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日本の災害危険情報と避難指示

近年は気候変動の影響により、大雨による洪水や土砂災害が増えています。そのため、日本では気象情報や避難情報が頻繁(ひんぱん)に発表されます。これらの情報の意味を正しく理解し、早めに適切に行動することが自分や家族の命を守ることにつながります。この記事では、災害危険情報や避難指示について紹介します。※トップの写真はNHKニュース(2026年6月3日)より 〈この記事の内容〉 1.現在の災害情報の概要 2.従来の災害情報との違い ...

2026年07月10日
  • 外国人のための防災の基礎知識と情報収集方法

    2026年06月04日
    日本は災害が多い国です。地震、台風、大雨などが毎年のように発生しています。災害が起きたときに、その災害に関する知識が少ない場合や備えをしていない場合、避難が遅れたり当面の生活に困ったりします。外国人にとっては、言葉や文化の違いによって必要な情報を正しく理解できず、避難のタイミングが遅れることもあります。この記事では、外国人が災害時にできるだけ安全に行動できるように、防災の基本をまとめました。 〈この記事の内容〉 1.日本で起こりやすい災害 2.大雨や台風のときはどう行動するか 3.地震のときはどう行動するか 4.津波の被害を避けるには 5.火山が噴火したときはどう行動するか 6.災害時の避難 7.災害への備え(備蓄など) 8.災害時の情報収集 9.まとめ 1.日本で起こりやすい災害 日本で起こりやすい災害には次のようなものがあります。地域ごとにハザードマップがあり、災害被害の予測について事前に知ることができます。 台風・大雨 事前に予報が出ますが、雨が長く続くと、川のはんらんや洪水、土砂崩れが起こります。 地震 日本ではどの地域でも地震が起きます。揺れが大きい場合、建物が倒れる、家具が倒れる、窓ガラスが割れる、停電、断水などが同時に起こることがあります。 津波 地震の後に発生し、大きな波が非常に速いスピードで陸地に押し寄せます。第二波や第三波などもありますので、長時間の警戒が必要です。 噴火 火山の近くでは火山灰や噴石の影響があります。大きな火山が噴火すると、遠方にも被害が及びます。 2.大雨や台風のときはどう行動するか 日本では近年、地球温暖化の影響で、各地でしばしば集中豪雨(ゲリラ豪雨)が降ります。また、台風も大型化し、たくさんの雨を伴います。 大雨によって洪水が発生すると、建物が水につかることがあります。また、大雨によって山や斜面が崩れたり、土砂が流れて建物が壊れたり道路がふさがれたりすることがあります。 このような洪水や土砂災害から命を守るために、次のような行動をとってください。 大雨や台風への備え ・普段からハザードマップ(災害の発生するおそれがある場所が書いてある地図)で洪水や土砂災害の危険がある場所を確認しておきましょう。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] ハザードマップポータルサイト(国土交通省) 大雨や台風のときの行動 ①海や川を見に行かない ・海や川の様子を見に行って、風雨の影響で水中に転落するケースが非常に多く発生しています。絶対に水辺に近づかないでください。 ②早めに避難 ・気象庁の災害情報などをもとに早めに避難しましょう。避難タイミングをのがすと、風雨がひどくなったり道路が通行止めになったりして移動できなくなることがあります。 ・市区町村から「避難指示」が出たときは、近くの避難所に必ず避難してください。 3.地震のときはどう行動するか 日本の周辺には、複数のプレートが存在しており、世界有数の地震多発地帯となっています。地震から命を守るために、次のような行動をしてください。 地震への備え 地震が起きた場合に避難する場所を家族と話し合っておきましょう。 地域の防災訓練に参加し、災害時の避難方法や避難経路を学んでおいてください。 家具が倒れないように固定しておきます。また、倒れても大丈夫なように、家具の配置にも気をつけます。 地震が起きたときの行動 地震が発生したら、次の点に注意してください。 ① 落下物や転倒物から身を守る ・建物の中にいる場合→落下物から身を守るため、机やテーブルの下に入り、揺れが収まるまで待ちましょう。 ・外出している場合→建物の近くにいると、看板や建物の壁、割れたガラスなどが落ちてくる可能性があるので、カバンなどで頭を守りながら安全な場所に避難してください。 ・車に乗っている場合→車を道路の左はしに停めてエンジンを止め、歩いて安全な場所へ避難してください。 ② 火の始末(火災を防ぐ) ・揺れが収まったら、台所やストーブなどの火を消してください。 ・もし出火した場合は、消火器などでできるだけ消火しましょう。 ・地震の後は、ガス漏れが起きている可能性があるので、火はつけないでください。 ③エレベーターを使わない ・故障して中に閉じ込められる危険性があります。 ④安全な場所に避難 ・揺れが強いと、建物の倒壊や火災の危険があり、山や丘では土砂くずれの危険性もあります。揺れが収まったら、近くの避難場所などへ移動してください。 4.津波の被害を避けるには 海底の下で大きな地震が発生すると、海底が盛り上がったり沈んだりします。これに伴って津波が発生します。 津波への備え 普段からハザードマップなどで危険地域や避難場所への経路などを確認しておきましょう。 地域の防災訓練に参加し、災害時の避難方法を学んでおいてください。 津波が起きそうなときの行動 津波が海岸に近づいてくるのを見てから避難を始めても間に合いません。以下のことに気をつけて早急に避難してください。 ①揺れを感じたら避難 ・海や大きな川の近くで強い揺れを感じたときや、弱い揺れでも長い時間ゆっくりした地震を感じたときは、すぐに海や川から離れ、高台や避難ビルなど高い場所に避難してください。 ②警報を聞いたら避難 ・地震を感じなくても、気象庁から津波警報が発表されたときは、すぐに高い場所に避難しましょう。 ③長時間、警戒する ・最初の津波より第二波や第三波の方が大きい場合もあります。地震の揺れが収まってから長時間の警戒が必要です。 5.火山が噴火したときはどう行動するか 日本には多くの火山があります。噴火から命を守るために、以下の行動をしましょう。 噴火への備え 普段からハザードマップで自分の住む地域にどのような災害の危険性があるのか確認しておいてください。 登山をするとき→気象庁のサイトやハザードマップで火山に関する情報を確認▽登山届を提出▽通信機器やヘルメットを準備。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] Compass(登山届けを出すためのサイト) 噴火が起きたときはこうする ①マスクや布で口をおおう ・火山灰を吸い込んではいけません。