚きます。日本人は実家の両親にあまり電話をしないからです。 日本人の多くは、仕事が忙しいからということもありますが、ベトナム人のようにひんぱんに実家に電話をすることはありません。このため、子どものことが心配で親から子どもに電話することがあります。しかし、特に若い日本人男性は親からの電話にゆっくり対応しないことも多く、親もあきらめてあまり電話しなくなる傾向があります。 そのような親の寂しい気持ちをなぐさめるために「便りがないのは良い便り」という言葉が昔から使われています。「何か困ったことがあれば連絡してくるはずだから、手紙や電話がないことは無事に過ごしている証拠だ」という意味です。 2020年に私が富士山に近い山梨県でホームステイをしたときのことです。ステイ先の家主(女性)には、約800㌔離れた福岡県で働いている息子さんがいるのですが、彼女いわく「あの子が最後に電話をかけてきたのはいつだったか……、大みそかかだったか正月だったか……。それも、『元気だよ』とか『忙しい』とか、そんなことしか言ってなかったわ」とのことでした。 日本ではこのような親子関係が成り立っていて、日本文化の一つなのです。両親にあまり電話をしないからといって、「日本人は家族愛が希薄なの?」と思わないでくださいね。 最近は犯罪防止のために親に電話をする人も ただ、日本では高齢化が進み、年老いた親を案じて子どもが電話をするケースも増えてきました。子どもが普段電話をしないと、お年寄りが、子どもになりすました犯罪者からかかってきた電話を信じて子どもを助けるためにお金を振り込む「オレオレ詐欺」の被害に合うことがあります。こうした被害を防ぐため、「日ごろから親に電話をしようと」いう呼びかけが各所で行われています。 携帯電話の貸し借り ベトナムでは、友人や同僚の携帯電話を借りて写真を撮ったりゲームをしたりすることはまったく普通のことです。 しかし、日本で同じことをすると、あなたは相手の拒絶反応に出くわすかもしれません。 日本人にとって携帯電話はプライバシーそのものであり、他人に見せたくない個人情報が多く保存されている可能性があります。あなたが他人の携帯電話を手にした場合、その中のフォトアルバムや電話帳を見たりするつもりがなくても、持ち主の日本人は「見られたくないものを見られるかも知れない」と不安で仕方なくなります。 このため、日本人は他人に携帯電話を貸してほしいと頼むことはめったにありません。日本に住んでいると、日本人には「たとえ家族であっても他人の携帯電話を見ない」さらには「触らない」という暗黙のルールがあることが分かってきます。外国人とルームシェアをしている知り合いの日本人男性は携帯電話をバスルームにまで持っていくほどなのです。

    2021年06月04日

  • ベトナムの常識・日本の非常識_17:日本企業が重視する「名もない仕事」とは?

