困りごと解決
航空券詐欺の手口と特徴とは?

皆さんはFacebookで航空券の広告の投稿を見たことがないでしょうか?私の友人がそういった投稿を信じ、Facebookへの投稿者から航空券を購入しようとしたら78万円(約140,000,000 VND)もだまし取られました。これは「航空券詐欺」とも呼ばれ、日本に住んでいるベトナム人の間で多発しています。友人が実際にあった被害例などを通じて航空券詐欺のパターンや防止策を紹介します。《チャン・ゴック・アイン》
〈このページの内容〉
航空券詐欺とは

Facebookなどで「航空券」というキーワードで検索すると、「航空券を売ります」という趣旨の投稿がたくさんヒットします。ここでは、購入者の希望するフライトがあれば、販売者が価格を提示し、お互いが合意すると取引成立です。
しかし、「代金を振り込んだのに、航空券を受け取れなかった!」「SNSで買った航空券を空港で提示すると、偽物だった!」などの被害が続出しています!!これを「航空券詐欺」と呼んでいます。
「9万円」の航空券に78万円を振込!

友人がベトナム航空に問い合わせたときの画面
私の高校時代からの友人(大学4年生の女性)は短期交換留学のために来日しました。東京の大学で5カ月間学ぶのですが、帰国便のチケットを安く入手するため、来日早々、チケットを探し始めました。そして、Tokyo BaitoというFacebookグループで格安航空券の投稿を見つけ、ベトナム人の投稿者にメッセンジャーで連絡しました。ハノイ行きのチケットを希望したところ、相手はパスポートの画像送信や9万円の振込を要求してきました。
友人は日本の銀行口座を持っていないので、友人から頼まれて私が自分の口座から9万円を振り込みました。しかし、投稿者から翌日、友人にこのような連絡が入りました。「土曜日に振り込んだためか、まだ入金されていない。早くお金を受け取って手配をしないと、航空券の値段が上がってしまう。最初に振り込んだお金はあとで返すので、別の銀行からもう一度振り込んでください。その銀行から振り込めば、すぐにお金が届くはずです」

私は怪しいと思いましたが、友人に泣きつかれ、指定された銀行からもう一度9万円を振り込みました。しかし、その翌日、投稿者はさらに10万円の振込を求めてきました。理由は「取引が確実に行われたことの確認」ということでした。私は不信に思いましたが、友人は「もう一回振り込んでほしい」と懇願します。私は仕方なく3回目の振込を行いました。その後も投稿者から2回の振込指示(4回目は15万、最後の5回目は10万円)があり、応じました。
私が友人に頼まれて振り込んだのは計5回で、金額は計53万円になりましたが、投稿者は最後まで航空券を送信してきませんでした。そこで、友人はとうとう投稿者に返金を求めることにしましたが、投稿者がFacebookアカウントを削除するなどしたようで、チャット画面の相手のメッセージはすべて非表示になり、連絡先が見つからなくなっていました。

相手のメッセージがすべて非表示になり、連絡が取れなくなった
友人は私以外の3人の友だちにも振込を依頼したらしく、結局、被害総額は78万円に上りました。友人はこのお金を私たちに返さなければならないので、留学予算がほとんど消えたそうです。友人は途中からおかしいと思いましたが、投稿者は「もう一度振り込まないと、事前に振り込んだお金は返せない」「この送金はベトナム航空の指示だ」などとうそを言って友人を信じ込ませたそうです。
本物の予約番号を使って詐欺

日本でのベトナム航空の航空券詐欺に関する記事(2016年3月)
日本に住むベトナム人の労働者や留学生が増えるにつれ、ベトナム人による航空券詐欺が増えてきました。ベトナム航空は以前から航空券詐欺への注意を促しています。この記事によると、ベトナム航空は早くも2016年にFacebookを利用した航空券詐欺について警告を発しています。その手口は次のようなものでした。
- 詐欺師(投稿者)はベトナム航空の公式HPで後払いチケットを予約し、予約番号を被害者に伝える。
- 被害者はベトナム航空に問い合わせ、予約番号が有効だと知り、投稿者に代金を振り込む。
- 振り込んだ後は、投稿者と連絡が取れなくなる。
相次ぐ被害の事例

HỘI VÉ MÁY BAY NHẬT VIỆT(日越航空券協会)などベトナム人が集まる航空券販売のFacebookグループにも航空券詐欺に関する投稿がたくさん載っています。チャンさんという女性は、写真のアカウントからこのグループに投稿した人物から航空券詐欺の被害にあったと訴えています。