火山灰には、細かいガラス片や鉱物の破片が含まれており、肺などに悪影響を与えます。 ②避難 ・建物の中に避難し、火山灰や噴石から身を守ります。 ・市区町村から「避難指示」が出たときは、すぐに安全な場所に避難してください。 ③登山中に噴火が発生したとき ・すぐに火口から離れ、山小屋やシェルターなどに避難してください。 ・頭を守るためにヘルメットをかぶってください。 6.災害時の避難 避難所の様子(さまざまなタイプの避難所があります) 避難場所 ・災害が発生しそうな場合や発生した場合、早めに安全な場所に避難してください。 ・住んでいる地域の避難場所を普段から確認しておいてください。 ※各市区町村のホームページなどで確認できます。 ・避難場所へ行くことが難しいときは、近くの安全な場所(しっかりした建物など)に逃げましょう。 避難指示 ・災害による被害が発生する可能性が高まった場合、自治体が「避難指示」を発令します。テレビやラジオ、スマートフォンへの緊急速報メールなどで避難指示を知ることになります。「避難指示」が出る場合は命の危険もありますので、近くの避難所などにすぐに避難してください。 避難方法 ・避難をするときには、必ず火を消してから外出してください。また、持ち物をできるだけ少なくして背中に背負うなどし、両手が自由に使えるようにしてください。 7.災害への備え(備蓄など) 災害に備えた備蓄 災害時に当面の生活を続けるために、水・食料や緊急用トイレなどの備蓄が必要です。 基本的な備蓄 飲料水:最低でも1人1日3ℓ×3日分以上備蓄してください。大きな地震などが起きると、水道管が破損して長期間、断水することも多いので、できれば1~2週間分準備しておく方が望ましいです。 生活用水:断水に備えて生活用水の備蓄も必要です。 食料(保存食):缶詰やレトルト食品。大災害が起きたら、店の商品はあっという間になくなり、長期間買えなくなります。道路が寸断されると、品物が長期間入ってきません。数日分の備蓄を推奨する記事も多いですが、できれば2週間分以上の備えがある方が良いでしょう。 災害用トイレ:通常のトイレで水が流れなくなりますので、使い捨てトイレ(または大きなゴミ袋)を多めに用意しておきましょう。 非常用持ち出し袋(防災リュック):懐中電灯やラジオ、電池など災害時に必要なものを詰め込んだ袋です。モバイルバッテリーや現金(災害時は電子決済ができないことがあります)、常備薬なども入れておきましょう。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 防災リュックを準備しましょう(JP MIRAI) 外国人にとっては身分証関係も重要 ・在留カード、パスポート、在留資格関連書類:本人確認やさまざまな手続きに必要です。 ※コピーだけでも非常持ち出し袋などに入れておきましょう。 避難場所を事前に知っておく ・大きな災害のときには公共施設などが「避難所」として使われます。避難所になる場所はあらかじめ決まっていますので、市区町村のホームページなどで普段から確認しておいてください。 ・災害が起きたら、自治体の情報などを確認して早めに避難してください。 ・避難所では地域住民との共同生活が原則です。日ごろから「おはようございます」「こんにちは」とあいさつをするなどして、地域住民と良い関係をつくっておきましょう。 連絡方法や集合場所 連絡方法や集合場所を事前に決めておく ・災害が起きた場合に家族や友人と連絡を取り合う方法や集合場所を決めておきましょう。通信障害や停電もありますので、スマートフォンがいつでも使えるとは限りません。 紙に書いた連絡先 ・家族・友人・勤務先・学校の連絡先を書いた紙を持っておくと、災害時にスマートフォンの電波が届きにくい場合や電源が切れた場合に役立ちます。 8.災害時の情報収集 災害が起こりそうなときや災害が起こった場合はどのように情報を収集したらよいでしょうか。 災害時の情報収集ツール 災害時の情報収集ツールには、テレビ・ラジオのニュースや行政の公式サイト、スマートフォンで受け取る緊急速報メールやエリアメール(大きな音とともに通知が届く)などがあります。 災害時に役立つサイトやアプリを紹介します。 外国人向けの災害情報サイト [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 国土交通省の防災ポータル(多言語)※さまざまな災害情報にアクセスできるポータルサイト。各自治体の情報(避難情報など)にもここからアクセスできます。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 気象庁の災害情報(多言語)※さまざまな災害情報を多言語で発信 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] ハザードマップポータルサイト 外国人向けの防災アプリ(スマートフォン用) ・Safety Tips:地震・津波・台風などの災害情報や避難情報を多言語で通知します。 ・NHK WORLD-JAPAN:通常ニュースや災害情報を多言語で配信します。 ※アプリは事前にダウンロードしておくことが重要です。 外国人向けの相談窓口 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 外国人在留支援センター(FRESC)※在留資格や生活について相談できる窓口。災害時にも今後の仕事や生活について相談できます。 フェイクニュースに注意 ・災害時にはフェイクニュースが多発します。特にSNSでたくさんのデマが飛び交うこともあります。不確かな情報を信じないでください。 ・公式情報を優先する:自治体や公的機関、報道機関からの情報を確認してください。 9.まとめ 日本は地震や台風、大雨などの自然災害が多い国なので、災害への備えや知識が重要です。 大雨や台風のときは水辺に近づかず、早めに避難します。 地震のときは落下物から身を守ることと火の始末に特に注意してください。 津波のときは一刻も早く高い場所へ逃げることが重要です。 噴火の際には火山灰から身を守るための対策が必要です。 さらに、災害への備えとして、水や食料などの備蓄、在留カードなど重要書類の管理、避難場所の事前確認などが大事です。 災害時には正確な情報を得ることが重要です。SNSの不確かな情報に惑わされず、自治体や公的機関、報道機関の情報を優先してください。多言語対応の情報サイトやアプリも活用しましょう。 日ごろから準備しておくと、実際の災害時に被害を大きく減らし、避難生活にもしっかり対応することができます。できることから防災対策を始めていきましょう。
  • 日本に長く住むあるベトナム人の大みそかとお正月

