文化
寺と神社の違い


日本には「寺」や「神社」がたくさんあり、観光スポットになっているところも多いです。このため、観光などで何気なく訪れる寺や神社ですが、寺と神社の違いが私たち外国人にはよくわかりません。そこで、「宗教の違い」や「施設の入口の違い」、「社寺に関する日本の習慣」など、寺と神社の違いや特徴をわかりやすく解説します。
◆このページの内容◆
宗教の違い
寺と神社とでは、まず宗教が違います。寺は仏教の礼拝施設で、神社は神道(しんとう)の礼拝施設です。
・寺=仏教
・神社=神道
寺

金閣寺(京都市)
ご存じのように、仏教は世界中に多くの信者をもつ宗教です。インドで生まれ、今の中国を経由してアジア各地に広まり、根付きました。そして、ブッダ(釈迦:しゃか)をはじめ「仏(ほとけ)」を信仰の対象としています。
神社

熱田神宮(名古屋市)
神道は日本特有の信仰で、自然、人、土地など、さまざまなものを神様として崇拝(すうはい)します。自然界の全てのものに神様が宿ると考え、それを「八百万(やおよろず)の神」と言います。「八百万」とは「とてもたくさんの」という意味です。
神社の名前
ところで、神社の名前には「〇〇神社」や「〇〇神宮」「〇〇宮」「〇〇大社」などさまざまな種類があります。
これらの中で、菅原道真(すがわのみちざね)という9世紀の学者をまつる神社は「天満宮(てんまんぐう)」、江戸時代を築いた武将・徳川家康をまつる神社は「東照宮(とうしょうぐう)」と呼ばれ、各地に「天満宮」や「東照宮」があります。
施設の入口の違い
寺と神社では、境内(けいだい)や参道の入口にある建造物の名称が異なります。
・寺の入口=山門(さんもん、やまもん)、三門(さんもん)
・神社の入口=鳥居(とりい)

東大寺の山門(奈良県)
「山門」は寺院の正式な入口で、山門をくぐると仏の世界に入ると言われています。「三門」と書く場合もあります。

鶴岡八幡宮の鳥居(神奈川県)
神社の境内や参道の入口にはこのような形の「鳥居(とりい)」という建造物があります。鳥居をくぐると神聖な世界に入るとされています。
参拝の仕方の違い

合掌(がっしょう)
寺と神社の参拝方法で一番大きな違いは手をたたくかたたかないかです。
寺での参拝手順
寺で参拝するときは、手をたたかないようにしてください。
①さい銭をさい銭箱に入れる(入れない場合もあります)。
②わに口(綱を揺らして鳴らす鐘)があれば鳴らす。次に、手をたたかず、胸の前で合掌(手を合わせること)して祈る。
③最後に1礼してから退く。
神社での参拝手順

神社では「2礼→2拍手→1礼」です。
①軽くおじぎをしてから、さい銭をさい銭箱に入れる(入れない場合もあります)。
②鈴がある場合は鳴らす。次に、深く2礼する(=おじぎを2回する)。
③2回手をたたき、手を合わせたままお祈りする(=願い事やあいさつ)。
④最後に深く1礼してから退く。
初詣などの習慣

七五三のお参り
年中行事の中の宗教
「日本人は宗教心が薄い」と言われることがよくあります。仏教と神道は日本の2大宗教と言われていますが、寺や神社にひんぱんに通う人はそれほど多くはありません。
しかし、多くの日本人が例えば次のような機会に神社や寺を訪れます。このうち七五三は神社だけです。
・毎年1月の初詣(はつもうで)
・七五三(しちごさん):幼児のすこやかな成長を祈る儀式
・入学試験などの合格祈願
・恋愛や結婚に関する祈願
初詣(はつもうで)

年が明けてから初めて神社や寺などに参拝することを「初詣」と言います。過ぎた一年を無事に過ごせたことに感謝し、新しい一年も健康で平穏(へいおん)に暮らせるよう、神仏にあいさつとお願いをする習慣です。そのときに、商売や受験、恋愛などに関するお願いをすることもあります。
ところで、多くの日本人には、初詣のために寺を訪れるか神社を訪れるかのこだわりがありません。同じ人が去年の正月は神社に初詣に行き、今年は寺に初詣に行くこともあります。普段も、神社に行った日に寺にもお参りすることなどがしばしばあります。
特定の願い事に強い神社