    日本の企業文化や仕事のマナーは世界でも一目置かれていますが、ベトナム人が日本で働くと最初はとまどうこともあります。日本の企業文化の中でも重要な「名もない仕事」とはなんでしょうか? また、「日本では家族より仕事の方が大事」というのは本当でしょうか? 「名もない仕事」 私はベトナムで16年間働き、その後、ここ3年間は日本のホテルで受付係として働きました。ベトナムでは、例えば、上司から「ウォーターサーバーのボトルを換えてきてください」と指示された場合、新しいボトルを持って行って空のボトルと交換すれば作業完了です。これを読んでいる皆さんも「ボトルを換えて」と言われて換えたのだからそれで終わりだと思うでしょう。 しかし、日本ではそれで作業完了ではありません。ボトルを交換するのは当然で、それに加えて、サーバーのトレイがぬれていいないか、ホルスターの紙コップは十分かなども確認しなければなりません。 もし、トレイがぬれていれば、日本人従業員なら自発的にぞうきんを持ってきてふき取り、ホルスターの紙コップが少なくなっていれば補充します。私はそういった仕事を「名もない仕事」と呼んでいますが、日本ではこのような「名もない仕事」もできる人が「仕事のできる人」として評価されます。 ぬれたトレイをふくことも、少なくなった紙コップを補充することも、お客様のためには必要なことで、いずれだれかがしなければなりません。ボトル交換を指示された従業員がそれに気付いて対処しなければ、上司が後で気付いて別の人に指示するか、紙コップがなくなってからお客様に指摘されてだれかが対応することになるでしょう。しかし、そうなる前に先に気付いて対応してくれる従業員がいれば、上司もお客様も助かります。これは日本の良い企業文化や仕事のマナーの一つだと思います。 それでは、日本人の多くはなぜそのような対処をできるのでしょうか? その一つは、日本の会社が「一つの仕事が他のどのような仕事とつながっているか」という業務の流れを従業員に包括的に教育していることが背景にあると思います。 また、日本では「一を聞いて十を知る」という言葉があります。一から十までだれかの指示を受けなければできないようでは半人前で、一つのことを聞いて関連する多くの事柄を学んだり、一つの指示を受けて関連業務も自分で考えて対処したりすることが大切だという考え方です。これは日本の職場で古くから使われている言葉で、日本の企業文化の重要な要素となっています。 日本では家族より仕事が大事? 「子どもの具合が悪いので、2時間ほど早く帰宅させてください」「子どもの学校の保護者会があるので、出社を遅らせてください」「母を病院に連れて行かなければならないので、会社を休ませてください」 このような会話はベトナムのオフィスではごく一般的です。私自身もベトナムで働いていたころは、子どものかかりつけの歯科が勤務時間内しか診療してなかったので、子どもを歯科に連れて行くためによく休みをいただきました。会社側も「家族は仕事よりも大事」という考え方で、家族に関連する遅刻や早退、休暇については気軽に認めてくれたものです。 しかし、日本では、家庭の事情で仕事を休んだり遅出・早退したりすることは、当たり前のこととは捉えられていません。日本のサラリーマンは「ひんぱんに欠勤したり遅出・早退したりすると出世に響く」と考える傾向があり、会社に相談する前に、親や友人に頼むなどできるだけ自分の出勤に影響を与えないように努力します。会社を急に休む人はあまりいません。 また、「所定の期限までに自分の仕事を完了させることは1人1人の責務」と考えることが一般的で、自分のやるべき仕事が定時に終わらなければ、終わるまで残業してから帰宅します。中には休日に仕事をする人もいます。こうした残業や休日労働に賃金が支払われないケースもあり、「サービス残業」と呼ばれて日本の長年の社会問題にもなっています。 このように、日本では「家庭より仕事が優先」という風潮が社会を長く支配してきました。これは日本の経済競争力の源にもなっていますが、バランスが必要だと指摘されています。 バランスを欠く例としては、私の娘が日本の小学校に通っていたとき、卒業式の準備が間に合わないため、担当の先生方が帰宅せず学校で2泊して作業を続けたことがありました。その先生の1人は娘の友人の母でしたが、そのとき、父親も仕事から早く帰ることができず、友人はコンビニ弁当を買って夕食を済ませるしかなかったそうです。 ただ、最近は「会社での出世や名誉より生活の充実の方が大事」と考える若者も増え、日本の企業文化も変容を迫られています。政府も「働き方改革」という施策を掲げ、働きやすい環境作りを推進しています。その結果、企業も有給休暇取得を奨励したり、早退などにも柔軟に対応したりするようになり、少しずつ変わってきてはいます。