投稿によると、チャンさんは写真のアカウントからの投稿を見てメッセージをやり取りし、航空券を買うために5万円を振り込みましたが、チケットを発行してもらえませんでした。相手は「チケットを発行できないのはシステムエラーが原因。航空会社に返金をリクエストしたので、多分月末にお金が戻ってくる」と言いましたが、その後連絡が取れなくなりました。チャンさんによると、ダナン出身の友人も同じ被害にあったそうです。

VÉ MÁY BAY NHẬT – VIỆT(日越チケット)というFacebookグループでは、クイさんという女性が、写真のアカウントが詐欺販売に使われていると警告しています。クイさんによると、投稿者(販売者)は女性で、電話をかけると赤ちゃんの声が聞こえたので、かわいそうに思ってチケット購入を決めたそうです。そして、日本からベトナムに帰る航空券を買おうとしてお金を振り込んだのにチケットを受け取れず、詐欺だと気づきました。この投稿には同じような被害にあった人たちのコメントがたくさん書き込まれています。
警察にできることは少ない

さて、だまされたと確信した私の友人は交番に行って警察官に相談しました。警察は被害届けを受理し、「銀行に連絡して投稿者の銀行口座を凍結させる」と言いましたが、取られたお金が戻ってくるかどうかは分かりません。お金を取り戻すには、犯罪被害を立証しなければなりません。
しかし、詐欺の振込先に使われる口座は、ベトナムに帰国する人から買った口座がほとんどなので、口座から容疑者を特定することは難しいそうです。今回、投稿者は5つの口座を指定しましたが、そのうち二つは日本人名義でした。これは取引の信用性を高めるためだと思いますが、口座の売買は法律に違反し犯罪です。お金がほしくて口座を売る日本人もいることがわかり、私は驚きました。
航空券詐欺の手口と特徴とは?

Facebookでやり取りをして個人事業者から航空券を購入することはリスキーです。今は正規の業者から買っても安い航空券がたくさんありますので、下記に紹介するような信頼できるサイトから購入するのが一番安全です。また、Facebookの航空券販売投稿を見る際には次のような点に注意してください。
〈詐欺投稿の特徴や注意点〉
- 「いいね」やコメントを購入した疑い:投稿にいいねやコメントがたくさんあるが、コメント内容がほぼ同じ。
- アップロード写真が少ない
- 不審な Email アドレスを使う:例えばvietnamairlinees@gmail.comなど
- 身分証明書:詐欺師は他人の身分証明書や偽造の身分証明書の画像を送信し、買い手を安心させようとします。私の友人も身分証明書の画像を受け取りましたが、証明書の名前とFacebookアカウントの名前が違いました。理由を聞くと、相手はきちんと答えずに別の話題に移りました。
- 偽のレビュー:私の友人は販売者から顧客のレビューのスクリーンショットを見せられましたが、後から考えるとそれらは偽物でした。
- 支払いを急がせる:「先着順」「支払いの早い人を優先」「詐欺被害にあいたくないので、先払いでお願いします」など、支払いを急がせるケースがよくあります。
- 他人名義の口座:だれかが帰国する際に不要になった銀行口座を買い取り、詐欺の振込口座に指定します。「これは私の家族の口座です」などと説明し、その口座への振込を指示します。
まとめ:被害をなくすには

私と友人はこうした詐欺に関する知識が不足していたので大きな被害を受けました。航空券詐欺を世の中から減らすために、皆様にこの記事を共有していただきたいのと、銀行のキャッシュカードや通帳を絶対に他人に売ったり譲ったりしないようにお願いします。そして、航空券はなるべく信頼できる旅行代理店やその代理店のサイト、航空会社の公式サイトなどで買いましょう。
〈信頼できる航空券販売サイトの例〉
HIS
※日本の格安航空券販売大手。店舗もあります。
これらのサイト(ベトジェットのHPを除く)を利用すると、安いチケットを検索できます。予約・支払い手続きは別のサイトに移動して行う場合もあります。そして、それぞれアプリがあり、携帯電話から予約する場合はアプリの方が便利です。支払い方法はサイトによって違いますが、クレジットカードやデビットカード、銀行振込、コンビニ窓口での支払いなどがあります。
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Bronze Sponsors
- 弁護士法人Global HR Strategy
- エール学園
後援
- 在ベトナム日本国大使館
- 国際交流基金ベトナム日本文化交流センター
- JNTOハノイ事務所
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- 公益社団法人 ベトナム協会
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詐欺サイトの9つの特徴とは
