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「簡単にお金がもうかる仕事」で逮捕された5つの実例

hanzai-katan- (10)
2023年12月03日

外国人が日本で暮らしていると、SNSや知人を通じてさまざまな「小遣いかせぎ」の誘いがあります。たとえば、「銀行のキャシュカードや通帳を高価で買います。帰国する人は売ってください」「ATMから現金を引き出してくれたら〇万円」「携帯電話を高価で買い取ります」「荷物を運ぶだけで〇万円」といった誘いです。一見、「簡単にお金がもらえる仕事」のように思えますが、実はとても危険です。こうした誘いに応じてしまうと、そのこと自体が犯罪になったり、大きな犯罪に協力したりすることになります。誘いに応じて実際に逮捕された人たちのケースを紹介します。

1.自分の口座を他人に使わせたとして逮捕

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埼玉県警は2023年、「生活費の入出金に使う」と説明して銀行口座を開設したのに、実際は他人に使わせていたとして、新潟市に住むベトナム人留学生(22)を詐欺の疑いで逮捕しました。銀行をだましたので詐欺になります。

警察によると、留学生は、新潟市内の銀行で口座を開設後、インターネットバンキングのパスワードなどを他人に教え、相手がこの口座を自由に使えるようにしました。この口座には、その後約13カ月間に、複数のベトナム人の口座(日本、ベトナム)から400回に渡って計約6億5,000万円が振り込まれました。

この口座に振り込まれたお金は、さまざまな詐欺の被害者からだまし取ったお金などとみられ、他の口座に送金されて現金が引き出されるなどされていました。

external link キャッシュカードや通帳の売買は犯罪です!|KOKORO

2.他人の口座から現金を引き出したとして逮捕

警視庁(東京の警察)は2023年、他人のキャッシュカードを使ってATMで現金を引き出したとして、無職の中国人男性(33)を窃盗の疑いで逮捕した、と発表しました。男性は184枚の他人のキャッシュカードを使い、5000万円以上を引き出していた可能性があるそうです。

男性は東京都内のコンビニ9店のATMで、ベトナム人のキャッシュカードを使って計776,000円を引き出したとして逮捕されました。他人のキャッシュカードでお金を引き出すと窃盗になります。

この口座には、詐欺グループが運営する偽(にせ)の通販サイトで商品を購入しようとした多数の被害者が代金を振り込んでいました。そのサイトでは、衣料品や腕時計などが格安で紹介されていますが、代金を振り込んでも商品を送らない詐欺サイトでした。詐欺グループはこうしたサイトをいくつか運営し、全国の約5,000人から計1億円以上をだまし取ったと見られています。

キャッシュカードや通帳を売った人も犯罪収益移転防止法違反という犯罪になります。

3.他人が契約した携帯電話を買ったとして逮捕

埼玉県警は2023年、他人が契約した携帯電話などを買い取ったとして、同県に住むベトナム人男性(26)を携帯電話不正利用防止法違反の疑いで逮捕しました。60代の外国人女性が契約した携帯電話4台とSIMカード4枚をその女性から買ったという容疑です。

男の共犯者がSNSで携帯電話を売る人を募集し、女性が応募しました。女性はその後、男性から指示されて携帯電話ショップで通信契約をして携帯電話を購入し、男性に売ったそうです。

SIM付きの携帯電話を買うことも売ることも犯罪になります。

4.現金を受け取って運んだために逮捕

2023年、埼玉県のおばあさんの家に、彼女の息子を名乗る男から「今日中に取引先に送金しなければならないが、会社のお金を入れたかばんをなくした。助けてほしい」と電話がありました。そして、家の近くに息子の部下という男がやって来たので、おばあさんは現金130万円を渡しました。

しかし、翌日、「まだお金が足りない。もう一度、部下がお金を取りに行く」と電話がありました。おばあさんは「あやしい」と思い、自分から息子に電話をかけてみました。すると、昨日からの電話は息子ではなかったことが分かりました。

