体験談(留学・高度)

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By KOKORO(毎日新聞社+VAIJ主催、在ベトナム日本国大使館など後援)

今回の先輩

グエン・ティ・オアインさん
  • 2017年 高校卒業
  • 2017年ハノイ国家大学・外国語大学・日本言語文化学部入学
  • 2019年 明治大学の交流プログラムに参加〈東京、3週間〉
  • 2020年 京都大学留学〈1年間〉
  • 2021年 帰国
  • 2022年 大学卒業(3月)

〈1997年生まれ、ハノイ出身〉

オアインさんは大学で初めて日本語を勉強し、成績が良かったので、国費で京都大学に1年間留学しました。彼女の学習方法や留学プログラムの内容、京都のお勧めの観光名所を紹介します。

日本語学習:私の工夫

日本語力を生かして日本語センターで講師のアルバイト

私は日本のアニメやドラマが好きで、そこに出てくる日本の文化や景色にひかれました。そのため、大学で日本語や日本について勉強しようと思いました。大学で初めて日本語を学び、2年のときに日本語能力試験(JLPT)N3に合格、3年のときにN2に合格しました。

授業以外では、毎日2、3時間、自習(宿題と授業の復習)をしました。また、Netflixで日本のアニメやドラマを見てリスニングの練習をしました。

  • ・友だち4人とNetflixの費用をシェア
  • ・特に好きなのは「千と千尋の神隠し」「となりのトトロ」「5→9~私に恋したお坊さん~」など
  • ・1回目はベトナム語の字幕付きで見て、2回目以降は日本語の字幕付きで見る

ベトナムで日本人学生と交流

日本の大学生たちをニンビン省チャンアンに案内〈2019年〉

ハノイ国家大学には日本の大学生向けの短期交流プログラムがたくさんあります。私は大学2、3年のとき、多くのプログラムにボランティアで協力し、日本人学生とたくさん交流しました。

  • ・各プログラムの期間は1、2週間
  • ・日本各地の大学や外国語専門学校の学生が参加(大学ごとにプログラム)
  • ・内容は簡単なベトナム語会話や文化交流など
  • ・観光もあり、私たちボランティアが日本人学生たちをエスコート

プログラムで友だちになった学生のうち数人とは、私が日本に留学したときに再会しました。中には、東京から京都に会いに来てくれた友人もいました。

短期交流で初めて日本へ

明治大学の学生たちと東京観光

私は大学2年生が終わった2019年6月に3週間、明治大学の短期交流プログラムに参加するために初めて来日しました。

  • ・この年は、私の学部から7人、ハノイ大学から3人が参加(成績優秀者)
  • ・日本への飛行機代のみ自己負担
  • ・3週間の宿泊費と授業料は明治大学が負担
  • ・JASSOから1人80,000円の奨学金

このプログラムでは、明治大学の学生たちが私たちと一緒に研究をし、東京の案内もしてくれました。また、富山県の観光地に外国人観光客を誘致するための動画を制作したり、三味線(しゃみせん=日本の伝統楽器)を体験したり、神社で巫女(みこ)の服装や神楽舞(かぐらまい)を体験したりしました。

私たちが制作したFacebookページと動画

日本入国と留学生寮

寮の私の部屋

大学で私の成績は同学年約200人の中で2番でした。そのため、大学から国費留学の推薦をもらってハノイの日本国大使館で試験を受け、2020年9月から1年間、京都大学に留学させてもらえました。

新型コロナ対策で、日本入国後、成田空港近くのホテルで15日間隔離されました。その後、京都大学や大学院に留学するベトナム人3人と一緒に夜行バスで京都に行き、留学が始まりました。国費留学なので授業料は無料です。日本政府から十分な奨学金ももらっているので、アルバイトはしませんでした。