最近は、外国人も日本でクレジットカードを作り安くなったので、Amazonや楽天市場などのショッピングサイト(ECサイト)でオンラインショッピングを楽しむ人も多いと思います。しかし、目当ての商品を検索で安く探し当てたと思ったら、お金を振り込んでも商品が届かないということがよく起きています。これを「詐欺サイト」と言います。詐欺サイトには、本物の販売サイトをコピーしたものも多く、手口が巧妙です。それでは、詐欺サイトを見分けるには何に気をつけたらよいでしょうか? [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 外国人のクレジットカードの作り方 詐欺サイトによる被害とは? 「インターネットのショッピングサイトで商品を購入し、代金を振り込んだのに商品が届かない」「商品が送られてきたが、偽物だった」といった相談が日本の警察にたくさん寄せられています。このようなサイトを「詐欺サイト」や「フィッシングサイト」と言います。 詐欺サイトは、検索エンジンで商品を探したときに上位に表示されるように工夫されていますし、本物のショッピングサイトをコピーしているため、つい正規のサイトだと信じてしまいます。 また、詐欺サイトには、オンラインバンキングや大手企業のサイト、有名なECサイトに似せたものもあります。このような詐欺サイトでユーザーIDやパスワード、クレジットカード番号などを入力すると、詐欺サイトの運営者がそれらの個人情報で本物のサイトにログインし、送金や商品購入を行うケースもあります。 詐欺サイトの種類 詐欺サイトの代表的なものを紹介します。 ネット通販詐欺 「ネット通販詐欺サイト」は本物のブランドのサイトや大手ECサイト(Amazonや楽天市場など)に似せて作られたサイトで、次のような被害があります。 ・送金しても商品が届かない。または、偽の商品が届く。 ・クレジットカード番号などの個人情報が盗まれ、悪用される。 チケット転売詐欺 「転売詐欺サイト」は人気アーティストのコンサートチケットなど入手困難なプレミアムチケットを転売するとうたい、代金を振り込むと、利用できない偽造チケットが送られてきます。SNSなどからサイトに誘導されることが多いです。 オンラインバンキング詐欺 銀行などのオンラインバンキングサイトを装った詐欺サイトがあります。ログインIDやパスワードなどを入力させて盗み取り、悪用します。ワンタイムパスワードも盗み取って口座から不正にお金を送金させるケースもあります。 ワンクリック詐欺 「ワンクリック詐欺」とは、Webサイト上のボタンを1回クリックするだけで、「契約成立」と宣言され、法外な金額を請求されるケースです。アダルトサイトなどで昔からよくある手口ですが、今も被害はあります。ワンクリック詐欺の相談窓口を装った詐欺サイトもありますので注意しましょう。 詐欺サイトの見分け方 飛び抜けて安いサイトでの買い物は慎重に! それでは、詐欺サイトを見分けるには何に気をつけたらよいでしょうか? 詐欺サイトの特徴をまとめました。 1 値段が飛び抜けて安い 詐欺サイトはどこよりも安い値段で商品が買えるように思い込ませることで消費者を誘います。他の多くの販売サイトと比べてあまりにも値段が安い場合は、すぐに飛びつかず、詐欺を疑ってください。 2 入手困難な品物でも、どれも「在庫あり」となっている 3 不自然な所在地の会社はよくチェックしましょう。 運営会社の所在地や連絡先が不自然 販売会社の名前や所在地、電話番号が書かれていないか、内容がおかしい場合、詐欺サイトの可能性が高いです。 ・会社名を検索エンジンで調べ、実在するかどうかチェックしましょう。 ・会社の所在地もGoogleマップなどで調べ、本当の地名かどうか、山の中など不自然な場所にないかチェックしましょう。 ・「会社のメールアドレスがフリーアドレス」「会社の電話番号が携帯電話番号」といった場合も警戒が必要です。 4 誤字・脱字が多い。日本語が不自然。 詐欺サイトは外国人グループが制作することも多いので、日本語が不自然な場合がよくあります。文章がおかしい場合や、中国でしか使わない漢字が混じっている場合、日本語に合わないフォントが使われていて見た目に違和感を感じる場合などは、詐欺サイトの可能性を疑ってください。 5 クレジットカードで決済できない 支払い方法が銀行振込しか選べない場合は要注意です。 ECサイトがクレジットカード決済を導入するには、カード会社の厳しい審査をパスしなければなりません。クレジットカード決済ができるということは、サイトの信頼性の指標の一つになります。 また、クレジットカード決済の場合は、品物が届かない場合、カード会社に連絡して支払いを止めることもできます。