わたしの体験

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2020年11月18日 わたしの体験

今回の先輩

Phạm La Trúc Ly (ファム・ラ・チュック・リー)さん
  • 2007年高校在学中から靴工場勤務(10年間)〈ホーチミン〉
  • 2008年ジ・アン高校卒業〈ビンズオン〉
  • 2018年日本語センター入所(4月)〈ホーチミン〉
  • 2018年訪日(12月)→講習→イチゴ農園で技能実習開始〈宮崎〉

〈1989年生まれ、ビンズオン省出身〉

ベトナムに4歳の一人娘を置いて日本のイチゴ農園で働くリーさん。日本滞在中の3年間に日本語をマスターして帰国後に娘に教えたいと、勉強も毎日欠かさない。もっと給料の多い仕事もあったが、農園の社長も受入組合の支社長も親切で、この農園に入れてよかったと思っている。リーさんの体験談を紹介する。

娘に日本語を教えたい

私は高校を出て工場で10年間働きました。その間に結婚し、2016年に娘も生まれました。そして、娘のために訪日を決意しました。技能実習の給料が家計の助けになります。さらに、実習中に努力して日本語を身に付ければ、帰国後、私が娘に日本語を教えることができます。娘には将来、日本に留学していい会社に入ってもらいたいのですが、それに備えて家庭で日本語教育ができるのです。そう考えて技能実習に応募しました。

実習先のイチゴ農園

以前から外国で働いてみたいとは思っていました。もともとはロシアに行きたかったのですが、日本で働いて帰国した友人から、▽日本で技能実習をすれば、お金も稼げて日本語も覚えられる▽街がきれい▽泥棒が少ない▽人が親切▽気候が穏やか▽日本人の仕事のやり方が勉強になる――と聞かされ、日本に行きたくなりました。そして、日本に来てみると、実際にその通りでした。

送出機関への支払い

入国後講習で滞在した大阪で観光〈2018年〉

私は近所の実習経験者から紹介された送出機関に登録し、2カ月後に「ひなたいちご園」の面接に合格しました。面接にはイチゴ園の社長が来てくれました。送出機関には、面接合格時に約50,000,000ドン、訪日1カ月前にも約50,000,000ドンを支払いました。そのために銀行から60,000,000ドンを借りましたが、訪日後数カ月ですべて返済しました。

本当は食品加工などもっと給料の高い仕事を希望していたのですが、私は年齢が比較的高いのと既婚なので人気職種では面接に受かりにくいと言われ、イチゴ園に応募しました。イチゴ園には、送出機関での同期のハンさん、フェップさんと一緒に赴任しました。

イチゴ農園での仕事

上空から見たひなたいちご園

ひなたいちご園には計26棟のビニールハウスがあります。ハウス内の面積は合計7,000平方㍍。社長を含めて約10人が働いており、そのうち外国人は私たち3人です。大粒で味のよい高級イチゴを生産する農園で、最高級品は1箱(12個)5,000円(約1,100,000ドン)で販売しています。

● 収穫シーズンの仕事――イチゴの味見も

イチゴの収穫は11月~6月。この間の仕事は収穫・選別・箱詰めなどです。この農園はイチゴジャムも販売しているので、ジャムのびんにラベルをはる仕事もあります。また、変わった仕事としては、イチゴの味見があります。計測器でイチゴの糖度を測り、外観と合わせてランク分けして販売しますが、スタッフも味見をします。女性の方が味の違いに敏感だといい、社長が私たち実習生にイチゴの味見をさせます。毎日のように味見の仕事があり、他職種の友だちからうらやましがられています。

● オフシーズンの仕事

収穫しないシーズンには、ハウスの外でイチゴの苗を育てます。私たちは苗の水やりや病気チェックをします。また、ハウス内をほうきで掃除したり設備を入れ替えたりもします。苗は9月~10月にハウス内に移し、収穫を待ちます。

ひなたいちご園での収穫

日本人とのふれ合いが多い職場

右から社長、菜々花さん、通訳2人、技能実習生3人〈2019年〉

仕事上の指示や相談で社長や農場長と話をすることも多いですし、休憩時間にパートの方々ともよく話をします。日本人と会話をする機会が多く、日本語習得に適した環境です。

社長のめいの菜々花さんは、休日に私たち実習生を車でスーパーや観光地に連れて行ってくれることもあります。この夏には、社長が海辺のキャンプ場でバーベキューパーティーを開いてくれました。また、私たちは自転車通勤ですが、大雨の日は社長や農場長が車で送迎してくれます。