  • ・住居は大学の留学生寮:同じ棟に同級生11人(中国人5人、ベトナム人2人、ロシア・イギリス・インド・ルーマニア各1人)
  • ・寮での共通言語は日本語
  • ・大学へは地下鉄とバスで通学(約30分)。春と秋は自転車だけで通学。

新型コロナ禍での大学のプログラム

京都大学の授業で書道の練習

大学では、新型コロナ対策でオンライン授業の方が多かったのですが、感染拡大が落ち着いている時期には対面授業もあり、週4回以上大学に行きました。授業はすべて日本語で、「日本の政治と法律」「現代日本の社会問題」「日本語概論」などがありました。留学生向けの特別授業が大半ですが、日本人と一緒に受ける授業も少しありました。

楽しみだったのは「日本文化研修プログラム」で、書道や和菓子作りなどを体験しました。日本の高校生ともオンラインで交流しましたが、通常なら学校を訪問するはずだったので、残念でした。観光名所への研修旅行も、本来は1泊2日のはずが、コロナの影響で日帰りになりました。

京都大学

しかし、先生や留学生仲間とは授業でたくさん交流しました。アカデミック・プレゼンテーションの授業では、研究結果をプレゼン資料にまとめて発表します。私は日本の家族関係に関する問題やベトナムの大気汚染の問題などを研究しました。この授業では同級生(留学生)と日本語でたくさん議論をし、日本語の文献を調べ、日本語の資料を作成します。そして、寮で発表の練習(日本語)もします。

また、日本人学生で留学生サポートをする人もいるので、その人たちともよく会話をしました。このように、日本語を使う機会はたくさんありました。

地域のベトナム人との交流

VYSA京都の仲間と三室戸寺を観光〈2020年11月〉

大学以外ではVYSA京都の活動に参加しました。京都・大阪や周辺のベトナム人大学生や大学院生、社会人が参加しています。新型コロナの影響で多くのイベントが中止になりましたが、コロナが少し落ち着いていた2020年11月に20人あまりで京都府の三室戸寺(みむろとじ)と平等院に行きました。

VYSAの活動で知り合った友だちと電車を乗り継いで奈良県の長谷寺(はせでら)に行ったこともあります。不便な場所にありますが、とてもステキなお寺でした!

在日ベトナム学生青年協会

私の家計簿(1カ月の平均)

※100円=19,900 VND(2022年3月10日現在)

収入:120,000円
日本政府の奨学金

¥120,000

支出:110,000円
家賃(留学生寮)

¥13,000

授業料(無料)

¥0

電気・ガス・水道

¥6,000

携帯電話(SIM使わず)

¥0

Wi-Fi

¥1,000

食材費・外食費

¥40,000

教材費、交通費、雑費

¥50,000

差額:10,000円

※旅行などに利用

私の好きな京都のスポット

蹴上げインクライン

私は留学中、祇園や清水寺、八坂神社、平安神宮、鴨川など、京都市内のさまざまな観光名所に自転車で行きました。また、寮に近い南禅寺や蹴上(けあげ)インクライン、平安神宮などには、よく歩いて行きました。これらの名所を私なりにランキングすると次の通りです。

① 鴨川:特に桜の咲く季節は本当にきれいです。川を眺めているだけで気持ちが落ち着きます。

② 平安神宮と岡崎公園:巨大な鳥居と疎水(水路)沿いの散歩道を楽しめます。桜もたくさんあります。

③ 南禅寺と蹴上インクライン:蹴上は超有名インスタスポット。南禅寺は四季を通じて趣があります。

④ 祇園エリアと八坂神社

⑤ 清水寺

鴨川

平安神宮

まとめ

奈良県の長谷寺

新型コロナの影響で留学プログラムの多くが制限または中止され、旅行にもほとんど行けませんでした。しかし、日本のトップ大学の一つで留学し、京都という素晴らしい町に住めたことは、かけがえのない経験になりました。

私は帰国して半年後の2022年3月に大学を卒業し、ハノイのIT企業で働いています。将来は、大学で日本語を教えることが夢です。これからも日本や日本語と関わっていきたいと思います。