詐欺サイトでは、早くお金を回収するためにもカード決済を避けることが多いです。 クレジットカードが使えると表示されていても、実際にはカードで決済できない詐欺サイトもあるので注意してください。例えば、カード決済を選んだのに、注文後に送られてくるメールで銀行振込が指定されることもあります。 6 振込先口座が個人名義 法人ではなく個人が振込先になっている場合は、販売業者が会社ではない可能性が高いです。 7 ドメインに特徴がある ※長野県警のサイトを参照 サイトのURLのトップレベルドメイン(TLD)が見慣れないものである場合は注意が必要です。下記のようなTDLのサイトで詐欺被害が多く報告されています。 .xyz .online .top .com .icu .shop .site .club 8 通信が暗号化されていない 「https://」で始まるURLは、ブラウザーとサーバーの間の通信がSSL暗号化通信という技術で暗号化されていることを示しています。こうしたサイトは比較的安心です(ただし、全部が安全なわけではありません)。 しかし、「http://」で始まるURLのサイトや「http://保護されていない通信」と表示されるサイトには注意が必要です。詐欺サイトの場合も多いので特に気をつけてください。 9 口コミが不自然 良い口コミしかない、あるいは口コミがほとんどない、といった場合は詐欺サイトの可能性を疑いましょう。 良い口コミしかない場合は、偽造の可能性があります。 また、長く続いているショッピングサイトであれば、ショップ名などで検索したときにたくさんの口コミが見つかるのが普通です。しかし、詐欺サイトは短期間で人をだましては閉鎖し、また新しいドメインとサイト名で新しいサイトを開設するので、口コミが多く集まりません。口コミがほとんどないサイトには注意が必要です。 詐欺サイトから身を守るには 大手ECサイト「楽天市場」 詐欺サイトから身を守るには、前の章で紹介した詐欺サイトの特徴に気をつけることが大事です。また、それ以外にもいくつかの対策があります。 大手のECサイトを使う 「楽天」「Amazon」「Yahoo!」などの大手ショッピングサイト(ECサイト)で商品を販売するには、販売業者はそのサイトに登録をしなければなりません。その際に身分証明書などの審査があります。 また、大手販売サイトには詐欺サイトをチェックする調査スタッフがおり、毎日たくさんのサイトをスタッフとAIがチェックし、発見した詐欺サイトへのリンクを自分たちのECサイトに掲載しないようにしています。 不審なメールやメッセージの中のリンクを開かない 危険なメールの例 メール(スパムメール)やSNSのメッセージから詐欺サイトに誘導するケースがよくあります。メッセージ内に詐欺サイトへのURLを貼り、そのリンクをクリックするよう誘います。身に覚えがないメールやメッセージに載っているリンクをクリックしないことが大切です。(クリックすることでコンピュータウイルスに感染する危険もあります)。 詐欺サイトチェッカー 詐欺サイトチェッカーという信頼できるサイトがあります。 ここに販売サイトのURLをはりつけて「チェック」と書かれた黄色いボタンをクリックすると・・・ 安全な可能性が高いサイトの場合、このような表示が出ます。 詐欺被害にあってしまったら・・・ しかし、いくら注意していても、詐欺の被害にあってしまうことはあります。その場合、警察に届けることで、被害を回復できる場合もあります。 ・被害を警察に届けると、代金を振り込んだ口座を警察が凍結し、代金が戻ってくる場合があります。 ・クレジットカード決済の場合、警察に届けた後に、カード会社から代金が返金されたケースもあります。 ・警察に届けることで、そのサイトによる次の被害が防げます。 まとめ この記事では詐欺サイトの特徴と被害防止の対策をまとめました。年末など個人消費の増える季節になると、詐欺サイトの数や被害も急増します。個人情報を盗み取られることによって、その情報を使ってユーザーに電話し、「こちらはAmazonです。あなたのアカウントが不正に操作されました。対策をするので、生年月日と暗証番号を言ってください」などと話してさらに個人情報を盗み取るケースもあります。 詐欺サイト(フィッシングサイト)の9つの特徴に注意して、詐欺被害から身を守ってください。 値段が飛び抜けて安い 入手困難な品物でも、どれも「在庫あり」となっている 運営会社の所在地や連絡先が不自然 誤字・脱字が多い。日本語が不自然。 クレジットカードで決済できない 振込先口座が個人名義 ドメインに特徴がある 通信が暗号化されていない 口コミが不自然
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青果詐欺、多発中!