    2021年05月14日

  • ベトナムの常識・日本の非常識_16:店内飲食NGのコンビニに注意

    日本のコンビニには、店内で飲食できる店とそうでない店がありますので、注意しましょう。また、デパートやスーパーにぬれたままの傘を持ち込んではいけません。それと、酔った勢いで上半身裸でビデオ電話をかけるのは日本ではNGです。【Thạch Long】 コンビニの店内での飲食 ここ3、4年で、コンビニ(ミニショップ)の「サークルK」はベトナムで若者たちの集いの場となりました。店内で若者たちが飲食をしたりしゃべったりタバコを吸ったり、また居眠りをしていたりと、だれもいない時間がほとんどありません。 日本に来ると、コンビニの数がベトナムの何十倍もあることやその便利さも段違いであることに驚きます。しかし、日本の全てのコンビニでベトナムのコンビニと同じように過ごすことはできません。一部のコンビニには飲食できるスペースが設けられていて、その店で買ったカップラーメンやコーヒーなどを座って飲食できます。しかし、そのようなスペースや椅子などがない場合は、店内で飲食してはいけません。コンビニのスタッフから「店内での飲食はご遠慮ください」と注意されると恥ずかしいので、気をつけましょう。 喫煙も同様です。全てのコンビニの前でタバコが吸えるわけではありません。店先に灰皿が備えてあれば吸っても大丈夫ですが、なければやめましょう。コンビニの店頭以外でも人通りが多い場所では、受動喫煙(他人が吸っているタバコの煙を近くにいる人が吸ってしまうこと)のため子供や高齢者、妊婦などの体に悪影響を及ぼすので注意しましょう。 ぬれた傘を店に持ち込まない ベトナムに住んでいると、雨の日には道路だけではなくデパートやスーパーマーケット、レストランの床もぬれているのが当たり前の光景です。大多数のベトナム人はぬれた傘やレインコートを持ったままデパートやスーパーに入店してしまいますね。 しかし、日本でぬれた雨具を店舗に持ち込む場合は、気を配らなければなりません。多くのデパートやスーパー、大型レストランでは、店の入り口近くにぬれた傘を入れるポリ袋のスタンドが置いてあります。 スタンドは大きく2種類あり、シンプルなものは傘を入れるための薄くて細長いポリ袋が束になって吊り下げてあるタイプです。ポリ袋を1枚ちぎって、そこに傘を入れます。もう一つは機械式で、傘を専用の機械に上から差し入れ、引き抜くと傘が自動でビニール袋に入って出てくるタイプです。また、ポリ袋ではなくぬれた傘の水滴を吸い取る「雨滴とり」装置が置かれている店もあります。 梅雨のように雨が多いシーズンには、ぬれた(折りたたみ)傘を収納できる袋を持ち歩いている人も増えています。傘を袋に入れて数回振ることで、マイクロファイバーの繊維が雨滴を吸収してくれます。最近は、環境保護の観点から使い捨てのポリ袋をなるべく使わないようにと考え、このような袋を利用する人もいます。 上半身裸でビデオ通話はNG 最近、こんなことがありました。私の日本人の同僚にベトナム人の年下の友人からビデオ電話がかかってきました。彼は日本滞在中に友人のお世話になったことがあり、少し前にベトナムに帰国したので近況を連絡するために電話してきたのです。 友人は喜んでビデオ電話に出ましたが、相手の格好を見て驚きました。なんと、上半身裸だったのです。相手がにこにこ笑って話し始めたので、友人は「電話をするときは服を着てね」と軽くたしなめるにとどめましたが、上半身裸で通話する友人の姿は衝撃的で、いまだに頭にこびりついて離れないそうです。 公共の場で服を着ることは日本人や欧米人にとってはマナーの一部です。ベトナムでは猛暑の日、男性が上着を着ず、半ズボンを履いて街を歩くのは珍しい光景ではありません。また、日本に住むベトナム人の若者も、部屋に仲間が集まって宴会をする際に上半身裸になることがよくあります。しかし、日本人は海水浴場やプールサイドといった場所以外で上半身裸で語り合うことは通常、ありません。これはビデオ電話でも同じです。酔った勢いで親しい日本人に裸で電話をするというようなことがないように気をつけましょう。