    2025年09月08日
    私は日本人男性と結婚し、日本に住んで長い年月がたちました。子育てをしていたころは「お正月は日本とベトナムのどちらの国にとっても大事なイベント」と娘に伝えたかったので、毎年年末には日本の伝統的なお正月の準備をして新年を祝ってきました。その習慣は、娘が大きくなった今も続けています。わが家の年末年始の様子を紹介します。〈執筆:日本に長く住むベトナム人女性〉 ※上の写真は日本の「おせち料理」 〈このページの内容〉 ・年末の過ごし方:お正月の準備 ・わが家のお正月 ・お正月のさまざまな過ごし方 年末の過ごし方:お正月の準備 かがみもち 大そうじと正月の飾り わが家では毎年、年末に家族で大そうじをします。みんなで手分けして部屋や押し入れの中を整理し、不要になったものは捨てます。そして、部屋の窓やバルコニーの大きなガラス窓をていねいにふき、日ごろはあまりそうじをしないキッチンの換気扇もきれいにします。家中がきれいになったら、リビングに「かがみもち」を置きます。かがみもちは日本のお正月の風物詩の一つです。 おせち料理作り 年末になると、日本のデパートやスーパーマーケットで、四角い箱(重箱)に詰められた「おせち料理」のサンプルや写真をよく目にしますね。日本では、日持ちする料理を詰め合わせて1月1日~3日(三賀日)に食べる文化があります。これを「おせち料理」と言います。この記事の冒頭の写真がおせち料理です。私は、おせち料理の中で自分で作れるものは自分で作っています。12月30日や31日はその料理作りでも忙しくしています。 ちなみに、日本に住むベトナムの若者たちの中には、日本の正月に、ベトナムの旧正月(テト)のときと同じようにバインチュンや伝統料理を準備して集まり、宴会を楽しむ人も多いようです。 年こしそば 年越しそば 日本では12月31日のことを「大みそか」と呼びます。大みそかの夜、日本ではそばを食べる習慣があります。このそばを「年こしそば」と言います。わが家でも、大みそかの夜は、家族で年こしそばを食べ、NHKの「紅白歌合戦」を観ながら過ごすのが定番。日本では、大みそかの夜をこのようにして過ごす家庭が多いです。 除夜の鐘(じょやのかね) 大みそかの深夜、お寺に行って108回の除夜の鐘を鳴らす行事に参加してから新年を迎え、そのまま初詣をする人もいます。 わが家のお正月 初もうでの風景 元旦の朝 元日の朝は、家族でおせち料理を囲み、おもちを入れた「雑煮」(ぞうに)を食べます。お雑煮は正月用の特別なみそ汁です。その後、子どもたち(自分の子どもや孫、親せき)に「お年玉」を渡します。お年玉は新年の特別なお小づかいです。 初もうで わが家では、元日の午後は、夫の両親の家を訪問して新年のあいさつをします。その後、神社へ行って「初もうで」。お参りの後は、縁起物の「破魔矢(はまや)」を買い、「おみくじ」を引きます。そして、神社の境内にある露店でたこ焼きなどを買って食べるのも楽しみです。 ちなみに、神社の宗教は神道(しんとう)、寺の宗教は仏教(ぶっきょう)ですが、ほとんどの日本人が宗教の違いを気にせず、神社や寺の景観や立地、にぎやかさなどの基準で行き先を決めます。また、同じ人が日ごろから神社にも寺にも行きます。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 初詣で人気の高い全国の社寺 三賀日(さんがにち)の過ごし方 わが家では、1月2日以降は、それぞれの予定にしたがって過ごします。私は関東地方の大学同士が長距離のリレー競走をする「箱根駅伝」が好きで、1月2日も3日もテレビにかじりついています。三賀日(1月1日~3日)はこのように、お祝いの料理を食べたり、親せきを訪問したり、初もうでに行ったり、自由時間をゆったり過ごしたりする期間です。 お正月のさまざまな過ごし方 わが家の年末年始を紹介しましたが、お正月の過ごし方は人や家庭によってさまざまです。 家族の再会 お正月は、家族・親族が再会する時期です。故郷を離れて暮らしている人は年末年始に実家に帰省することも多く、親や親せきといっしょに過ごします。 旅行・レジャー 年末年始には、海外や国内に旅行に行く人もたくさんいます。このため、年末年始の公共交通はとても混雑し、ホテルの宿泊費も高くなります。これは日本のゴールデンウィーク(4月末~5月上旬)や盆休み(8月)と同じです。また、たとえば東京に住んでいる人が遠くに行かない代わりに都内の高級ホテルでぜいたくな年末年始を過ごすというケースもあります。 日本に住んでいる私のベトナムの友人にも、日本の正月休みを利用してベトナムに帰省する人が多いです。ベトナムの旧正月(テト)の時期に日本で長期休暇を取るのは難しいケースが多いためです。 もち 日本のお正月の食べ物で欠かせないのは「もち」です。ベトナム人はもちにハムなどをはさんで食べますが、日本人は焼いたもちを雑煮(ぞうに)の中に入れたり、もちにのりを巻いてしょうゆをつけたり、大根おろしとしょうゆをつけたりして食べます。私はチーズをはさんでしょうゆをつけて食べるのが好きです。 年賀状 日本では、新年のあいさつをはがきに書いて郵便で送る「年賀状」という文化が長く続いています。日本郵便は毎年11月1日に年賀はがきを発売します。絵や図柄が裏に印刷されている年賀はがきもあれば無地の年賀はがきもあります。無地の年賀はがきに家族の写真やあいさつ文をパソコンなどで印刷して送る人も多くいます。 年賀はがきの発行枚数は2003年にピークの約44.6億枚を記録しましたが、近年はメールやSNSで年始のあいさつをすませる人が急増し、年賀状文化は急速に衰退しています。年賀はがきの発行枚数は年々減り、2025年用(2024年12月発売)は約10.7億枚でした。
  • 東京で生活・通学・仕事をする外国人の強い味方「東京都多言語相談ナビ」/無料