今回の先輩

グエン・ティ・オアインさん
  • 2017年高校卒業
  • 2017年ハノイ国家大学・外国語大学・日本言語文化学部入学
  • 2019年 明治大学の交流プログラムに参加〈東京、3週間〉
  • 2020年 京都大学留学〈1年間〉
  • 2021年 帰国
  • 2022年 大学卒業(3月)

〈1997年生まれ、ハノイ出身〉

オアインさんは大学で初めて日本語を勉強し、成績が良かったので、国費で京都大学に1年間留学しました。彼女の学習方法や留学プログラムの内容、京都のお勧めの観光名所を紹介します。

日本語学習:私の工夫

私は日本のアニメやドラマが好きで、そこに出てくる日本の文化や景色にひかれました。そのため、大学で日本語や日本について勉強しようと思いました。大学で初めて日本語を学び、2年のときに日本語能力試験(JLPT)N3に合格、3年のときにN2に合格しました。

授業以外では、毎日2、3時間、自習(宿題と授業の復習)をしました。また、Netflixで日本のアニメやドラマを見てリスニングの練習をしました。

  • ・友だち4人とNetflixの費用をシェア
  • ・特に好きなのは「千と千尋の神隠し」「となりのトトロ」「5→9~私に恋したお坊さん~」など
  • ・1回目はベトナム語の字幕付きで見て、2回目以降は日本語の字幕付きで見る

日本語力を生かして日本語センターで講師のアルバイト

ベトナムで日本人学生と交流

ハノイ国家大学には日本の大学生向けの短期交流プログラムがたくさんあります。私は大学2、3年のとき、多くのプログラムにボランティアで協力し、日本人学生とたくさん交流しました。

  • ・各プログラムの期間は1、2週間
  • ・日本各地の大学や外国語専門学校の学生が参加(大学ごとにプログラム)
  • ・内容は簡単なベトナム語会話や文化交流など
  • ・観光もあり、私たちボランティアが日本人学生たちをエスコート

プログラムで友だちになった学生のうち数人とは、私が日本に留学したときに再会しました。中には、東京から京都に会いに来てくれた友人もいました。

日本の大学生たちをニンビン省チャンアンに案内〈2019年〉

短期交流で初めて日本へ

私は大学2年生が終わった2019年6月に3週間、明治大学の短期交流プログラムに参加するために初めて来日しました。

  • ・この年は、私の学部から7人、ハノイ大学から3人が参加(成績優秀者)
  • ・日本への飛行機代のみ自己負担
  • ・3週間の宿泊費と授業料は明治大学が負担
  • ・JASSOから1人80,000円の奨学金

このプログラムでは、明治大学の学生たちが私たちと一緒に研究をし、東京の案内もしてくれました。また、富山県の観光地に外国人観光客を誘致するための動画を制作したり、三味線(しゃみせん=日本の伝統楽器)を体験したり、神社で巫女(みこ)の服装や神楽舞(かぐらまい)を体験したりしました。

私たちが制作したFacebookページと動画

明治大学の学生たちと東京観光

日本入国と留学生寮

大学で私の成績は同学年約200人の中で2番でした。そのため、大学から国費留学の推薦をもらってハノイの日本国大使館で試験を受け、2020年9月から1年間、京都大学に留学させてもらえました。

新型コロナ対策で、日本入国後、成田空港近くのホテルで15日間隔離されました。その後、京都大学や大学院に留学するベトナム人3人と一緒に夜行バスで京都に行き、留学が始まりました。国費留学なので授業料は無料です。日本政府から十分な奨学金ももらっているので、アルバイトはしませんでした。

  • ・住居は大学の留学生寮:同じ棟に同級生11人(中国人5人、ベトナム人2人、ロシア・イギリス・インド・ルーマニア各1人)
  • ・寮での共通言語は日本語
  • ・大学へは地下鉄とバスで通学(約30分)。春と秋は自転車だけで通学。