特定分野の願い事に強いと言われる神社や寺があります。そのような神社の例をいくつか紹介します。
学問の神様
9世紀の学者で政治家だった菅原道真(すがわらのみちざね)をまつる神社は「天満宮(てんまんぐう)」や「天神(てんじん)」、「菅原神社」などと呼ばれています。頭脳明晰(ずのう・めいせき)だった道真にあやかって、これらの神社にはたくさんの受験生や親たちが合格祈願に訪れます。中でも福岡県の太宰府(だざいふ)天満宮は特に有名です。
太宰府天満宮(福岡県)
北野天満宮(京都府)
大阪天満宮(大阪府)
縁結び・恋愛の神様

縁結びで有名な神社もたくさんあります。その中の代表的な神社を紹介します。
東京大神宮(東京都)
川越氷川神社(埼玉県)
城山八幡宮(愛知県)
露天神社(通称・お初天神、大阪府)
生田神社(兵庫県)
出雲大社(島根県)
引越しの神様
方違神社(大阪府)
猿田彦神社(三重県)
「お」を付けるかどうかの違い

日本人の多くは話し言葉で寺のことを「お寺」と呼びます。この場合の「お」は寺に対する崇敬(すうけい)の念を表し、同時にていねいな表現にもなっています。
しかし、神社のことを「お神社」と呼ぶ人はまずいません。これはなぜでしょうか?
それは、日本人が寺よりも神社を下に見ているからではなく、言葉の慣用(かんよう)の問題です。いつの間にか「お寺」と呼ぶ慣習が広まっていたのです。それは、日本人にとって「寺」よりも「お寺」の方が発音や聞き取りがしやすいことも一因かもしれません。
まとめ

