わたしの体験

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2020年07月8日 わたしの体験

今回の先輩

Nguyễn Minh Đức(グエン・ミン・ドゥック)さん
  • 2011年 6月 NAM SACH高校卒業
  • 2011年 9月 英語教師の専門学校入学
  • 2013年 6月 専門学校卒業→両親経営の喫茶店で勤務
  • 2016年 4月 東京の日本語学校入学
  • 2018年 3月 日本語学校卒業
  • 2018年 4月 北京言語大学東京校入学

〈1992年生まれ、ハイズオン省出身〉

はじめに

日本各地のベトナム人が仕事や生活で困ったときに相談を持ちかけるNPO法人「日越ともいき支援会」。その活動拠点の寺で支援会のお手伝いをするボランティアの若者たちの1人、ドゥックさんの留学生活とボランティア活動の内容を紹介する。

漢字が好きで日本を選択

卒業式の日に高校で記念撮影〈2011年〉

私には姉と妹がいます。姉は親せきのいるカナダで留学後、ベトナム系カナダ人と結婚してカナダに定住しました。妹も現在カナダで留学中です。私も本当はカナダに行きたかったのですが、両親から留学先は近くの国にしてほしいと頼まれ、日本を選びました。その方が、私が将来ベトナムに帰る確率が高いと、両親は考えたのでしょう。

東京の寺で習字の腕前をお披露目〈2020年2月〉

台湾、韓国、日本が留学の候補地となりました。私は祖父から漢字と習字を教わったので、漢字の意味が分かります。また、小学生のときから留学前まで毎日、毛筆で習字の練習をしていました。そこで、漢字を使う日本を選びました。

東京の寺で習字の腕前をお披露目〈2020年2月〉

留学先の日本語学校については、ハノイの留学あっせん会社から十数校のリストを渡されたので、それらの学校をインターネットで検索し、比べてみました。新宿、池袋、上野など都心の学校もありましたが、私は郊外の東京都清瀬市にある学校を選びました。田園地域では大都会よりも人が親切なのではないかと期待したのです。実際に、緑が多く住みやすい地域で、都心の大学に進んだ今もここから電車で通学しています。

日本での生活

年に2回、ベトナムに帰国。ハノイ市内の寺でいとこたちと。〈2019年〉

アルバイト先は自宅近くのチェーンの中華食堂「日高屋」で、訪日後、ずっと同じ店で働いています。最初は時給950円でしたが、段々上がって今は1,170円です。夜勤のときは2割アップします。新型コロナウイルスの感染拡大後も時間を短縮して営業を続けてくれたので、給料を確保できました。

外国人留学生のアルバイトは週28時間までという規定があり、私はそれを守っています。1カ月平均100時間働き、85,000円~110,000円をもらっていますが、2020年1月と2月は47,000円未満でした。テト(旧正月)でベトナムに2週間帰国したのと、学年末試験でバイト時間を減らしたためです。

卒業直前、日本語学校の教室で〈2018年3月〉

一方、日本語学校の授業料は年間73万円。大学の授業料は年間100万円で、外国人留学生はここから15万円減額され、設備費などを含めて計88万円を支払います。節約しても、アルバイトだけでは学費と生活費をまかなえませんので、両親から毎年約50万円を援助してもらっています。私は就職後に実家に送金していく予定です。

私の家計簿(1カ月の平均)

※100円=21,647ドン(2020年6月27日)

収入(85,000円~110,000円=平均100,000円)
アルバイト1件 85,000円~110,000円

85,000円~110,000円

※中華料理店

支出(平均150,000円)
家賃

36,000円

※ワンルーム、1人暮らし 

学費(授業料、教材費など)

73,000円

水道・光熱費

8,000~10,000円

※水道・電気・ガスの合計

携帯電話

7,000円

食費

20,000円

※バイト先の飲食店で食べるまかないは1食200円

雑費

6,000円~10,000円

※衣類、交通費(通学定期4,000円)、外食など

差額・貯金(平均 ▲50,000円)
差額

▲50,000円

※仕送りや長期休暇時のアルバイトで補てん
※ベトナムに帰国するときは、安い時期にベトナム航空を利用(往復約50,000円)

自作のキンパと揚げ春巻き

数カ月前にパソコンが壊れましたが、貯金が少ないので、新しく買えません。これを機に自宅のWi-Fiも解約しました。新型コロナの影響で大学の授業がオンラインになり、パソコンとWi-Fiがあれば楽ですが、携帯電話でがんばっています。