    2025年02月26日
    東京都で生活や仕事、勉強をしているベトナム人の皆さん、仕事や生活で困ったことがあったとき、「信頼できる相手に相談したい」と思ったことはありませんか? そのようなとき、あなたはベトナム人が運営するSNSで情報を探すことが多いことでしょう。しかし、SNSの情報の中には重大な間違いが含まれることもよくあります。「確かな相手に相談したい」「法律的な知識についても専門家に相談したい」。そんなときは、「東京都多言語相談ナビ」を使ってみてはいかがでしょうか? この記事では、公的機関が提供する電話相談サービス(無料)や地域の日本語教室(低額)を探すためのサイトについて紹介します。 〈このページの内容〉 1. ベトナム語で生活相談 2. 無料の法律相談 3. 無料の在留相談(ビザ・入管関係) 4. 日本語教室を探すサイト 5. まとめ 1. ベトナム語で生活相談 「東京都つながり創生財団」(つながり財団)はフリーダイヤルで外国人からのさまざまな相談に応じています。不要品を回収してもらう方法(粗大ゴミの出し方)や役所でのさまざまな手続き、年金のこと、保育園や学校のこと、医療のこと、交通事故のことなど、あなたの悩みや質問に、つながり財団のベトナム人スタッフが答えます(ベトナム人以外のスタッフがベトナム語通訳と一緒に答える場合もあります)。 相談は無料です。 このサービスの名前は「東京都多言語相談ナビ」です。ベトナム語も含めてさまざまな言葉で相談することができるので「多言語」という名前がついています。もちろん、日本語が得意な場合は、日本語でも相談できます。 東京都多言語相談ナビ 【相談できる人】 ・東京都内に住んでいる人 ・東京都内で働いている人(住所は東京以外でもOK) ・東京都内の学校に通っている人(住所は東京以外でもOK) 【相談できる日】 ・月~金(10:00~16:00) ※日本の祝日をのぞきます。 【電話番号】 0120-142-142 ※電話料金はかかりません。 ※電話にはベトナム人以外の人が出る場合もありますが、あなたが「ベトナム語でお願いします」と言えば、ベトナム人スタッフに代わるかベトナム語通訳を加えます。 【相談料】 ・無料 ※1回の相談時間は60分までです。 どんな相談が多いの? 「東京都多言語相談ナビ」に外国人から寄せられる相談はさまざまで、相談の種類としては次のようなものが多いです。 ・在留資格(広い意味の「ビザ」) ・住宅 ・医療 ・労働関係 ・結婚・離婚 ・出産・育児 ・保育園や幼稚園 ・学校 ・生活一般 ・交通事故 ◆具体的な相談例 生活一般 ・粗大ゴミ(大型ゴミ)の捨て方がわからない(ベッドを捨てたい、スーツケースを捨てたい、など)。・役所から手紙が届いたが、手続きの仕方がわからない。・保育園の探し方や申し込み方を教えてほしい。 医療 ・虫歯の治療をしたい(どこの歯科に行けばよいか、保険は使えるのか、など)。・予防接種を受けたい。 住宅(賃貸住宅) ・電気やガスを止められた。・アパートの契約期間がもうすぐ満了する。更新するにはどうしたらよいか。・アパートの退去の手続きについて教えてほしい。 その他 ・国民年金の納付書が届いたが、どうしたらよいかわからない。 変わった相談もありますか? 「東京都多言語ナビ」にはさまざまな相談があり、めずらしい相談もあります。相談ナビが分からない質問については、ほかに相談できるところを案内します。 ◆相談例 相談例① ・5、6人の警察官が家に押しかけ、尿検査を強要された。ベランダでお灸(きゅう)を使用していたため、薬物使用を疑った近所の人が通報したようだ。 相談例② ・ベランダに置いていた粗大ごみが台風でふき飛ばされ、階下の部屋の窓ガラスと車を破損させてしまった。自然災害によって予期せず加害者となってしまったが、どこまで責任を負うべきか。→この相談には無料の法律相談を紹介しました。 2. 無料の法律相談 もし、あなたがトラブルに巻き込まれた場合や日本の法律が分からなくて困っている場合は、無料で法律相談を受けられます。日本の弁護士が対応し、通訳もつきます。 【無料法律相談】 ・1回60分まで ・予約が必要です。多言語相談ナビに電話して予約してください。 0120-142-142 【相談できる人】 ・東京都内に住んでいる人 ・東京都内で働いている人(住所は東京以外でもOK) ・東京都内の学校に通っている人(住所は東京以外でもOK) 【相談できる日】 ・月・水・金曜日(①13:30~、②14:45~) ※日本の祝日をのぞきます。 ◆相談例 日本語学校 ・高額な入学料と授業料を前納したが、授業に不満なのでやめることにした。授業料を返してほしい。 離婚 ・日本人の配偶者と離婚したいが、財産分与はどうなるか、どの国の法律が適用されるか。・日本人の配偶者と離婚したが、相手が子どもの養育費を払ってくれない。 賃貸住宅 ・家主から退去するように言われたが、従う必要があるのか。・退去にあたって部屋の修繕費を請求されたが、内容に納得できない。 交通事故 ・仕事でレンタカーを使って事故を起こした。勤務先の会社が保険等で対応してくれない。自分はどこまで責任を負うべきか。 交通事故 ・レンタカーで冷蔵庫を運んでいる途中に駐車車両にぶつかったが、相手と連絡が取れないので、立ち去った。その後、警察から連絡がきた。保険は使えるか。→これについては、警察に通報せずに立ち去ったので、保険は適用されません。交通事故を起こしたら、まず警察(電話で110)に連絡し、警察官に現場に来てもらわなければなりません。 3. 無料の在留相談(ビザ・入管関係) 東京都多言語相談ナビは「無料在留相談」も行っています。在留資格(広い意味のビザ)のことや在留期間のことなど、入管手続きで分からないことがあれば、遠慮なく相談してください。 【無料在留相談】 ・1回60分まで ・予約が必要です。多言語相談ナビに電話して予約してください。そのときに在留カードに書いてある内容を聞きますので、在留カードを手もとに用意して電話してください。 0120-142-142 【相談できる人】 ・東京都内に住んでいる人 ・東京都内で働いている人(住所は東京以外でもかまいません) ・東京都内の学校に通っている人(住所は東京以外でもかまいません) 【相談できる日】 ・毎月4番目の火曜日(14:00~16:00) ※日本の祝日をのぞきます。 【相談の場所】 ・つながり財団の事務所(西新宿) ・Zoom(オンライン) 【相談例】 ・特定技能外国人だが、妻を日本に呼べるか。 ・入管から書類が届いたが、内容を理解できない。 ・留学生だが、特定技能ビザや就労ビザに切り替えるにはどうしたらよいか。 4. 日本語教室を探すサイト つながり財団は、東京都内の日本語教室を探すためのウェブサイト「東京日本語教室サイト」も運営しています。 日本で仕事や留学をしているベトナム人の皆さんには、「安い費用で日本語をもっと教えてもらいたいなあ」と思っている人も多いことでしょう。「東京日本語教室サイト」はそういう人たちにボランティア団体などが低額で授業を提供している「日本語教室」を紹介するサイトです。 ※「日本語教室」は「日本語学校」ではありません。地域の日本人たちが低額で日本語を教えてくれる教室です。 そのサイトで紹介されている日本語教室には、先生と会って対面で教えてもらう教室とオンラインで教えてもらう教室の2種類があります。紹介されている教室はすべて東京都内の教室で、たくさんの教室が紹介されています。 もし、その中に興味のある教室が見つかった場合は、教室紹介ページの中にメール送信フォームがありますので、そこから問い合わせや申し込みをすることができます。 5.まとめ この記事では、「東京都多言語相談ナビ」の活動を中心に紹介しました。多言語相談ナビは、外国人が日本で生活や仕事、留学などをする上でのさまざまな悩みや質問について、その外国人の母国語で相談に乗ってくれます。 その中で法律に関する専門知識が必要な相談があれば、弁護士と通訳が対応する無料法律相談も受けられます。 また、入管手続きやビザに関する問題については、特別な相談日を設けて対応しています。 休みの日や仕事が終わった後の夜などに教室やオンラインで日本語の勉強をしたいと思っている人には、地域の人と知り合いになれて、低額で日本語を学ぶことができる日本語教室を探すための「東京日本語教室サイト」も運営しています。 「東京都つながり創生財団」は公的な団体で、営利団体ではありませんので、これらの無料サービスはいずれも安心して使えます。東京都に住むベトナム人の皆さん、あるいは東京都で仕事や留学をしているベトナム人の皆さん、「東京都多言語相談ナビ」のサービスをぜひ使ってみてくださいね。