故郷の娘

4歳の娘は今、夫と一緒に暮らしています。日本に来て娘と離れ、当初は、娘と同じくらいの小さい子を見るたびにつらくて泣いていました。娘とはビデオ電話で毎日話をします。娘に会いたくて、今年5月の連休に一時帰国しようと思っていましたが、新型コロナで帰省できなくなり、とても残念でした。

日本での生活

イチゴ農園から見る夜明け〈2020年3月〉

寮では1人に一つずつ寝室があります。通常、夜11時に寝て朝5時半に起き、7時から夕方4時まで働きます。朝は早いですが、仕事が終わるのも早いので、つらくはありません。

私の家計簿(1カ月の平均)

※100円=22,151 VND(2020年10月30日現在)

手取り給料(平均110,000円)
手取り給料

95,000円~140,000円

※税金、社会保険料、寮費、水道・光熱費を引いた後の手取り額

※このうち寮費は15,000円(Wi-Fi込み)、水道・光熱費は平均8,000円

※収穫シーズンは残業代が多い

支出(合計平均30,000円)
食費

25,000円

※主に自炊

雑費・生活用品

5,000円

※衣類は買わない。外食はめったにしない。

差額・貯金(平均80,000円)
差額

80,000円

※差額は母に送金(2カ月ごとに100,000~120,000円)

菜々花さんが連れて行ってくれた宮崎県のサンメッセ日南〈2019年〉

送金したお金は、母が生活費や下の妹の学費、娘の幼稚園の費用になどに使っています。もっとお金があれば、娘の背が高くなるようにカルシウムのサプリメントを買いたいです。また、母には血圧の薬や関節の痛みを和らげる薬を買ってあげたいです。

日本では、入国後講習の際に大阪や神戸を見物したほかは、宮崎県外に遊びにいったことがありません。もし、お金に余裕ができたら沖縄に行ってみたいです。

日本語の勉強

毎晩2時間、教材とインターネットで日本語を勉強しています。「新完全マスター」シリーズや「耳から覚える日本語能力試験」シリーズなどを使っています。週2回の休みの日は、朝ゆっくり寝ますが、日本語の勉強も5時間以上します。来日して2年近く経ち、聞き取りはかなり上達しましたが、漢字を覚えるのが難しいですね。

Link:【特集】N1・N2合格者たちの勉強法(ツール編)

受入組合はキーポイント

左の男性が西日本技能センターの代表、右端がイチゴ園の社長

私たちの技能実習の監理団体(受入組合)は「西日本技能センター」で、大阪府に本社、鹿児島県に支社があります。支社長の山﨑良一さん(73)が毎月1、2回、私たちに会いに来て話を聞き、親身になってサポートしてくれます。また、ときどき一緒に来る女性スタッフが古着を持ってきてくれることもあり、私たちは服を買わなくてもすみます。

技能実習生にとって監理団体はとても大切です。もし、同センターが担当する職場で実習したい場合は、送出機関を選ぶ前に同社に問い合わせることもできます。

私たちに会いに来てくれた「お父さん」〈2020年7月〉

山﨑さんは私たちに日本語を教えたり、食事や観光に連れて行ってくれたりもします。私たちは山﨑さんのことを「お父さん」と呼んでいます。「お父さん」は本当のお父さんのように私たちを気遣い、健康や生活、仕事のことなどいろいろなサポートをしてくれます。私は毎月「お父さん」に会うのがとても楽しみで、「お父さん」のことを実父と同じぐらい尊敬しています。

他の職場で実習をしている送出機関の同期生と連絡を取り合っていますが、受入組合がこれほど親身にサポートしてくれるケースはあまりないようです。また、農園の社長や農場長、菜々花さんにも親切にしてもらっています。もっと給料が高い職場もありますが、お金に代えがたいものもあります。私はここに実習に来られてよかったと思っています。

経営者から見た技能実習生の働きぶり

【インタビュー】ひなたいちご園・長友一平社長(34)の話

春は、ビニールハウス内が高温になりますが、暑くなる前に収穫した方がイチゴの鮮度を保てるので、朝4時ごろに収穫を始める日もあります(そのときは終業も早めます)。このような早朝の仕事は、パートさんでは長く務まりません。私と農場長、実習生の計5人が中心的に働くことで安定的な運営ができます。

リーさんたち3人は仕事を覚えるも日本語の上達も速かったですし、まじめに堅実に働いてくれます。花や枝を摘むといった作業も年配のパートさんたちの2倍近く速くできます。若いからというだけではなく、ベトナム人は手先が器用なのでしょう。また、彼女たちがいると職場も明るくなります。技能実習が終わっても特定技能で残ってほしいぐらいです。

