わたしの体験

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2020年08月13日 わたしの体験

今回の先輩

Phan Thị Cẩm Thúy (ファン・ティ・カム・トゥイ)さん
  • 2017年 6月 NGUYEN TRAI 高校卒業〈ベンチェ〉
  • 2018年 2月 飲食店勤務〈ベンチェ〉
  • 2018年12月 日本語センター入所〈ホーチミン〉
  • 2019年 8月 訪日→講習〈大阪〉
  • 2019年10月 ベーカリーで技能実習〈鹿児島〉

〈1995年生まれ、ベンチェ省出身〉

はじめに

パンの生地を並べる作業〈2020年7月〉

故郷で料理店を開くお金を貯めるために日本に来たトゥイさん。給料より仕事内容で選んだパン作りの実習。おとなしい性格だが、エプロンを着てパン作りを始めると、生き生きと輝き出す。トゥイさんの仕事の様子と彼女を支える日本の「お父さん」とのふれ合いについて紹介する。

パンの生地を並べる作業〈2020年7月〉

将来の夢のために訪日

実習先の店の売り場〈2020年7月〉

私の両親と兄は畜産とエビの養殖をしています。私は高校を卒業して地元ベンチェの料理店で調理を担当しました。料理が好きだからです。将来は自分の料理店を開きたいので、資金を貯めるために日本で働こうと思いました。料理に関係する技能実習を希望していたところ、パンを焼く仕事を紹介されたので、飛びつきました。

送出機関はホーチミンのMirai Humanでした。ベーカリー経営会社の2人がホーチミンまで来て通訳付きで面接をしてくれました。Mirai Humanに支払った費用は約115,000,000 VNDでした。

実習先の店の売り場〈2020年7月〉

同僚と2人で生活

寮でガンさんと食事〈2019年10月〉

2019年10月、同期のガンさんと一緒に鹿児島県鹿屋市の「ジュリアンベーカリー」で働き始めました。ガンさんとは寮(3ベッドルーム)で同室です。職場には調理室と売り場、パンを食べるためのテラス席があります。町から離れていますが、車で来店する人が多く、とてもはやっています。

平日は午前10時開店で、私たちの勤務(実習)は7:00~13:00です。ときどき残業もあります。土日の勤務は5:00~14:00(8時開店)なので、朝3時に起きて弁当を作り、朝食を食べます。寮から職場へは自転車で約20分。雨の日は、雨がっぱを着て自転車に乗ります。

寮でガンさんと食事〈2019年10月〉

パンを焼く日々

焼き上がった食パンをオーブンと型枠から取り出す〈2020年〉

最初はいろいろなパンの名前を覚えることから始めました。私たちの担当はパンの生地を作ることとそれを焼くことです。毎朝、食パンの生地作りから始めます。小麦粉、バター、イースト、水を大型ミキサーで混ぜますが、そのときに湯で水温を調節します。室温や小麦粉の温度に応じた最適の水温にしないとよい生地はできません。ここが難しいポイントです。そして、生地を少し発酵させた後、その日のうちに焼いて店に出します。

焼き上がった食パンをオーブンと型枠から取り出す〈2020年〉

食パンの生地を発酵させている間に菓子パンなどの生地をつくります。パンの種類ごとに混ぜる材料の種類や分量が違います。そして、材料はレシピと1㌘たりとも違わないように正確に計量します。できあがった生地は小分けして冷凍します。食パンのようにその日に焼くのではなく、いったん冷凍して必要なときに解凍して焼きます。きれいなパンが焼き上がり、店長からほめられたときが一番うれしい瞬間です。

ラスクの焼き具合を見ながら裏返す

ラスクの焼き具合を見ながら裏返す

焼き上がったパンにクリームを注入

職場の日本人との交流

休日に店員さんたちと寮でランチ会〉

店員さんは全員女性でとても親切です。私たちによく話しかけてくれますし、雨が激しい朝は、だれかが車で通勤途中に私たちの寮に寄って乗せていってくれます。店長が閉店後に車でスーパーに買い物に連れて行ってくれることもあります。

休日に店員さんたちと寮でランチ会〉

店でクリスマスケーキ作り〈2019年12月〉

店員さんたちが寮に遊びに来てくれることもときどきあり、私たちはベトナム料理を作ってもてなします。閉店後に店のテラスでバーベキューをしたり、みんなで一緒に外食に行ったりすることもあります。ボーリングにも一緒に行きました。訪日して2カ月後のクリスマスには、店員さんが焼いてくれたケーキに私たちがトッピングをさせてもらい、寮に持ち帰って食べました。

店でクリスマスケーキ作り〈2019年12月〉

日本のお父さん

「お父さん」とガンさん〈2020年7月〉

私たちの技能実習の監理団体(受入組合)は西日本技能センターで、大阪に本社、鹿屋市に支社があります。支社長の山﨑良一さん(73)と女性スタッフが私たちの面倒をみてくれます。私たちは山﨑さんのことを「お父さん」と呼んでいます。