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【在ベトナム日本国大使館後援】

  • センパイ座談会_01 日本の交通

    来日して間もないころに受けたカルチャーショックや“びっくりエピソード”を先輩たちが振り返る『センパイ座談会』を始めます。初回は「日本の交通」をテーマに4人の留学生や元留学生がオンラインで語り合いました。 今回のセンパイ Hoan(ホアン)さん:2018年に来日。日本語学校を経て現在は大学2年(経済学専攻)。 Tuan(トゥアン)さん: 2009年に来日。日本語学校、秋田大学を経て現在は在日ベトナム人協会(VAIJ)職員。 Phuong(フォン)さん:2019年に来日。日本語学校を経て現在は専門学校生(貿易)。 司会=Lan Anh(ランアイン、LA)さん:KOKORO編集部メンバー。日本在住30年以上の大先輩。 鉄道網や駅構内の複雑さにびっくり ――(司会)「センパイ座談会」初回の今日は「日本の交通」についてです。ベトナムにも公共交通機関はありますが、日本の方がはるかに発達していますね。初めて来日したとき、どのように感じましたか? Hoan 鉄道の発達ぶりがすごいですね。「どこの駅も混雑しているな」というのが第一印象でしたが、運営がしっかりしているため、利用客がたくさんいても混乱がありません。電車はいつも時間通りに来るし、たまに遅れる場合も駅員が必ずアナウンスします。乗客に親切なところが日本の良いところですね。また、利用者もマナーが高く、列に整然と並び、電車が到着しても中の人が降りるのを待ってから乗車しますね。これにもびっくりしました! ――「列に並ぶこと」はベトナム人の習慣からするとかなり衝撃ですよね。 Phuong 私は来日後間もなく、電車で失敗をしました。東京都内の日本語学校に初めて行った日のことです。授業が終って駅まで歩き、電車に乗りました。本当は千葉方面に向かう電車に乗らなければならなかったのですが、うっかり反対方向に乗ってしまったのです。発車して次の駅が聞き慣れない駅名だったので不安になり、その次の駅で思い切って電車を降りました。すると、近くに駅員さんがいたので、「西船橋駅(千葉県)に行きたいのですが、どうすればよいですか?」と聞くと、正しい電車に乗るためのホームを教えてくれました。 ――反対方向の電車に乗るのは、東京ではよくあることですね(笑)でも、日本の駅員さんはやさしいですよね。 Hoan 僕は通学の際に駅名をよく見て乗車しました。先に留学していた姉から「行きを覚えれば帰りは同じ」「駅の数や駅名を覚える」というアドバイスを受けていました。アパートの最寄り駅から日本語学校までは4駅だったので、乗車後は通過する駅名を一つずつ確認し、駅の数も数えました。帰りはその逆になっていれば間違えずに帰れます。 Tuan 僕は日本語学校に初めて登校したときは、先輩が一緒だったので苦労なく電車に乗れました。その日、校長先生が僕たちに東京の電車路線図を渡してくれたのですが、僕にはそれがクモの巣にしか見えませんでした(笑)。来日前にドンズー日本語学校(ホーチミンの有名日本語学校)で6カ月間勉強したのですが、駅名の漢字はほとんど読めませんでした。 東京の地下鉄路線図。まるでクモの巣!? Phuong 東京の新宿や池袋のような大きな駅にはたくさんの鉄道会社や路線の駅が集まっていて、構内がとても複雑ですね。出口も多く、電車を降りてから目的地に行く際にいつも迷ってしまいます。 路線バスも乗りこなそう! ――電車に乗るときに交通系ICカードを使うのが一般的ですね。電子マネー機能が付いているので、カードにお金をチャージしておけば、電車はもちろん駅やコンビニなどで買い物にも使えます。このカードはバスでも利用できます。 Phuong 私は普段の外出や病院に行くときなどによくバスを利用します。バスの場合は、乗るときにも降りるときにも、乗降口付近のリーダーにICカードをタッチします。これさえ覚えれば、バスも路線がたくさんあって、とっても便利ですね。ベトナムのバスとの違いはというと…バス内のスタッフが運転手さんしかいないところかな。 ――日本の場合は昔からほとんどがワンマンバスですね。 Hoan 僕は以前、マクドナルドでアルバイトをしていました。別の店のサポートに行くことが時々あって、バスに乗る必要がありました。店の日本人スタッフに行き方を教わるのですが、何しろ来日して間もなかったのでバス停にたどり着くまで5分おきに人にたずねる始末でした。ようやくバス停を見つけてバスに乗り込むと、今度は運転手さんに行き先を告げ、「僕が降りる停留所に近づいたら教えてください」とお願いしました。声をかけてもらいやすいように運転席のすぐ後ろに立っていたところ、運転手さんが「次で降りてくださいね」と言ってくれたので、無事に目的の停留所で降りることができました。 Tuan 僕が素晴らしいと思うのは日本のノンステップバスですね。車椅子利用者やお年寄りが楽に乗り降りできるように設計されているバスのことで、乗降口の段差をなくし床も低くしてあるんですね。 自転車の2人乗りで警察官から注意 ――次は、最も身近な交通手段である自転車について。みなさん、日本の自転車の交通ルールは把握できていますか? Hoan 日本では自転車は左側通行が原則!外国人も従わないといけませんね。 Phuong それに、自転車は歩道を走ってはいけないですよね。それから、「2人乗り禁止」ですね。もし後ろに人を乗せているところを警察官に見つかったら、違反で呼び止められてしまいます。 Hoan 実は僕、2人乗りで警察官に注意されたことがあるんです。違反と知りながら、日本語学校の帰りに2人乗りで歩道を走っていました。すると、背後から突然パトカーのサイレンが聞こえ、拡声器で「2人乗りは違反ですよ。自転車は歩道を走ってはいけません」と呼びかけられたのです。当時は来日2年目でその日本語の意味も分かったので、すぐに自転車から降りて歩きました。それ以降は自転車の後ろに人を乗せていません。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] ブログ:「日本-自転車の国」 クラクションを鳴らさない ――電車、バス、自転車以外で日本の交通について印象に残ったことはありますか? Hoan 日本の車はほとんどクラクションを鳴らさないですね! 僕にとってはそれが一番興味深い発見でした。「本当に危険な時にしか鳴らさない」という印象ですね。 Phuong そうそう、日本では車の数がすごく多いのに、クラクションを聞くと「珍しい」と感じます。ベトナムでは「車はいつも大きな音を立てている」という印象(笑)。日本の道路はクラクションの音がしないからとても静かで、ベトナムとの大きな違いですね。 LA 車をよく運転する日本人に聞くと、電車やバスの乗降時のマナーと同じで、日本では車の運転時にも譲り合いの気持ちを大事にする人が多いので、本当に危険なときにしかクラクションを鳴らさない傾向があるそうです。 ――それでは、最後に一言ずつどうぞ。 Hoan 初めて日本に来たとき、留学会社のスタッフの皆さんにたくさんサポートしてもらいました。勉強・生活・仕事などあらゆる面で助けてもらい、とても感謝しています。 Phuong 日本の移動手段はとても便利だと思いますし、困ったことがあれば駅員や警察がすぐに助けてくれます。街の人たちも、外国人だろうと分け隔てなく親切にしてくれます。私にとって日本はとても住みやすい国です。 Tuan 日本の標識や案内板には英語や中国語はあってもベトナム語はまだほとんどありません。しかし、Hoanさんのように分からないことがあれば、何でも周りの人に聞いてみましょう。日本人の多くはフレンドリーで親切ですよ。

