日本語学習

私たちが分からなかった関西弁

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2022年08月23日

日本では地方によって「方言」という独特の言葉があります。その中で大阪、兵庫、京都など関西エリアの人が話す言葉を「関西弁」と呼びます。大阪で留学した私たちは来日当初、地元の日本人の言葉を聞いても分からないことがときどきありました。しかし、意味が分かると、関西弁は「かわいい言葉だなあ」と感じるので、今では私たちもときどき使っています。大阪や京都に住む人や旅行する人も多いので、代表的な関西弁のフレーズを紹介します。

*この記事のイラスト(キャラクター含む)はすべてWA. SA. Bi.が作成しました。

「そうなんや」

ある日、大学で大阪育ちの友人と話したときの会話です。

私:私、先週沖縄に行ったよ!
友人:へー、そうなんや!

→→「そうなんや」とは習ったことのない言葉でしたが、話の流れから「そうなんだ!」という意味だと理解し、それで合っていました。その後、友だちと話すときに「そうなんや」と相づちを打ってみたところ、「え、関西弁も使えるんやね(関西弁も使えるんだね)!」と喜ばれました。

〈基本〉そうなんや!=そうなんだ!

・そうなん? = そうなの?
・そうやな = そうだな
・そうやね = そうだね
・そやね = 「そうやね」の短縮版
・せやね = 「そやね」の変型判

「~てもうた」

大阪育ちの友人とのやり取りです。

私:タメ語(対等な口のきき方)でいいよって言ったのに!
友人:ごめん!敬語になってもうた(笑)

→→大学で新しい友人と話していましたが、彼女は最初、敬語で話していました。私は「敬語はかた苦しいので、タメ語でしゃべってね」と彼女に言いました。彼女はしばらくタメ語で話しましたが、途中でまた敬語になってしまいました。これはそのときのやり取りです。

私は「敬語になってもうた」と聞いて「なっても歌 ??」と面食らいましたが、相手に聞くと、「敬語になってしまった」という意味でした。ただし、対等な間だけで使う言葉です。「〜てもうた」とアルバイト先の上司に対して使うのはNGだそうです。

〈基本〉〜てもうた = 〜してしまった

・言うてもうた = 言ってしまった
・やってもうた = やってしまった(失敗をしでかしてしまった)

「ええよ」「ええわ」

私:隣に座っていい?
A:うん!ええよ(うん、いいよ)!
私:Aちゃんさ、この夏休みどんな予定がある?
A:福井県の友だちから「遊びに来て!」って言われたので、福井に会いに行く予定やで(予定だよ)。あんたは?
私:私、9月にアメリカに行くねん(行くんだ)!
A:え、めっちゃええやん(すごくいいじゃない)!うらやましい〜

→→「ええ」という言葉は関西弁の基本中の基本です。標準語の「いい」(良い、かまわない)という意味で、発音もつづりも少し似ているので覚えやすいでしょう。日常生活でよく使われる言葉なので、覚えておいてくださいね~。

〈基本〉ええ = いい(良い、かまわない)

・ええな! = いいね!
・ええやん! = いいね!
・ええで 、ええよ= いいよ(かまわないよ)

「〜へん」

授業中のやり取りです。

私:先生が今言ったことわかる?
A:全然わからへん(全然わからない)!

→→「〜へん」は関西弁の基本的な表現の一つです。「〜ない」という意味で、使い方が簡単です。標準語を関西弁に変換したいなら、まず「ない」を「へん」に換えればOKです。

ちなみに、私が最も使うのは「わからへん」という言葉です。授業で先生の言うことがよくわからないことが多いからです(笑)。

〈基本〉〜へん = 〜ない

・覚えてへん = 覚えていない
・せえへん = しない
・かまわへんで、かまわへんよ = かまわないよ
・かまへんで、かまへんよ = かまわへんで、かまわへんよ の短縮版(※こちらの方がよく使われます)