日本に住むベトナム人が増えるにつれ、ベトナム食材の需要も急増しました。日本では、ベトナム食材店が急増しているほか、それらをFacebookなどで販売する人も増えました。正規業者がオンライン販売している場合はよいのですが、非正規の業者が違法販売しているケースもたくさんあります。このような業者から買う場合のリスクは「代金を振り込んだのに商品が届かない」という詐欺被害です。詐欺の実例やパターン、被害を防ぐ方法について紹介します。 代金を振り込んだが果物が届かない① 北海道に住むベトナム人女性は、ベトナム人が集まるFacebookページの投稿を見て、投稿者にメッセンジャーで連絡し、マンゴーを注文しました。メッセンジャーで下記のようなやり取りを行い、約2500円を振り込みましたが、数日経っても商品は届かず、問い合わせると、相手と連絡が取れなくなりました。どうやら、相手からこちらのFacebookアカウントをブロックされたようです。 注文前の主なやり取り 女性:銀行口座を教えてください。お金を振り込みます。 相手:※郵貯カードの写真を送信 相手:振込が終わったら、振込記録の写真を送ってください。 女性:全部でおいくらですか? 相手:※値段を送信 女性:マンゴー2 kgでお願いします。商品を次の住所に発送してください。 ※住所を送信 振込の翌日 女性:商品を発送してくれましたか? 相手:発送しました。多分、明日着くでしょう。 その2日後 女性:まだ商品が届きません。 表示:「現在、このユーザーはメッセンジャーで連絡できません」 ※この女性は「私の詐欺の被害額は大した額ではありませんが、私のような被害にあわないように気を付けてほしい」と呼びかけています。 代金を振り込んだが果物が届かない② 神奈川県の特定技能外国人のベトナム人女性は2021年12月、ベトナム人向けのFacebookグループで「マンゴーを売ります」という投稿を見ました。日本のスーパーででマンゴーを買うとびっくりするぐらい高いのですが、その投稿では格安で販売しており、女性は投稿者とメッセンジャーで連絡を取り、3箱分を注文しました。 相手の指示に従って口座に7200円を振り込み、こちらの住所を送信してマンゴーが届くのを楽しみに待ちましたが、数日経ってもマンゴーは届かず、メッセンジャーで問い合わせると、「現在、このユーザーはメッセンジャーで連絡できません」という表示が出ました。 Facebookで相手の名前を検索しましたが、ヒットしません。どうやら、相手からこちらのFacebookアカウントをブロックされ、連絡ができなくなったようです。 詐欺のパターン Facebookに投稿された青果販売の呼びかけ Facebookを使った商品販売の詐欺でよくある手口を説明します。 ・他人の写真を勝手に使って虚偽のFacebookアカウントを作成・そのFBアカウントで商品を販売(商品の写真は偽物の場合が多い)・FBの投稿を見た読者からメッセンジャーで問い合わせ・顧客に振込を指示・顧客からの入金を確認(商品は送らない)・顧客をブロックして連絡が取れないようにする・虚偽のFBアカウントを削除 このようにして、買い手が代金を振り込んでも商品を受け取ることができないという被害が発生します。多くの被害者は、被害額が大金ではないことから警察に通報せず、せいぜいFacebookグループに警告を投稿するぐらいにとどまります。 商品を送っても入金されない 販売詐欺をはたらく人は相手に代金を振り込ませ、商品を送らずに連絡が取れないようにします。逆に、商品を送ったのに代金をもらえないという例もあります。 首都圏に住むベトナム人女性は青果販売をFacebookで呼びかけ、注文してきた相手に商品を送ったのに代金を振り込んでもらえませんでした(上の写真の投稿)。その後、相手と連絡が取れなくなりました。送り先の住所という手がかりはありますが、自分の在留資格では本当は販売事業をしてはいけないので、警察に通報できませんでした。 違法業者の特徴 SNSやオークションサイトを利用して物品を販売すること自体は外国人でも自由にできます。ただし、自分が不要になった物を売る程度にとどめなければなりません。