    2021年06月22日

  • センパイ座談会_02 日本の治安

    日本では、落とした財布や携帯電話が返ってくるって本当 !? 来日して間もないころに受けたカルチャーショックや“びっくりエピソード”を先輩たちが振り返る『センパイ座談会』。今回は「日本の治安」がテーマです。 今回のセンパイたち 左からゴック・リンさん、ブイ・リンさん、ヴ・ハーさん Ngoc Linh (ゴック・リン)さん=2016年来日。神奈川県在住。私立大学4年。 Bui Linh(ブイ・リン)さん=2019年来日。大阪府在住。大阪大学大学院修士課程2年。 Vu Ha(ヴ・ハー)さん=2017年来日。大阪府在住。大阪大学大学院修士課程2年。 Dung (ズン)さん=2008年来日。留学を経て東京で会社経営。 司会=Lan Anh(ランアイン、LA)さん=KOKORO編集部。日本在住30年以上。 ズンさんとLAさん 落とした携帯や現金が返ってきた! ――(司会LA)今回の「センパイ座談会」は日本の治安についてです。日本の治安の良さに驚く外国人旅行者は多いですが、日本で実際に長く生活している留学生の皆さんはどのように感じていますか? ゴック・リン 私は来日して3、4か月ぐらいたったころ、東京の池袋駅から田端駅に向かう途中、一緒に乗っていた友人と別れるために巣鴨駅でいったんホームに降りました。降りた直後に自分が座っていた座席を振り返ると、そこに私の財布がありました。座っている途中でポケットから落ちたようです。 私は急いで取りに戻ろうとしましたが、ドアが閉じてしまいました。私は車外から財布を指さして「私の財布です!」と日本語で大声で叫びました。すると、車内にいた若いカップルが「(2駅先の)田端駅で渡します!」と応じてくれました。 次の電車で田端駅まで行くと、本当にそのカップルがホームで待っていてくれました。財布には在留カードや学生証、銀行のキャッシュカードと約10,000円(約1,983,000 VND)の現金が入っていました。財布を受け取った私は、まだ日本語があまり話せなかったので、「ありがとうございます」と何度も言いました。 ※100円=約19,880 VND(2021年11月20日現在) ――(LA)財布が戻らなければ、在留カードなどの再発行に大変な手間がかかるところでしたが、本当に助かりましたね! ブイ・リン 私にも似たような体験があります。約2週間の短期交換留学で初めて来日した2016年8月、仲良くなった京都大学の日本人学生たちと一緒に大阪に花火見物に出かけました。阪急電車・京都河原町駅から大阪梅田駅に向かう際、ある神社に立ち寄るために途中の駅で降りました。友だちが降りるのであわてて一緒に降りたところ、座席に携帯電話を置き忘れてしまいました。 その携帯電話はカメラ代わりに父から借りてきた電話でした。電車を降りて数分後、何かを撮影しようとして携帯がないことに気付き、青くなりましたが、一緒にいた友人が大学の先生に電話してくれました。すると、先生が阪急電車に電話してくださり、翌朝、阪急電車から先生に「見つかった」という連絡が入りました。そして、先生は京都から大阪まで携帯電話を受け取りに行ってくれました。 阪急電車・大阪梅田駅の「お忘れ物センター」。ここで電車内での落とし物を受け取る。 ――(LA)非常に感情的なお話です。よかったですね! ブイ・リン はい、とても感動しました。日本人は落とし物を拾ったとき、落とした人の気持ちを考えることのできる人たちなのだと思いました。 実は最近も同じような体験をしました。今度は現金です。KOKOROの観光ブログの取材で編集責任者(日本人)と一緒に大阪から奈良に行ったときのことです。近鉄日本橋駅(大阪市)の構内で撮影のためにカバンからタブレットを取り出した際にカバンの中に入れていた5,000円札を落としました。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 観光ブログ・奈良 5,000円の紛失に気付いたのは近鉄奈良駅を降りてから ブイ・リン その日、私は財布を家に忘れてきて編集責任者から5,000円を借り、そのまま裸でカバンの中に入れていました。落としたことに気付いたのは、そこから電車で移動し、近鉄奈良駅を降りてからのことでした。それまでにカバンを空けたのは近鉄日本橋駅だけだったので、そこで落としたに違いないと思いました。 その後、2人で12時間以上取材し、夜遅くに大阪に戻りました。編集責任者は近鉄日本橋駅の駅員に5,000円札の落とし物が届いていないか聞きました。駅員は落とした場所や時刻を聞き、責任者は詳しく答えました。すると、何と、「その時間帯にその場所で拾ったという5,000円が届けられている」という返事でした! こうしてまた落としものが戻ってきました。財布にも入れていない現金が戻ってきたことで、私は携帯電話が戻ってきたときよりもさらに驚き、感動しました。 戻ってきた5,000円札〈近鉄電車の駅で2021年〉 過信は禁物 ズン 私はベトナム人留学生を日本語学校に紹介する仕事もしています。留学生が来日した後もさまざまなサポートをしますが、ある日、留学生の一人が家族からの送金が学費納入期限に間に合わなかったので、私が現金9万円(約17,890,000 VND)を彼に貸しました。しかし、彼はその直後、私の会社の近く(JR新大久保駅付近)で財布を落としてしまいました。 私は彼に付き添って近くの交番に届け、2日後に警察から「財布が見つかった」と連絡がありました。しかし、財布の中には1,000円しか残っておらず、彼は大変落ち込んでいました。 JR新大久保駅周辺 ――(LA)日本では落とした貴重品が返ってくることがあり、それは驚くべきことですが、もちろんすべての落とし物が返ってくるわけではありません。過信は禁物ですね。 ゴック・リン 私は自転車を盗まれたことがあります。アルバイトに行くために自宅から最寄り駅まで自転車で行き、有料自転車置き場に置いて電車に乗りました。そのときに自転車に鍵(番号式のワイヤー)をかけずに置いていったところ、深夜にアルバイトから戻ると、自転車がなくなっていました。 私はその自転車に防犯登録をしていたので、警察に番号を届けましたが、いつまでたっても見つかったという連絡はなく、新しい自転車を買わざるを得ませんでした。 ――(LA)日本社会はとても安全ですが、100%というわけにはいきませんね。親しい日本人によると、日本でも自転車はよく盗まれ、なかなか返ってこないそうです。 ビニール傘 ブイ・リン 傘のお話をします。日本では雨の日に飲食店や商店などを訪ねる際、入口の傘立てに傘を置いて入店することがあります。傘立てにはロックのあるものとないものがありますが、ロックがない場合でも、店を出るときに自分の傘がなくなっていることはあまりありません。 しかし、数百円で買える安いビニールに傘は別ですね。ある日、私は白いビニール傘を傘立てに入れてレストランに入りました。すると、店を出るときに私の傘はなく、隣にあった同じタイプの古い傘だけが残っていました。店の人に事情を話すと、店が持っている傘の中から新しい傘を提供してくれました。 ――(LA)安いビニール傘については、見分けがつきにくいのと値段が安いからという理由で、自分の傘と他人の傘をあまり区別しない日本人もときどきいるようです。 ズン あの手の傘はすべて同じか似たように見えます。ネームシールでも貼らない限り、見分けがつきにくいですね。 訪問販売に注意 ヴ・ハー 日本でも商品販売についてはうさんくさいものもあります。特に訪問販売です。例えば、インターネットのプロバイダーや電力会社の人が「うちのサービスに切り替えて欲しい」と売り込みに来ることがあります。「うちの電気はあなたが現在契約している電気より安いので、契約を切り替えてほしい」といったたぐいです。 私はその人を信用してよいのかどうか分かりませんし、サービスの内容や条件も十分に分かりませんので、「ちょっと考える時間をください」とお願いしました。しかし、相手は「今決めないと、キャンペーンが終わってしまう。今、サインしてください」と粘ります。その後、何とか帰ってもらいましたが、ちょっと手こずりました。 ――(LA)訪問販売には詐欺や詐欺に近い勧誘もあります。商品やサービスを提供する会社から委託された会社の従業員が、獲得した契約額に応じた歩合制の報酬で勧誘していることも多いので、契約するかどうかは慎重に検討してください。 ズン 電気を提供する会社が増えたのは最近のことなので、彼らは自社サービスのメリットを多くの人に知ってもらって顧客を増やそうと懸命です。もちろん、本当にお得なサービスもありますので、だれかに相談してから決めるとよいでしょう。 ゴック・リン NHKの人もよく訪ねて来ます。受信契約を獲得するためです。でも、家にテレビがない場合は、受信料を払わなくてもよいですね。