「あかん」「〜なあかん」

私:Aちゃん、映画見に行かない?
A:ごめん!今日中にせなあかん(しなければならない)課題があるねん(あるの)。
私:え、どの宿題?
A:専門セミナーの宿題やで(宿題だよ)!
私:やばい、すっかり忘れてたわ!あかんわ(だめだ)!
A:宿題は忘れたらなあかんよ(忘れたらだめだよ)。

→→「あかん」は私が個人的に好む関西弁です。イントネーションがなんとなくおもしろいからです。また、標準語とかけ離れているので「関西弁らしさ」も強く、印象的です。

〈基本〉「あかん」=「だめ」

・頑張ったけど、あかんかったわ(だめだったわ)。
・「これ、食べてもいい?」「あかん(だめ)

というふうに使います。

〈基本〉「~なあかん」=「〜しなければならない」

・やせるためには、食べる量を減らさなあかん(減らさなければならない)。
・うまくなりたいなら、もっと練習せなあかんよ(練習しなければならないよ)。

※「~な」は「~しなければ」という仮定の意味で、「あかん(だめ)」とくっついて「~しなければだめ」、つまり「~しなければならない」という意味になります。

「〜ちゃう?」

教室での授業前の会話です。

私:ねえAちゃん、今日、日傘をなくしたんよ!最悪!
A:それは大変やね(大変だね)!今日はめっちゃ(すごく)晴れてんのに(晴れているのに)。キャンパス内でなくしたん(なくしたの)
私:ちゃうよ(違うよ)、電車に置き忘れた。
A:電車やったら、忘れ物センターにあるんちゃう(あるんじゃない)
私:へー、知らんかった。明日行ってみるわ。ありがとう!

→→「ちゃう」という言葉と初めて出会ったのは、私のクラスのLINEグループで大阪の友だちとチャットをしたときです。「ちゃう」という言葉を初めて読んだとき、つづりのミスかと思いましたが、相手に聞いてみたら「“違う”という意味だよ」と教えてくれました。

また、「ちゃう?」には「〜ではないですか?」という意味もあります。

〈基本〉ちゃう = 違う

・ちゃうで! = 違うよ!
・全然ちゃうやん! = 全然違うじゃない!

〈基本〉〜ちゃう? = 〜じゃない?(〜ではないですか?)

・顔色が悪いよ。気分、悪いんちゃう(悪いんじゃないの)?

「なんぼ?」

お店での会話です。

店員:まいど(いらっしゃいませ)!
客:これ、なんぼ(これはいくら)?
店員:3個で1000円です。おいしい桃ですよ!

→→私は商店街の近くに住んでいるので、よくそこで買い物をします。商店街でよく耳にするのは「なんぼ?」という言葉で、最初は意味が全然分かりませんでした。特に八百屋さんや魚やさんなどでよく聞く言葉です。後に「(金額が)いくら?」という意味だとわかりました。

〈基本〉なんぼ? = いくら?

・このバナナ、なんぼ?

「〜はる」「~はった」

友人:その問題集よりこの問題集の方がええねんて(いいんだって)。
私:そうなん(そうなの)?
友人:うん。先輩がそう言うてはった(言っておられた)。

→→「〜はる」は関西弁の尊敬語で、「〜はった」はその過去形です。

〈基本〉〜はる = 〜なさる、〜られる

・あの人、きれいな服を着てはるな(着ておられるね)。
・先輩がお菓子を買ってくれはった(買ってくださった)。

「ほんなら」「ほんで」

私と友人はレストランで昼ごはんを食べることになりましたが、友人が10分遅れました。

B:今日は早いな(早いね)!
私:今日は珍しく遅れたね。何かあったの?
B:待たせてごめん!何もなかったよ!
私:そうなん(そうなの)?じゃあ、どうしたん(どうしたの)?
B:あんた(あなた)、待ち合わせにいつも遅れるやろ(遅れるでしょ)ほんで(それで)、今日も遅れるやろな(遅れるだろうな)と思って、わざと遅めに来てん(来たの)。ごめんね!
私:そうなんや(そうなんだ)。私もごめんね。ほんだら(それなら)、これからは私も気を付けるわ。

→→私は「ほんで」という言葉を何回も聞いたことがありますが、最近やっと意味が分かりました。「それで」という意味でした。

〈基本〉ほんなら=それなら

・ほんなら、いらんわ。=それなら、いらない。

〈基本〉ほんで=それで(そのため)

・ほんで、わからへんかってん。=それで、わからなかったの。

「ほんま」

人気のお寿司屋さんでのやり取りです。

友人:ようやくこのお店の予約を取れたな(取れたね)!
私:そうやね(そうだね)、楽しみやね(楽しみだね)!
店員:はい、サーモンです。
友人:(一口食べて)うわあ、ほんまにおいしいわ(本当においしい)!

