技能実習・特定技能

★基本情報=技術・人文知識・国際業務(総まとめ)

日本で働く⑧-4
2019年06月30日

bulb 【技術・人文知識・国際業務のポイント】

  • 対象業務=専門知識・技術を要する業務や国際業務(=単純作業は不可)

  • 要件=大学・短大か日本の専門学校を卒業、または一定の実務経験

  • 給与水準=同じ業務を行う日本人と同等以上

  • 家族の帯同ができる

  • 転職ができる

  • 永住権申請の条件になる「日本で就労5年以上」の就労年数に計上される

1.技術・人文知識・国際業務の特徴

エンジニアの職場の一例

外国人が日本で働く際の最も典型的な在留資格が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で、一般に「就職ビザ」とも呼ばれています。また、「技人国(ぎじんこく)」という略称で呼ばれます。原則としてホワイトカラーの仕事を行うための在留資格で、多いのは「エンジニア」「通訳」「翻訳」などです。

技術・人文知識・国際業務の要件

この在留資格を得るには、大学・短大か日本の専門学校以上を卒業するか一定の実務経験が必要です。

1 学歴要件

・大学または短大を卒業(日本、海外のどちらの大学でもよい)

・日本の専門学校卒業

※ただし、日本の大学や専門学校に通っている間の出席状況やアルバイト時間(法律で決められた時間を超過していないか)などが在留資格の変更審査の際に重視されます。

2 実務経験

・上記の学歴がない場合でも、10年以上の実務経験(大学や専門学校、高校でその実務に関する知識・技術に関係する科目を履修した期間があれば、それも含める)があれば、技術・人文知識・国際業務の在留資格を取得できます。

・「翻訳」「通訳」「語学指導」「広報」「宣伝または海外取引業務」「服飾または室内装飾に係るデザイン」「商品開発等」については3年以上の実務経験でOKです。

雇用形態、家族の帯同、転職など

①雇用形態

・フルタイム。雇用期間は最低1年。正社員、契約社員、時間給社員など雇用形態はさまざま。

②給料水準

・同じ社内の同種業務の日本人と同等以上の給料

③家族の帯同

・家族を日本に連れてくることができる

④転職

・転職ができる

⑤永住権の要件

・「永住者」の在留資格取得に必要な「日本で続けて5年以上就労」という条件の就労期間に算入できる在留資格。技能実習や特定技能1号で働いた期間は永住権申請の際の勤続年数に算入されませんが、技人国や特定技能2号で5年以上続けて勤務した場合は算入されます。「永住者」の在留資格を得るには、「日本に続けて10年以上在留」「素行が善良」なども必要です。

2.技術・人文知識・国際業務の対象業務

対象となる業務

①技術

・外国語を使う業務かどうかは関係なし

・大学や専門学校で学んだ自然科学系の技術や知識を使う業務(理系)

・具体例=IT技術者(プログラマー、システムエンジニア)、WEBデザイナー、設計・研究開発部門、工事現場のスーパーバイザー、工場の生産管理者(自ら作業はしない)

②人文知識

・外国語を使う業務かどうかは関係なし

・大学や専門学校で学んだ法律学、経済学など社会科学系の知識を使う業務(文系)

・具体例=経理、法務、営業、財務、人事、総務、企画、貿易業務

③国際業務

・外国語を日常的に使う業務、外国の文化に基づく思考や感受性を必要とする業務

・具体例=貿易業務、企業の海外拠点・取引先との連絡業務、外国人客の多い免税店・ドラッグストア等の小売店(飲食店・コンビニは除く)、現場で働く技能実習生や外国人留学生の管理・通訳業務、ホテル(フロントか外国旅行会社との連絡業務に限る)、旅行会社、外国人向け不動産会社、通訳・翻訳会社

④クールジャパン関連業務(アニメまたはファッション・デザイン分野)

・日本の大学・専門学校でアニメやファッション・デザイン関連のコースを卒業し、これらの知識を用いておこなう業務(アニメ制作、ゲーム等のキャラクターデザイン、ファッション・デザインなど)

できない業務

①技術・知識・感受性を要する仕事に限定

・「技術・人文知識・国際業務」は原則としてホワイトカラーの仕事を行うための在留資格です。工場などでも働けますが、専門技術・知識を伴う仕事でなければならず、単純作業だけの仕事はできません。「国際業務」についても、外国の文化や感受性を使う仕事を指します。そのような知識や感受性を使わない仕事は、この在留資格ではできません。

②できない業務

・認められない仕事の例=飲食店のホールスタッフ、調理スタッフ、コンビニ販売員、建設現場、警備員、工場労働者、農林水産業の現場作業、ホテルでの清掃・ベッドメーキング、ヘアサロン、マッサージ

3.留学時の専攻と職種の整合性

日本の大学や専門学校を卒業して日本で就職する場合、最も多い在留資格が「技術・人文知識・国際業務」ですが、実は留学先の教育機関の種類や専攻によってこの在留資格に円滑に変更できる場合とそうでない場合があります。これを知らずに留学すると、日本で希望の職業に就けない場合もありますので、ご注意ください。

学校や専攻の選び方で就職先が限定される

留学を終え「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で就職したい場合、大学や専門学校で学んだ「技術」「人文知識」の内容(専攻)と合致した仕事に就くことができます。

①大学卒業の場合

その仕事が自分の専攻と合致しているかどうかについては、大学であれば広く判断され、専門学校であれば狭く判断されます。例えば、大学の文学部、法学部、経済学部などのどこを卒業しても「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で就職できる仕事の種類はあまり変わりません。そして、この場合の「大学」は日本の大学に限られず、ベトナムの大学を卒業している場合も、日本の大学を卒業した場合と同じように取り扱われます。

②専門学校卒業の場合

一方、専門学校卒業の場合は、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を申請する際に、専門学校での専攻と仕事内容との関連性が細かく審査されます。実際、日本で採用内定をもらったのに、専門学校の専攻と職種の関連性が認められず在留資格を取得できない事例がたくさんあります。日本の専門学校に進学する際は、将来の仕事のことを考えて慎重に選択しなければなりません。親切な専門学校であれば、入学前にコース選択の相談に乗ってくれますので、利用しましょう。

※「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で働くベトナム人は日本で就職活動をした人たちばかりではありません。先輩たちはさまざまなルートでこの在留資格を取得しています。次ページで実例を見てみましょう。