この記事では、寺と神社の違いについて説明しました。
- 宗教の違い:寺は仏教、神社は神道
- 入口の違い:寺は山門または三門。神社は鳥居。
- 参拝の仕方:寺では手をたたかない。神社では2礼→2拍手→1礼。
- 初詣や七五三など年中行事の中に根付く宗教
- 「お寺」と言うが、「お神社」とは言わない。
このような違いや特徴を頭に入れて寺や神社を訪れると、その寺や神社をより深く理解できるかも知れませんね。日本の寺や神社には美しい自然や建築がたくさんありますので、日本にいる間に存分に楽しんでくださいね。
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新入社員向けの基本ビジネスマナー_01
日本で留学生の就職活動をサポートしていると、「入社するまでに、どのようなことを勉強しておけばよいですか?」とよく聞かれます。その質問への私たちの答えは「ビジネスマナーの勉強」です。基本的なビジネスマナーを入社前に知っておくと、他の新入社員より一歩先からスタートできます。そこで、新入社員向けのビジネスマナーについて2回に分けて紹介します。今回は「電話の受け方」や「お茶の出し方」、そして日本でとても重視されている「ホウ・レン・ソウ」についてです。 電話は3コールまでに出る 会社にかかってきた電話の相手は、電話に出てみないと分かりません。そのため、「電話に出るときは自分が会社を代表する立場なのだ」という自覚を常に持つことが大切です。 まず、電話がかかってきたとき、相手を待たせるのはよくありませんので、できるだけ早く電話に出てください。人間は10秒以上待たされることを不愉快に感じてしまう傾向があります。電話の場合、呼び出し音を何回も聞くと、相手に対して悪い印象を持ちやすくなります。一般的に1コールが3秒、3コールで約10秒なので、3コール以内を目標に受話器を取るように心がけましょう。 一番良くないのは「だれかほかの人が受話器を取るだろう」と考えて人任せにすることです。多くの職場では、入社歴の浅い人が先に電話に出ることが暗黙の了解になっています。手が離せない仕事をしている場合を除いて、入社して1、2年の間は「自分が一番先に受話器を取ろう」というぐらいの気持ちを持ちましょう。 ただ、1コールもたたず、呼び出し音が鳴った瞬間に電話を取られると少し驚いてしまいます。そのため、1コールか2コール鳴った後に電話に出ることが望ましいでしょう。 電話の受け方 会社にかかってきた電話に対しては、基本的には以下のように対応します。 ①私 : はい、〇〇(自分の会社名)でございます。お電話ありがとうございます。 ②相手: 私、〇〇(会社名)の△△と申します。お世話になっております。 ③私 : 〇〇の△△様でいらっしゃいますね。お世話になっております。 ④相手: 様はいらっしゃいますか? 相手の名前を確認 もし、相手の会社名や名前を聞き取れなかった場合は、聞き返して相手の名前を確実に把握しましょう。「恐れ入りますが、もう一度会社名とお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」など聞いてください。すると、相手は社名と自分の名前をもう一度言いますので、あなたは担当者に「〇〇社の△△様からお電話です」と伝えることができます。 相手が自分の名前を名乗らずにだれかを指名した場合も、「恐れ入りますが、お宅様(おたくさま)のお名前を教えて頂けますか?」と聞いてください。 自分の名前を名乗る 相手が電話の相手を指名せず、あなたでも対応できる内容だった場合、③の「いつもお世話になっております」の前に「私は☆☆(自分の名前)と申します」と答えましょう。これは、相手が名前を名乗ったことへの返礼の意味にもなります。自分が相手に対応する場合、基本的に自分の名前を名乗るようにしましょう。 受話器を取るのが遅れた場合 電話に出るまで長くかかった場合、「お電話ありがとうございます」の前に「大変お待たせしました」などと言うのがよいでしょう。 お茶の出し方 通常、お客様が来社したら、お茶を出します。コーヒーを出す会社もあります。基本的な作法は次の通りです。 ①応接室のドアを3回ノックします。「失礼します」と伝えてから入室します。 ②サイドテーブルがある場合、お盆をサイドテーブルに置いてお茶を出す準備をします。サイドテーブルがない場合、お盆を片手で持ちながら、もう片方の手で作業をします。 ③茶碗と受け皿を両手で持って、「上座」に座っている役職の高いお客様から順に「どうぞ」、「失礼します」などと声をかけながらお茶を出します。 