また、外食は高いので、食事は基本的に自炊です。豆腐やもやしなど安い食材を中心に買い、レシピを工夫しています。外食時においしい料理で簡単に作れそうなものがあれば、撮影して名前を控え、後でレシピを検索しています。特に好きな料理は「冷やし中華」です。

大学生活

大学の文化祭の中国語劇で主役の王子役を担当〈2018年6月〉

大学では中国語(主専攻)と日本語(副選考)を勉強しています。私の大学では少人数授業で、日本語の授業は5人、中国語の授業も10人未満です。日本語と中国語の通訳ができるようになりたいと思っています。

大学のベトナム人仲間5人で箱根に旅行〈2018年5月〉

昨年は、大学のベトナム人仲間と箱根に旅行しました。節約のため、あまり遠くには旅行しませんが、京都には近いうちに一度行ってみたいと思います。

ボランティア活動

タム・チーさんと私〈2019年〉

2年前から日新窟(東京都港区)というお寺をときどき訪問し、日本で亡くなったベトナム人を弔う法要に参加したり、NPO法人「日越ともいき支援会」のお手伝いをしたりしています。ています。

「日越ともいき支援会」には代表の吉水慈豊さんとティック・タム・チーさん(在日ベトナム仏教信者会会長)という2人の女性僧侶がいます。この2人は在日ベトナム人のよりどころで、仕事や生活で困りごとのできた全国のベトナム人から相談が来ます。

支援物資のラーメンを箱詰め〈2020年5月〉

また、支援会は2020年3月から、寄付で集まった食料を、新型コロナで生活に困っている全国のベトナム人技能実習生や留学生に無料で送っており、私も4月からお手伝いをしています。

寺には、新型コロナの影響で帰国できないベトナム人や仕事がなくなったベトナム人らも住んでいます。私は週末に寺に1泊し、彼らと一緒に支援物資の仕分け・箱詰め・発送などをしています。寺ではみんなで食事を作り、朝と夕方にお経を唱えます。

Link: 「日越ともいき支援会」の活動(ブログ)

寺で読経

寺に滞在するベトナム人仲間で一緒に食事

日本語の勉強

日本語学校時代の成績と出席の状況

私は訪日して3カ月後の2016年7月に日本語能力試験(JLPT)N3に合格しました。訪日前、元留学生から3カ月間とハノイの日本語センターで3カ月間、日本語を教わり、自習もしたからです。2018年7月にはN2に合格し、今はN1を目指して勉強しています。教材は「新完全マスター」シリーズ(文法・語彙・聴解・読解)を中心に使い、授業以外に毎日2時間以上、勉強しています。

アルバイト先の本社行事に店長(左端)や同僚と一緒に参加〈東京のホテルで2018年12月〉

アルバイト先には日本人の先輩・同僚がたくさんいますので、日本語の勉強で分からないことがあれば、彼らに教えてもらっています。料理・皿洗い・接客・レジなどすべてを担当し、閉店時の売上管理を任される日もあります。店員約20人の中でベトナム人は2人、中国人も2人です。日本語を話す機会の多い職場で、日本語力向上に役立っています。

日本とベトナムの違い

日本に来たばかりのころは、ベトナムと日本の文化の違いにとまどいました。

ベトナム 日本
通勤・通学 バイク・自転車・バス利用が中心。都会での通勤時はバイクで渋滞。 電車利用が中心。電車は便利だが、朝夕は満員電車。
車の通行 車は右、人は左 車は左、人は右。帰国時にバイクを運転すると、車線を間違えそうになって危ない。
たばこ 規制が緩く、どこででも吸える 喫煙場所が決められ、違反は許容されない
外 食 安くておいしい 料金が高い
住 宅 実家の部屋の方が広い 家賃は高いが、部屋は狭い

支援会にたくさんの寄付の食料が届いたので記念撮影〈2020年5月〉

しかし、今はすっかり日本になじみました。卒業後は日本で就職し、語学力を生かせる仕事を担当できればと思っています。日本で働く方が、生活が安定するので、両親(父60歳、母54歳)が元気なうちは、できるだけ長く日本に住みたいです。また、新型コロナが収まってからも、何か役に立てることがあれば「日越ともいき支援会」でボランティアを続けたいと希望しています。