→→「ほんま」もよく使われる関西弁で「本当」という意味です。「ほんまに」は「本当に」。英語だとreallyに当たります。この言葉は、大学や電車内、レストランなどいたるところで耳にします。

〈基本〉ほんま = 本当

・ほんまにやばい! = 本当にやばい!
・それ、ほんま? = それ、本当?

「せやから」

会社員のAさんが上司のBさんと一緒に取引先に行くことになりました。しかし、電車が10分遅れたため、Aさんは待ち合わせの時刻に間に合いませんでした。やっとBさんに会うと、Bさんはご機嫌ななめです。

B:何時に家を出たんや(出たんだ)?
A:7時に家を出ました。通常なら、ぎりぎりで間に合うはずだったんですが、、
B:今日は大事な仕事なんやから(仕事なんだから)、電車の遅れも見越してはよ出なあかんやろ(早く出ないといけないでしょう)!
A:うっかりしていました。
B:せやから(だから)、約束より10分早く着くように行動しなさいといつも言ってるやろ(言っているだろ)?。今度から気い付けや(気を付けなさいよ)。

→→「せやから」はこのように「だから」の意味でひんぱんに使われています。目上の人に対しては使わないそうですが、親しい人と話す場合や感情が高ぶった場面では「せやから」という言葉が口から飛び出すそうです。

ちなみに、「せやから」と同じ意味で「せやさかい」という関西弁もあります。こちらは、最近では使う人が少ないそうです。

〈基本〉せやから = だから

・せやから、嫌やねん。= だから、嫌なんだ。

「なおす」

大阪の友人宅を訪問し、タコパ(たこ焼きパーティー)を楽しみました。食べ終わると、友人のお母さんが皿を洗い、私たちはテーブルを片付けました。

友人のお母さん:ソースとマヨネーズをなおしてちょうだい(しまってちょうだい)。
友人:はーい!

→→私はこの会話を聞いて、「ソースやマヨネーズを修理するってどういうこと?」と疑問に思いました。しかし、友人の行動を注視すると、彼女はソースとマヨネーズを冷蔵庫にしまっていました。関西の人は「しまう」とはあまり言わず、「なおす」を多用するそうです。

〈基本〉なおす = しまう(元の場所に戻す)

・この道具、なおしといてね(しまっておいてね)。

LINEスタンプ

LINEで関西の人とチャットをしていると、関西弁のスタンプを送られることがあります。「好きやで(すきだよ)」とか「大丈夫やでー(大丈夫だよー)!」などの言葉が入ったスタンプです。

私はこれがとても気に入っていくつか購入しました。一番安いスタンプセットは50コイン(120円)です。使用期限はないので、買ったらずっと使えます。

まとめ

この記事では、関西弁の代表的な表現を12個紹介しました。

・「そうなんや」
・「〜てもうた」
・「ええよ」「ええわ」
・「〜へん」
・「あかん」「〜なあかん」
・「〜ちゃう?」
・「なんぼ?」
・「〜はる」「〜はった」
・「ほんなら」「ほんで」
・「ほんま」
・「せやから」
・「なおす」

どれも学校や授業では学びませんが、関西では広く使われており、関西弁を使うテレビタレントもたくさんいます。意味が分かれば、人なつっこい関西人の気質ととてもマッチした言葉だとわかります。大阪や兵庫、京都など関西に住む人はまずこれらの代表的な関西弁に慣れ、関西弁と一緒に関西のフレンドリーな土地柄を楽しんでください。