お茶を出す席順は入り口から一番遠い上座から順に、下座の人が最後になるように出すとよいでしょう。また、先にお客様にお茶を出し終えてから、自分の会社の人に出すようにしてください。 上座と下座の順については、この記事を参考にしてください。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 目上の人との食事会でのマナー ④お茶を出し終えたら、ドアの前でお客様に向かって「失礼しました」とおじぎをしてから退室します。 ⑤応接室の外に出たら、ドアを開けたままお客様に向かってもう一度おじぎをし、頭を下げたままドアを閉めます。 「ホウ・レン・ソウ」は欠かせない 日本の会社で働く際によく耳にする言葉が「ホウ・レン・ソウ」です。これは次の三つの言葉の頭文字を合わせた言葉です。 ・ホウ=報告(ほうこく)・レン=連絡(れんらく)・ソウ=相談(そうだん) 報告・連絡・相談は日々の生活においても基本的なことです。仕事では、いつ・どうやって「ホウ・レン・ソウ」を行うかが重要となります。 ❌ 仕事の進捗状況を報告しない。 上司や先輩から仕事を任されたときは、その人に仕事の進捗を必ずこまめに「報告」してください。上司や先輩があなたに助言やサポートをしたり、職場での仕事の割り振りを調整したり、次の仕事を適切なタイミングで指示したりするには、あなたの仕事の状況を把握することが不可欠です。 そのためには、あなたが自分の仕事の状況を上司・先輩にこまめに報告しなければなりません。日本の会社ではこまめな「報告」がとても重視されています。 ❌ リマインドしない。 相手がとても忙しいとき、あなたの報告・連絡・相談・依頼などにすぐに対応できないこともあります。その場合、タイミングをみて、遠慮せずに自分からもう一度相手に「ホウ・レン・ソウ」を行って対応を促してください。 ❌ 自分の判断だけで行動する。 新入社員の場合、分からないことがたくさんあるはずです。自分の仕事に関してわからないことが出たり判断に迷ったりした場合は、上司や先輩に遠慮なく尋ねてください。 まとめ 今回は、新入社員が知っておくべき基本的なビジネスマナーのうち「電話対応」や「お茶・コーヒーの出し方」、「ホウ・レン・ソウ」について説明しました。 ・電話には3コールまでに出る。 ・電話対応の際、必要に応じて自分の名前を名乗る。 ・電話対応の際、必要に応じて相手の社名や名前を聞く。 ・お茶の出し方 ・仕事の進捗について上司や先輩にこまめに報告する。 ・上司や先輩が忙しくてすぐに対応できないときは、同じ内容の「ホウ・レン・ソウ」を繰り返す。 ・分からないことがあるときや迷ったときは上司・先輩に相談する。 このような基本的なビジネスマナーを入社後1カ月ぐらいでマスターするように意識して取り組んでみてください。また、こうした事柄を入社前に頭に入れておき、実際に働き始めてからもときどき読み返すことで、実体験と結びついた習慣になっていくことでしょう。 ビジネスマナーを身につけて、日本の会社で活躍してくださいね。
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目上の人との食事会でのマナー
日本に住むベトナム人の皆さんは学校の先生や先輩、職場の上司など、目上の日本人と一緒に食事に行く機会もたまにあると思います。このように上下関係のある人たちが一緒に食事に行く場合、いくつかの暗黙のルールがあります。その中の重要ポイントを押さえておかないと、相手にがっかりされてしまうこともあります。実際の食事の席ではだれも教えてくれないことが多いので、この記事で日本の食事会でのマナーについて紹介します。 奥に座らない ベトナム人と交流の多い日本人に聞くと、食事会で日本人の多くの人が心がけているのにベトナム人の多くが気にしていないのは座る位置だそうです。日本では、基本的に「奥」に目上の人やお客さんに座っていただきます。奥の席を「上座(かみざ)」と言います。 店にテーブルがたくさんあって「上座」がどちらかわかりにくい場合は、店の入口から遠い方が「上座」だと思ってください。上の図では個室の入口から遠い①が一番の上座で、②が2番目の上座です。逆に、出入口に近い③④を「下座(しもざ)」と言い、目下の人が座ります。③と④の間では、④が一番下の席です。 例えば、先生や先輩、同級生と4人で食事に行く場合、先生が①、先輩が②、同級生と自分は③④の席に座ります。 床の間のある和室の場合 個室で床の間(かけ軸などが飾られているスペース)がある場合は、入口の位置にかかわらず床の間の前が「上座」になります。上の図では、①が一番の上座で②が2番目の上座です。