他人から仕入れて転売したり営利目的で何度も販売したりする場合は「事業」となります。 こうしたネット販売事業は「経営・管理」の在留資格(ビザ)で認められる活動内容に近いので、例えば「技術・人文知識・国際業務」や「技能実習」のビザの人が副業でネット販売事業をすると、不法就労活動(入管法違反)となる可能性があります。このような活動を助長しないように注意しましょう。 警察に被害届けを出して捜査をしてもらうと、犯人がつかまって被害額の一部が返ってくる場合もあります。ただし、詐欺で使われるFacebookアカウントに登録されている個人情報は虚偽ですし、振込先の銀行口座は違法に取得した口座(キャッシュカード)です。そのため、犯人を見つけることは非常に難しいです。 まとめ:被害をなくすには [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 銀行口座を売る(譲る)のは犯罪です! こうした詐欺の被害にあわないための最善の方法は、法律を守る意識を高めることです。違法サービスを利用したり支援したりしないことが被害を減らします。違法の可能性が高い業者を使ったり、帰国する前にキャッシュカードを人に売ったりすることは、絶対にやめましょう。 最近は日本全国にベトナム食材店があり、配送もしてくれます。できるだけ、こうした正規の業者から購入するようにしましょう。
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困りごと相談簿 file 11:留学生の年金
日本に住む20歳以上の人は、日本人も外国人も国民年金(留学生など)か厚生年金保険(会社員など)に入り、毎月、年金保険料を納めなければなりません。留学生の場合、役所に申請すれば、年金保険料の納付を卒業まで免除されます。しかし、申請をせずに保険料を納付しなければ「滞納」となり、日本で就職した場合、滞納した保険料をまとめて請求されます。その額はどれくらいなのか、支払わなければどうなるか、卒業まで納付を免除してもらうにはどのようにしたらよいか、わかりやすく解説します。 カテゴリー年金 「留学生は年金を払わなくてもよい」は間違い! 日本で留学する場合、20歳になったときから国民年金に加入し、年金保険料を毎月支払わなければなりません。国民年金の保険料は毎月16,590円(2022年度)です。留学生の場合は役所(年金事務所)に申請をすれば、納付が免除されますが、申請せずに納付を怠ると「滞納」となり、卒業後にまとめて請求されます。 ※10,000円=約1,825,000 VND(2022年4月13日現在) 例えば、20歳になってから卒業するまでの留学期間が3年8カ月だった人が卒業後も就職や結婚などで日本に残る場合、卒業後に3年8カ月分の年金保険料をまとめて請求されます。2022年度の年金保険料で計算すると、3年8カ月分は729,960円です。 日本の年金制度 日本の公的な年金制度には「厚生年金保険」と「国民年金」があります。技術・人文知識・国際業務の人や特定技能外国人、技能実習生については、通常、勤務先の会社などが「厚生年金保険」への加入手続きを行い、毎月の給与から年金保険料が自動的に差し引かれます。 留学生の場合は自分で国民年金に加入し、自分で保険料を納付します。国民年金の2022年度の保険料は毎月16,590円です。加入方法と納付免除の方法については、この後で説明します。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 国民年金制度の仕組み(ベトナム語) 年金加入によるメリット 年金保険に加入すると、次のような場合にお金を受け取れます。 ・老齢年金:10年以上保険金を納めた人は、65歳になれば、年金を毎年受け取れます。 ・障害年金:病気やけがで障害を負った場合に支給されます。年齢は関係ありません。 ・遺族年金:本人が亡くなった場合、配偶者か子どもに支給されます。 ただし、日本に永住しない外国人にとっては「老齢年金」はメリットになりません。そこで、母国に帰国した後に、それまでに納付した年金保険料の一部を返してもらえる制度があります。