「お父さん」とガンさん〈2020年7月〉

他社の技能実習生たちの寮で食事会〈2020年〉

「お父さん」は毎月数回、私たちに会いに来て様子を聞いてくれます。ときどき一緒に来る女性スタッフは友人から集めた古着を持ってきてくれることもあり、おかげで私たちは服を買わなくてすみます。「お父さん」はいつも私たちを気遣い、日本語を教えてくれたり、車で食事や観光に連れて行ってくれたりもします。店長が忙しいときは、代わりにスーパーにも連れて行ってくれます。また、他社の技能実習生たちとの食事会を開いてくれることもあり、地域のベトナム人のつながりが広がりました。

他社の技能実習生たちの寮で食事会〈2020年〉

「お父さん」と一緒にイチョウの森や桜島を観光〈鹿児島県で2019年11月〉

「お父さん」と一緒にイチョウの森や桜島を観光〈鹿児島県で2019年11月〉

日本での生活

寮では、毎日、ベトナムの母とビデオ電話で話します。そして、毎日約2時間、日本語の勉強をしています。

私の家計簿(1カ月の平均)

※100円=22,148 VND(2020年7月31日現在)

収入(合計100,000円~110,000円)
手取り給料

100,000円~110,000円

※税金、社会保険料、寮費を差し引いた後の手取り額

※差引額のうち寮費22,100円(水道・光熱費、Wi-Fiを含む)

支出(合計 15,000円)
食費

12,000円

※主に自炊

雑費・交通費

3,000円

※衣類も化粧品もほとんど買わない。下着もベトナムから3年分持ってきた。

差額・貯金(85,000円~95,000円)
差額

85,000円~95,000円

※3カ月ごとに約22万円を両親に送金。

「お父さん」の車で買い物の途中に桜の花見〈2020年4月〉

「お父さん」の車で買い物の途中に桜の花見〈2020年4月〉

日本で長く働きたい

「お父さん」と近所のお店で外食〉

「お父さん」はときどき私たちに飲食店でごちそうしてくれます。初めて鹿児島県に着いた日は、ラーメン店に連れて行ってくれました。あのラーメンがとてもおいしかったので、将来、もし家族が日本に来たら食べさせてあげたいです。また、もう少し日本語が上達したら、日本各地も旅行してみたいです。Facebookで見た岐阜県の白川郷などにあこがれています。

30歳までに故郷で料理店を開くのが夢ですが、今はまだ21歳ですし、「お父さん」や店長をはじめ親切な方々に囲まれて暮らしているので、なるべく長く日本で働きたいと思っています。

「お父さん」と近所のお店で外食〉

「お父さん」に買ってもらったケーキで私の誕生日祝い〈2019年10月〉

「お父さん」に買ってもらったケーキで私の誕生日祝い〈2019年10月〉

「お父さん」の誕生日に私の手作りケーキをプレゼント〈2020年5月〉

「お父さん」の誕生日に私の手作りケーキをプレゼント〈2020年5月〉

小坂店長とトゥイさん〈2020年7月〉

【インタビュー】ジュリアンベーカリー店長・小坂由夏さん(48)の話

朝が早いですし職人的な仕事ですが、トゥイさんもガンさんも一生懸命働いています。2人とも最初から日本語をある程度話し、今では、細かい指導もゆっくり話すと理解できます。焼く前に生地をどのくらい発酵させたらよいかの判断が難しいのですが、トゥイさんはわずか1カ月でその感覚を身に付けました。パンの焼き方も上手です。

自分で仕事の手順書(ノート)を作ったり、他人のやり方を見て覚えたり、とても前向きに仕事をしてくれています。そして、忙しいときは、私が指示をしなくても必要な仕事を自分で見つけて手伝ってくれます。若くて意欲的な人たちが店に来てくれてとてもうれしいです。

小坂店長とトゥイさん〈2020年7月〉

小坂店長とトゥイさん〈2020年7月〉

【インタビュー】ジュリアンベーカリー店長・小坂由夏さん(48)の話

朝が早いですし職人的な仕事ですが、トゥイさんもガンさんも一生懸命働いています。2人とも最初から日本語をある程度話し、今では、細かい指導もゆっくり話すと理解できます。焼く前に生地をどのくらい発酵させたらよいかの判断が難しいのですが、トゥイさんはわずか1カ月でその感覚を身に付けました。パンの焼き方も上手です。

自分で仕事の手順書(ノート)を作ったり、他人のやり方を見て覚えたり、とても前向きに仕事をしてくれています。そして、忙しいときは、私が指示をしなくても必要な仕事を自分で見つけて手伝ってくれます。若くて意欲的な人たちが店に来てくれてとてもうれしいです。

小坂店長とトゥイさん〈2020年7月〉