今回の先輩

Phạm La Trúc Ly (ファム・ラ・チュック・リー)さん

  • 2007年高校在学中から靴工場勤務(10年間)〈ホーチミン〉
  • 2008年ジ・アン高校卒業〈ビンズオン〉
  • 2018年日本語センター入所(4月)〈ホーチミン〉
  • 2018年訪日(12月)→講習→イチゴ農園で技能実習開始〈宮崎〉

〈1989年生まれ、ビンズオン省出身〉

ベトナムに4歳の一人娘を置いて日本のイチゴ農園で働くリーさん。日本滞在中の3年間に日本語をマスターして帰国後に娘に教えたいと、勉強も毎日欠かさない。もっと給料の多い仕事もあったが、農園の社長も受入組合の支社長も親切で、この農園に入れてよかったと思っている。リーさんの体験談を紹介する。

娘に日本語を教えたい

私は高校を出て工場で10年間働きました。その間に結婚し、2016年に娘も生まれました。そして、娘のために訪日を決意しました。技能実習の給料が家計の助けになります。さらに、実習中に努力して日本語を身に付ければ、帰国後、私が娘に日本語を教えることができます。娘には将来、日本に留学していい会社に入ってもらいたいのですが、それに備えて家庭で日本語教育ができるのです。そう考えて技能実習に応募しました。

以前から外国で働いてみたいとは思っていました。もともとはロシアに行きたかったのですが、日本で働いて帰国した友人から、▽日本で技能実習をすれば、お金も稼げて日本語も覚えられる▽街がきれい▽泥棒が少ない▽人が親切▽気候が穏やか▽日本人の仕事のやり方が勉強になる――と聞かされ、日本に行きたくなりました。そして、日本に来てみると、実際にその通りでした。

送出機関への支払い

私は近所の実習経験者から紹介された送出機関に登録し、2カ月後に「ひなたいちご園」の面接に合格しました。面接にはイチゴ園の社長が来てくれました。送出機関には、面接合格時に約50,000,000ドン、訪日1カ月前にも約50,000,000ドンを支払いました。そのために銀行から60,000,000ドンを借りましたが、訪日後数カ月ですべて返済しました。

本当は食品加工などもっと給料の高い仕事を希望していたのですが、私は年齢が比較的高いのと既婚なので人気職種では面接に受かりにくいと言われ、イチゴ園に応募しました。イチゴ園には、送出機関での同期のハンさん、フェップさんと一緒に赴任しました。

入国後講習で滞在した大阪で観光〈2018年〉

イチゴ農園での仕事

ひなたいちご園には計26棟のビニールハウスがあります。ハウス内の面積は合計7,000平方㍍。社長を含めて約10人が働いており、そのうち外国人は私たち3人です。大粒で味のよい高級イチゴを生産する農園で、最高級品は1箱(12個)5,000円(約1,100,000ドン)で販売しています。

上空から見たひなたいちご園

⚫ 収穫シーズンの仕事――イチゴの味見も

イチゴの収穫は11月~6月。この間の仕事は収穫・選別・箱詰めなどです。この農園はイチゴジャムも販売しているので、ジャムのびんにラベルをはる仕事もあります。また、変わった仕事としては、イチゴの味見があります。計測器でイチゴの糖度を測り、外観と合わせてランク分けして販売しますが、スタッフも味見をします。女性の方が味の違いに敏感だといい、社長が私たち実習生にイチゴの味見をさせます。毎日のように味見の仕事があり、他職種の友だちからうらやましがられています。

ひなたいちご園での収穫

⚫ オフシーズンの仕事

収穫しないシーズンには、ハウスの外でイチゴの苗を育てます。私たちは苗の水やりや病気チェックをします。また、ハウス内をほうきで掃除したり設備を入れ替えたりもします。苗は9月~10月にハウス内に移し、収穫を待ちます。

日本人とのふれ合いが多い職場

仕事上の指示や相談で社長や農場長と話をすることも多いですし、休憩時間にパートの方々ともよく話をします。日本人と会話をする機会が多く、日本語習得に適した環境です。

社長のめいの菜々花さんは、休日に私たち実習生を車でスーパーや観光地に連れて行ってくれることもあります。この夏には、社長が海辺のキャンプ場でバーベキューパーティーを開いてくれました。また、私たちは自転車通勤ですが、大雨の日は社長や農場長が車で送迎してくれます。