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 年金保険料を返してもらうには 国民年金の加入方法 それでは、留学生が国民年金に加入するにはどうしたらよいでしょうか? 「厚生年金保険」は会社などが加入手続きを行いますが、「国民年金」は自分で加入し、自分で保険料を納めます。国民年金への加入の仕方は次の通りです。 ・20歳以上で日本に入国→市区町村で住民登録をした後、その役所や近くの年金事務所で加入手続きをします。 ・19歳以下で入国→20歳の誕生日から約2週間以内に、自宅に「基礎年金番号通知書」や保険料納付書などが届きます。留学生の場合は、そのときに一緒に送られてくる書類で「学生納付特例制度」の適用を申請すると、卒業まで年金保険料の納付を免除されます。 *20歳になっても書類が届かない場合は、市区町村の役場か近くの年金事務所で手続きが必要です。 *日本で就職するときに必要なので「基礎年金番号通知書」は大事に保管してください。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 国民年金加入の案内(ベトナム語) 学生納付特例制度 留学生の場合、卒業まで保険料を納めなくてもよい「学生納付特例制度」があります。この制度の適用を申請すれば、通常、年金保険料の納付を免除されます。しかし、申請せずに保険料を納めないと、単なる「滞納」となり、卒業後にまとめて請求されます。 学生納付特例制度は、学校を卒業してからも事後的に申請できますが、申請したときから2年1カ月前からしか適用されません。それより以前の滞納分については、納付しなければなりません。仮に4年間滞納して2年分を事後申請で免除されたとしても、残り2年分の納付義務が残ります。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 学生納付特例制度|日本年金機構 滞納した保険料を納めないとどうなる? 国民年金の「学生納付特例制度」を申請せず、卒業後に年金保険料の滞納分をまとめて請求された場合、納付に応じないと、次のような重大な不利益を受ける可能性があります。 ・在留期間を更新できない。 ・財産(貯金や給料など)を差し押さえられる。 ・永住権を取得できない。 ・自分が亡くなったときに遺族に支給される年金や障害を負った際に支給される年金を受け取れない。 この中で「永住権」については、永住権を認めてもらうには、税金や年金保険料などの納付実績が重視されます。永住権を申請する直前に過去の未納分をまとめて払っても、滞納が長く続いたという記録は消えないので、永住権取得が難しくなる可能性があります。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 健康保険と年金 支払いに困った場合は? 年金事務所(赤い看板が目印) 滞納分をまとめて請求されて困った場合は、納付方法などについて、勤務先の会社や近くの年金事務所に相談しましょう。 ・「学生納付特例制度」は後から申請して適用してもらうこともできます。ただし、申請時点から2年1カ月前の分までにしか適用されません。 ・過去の保険料は分轄で納めることもできます。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 全国の年金事務所 まとめと対策 「留学生は年金(保険料)を納めなくてもよい」といううわさは間違いです。留学生が年金保険料を納めなくてもよいのは、学生納付特例制度の適用を申請して認められたときに限ります。これをせずに保険料を納めないと「滞納」となり、卒業後にまとめて請求されます。 その請求に応じないと、在留資格更新の審査に影響したり、財産を差し押さえられたりします。20歳を過ぎたら年金事務所から通知が届きますので、「学生納付特例制度」の適用を必ず申請しましょう。また、通知書類の中に含まれる「基礎年金番号通知書」は大事に保管してください。
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求人詐欺、多発中!