おばあさんは警察に通報し、警察は「部下の男」がお金を受け取りに来るのを隠れて待ちました。そこにベトナム人男性(28)が現れ、逮捕されました。

男性は失踪した元技能実習生です。失踪後は短期のアルバイトしか見つからず、お金に困っていました。そんなとき、「仕事を探している人いますか」というSNS投稿を目にし、投稿者に連絡すると、日本人の指示役を紹介されました。指示役から与えられた仕事は、お年寄りから現金を受け取って公園まで運び、日本人に渡す役割でした。ベトナム人男性はその役割を約2カ月間で4、5回繰り返したところで、逮捕されました。最後の「仕事」では3万円をもらうことになっていたそうです。

男性は詐欺未遂の罪で起訴され、裁判所で懲役3年・執行猶予4年の判決を受けました。

このような詐欺を「特殊詐欺」と呼びますが、特殊詐欺に関係したとして2022年に警察に捕まった外国人は過去最多の145人でした。そのうち約58%が現金などを受け取る役割(受け子)で、約20%がATMで現金を引き出す役割(出し子)でした。

5.「荷物を運ぶだけで2万円」のアルバイトで逮捕

元技能実習生のベトナム人男性(25)が大阪市内で2022年、他人から頼まれて荷物を運んでいると、警察官に囲まれ、麻薬特例法違反で逮捕されました。荷物のもともとの中身は合成麻薬のMDMAでした。

男性は1カ月前に繁華街で知り合ったベトナム人らしい男から「私の部屋にお菓子が届くことになっているが、家賃や光熱費を滞納しているので、家主に会いたくない。代わりに荷物を受け取って持ってきてほしい」と頼まれました。

男性は技能実習から失踪した後は安定した仕事に就けず、お金に困っていたので、謝礼2万円でこの「仕事」を引き受けました。指示されたマンションの部屋に行って配達員から荷物を受け取り、箱を開けると、コーヒー豆やチョコレートの箱などが入っていました。それを見て安心し、荷物をキャリーバッグに詰め替えてマンションを出たところ、逮捕されました。

この荷物はドイツから空輸され、税関の検査でコーヒー豆の袋からMDMA985錠(末端価格約493万円)が見つかっていました。警察は中身を別の物にすり替えて、荷物がどこに運ばれるか捜査をしていたのです。

男性は裁判で懲役1年6月・執行猶予3年の有罪判決を言い渡されました。

6.まとめ

「小遣い稼ぎ」のつもりでキャッシュカードや携帯電話を他人に売ったり、荷物運びを手伝ったりすると、それ自体が犯罪になってしまいます。また、大きな犯罪に協力していることにもなります。

「簡単な仕事でお金がもらえる」と軽く考え、誘いに応じてしまうと、犯罪者として警察に捕まったり、場合によっては、母国に強制送還されたりします。楽な仕事でたくさんの謝礼がもらえる「うまい話」や「あやしい話」にはくれぐれも注意してください!

① 口座売買

・キャッシュカードや通帳を他人に売ると、犯罪(犯罪収益移転防止法違反)です。その口座は詐欺などの被害者にお金を振り込ませる口座に使われます。

・最初から他人に使わせる目的で自分の口座を開設した場合も犯罪(詐欺)です。

② 自分の口座で現金を引き出す

自分の銀行口座に振り込まれたお金を引き出して、別の口座に入金するかだれかに渡すと、犯罪(犯罪収益移転防止法違反)です。そのお金は詐欺や不正送金に関係するお金です。

③ 他人の口座から現金を引き出す

他人のキャッシュカードでATMからお金を引き出すことは犯罪(窃盗)です。

④ 携帯電話売買

携帯電話を他人に売ると犯罪(携帯電話不正利用防止法違反)になります。その電話は詐欺などの犯罪に利用されます。

⑤ 知らない人からお金を受け取る

だれかに頼まれて他人からお金を受け取ることで犯罪(詐欺など)に協力することになります。

⑥ 荷物の受け取り・転送・搬送

荷物を受け取ってどこかに運んだり転送したりすることも犯罪(詐欺、覚せい剤取締法違反など)になるリスクが高いです。