もし床の間がなければ、この部屋の場合、③が一番の上座、④が2番目の上座になります。 例えば、お客さん、上司、先輩、自分の4人で食事に行く場合、お客さんが①、上司が②、先輩が③、自分が④という席順になります。 円卓の場合 円卓の場合は少し複雑です。入口から最も遠い席が1番の「上座」で、それ以外は番号の順番になります。 テーブルが多い場合 個室での席順は上記の通りですが、広い部屋でテーブルが多い場合は、どこが上座か判断に悩むことと思います。そこで、大まかな基準を図にまとめました。広い部屋では、「入口から遠い」ことや「壁側」が上座の基準です。 目上の人に上座を勧める 目上の人と一緒に外食をする際、個室であれば、なるべく目上の人に先に入ってもらいます。自分が最後に入り、相手が上座に座るのを確認します。しかし、こちらに気をつかって自分が下座に座ろうとする人も多いので、お客様が下座に座ろうとしたら、上座に座るように急いでお願いしてください。これが日本の食事会での一般的なマナーです。 相手がどうしても下座に座ると言う場合は、例外的に下座に座っていただきますが、そのようなケースはなるべく避けましょう。店内で待ち合わせる場合は、先に店に着いて部屋に入り、下座に座って相手を待つとよいでしょう。 取りばしを使う 大皿料理は、共用のはし(取りばし)で自分の小皿に取り分ける 多くの国では、だれかと食事して料理をシェアする場合、それぞれが自分のはしで食べ物を取ります。しかし、日本では例外があります。 日本人は食事をするとき、自分のはし以外に「取りばし」をよく使います。シェアする料理については、取りばし(みんなで使うはし)で大皿から自分の小皿に取り分け、そのはしを元に戻してから、自分のはしで食べます。外食の際、取りばしがない場合、店員さんにお願いして持ってきてもらいましょう。 そして、目上の人が取りばしで自分の小皿に料理を取り分けてから、自分もその料理を取るようにしましょう。目上の人の分をこちらが代わりに取り分けると、さらにベターです。 お酒のつぎ方 お店でびんビールや日本酒を飲む場合、コップやおちょこ(さかずき)に自分で注ぐ必要があります。その場合のマナーを紹介します。 目上の人に注ぐ場合 ・少なくとも1杯目は目下の者から目上の人にビールやお酒をつぐように心がけましょう。その後も、相手のコップやおちょこが空(から)になっていたら、お酒を注ぐようにします。相手が「もういいです」とか「後は自分でやります」と言って断った場合はそこでやめます。 ・ビールの場合は、びんのラベルが上になるように右手でびんを持って、左手を添えます。左手は軽く添える程度でいいです。 ・日本酒のとっくりなどからおちょこに注ぐ場合もとっくりを両手で持ちます。 目上の人から注いでもらう場合 片手でグラスやおちょこを持ち、もう片方の手(指先)を底に軽く添えて両手で持ちます。和室の場合は正座してグラスやおちょこを持つ人もいます。そして、注いでもらう前と後に「ありがとうございます」とお礼を言います。テーブルにグラスを置いたまま片手を添えて注いでもらうのは失礼なことなので、気をつけましょう。 「いただきます」「ごちそうさまでした」 食べる前に「いただきます」、食べた後に「ごちそうさまでした」と言います。これは言わずと知れた日本の食事の始まりと終わりのあいさつですが、目上の人(上司や先輩など)がお金を多く支払ってくれる場合は、特に大事です。 また、目上の人が食べ始めてから自分も食べるようにしましょう。 会計後にも「ごちそうさまでした」 食事が終わったときに「ごちそうさまでした」と言いますが、会計の際やお店を出た直後に、費用を多く負担してくれた人にもう一度「ごちそうさまでした」と言いましょう。 上司・目上の人に言う場合、「おごってもらったので、ありがとうございました」という意味を表します。 お店の人に「ごちそうさまでした」と言う場合、「料理がおいしかった」「居心地がよかった」「また来店したい」などの感謝の意味を表します。 「ごちそうさまでした」は感謝の気持ちを表す言葉なので、忘れないでくださいね。 まとめ 今回は「上座」と「下座」など飲食店での席順を中心に日本の食事会でのマナーについて紹介しました。また、取りばしを使う習慣やお酒のつぎ方なども紹介しました。このようなマナーを守ることで上下の人間関係が円滑になりますので、この記事で得た知識を実際の食事会でぜひ活用してください。 また、「いただきます」や「ごちそうさまでした」を言うのも忘れないでください。 日本の文化に完全に慣れるのは難しいですが、知ってさえいれば簡単に守れることも多いので、お互いの良好な関係を深めるために、少しずつ実践していきましょう。