ベトナム人向けのFacebookページで見た「仕事を紹介する」という投稿を信じ、登録費用や担保金などのつもりでお金を振り込むと、相手と連絡が取れなくなった!このような「求人詐欺」の被害が多発しています。「税務申告なし」などのうまい話に用心してください。被害の実例や対策などを紹介します。 ¥200,000をだまし取られた! 在日ベトナム人協会(VAIJ)はベトナム人のさまざまな相談に乗っています。その中で「求人詐欺」に関する相談は昔から後を絶ちません。 埼玉県の技能実習生の女性は2021年8月、FacebookのTokyo baitoで、家でできる仕事に関する求人投稿を見ました。 ・リップスティックにラベルをはる仕事 ・月収150,000円 彼女が技能実習でもらう毎月の手取り給料は約130,000円(約25,700,000 VND)で、技能実習生の平均的な水準ですが、内職でもっとお金を稼ぎたいと思い、投稿者にDM(ダイレクトメッセージ)を送りました。 DMでの主なやり取りは次の通りです。 ・まだ募集していますか? ・はい ・勤務条件を教えてください? ・リップスティック1500本にラベルをはれば給料75,000円 ・3,000本なら180,000円 続けてやり取りをしていると、相手から「口紅の持ち逃げを防ぐために、最初に保証金を預ける必要がある」と説明されました。保証金の額は100,000円。彼女は指定されたゆうちょ銀行口座に150,000円を振り込みました。 その後、リップが送られてくることになっていましたが、なかなか届きません。不安になって「仕事への応募を取り消したい」とメッセージを送ると、「わかりました。担保金は返します。しかし、返金手続料として50,000円を振り込んでください」と指示されました。 彼女は150,000円を返してもらうために、仕方なく追加で50,000円を振り込みました。すると、間もなく相手と連絡が取れなくなり、合計200,000円がそのまま返ってきませんでした。 彼女は悔しくて仕方ありませんが、技能実習生が受入会社以外で働くのは法律違反なので、警察に被害届けを出すこともできませんでした。 求人投稿のここに注意! 上の写真はTokyo baitoへの投稿です。投稿の要点と不審な点について説明します。 投稿の要点 ・キッチン、ホール ・すぐに仕事を始められる ・時給:1,100円 ・「税務申告なし」も選べる 不審な点 「税務申告なし」は違法です。一見、親切なように見えますが、この文言は違法グループを見分ける目印の一つです。この文言が入っている求人情報には要注意です! 求人投稿への「いいね!」は仲間の可能性 求人詐欺はTokyo baitoだけではありません。この写真は2021年11月のTokyo baitoへの投稿です。次のようなことが書かれています。 ・Kanagawa baitoで求人情報の投稿を見た。 ・投稿者に連絡すると別の人物を紹介され、その人物から指示されて22,000円を振り込んだ。 ・振り込むと、投稿者にも別の人物にも連絡が取れなくなった。 この女性は「求人詐欺はグループで行われ、仲間がウソの求人投稿への『いいね!』や書き込みをしている可能性がある」と指摘しています。 他人の写真と偽名を使って投稿!? これもTokyo baitoへの投稿です。「ある人物がうその名前と写真でTokyo baitoやKobe Baitoなどに求人情報を投稿し、紹介料をだまし取っている」と警告しています。 この人物の求人投稿にも「給料手渡し」や「税務申告なし」などの誘い文句が書かれているとのことです。 まとめ:被害をなくすには 仕事探しは正規ルートで 日本では、行政の許可なしで仕事を紹介すること自体が違法です。しかし、SNSの求人情報の多くが無許可の人によって発信されています。不法滞在者や内職をしたい技能実習生、税金を免れたい人など、法律に違反してお金もうけをしたい人が彼らの絶好のターゲットです。 こうしてBộ Đội Japan(ボードイ・ジャパン)やTokyo baitoなどの求人投稿に応募し、紹介料などをだまし取られるケースが昔から山ほどあります。振込先の銀行口座は、母国に帰った元実習生や元留学生から違法に譲り受けた口座なので、仮に警察が捜査しても詐欺の犯人を突き止めることは困難です。 また、現役の技能実習生や特定技能外国人は決められた職場で働くことを条件に日本での滞在が許可されています。仮に本当に副業を紹介してもらえたとしても、税務署や入管にばれたら、在留資格を失うことにもなりかねません。 法律を守り、正しい働き方でお金を稼ぎましょう。
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