文化

ベトナムと日本の十二支

000-12-con-giap
2023年01月04日

ベトナム人の皆さん、2023年はネコ年ですね。ご存じだと思いますが、日本ではウサギ年です。このように、ベトナムの十二支(じゅうにし)のうち四つが日本と異なります。ベトナムと日本の十二支の違いやそれぞれの動物が持つ意味について調べてみました。

十二支の始まり

十二支は中国から伝わりました。神様が「1月1日に新年のあいさつに来た動物を先着12番目まで順番に各年の代表的な動物にする」というレースを開催したことが始まりとされています。

レースでは水牛(バッファロー)がリードしていましたが、ネズミが気づかれないように水牛の耳に入って運んでもらい、ゴール直前で飛び降りて1位になったと言われています。また、ネコが十二支に入れなかったのは、ネズミにだまされて1月2日に出向いてしまったためとされています。

日本のウサギ年はベトナムのネコ年

それではなぜ、ベトナムではウサギ(卯)ではなくネコなのでしょうか?これにはさまざまな説があります。

・「卯」の中国語の発音「マオ」がベトナム語の「メオ」(ネコ)に似ている。
・ベトナムではウサギになじみがなく、米を食べるネズミを追い払ってくれるネコの方が庶民にとって身近な存在だった。

このようなことが原因だと言われています。

十二支の動物の意味と相性

日本 読み方 意味 ベトナム 違い 動物が表す意味(日本)
ネズミ 行動が機敏。子宝の象徴(しょうちょう)。
うし ウシ sửu 水牛 真面目で勤勉。力強さや誠実さ。
とら トラ dần 勇気がある。判断力にもすぐれている。
ウサギ mão/mẹo ネコ 性格がやさしく、おだやか。安全。
たつ thìn 権力。リーダー。
ヘビ tỵ 何ごともよく知っている。永遠の命。
うま ウマ ngọ 寛大でやさしい。健康。豊作。
ひつじ ヒツジ mùi ヤギ 穏やかで人付き合いがよい。冷静な判断力。
さる サル thân 知能が高く、行動力もある。
とり トリ dậu 粘り強い。商売繁盛。
いぬ イヌ tuất 真面目で勤勉。忠実。
イノシシ hợi ブタ 健康。情熱的。

日本の十二支は子(ね)・丑(うし)・寅(とら)・卯(う)・辰(たつ)・巳(み)・午(うま)・未(ひつじ)・申(さる)・酉(とり)・戌(いぬ)・亥(い)です。ベトナムの十二支で日本と異なるのは、ネコ以外に、ウシ→水牛(バッファロー)、ヒツジ→ヤギ、イノシシ→ブタです。ベトナムでなじみが深い動物に置き換えられたようです。

また、日本ではイノシシ(猪)が十二支に入っていますが、日本以外の国々(ベトナム、チベット、タイ、ベラルーシ、ブルガリアなど)ではブタです。ちなみに、日本語の「猪(イノシシ)」という漢字は中国ではブタを指し、中国ではイノシシのことを「野猪」と書きます。このように、ベトナムと日本の十二支は四つが異なります。

ところで、十二支(じゅうにし)と干支(えと)は厳密には違います。しかし、最近では十二支のことを「干支」と呼ぶケースが多くなっています。ベトナムでは、人と人の相性を話題にするとき、干支で考えるのが定番ですが、日本ではあまり干支の相性については話題にしません。むしろ、血液型を持ち出すことが多いです。

私がベトナムで小さかったころ、近所にやさしいおばあちゃんがいました。彼女はあるとき、私に「あなたは水牛ですね。将来は苦労するでしょうが、幸い生まれた時間はお昼ですね。ちょうど昼休みの時間帯ですから、少し助かるでしょう」と話をしてくれました。当時は小さかったのでその意味がよく分からず、「どうして私は水牛なんですか?」と疑問を持ったのですが、遠慮して聞けませんでした。ベトナムでは生まれた年や時間などによって運命が左右されると信じている人が今でもたくさんいます。

まとめ

この記事ではベトナムと日本の十二支の違いなどを紹介しました。十二支は、神様が開催した動物たちのレースが始まりでした。しかし、ベトナムの十二支と日本の十二支とでは、四つが異なります。また、日本では相性や運勢について話をするときに十二支を持ち出すことはあまりありません。

ところで、ネコ年の今年のテト(ベトナムの正月)は、町中のディスプレイがネコであふれますね。日本にはネコ年がないので、そのような光景は見られません。テトで帰国したら、たくさん写真を撮ってきてくださいね。