寮の私の部屋

新型コロナ禍での大学のプログラム

大学では、新型コロナ対策でオンライン授業の方が多かったのですが、感染拡大が落ち着いている時期には対面授業もあり、週4回以上大学に行きました。授業はすべて日本語で、「日本の政治と法律」「現代日本の社会問題」「日本語概論」などがありました。留学生向けの特別授業が大半ですが、日本人と一緒に受ける授業も少しありました。

楽しみだったのは「日本文化研修プログラム」で、書道や和菓子作りなどを体験しました。日本の高校生ともオンラインで交流しましたが、通常なら学校を訪問するはずだったので、残念でした。観光名所への研修旅行も、本来は1泊2日のはずが、コロナの影響で日帰りになりました。

京都大学の授業で書道の練習

しかし、先生や留学生仲間とは授業でたくさん交流しました。アカデミック・プレゼンテーションの授業では、研究結果をプレゼン資料にまとめて発表します。私は日本の家族関係に関する問題やベトナムの大気汚染の問題などを研究しました。この授業では同級生(留学生)と日本語でたくさん議論をし、日本語の文献を調べ、日本語の資料を作成します。そして、寮で発表の練習(日本語)もします。

また、日本人学生で留学生サポートをする人もいるので、その人たちともよく会話をしました。このように、日本語を使う機会はたくさんありました。

京都大学

地域のベトナム人との交流

大学以外ではVYSA京都の活動に参加しました。京都・大阪や周辺のベトナム人大学生や大学院生、社会人が参加しています。新型コロナの影響で多くのイベントが中止になりましたが、コロナが少し落ち着いていた2020年11月に20人あまりで京都府の三室戸寺(みむろとじ)と平等院に行きました。

VYSAの活動で知り合った友だちと電車を乗り継いで奈良県の長谷寺(はせでら)に行ったこともあります。不便な場所にありますが、とてもステキなお寺でした!

在日ベトナム学生青年協会

VYSA京都の仲間と三室戸寺を観光〈2020年11月〉

私の家計簿(1カ月の平均)

※100円=19,900 VND(2022年3月10日現在)

収入:120,000円
日本政府の奨学金

¥120,000

支出:110,000円
家賃(留学生寮)

¥13,000

授業料(無料)

¥0

電気・ガス・水道

¥6,000

携帯電話(SIM使わず)

¥0

Wi-Fi

¥1,000

食材費・外食費

¥40,000

教材費、交通費、雑費

¥50,000

差額:10,000円

※旅行などに利用

私の好きな京都のスポット

私は留学中、祇園や清水寺、八坂神社、平安神宮、鴨川など、京都市内のさまざまな観光名所に自転車で行きました。また、寮に近い南禅寺や蹴上(けあげ)インクライン、平安神宮などには、よく歩いて行きました。これらの名所を私なりにランキングすると次の通りです。

① 鴨川:特に桜の咲く季節は本当にきれいです。川を眺めているだけで気持ちが落ち着きます。

② 平安神宮と岡崎公園:巨大な鳥居と疎水(水路)沿いの散歩道を楽しめます。桜もたくさんあります。

③ 南禅寺と蹴上インクライン:蹴上は超有名インスタスポット。南禅寺は四季を通じて趣があります。

④ 祇園エリアと八坂神社

⑤ 清水寺

蹴上げインクライン

鴨川

平安神宮

まとめ

新型コロナの影響で留学プログラムの多くが制限または中止され、旅行にもほとんど行けませんでした。しかし、日本のトップ大学の一つで留学し、京都という素晴らしい町に住めたことは、かけがえのない経験になりました。

私は帰国して半年後の2022年3月に大学を卒業し、ハノイのIT企業で働いています。将来は、大学で日本語を教えることが夢です。これからも日本や日本語と関わっていきたいと思います。

奈良県の長谷寺