    2021年11月23日

  • センパイ座談会_03 日本のおもてなし

    相手を見てから「いらっしゃいませ」、食べるペースに合わせて配膳――日本での勤務経験が豊富なセンパイが日本の接客について話します。日本で受けたカルチャーショックや“びっくりエピソード”を先輩たちが振り返る『センパイ座談会』。今回のテーマは「日本のおもてなし(心のこもった接客)」です。 今回のセンパイたち 左からリンさん、ヴさん、ズンさん、LAさん Ngoc Linh (ゴック・リン)さん=2016年来日。神奈川県在住。私立大学4年。 Vu Ha(ヴ・ハー)さん=2017年来日。大阪府在住。大阪大学大学院修士課程2年。 Dung (ズン)さん=2008年来日。留学を経て東京で会社経営。 司会=Lan Anh(ランアイン、LA)さん=KOKORO編集部。日本在住30年以上。 本物の「おもてなし」 ――(司会:LA)「おもてなし」という言葉は「心のこもった接客」を意味します。皆さんは日本で「おもてなし」を体験しましたか? ゴック・リン 私は留学中にさまざまなアルバイトをしました。コンビニ、カフェ(秋葉原)、ファミレス、スーパー、焼き鳥店(渋谷)、ステーキ店(新宿)などです。それぞれの店にそれぞれの「おもてなし」があり、日本のサービスの真髄をたくさん知ることができました。 中でも渋谷の焼き鳥店では5年ほど働いています。ここにはさまざまな年齢層のお客様が来られ、コロナ以前は外国人客も多くいました。この店で私は多くのことを学びました。 例えば、お客様が来店すると、従業員全員がお客様を見て「いらっしゃいませ」と言います。皿を洗ったり、野菜を手に取ったり、飲み物を作ったり――といった作業をすべて止め、お客様を見てあいさつするように教わりました。他にもたくさんの店があるのに私たちの店を選んでくれたことに対して、お客さまに感謝をこめてあいさつをするのです。 もし、振り返らずに声だけで「いらっしゃいませ」と口にしても、そのようなあいさつには意味がなく、気持ちがこもっていません。また、お客様が帰られる際には、遠くから声をかけるのではなく、出口までお見送りをしています。 この店であるお客様から聞いたことがあります。スタッフが温かく迎えてくれると、次回も来たくなるそうです。食事を出すのが遅くなったりした場合でも、最初に誠意のこもったあいさつで好印象を持って頂ければ、お客様は大らかに受け止めてくださるようです。 また、人気店ではトイレが常にきれいに掃除されている場合が多く、耳掃除用の綿棒やつまようじ、うがい薬などをトイレに置いている場合もあります。中には、女性用トイレに生理用ナプキンを常備している店さえあります。 ――(LA)素晴らしいお店で働いてきたのですね。そのようなあいさつやサービスを受けると、確かに気分が良いですね。「顧客の気持ちを考え、誠意をこめて細やかに接客する」。これこそが「おもてなし」の精神ですね。 ゴック・リン はい、この店では「常にお客様の側に立って考える」ということを教わりました。ほかに、お客様が食べるペースも観察し、そのペースに合わせて料理を出すように心がけています。前の料理がたくさん残っているのに新しい料理を次々に持っていくと、お客様が新しい料理に手を付けるころには冷めてしまいます。 ズン 日本の「おもてなし」がこのレベルに到達するまでには長年の努力の積み重ねがあったと思います。ベトナムが日本に追いつくには少し時間がかかるでしょうが、ぜひ見習っていきたいですね。 ところで、私の会社はスーパーのレジや荷出しを請け負っており、多国籍の外国人50人以上に働いてもらっています。彼らには、お客様を見かけたら「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」としっかり言うように、くり返し指導しています。 スーパーの接客に課題 ゴック・リン 私はある大手スーパーマーケットでもバイトをしています。しかし、店が大きいほど、スタッフのトレーニングが行き届かないように感じます。私と同年代の日本人の同僚たちがいますが、彼女たちは顧客にあまり関心を持たず、ただ作業をこなしているだけです。お客様に親切にしようという「おもてなし」の心は感じられず、ただお金を稼ぐためだけに仕事をしているように見えます。 年配の従業員はもっと顧客の立場に立って仕事をしています。私も顧客によく注意を払い、例えば、年配のお客様がレジに来られたら、会計後に買い物かごを代わりに台まで持って行きます。しかし、若い同僚たちは顧客の状況には無関心で、ただレジだけを打っています。 また、小さな子どもさんが親と一緒に来た場合、キャラクター付きのキャンディーなどをよく買ってもらいます。子どもたちはそれを手に持って早く食べたそうにしているので、私は最初にキャンディーの会計を済ませて子どもさんに渡し、その後で残りの会計をします。この辺りも、若い同僚には気が回りません。 この店では、顧客への気配りについてほとんど教育がなされていません。店がスタッフに求めるのは、間違わずにレジを打ち、お金を失わないようにということが中心で、顧客の気持ちには無関心のように感じます。 ゆっくり選べない ――(LA)ヴ・ハーさんは日本のサービスについて何か思うことがありますか? ヴ・ハー 私はある日、靴屋に行きました。すると、店員がすぐに私に駆け寄り、「お客様の靴のサイズはいくつですか?探してまいります」と話しかけました。私は「入ったばかりなので、まずはゆっくり見たいです」と答えました。スタッフは「分かりました」と答えたものの、その後も私を注視しているように感じ、商品をゆっくり選んだり買ったりする気持ちになれませんでした。 ――(LA)小さな店や高級店に行くと、店員さんがぴったりくっつくケースもありますね。そのようなサービスを喜ぶ客もいるのかも知れませんが、通常はきゅうくつに感じますね。 電車・バスの案内 ――(LA)交通機関のサービスについてはいかがですか? ゴック・リン 2021年10月に東京と周辺で強い地震が発生し、多くの列車に運休や遅れが出ました。私が地震の翌日に電車を利用した際にも、列車の遅れはまだ続いていましたが、駅では最新の運行状況に関する案内が常にアナウンスされ、遅れを謝罪していました。行き届いた案内に感心しました。 ヴ・ハー ベトナムでは乗降のためにバスが完全に止まることはありません。バス停でもぎりぎりまで減速するだけなので、あわてて乗り降りしなければなりません。 ズン 日本の電車やバスには優先席がありますね。車掌も「お年寄りやお体の不自由なお客様、妊娠中や小さなお子様をお連れのお客様がいらっしゃいましたら、お席をお譲りください」と車内にアナウンスしており、必要な人を差し置いて優先席に座る乗客はほとんどいません。ベトナムのバスでも「子どもや老人に席を譲りましょう」とアナウンスしますが、優先席は見かけないですね。 ヴ・ハー 大都市以外の駅や車内では多言語での表示やアナウンスが少ないため、日本語初心者にとっては地方都市での電車・バスの利用は難しいですね。大都市以外でも多言語の案内が増えることを願います。