右から社長、菜々花さん、通訳2人、技能実習生3人〈2019年〉

故郷の娘

4歳の娘は今、夫と一緒に暮らしています。日本に来て娘と離れ、当初は、娘と同じくらいの小さい子を見るたびにつらくて泣いていました。娘とはビデオ電話で毎日話をします。娘に会いたくて、今年5月の連休に一時帰国しようと思っていましたが、新型コロナで帰省できなくなり、とても残念でした。

日本での生活

寮では1人に一つずつ寝室があります。通常、夜11時に寝て朝5時半に起き、7時から夕方4時まで働きます。朝は早いですが、仕事が終わるのも早いので、つらくはありません。

イチゴ農園から見る夜明け〈2020年3月〉

私の家計簿(1カ月の平均)

※100円=22,151 VND(2020年10月30日現在)

手取り給料(平均110,000円)
手取り給料

95,000円~140,000円

※税金、社会保険料、寮費、水道・光熱費を引いた後の手取り額

※このうち寮費は15,000円(Wi-Fi込み)、水道・光熱費は平均8,000円

※収穫シーズンは残業代が多い

支出(合計平均30,000円)
食費

25,000円

※主に自炊

雑費・生活用品

5,000円

※衣類は買わない。外食はめったにしない。

差額・貯金(平均80,000円)
差額

80,000円

※差額は母に送金(2カ月ごとに100,000~120,000円)

送金したお金は、母が生活費や下の妹の学費、娘の幼稚園の費用になどに使っています。もっとお金があれば、娘の背が高くなるようにカルシウムのサプリメントを買いたいです。また、母には血圧の薬や関節の痛みを和らげる薬を買ってあげたいです。

日本では、入国後講習の際に大阪や神戸を見物したほかは、宮崎県外に遊びにいったことがありません。もし、お金に余裕ができたら沖縄に行ってみたいです。

菜々花さんが連れて行ってくれた宮崎県のサンメッセ日南〈2019年〉

日本語の勉強

毎晩2時間、教材とインターネットで日本語を勉強しています。「新完全マスター」シリーズや「耳から覚える日本語能力試験」シリーズなどを使っています。週2回の休みの日は、朝ゆっくり寝ますが、日本語の勉強も5時間以上します。来日して2年近く経ち、聞き取りはかなり上達しましたが、漢字を覚えるのが難しいですね。

Link:【特集】N1・N2合格者たちの勉強法(ツール編)

受入組合はキーポイント

私たちの技能実習の監理団体(受入組合)は「西日本技能センター」で、大阪府に本社、鹿児島県に支社があります。支社長の山﨑良一さん(73)が毎月1、2回、私たちに会いに来て話を聞き、親身になってサポートしてくれます。また、ときどき一緒に来る女性スタッフが古着を持ってきてくれることもあり、私たちは服を買わなくてもすみます。

技能実習生にとって監理団体はとても大切です。もし、同センターが担当する職場で実習したい場合は、送出機関を選ぶ前に同社に問い合わせることもできます。

左の男性が西日本技能センターの代表、右端がイチゴ園の社長

山﨑さんは私たちに日本語を教えたり、食事や観光に連れて行ってくれたりもします。私たちは山﨑さんのことを「お父さん」と呼んでいます。「お父さん」は本当のお父さんのように私たちを気遣い、健康や生活、仕事のことなどいろいろなサポートをしてくれます。私は毎月「お父さん」に会うのがとても楽しみで、「お父さん」のことを実父と同じぐらい尊敬しています。

他の職場で実習をしている送出機関の同期生と連絡を取り合っていますが、受入組合がこれほど親身にサポートしてくれるケースはあまりないようです。また、農園の社長や農場長、菜々花さんにも親切にしてもらっています。もっと給料が高い職場もありますが、お金に代えがたいものもあります。私はここに実習に来られてよかったと思っています。

私たちに会いに来てくれた「お父さん」〈2020年7月〉

経営者から見た技能実習生の働きぶり

【インタビュー】ひなたいちご園・長友一平社長(34)の話

春は、ビニールハウス内が高温になりますが、暑くなる前に収穫した方がイチゴの鮮度を保てるので、朝4時ごろに収穫を始める日もあります(そのときは終業も早めます)。このような早朝の仕事は、パートさんでは長く務まりません。私と農場長、実習生の計5人が中心的に働くことで安定的な運営ができます。

リーさんたち3人は仕事を覚えるも日本語の上達も速かったですし、まじめに堅実に働いてくれます。花や枝を摘むといった作業も年配のパートさんたちの2倍近く速くできます。若いからというだけではなく、ベトナム人は手先が器用なのでしょう。また、彼女たちがいると職場も明るくなります。技能実習が終わっても特定技能で残ってほしいぐらいです。