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ベトナムと日本の十二支
ベトナム人の皆さん、2023年はネコ年ですね。ご存じだと思いますが、日本ではウサギ年です。このように、ベトナムの十二支(じゅうにし)のうち四つが日本と異なります。ベトナムと日本の十二支の違いやそれぞれの動物が持つ意味について調べてみました。 十二支の始まり 十二支は中国から伝わりました。神様が「1月1日に新年のあいさつに来た動物を先着12番目まで順番に各年の代表的な動物にする」というレースを開催したことが始まりとされています。 レースでは水牛(バッファロー)がリードしていましたが、ネズミが気づかれないように水牛の耳に入って運んでもらい、ゴール直前で飛び降りて1位になったと言われています。また、ネコが十二支に入れなかったのは、ネズミにだまされて1月2日に出向いてしまったためとされています。 日本のウサギ年はベトナムのネコ年 それではなぜ、ベトナムではウサギ(卯)ではなくネコなのでしょうか?これにはさまざまな説があります。 ・「卯」の中国語の発音「マオ」がベトナム語の「メオ」(ネコ)に似ている。 ・ベトナムではウサギになじみがなく、米を食べるネズミを追い払ってくれるネコの方が庶民にとって身近な存在だった。 このようなことが原因だと言われています。 十二支の動物の意味と相性 日本 読み方 意味 ベトナム 違い 動物が表す意味(日本) 子 ね ネズミ tý 行動が機敏。子宝の象徴(しょうちょう)。 丑 うし ウシ sửu 水牛 真面目で勤勉。力強さや誠実さ。 寅 とら トラ dần 勇気がある。判断力にもすぐれている。 卯 う ウサギ mão/mẹo ネコ 性格がやさしく、おだやか。安全。 辰 たつ 竜 thìn 権力。リーダー。 巳 み ヘビ tỵ 何ごともよく知っている。永遠の命。 午 うま ウマ ngọ 寛大でやさしい。健康。豊作。 未 ひつじ ヒツジ mùi ヤギ 穏やかで人付き合いがよい。冷静な判断力。 申 さる サル thân 知能が高く、行動力もある。 酉 とり トリ dậu 粘り強い。商売繁盛。 戌 いぬ イヌ tuất 真面目で勤勉。忠実。 亥 い イノシシ hợi ブタ 健康。情熱的。 日本の十二支は子(ね)・丑(うし)・寅(とら)・卯(う)・辰(たつ)・巳(み)・午(うま)・未(ひつじ)・申(さる)・酉(とり)・戌(いぬ)・亥(い)です。ベトナムの十二支で日本と異なるのは、ネコ以外に、ウシ→水牛(バッファロー)、ヒツジ→ヤギ、イノシシ→ブタです。ベトナムでなじみが深い動物に置き換えられたようです。 また、日本ではイノシシ(猪)が十二支に入っていますが、日本以外の国々(ベトナム、チベット、タイ、ベラルーシ、ブルガリアなど)ではブタです。ちなみに、日本語の「猪(イノシシ)」という漢字は中国ではブタを指し、中国ではイノシシのことを「野猪」と書きます。このように、ベトナムと日本の十二支は四つが異なります。 ところで、十二支(じゅうにし)と干支(えと)は厳密には違います。しかし、最近では十二支のことを「干支」と呼ぶケースが多くなっています。ベトナムでは、人と人の相性を話題にするとき、干支で考えるのが定番ですが、日本ではあまり干支の相性については話題にしません。むしろ、血液型を持ち出すことが多いです。 私がベトナムで小さかったころ、近所にやさしいおばあちゃんがいました。彼女はあるとき、私に「あなたは水牛ですね。将来は苦労するでしょうが、幸い生まれた時間はお昼ですね。ちょうど昼休みの時間帯ですから、少し助かるでしょう」と話をしてくれました。当時は小さかったのでその意味がよく分からず、「どうして私は水牛なんですか?」と疑問を持ったのですが、遠慮して聞けませんでした。ベトナムでは生まれた年や時間などによって運命が左右されると信じている人が今でもたくさんいます。 まとめ この記事ではベトナムと日本の十二支の違いなどを紹介しました。十二支は、神様が開催した動物たちのレースが始まりでした。しかし、ベトナムの十二支と日本の十二支とでは、四つが異なります。また、日本では相性や運勢について話をするときに十二支を持ち出すことはあまりありません。 ところで、ネコ年の今年のテト(ベトナムの正月)は、町中のディスプレイがネコであふれますね。日本にはネコ年がないので、そのような光景は見られません。テトで帰国したら、たくさん写真を撮ってきてくださいね。
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