    2021年04月07日

  • ベトナムの常識・日本の非常識_15: 靴を散らかしたまま家に入らないで

    靴を散らかしたまま家に入ったり、場所を問わずタバコを吸ってしまうと、日本人に眉をひそめられてしまいます。ゴミを分別せずに出すのは、もっと印象の悪いことです。 【Thạch Long】 靴を散らかしたまま家に入らないで 小さい頃に読んだ漫画「ドラえもん」の中で、のび太が玄関で靴をきちんとそろえずに家の中に駆け込んだ時、母親がそのだらしなさを叱った場面を憶えていますか?あの誰もが知っている漫画の中で、この場面が描かれているのは一度きりではないはずです。 ベトナムでは、帰宅した時に脱いだ靴の右が東、左が西に散らばって、つま先が内側でもう片方が外側に向いていようがお構いなしです。誰もその場でかがんで靴をそろえようとはしませんね。 しかし日本では、靴の向きがばらばらなまま家に上がり込もうとするのはマナー違反になってしまうのです。日本では「家に入る時は脱いだ靴をきちんとそろえ、つま先はドア側に向ける」という不文律があるのです。また玄関で靴を脱ぐとスリッパがきちんとそろえて並べてあり、そのつま先が家の内側を向いているのです。 そうしておけば、履くときに靴やスリッパ(もしくは自分自身)の向きをいちいち変える必要がなく便利だからです。日本人には、何事も「整頓する」「整える」という習慣が根付いています。「郷に入っては郷に従え」というように、ベトナム人である私たちもその習慣にならいましょう。 きちんと靴がそろえられた玄関 種類の違うゴミをまとめて出してはいけません ベトナムでは、スーパーのビニール袋に生ゴミや空き瓶、空き缶、グラスなどをまとめて詰め込んでゴミに出すことは誰でも自然にやっています。しかし、日本でそれをやってはいけません。住んでいる地域によって多少の違いはありますが、基本的に燃えるゴミ、燃えないゴミ、資源ゴミ、粗大ゴミ(自転車や掃除機、テレビや冷蔵庫などの大きいもの)の四つに分類されます。この種類ごとに異なる曜日に所定の場所に出すと回収されます。 自治会のゴミ分別方法の案内書 ただし、電子機器や自転車などの粗大ゴミはただ置いておいても回収されません。住んでいる自治体に連絡して回収日を予約し、必要な金額の粗大ごみ処理券をコンビニなどで買って貼り付けて家の前に出すか、民間の粗大ゴミ回収業者に連絡してお金を払って回収してもらう必要があります。自治体の回収費用は、アイロン台など小さいものは200円からで、大きなものを民間で引き取ってもらうと数千円かかることもあります。自治体によって金額や制度に違いがありますので、問い合わせましょう。 もう一つ細かい注意事項を挙げると、ベトナムでは家の前でもどこでもゴミを捨てておけば清掃スタッフがゴミ収集車で回収してくれますが、日本のマンションや集合住宅地ではゴミ置き場が決まっていて、そこに出すことになっています。 ゴミを出す場所は居住スペース内のすぐ近くにあり、ゴミの上に網をかけるなどの処置がしてあります。なぜでしょうか?日本にはカラスが多く、何の対策もしていないとカラスがゴミ袋を食い破り、あちこちにゴミをまき散らすのです。私の家の隣には居酒屋があります。お店の人がゴミ置き場に網をかけ忘れると、その20分後にはカラスが来てメチャクチャにしてしまいます。お店の人はその後始末で、半径5メートルほどに散らばったゴミを新しいゴミ袋に詰め込むという余計な仕事するハメになるのです…。 場所を問わずにタバコを吸わない ベトナムでは、喫煙が禁止されているところには「禁煙」と書いた標識を壁に立てかけることが決まっています。実は日本も同じで、喫煙者は公共の場所でタバコを吸ってはいけないというルールがあるのです。 路上喫煙禁止区域を地図で示した看板 路面に「道路喫煙は罰金2000円」と描かれた告知 日本では、「喫煙は喫煙所で」が大原則となりつつあります。喫煙所は、ビルのような大きな建物では中に設けられている場合がありますが、多くの建物では外に設けられています。駅やバスの停留所、歩道は基本的に禁煙で、ビジネス街や商店街など人通りが多い場所も喫煙すべきでないとされています。受動喫煙への配慮があるためです。 また、望まない受動喫煙を防止するため2020年4月から健康増進法という法律の一部が改正され施行されました。この法改正により、「マナー」であったものが「罰則付ルール」へと変わり、飲食店は原則禁煙で喫煙場所を明確にしなければなりません。店舗規模や自治体によっても対応は異なりますが、ルールを破ると最大50万円の罰金になってしまう可能性もあります。 皆さんが働いたり学んだりしている日本では、喫煙できる場所が減っています。ショッピングモールや観光地、オフィスビルなど外出先でタバコを吸う場合は、必ず喫煙所を見つけて吸うようにしましょう。遠慮せず、周辺の人に聞いて確認してくださいね。 ビル内に設置された喫煙所

    2021年03月16日

主催者

Nhà tài trợ Bạch Kim

後援

  • 在ベトナム日本国大使館
  • 国際交流基金ベトナム日本文化交流センター
  • JNTOハノイ事務所
  • 関西経済連合会
  • 一般社団法人 国際人流振興協会
  • 公益社団法人 ベトナム協会
  • NPO法人 日越ともいき支援会

協力

JASSO(日本学生支援機構)

外国人労働者弁護団

WA.SA.Bi.