    2021年11月25日

  • ボランティア日本語教室(2021年版)

    日本語が話せるようになった留学生や技能実習生、エンジニアの多くが「ボランティア日本語教室」を活用しています。日本各地の公的機関などが運営し、無料か格安で受講できます。日本人教師と知り合える▽ベトナム人仲間が増える▽親睦活動もある――など、日本語学習以外のメリットもあります。 ボランティア日本語教室とは 日本には、国際交流協会やベトナム人団体などが主催する無料や低額の日本語教室がたくさんあります。日本語学校のように語彙や文法を重視するのではなく、コミュニケーション力の向上を重視するクラスがほとんどです。日本語学校での勉強を補足するために、学校のテキストを持ち込んで先生に指導をお願いする留学生もいます。 ボランティア日本語教室の探し方 ボランティア日本語教室の探し方を紹介します。 【地方自治体、国際交流協会】 ・都道府県や市などの外国人支援や国際交流を担当しているセクションに聞く。・地域の国際化協会や国際交流協会に聞く(HPにも案内があります)。 全国の国際化協会や国際交流協会のリスト(日本語) 【ウェブサイト】 ボランティア日本語教室の紹介があるウェブサイト U-Biq(全国のボランティア日本語教室情報) 在仙台ベトナム人協会(SenTVA) 茨城県ベトナム人協会 【その他】 ・留学先の日本語学校にボランティア日本語教室のパンフレットが置いてある場合があります。・技能実習の監理団体(組合)の通訳が紹介してくれる場合があります。 先輩たちの体験 先輩(エンジニア、男性)の体験 私は群馬県でエンジニアとして働いていました。妻は後から訪日し、最初は日本語が分からず苦労しました。そんな妻をサポートしてくださったのはボランティア日本語教室の先生方でした。年配の女性の先生2人は日本語を教えるだけではなく、妻を気遣って通院や買い物にも付き添ってくださいました。私たちは本当に助かり、この先生方を恩人だと思っています。 その後、私は神奈川県に転職しました。新しい職場で外国人は私だけでしたが、地元のボランティア日本語教室で私たちと同じような境遇のベトナム人3家族と出会い、仲良く交流しました。 この先輩の体験談 先輩(技能実習生、女性)の体験 自分で日本語を毎日、勉強したほか、週末は無料日本語教室に通い、技能実習2年目に日本人の新入社員の指導役を任されました。その新入社員と交際に発展し、結婚しました。 この先輩の体験談 先輩(技能実習生、男性)の体験 毎週末、国際交流団体が主催する日本語教室やボランティア活動、親睦会などに参加し、友だちもたくさんでき、技能実習生活がとても充実しました。 この先輩の体験談 まとめ ボランティア日本語教室は各地にあります。日本語力アップに役立つのはもちろん、日本人教師やベトナム人仲間との出会いがあり、食事会やレクリエーションなどもあります。週末の予定ができて生活にメリハリもつきます。あなたの日本生活を充実させるため、また、日本語力をつけてキャリアアップにつなげるため、利用してみてはいかがでしょうか? もっと詳しく知りたい方はこちらをお読みください。 ボランティア日本語教室(くわしい説明)

    2021年05月04日

  • 田んぼのタニシは食べてはいけません

    私は業務で多くのベトナム人留学生や技能実習生と連絡を取り合うことがあります。以前、地方に出張した際、ベトナム人技能実習生たちが夕食に招待してくれました。彼らの寮で手作りのベトナム家庭料理をごちそうになり、楽しいひとときを過ごしました。 彼らは揚げ春巻きや焼き魚などのほか、「青バナナとタニシのシソ風味スープ」を出してくれました。スープを出すときは、「今日は、都会で暮らす方が普段は食べないタニシを味わっていただこうと思って、タニシと青バナナでスープを作ったんです。とってもおいしいですよ!」と説明してくれました。このスープはタニシの食感がよく、とてもおいしいので、ベトナムの人気料理です。また、タニシを1匹ずつ殻から出して準備をするため手間がかかります。私は実習生たちの厚意に感謝して、スープをおいしくいただきました。 さて、食事が終わり、私は「ところで、さっきのタニシはどこで買ったのですか?」と聞きました。すると、彼らの一人が「職場の近くの田んぼで捕りました。そこにはタニシがたくさんいるのですが、どうやら日本人は食べないようですね」と答えました。 水田のタニシ 「水田の生物を食べる」ということは、日本に来たばかりのベトナム人によくある話なのですが、実は、田んぼの生物は食べられません。それは、稲作ではさまざまな種類の農薬がまかれており、タニシをはじめ水田に生息する生物には多量の農薬が含まれていると推定されるからです。私は水田のタニシでスープを作ったと聞いてびっくりし、「田んぼのタニシは食べられません。これからは食べてはいけませんよ」と彼らに伝えました。 水田には農薬がいっぱい ところで、日本では鳥や動物を捕獲してはいけません。2019年、東京の河川敷でカルガモ2羽を捕獲して持ち帰ろうとしたベトナム人男性が鳥獣保護法違反容疑で書類送検されました。鳥や動物の捕獲は同法で原則禁止とされています。捕獲が認められるのは「狩猟」と「許可」の場合だけで、「狩猟」なら免許や登録が必要です。「許可」は、有害動物駆除や研究などの目的で行政が許可をした場合を指します。この二つの場合以外は、山野であっても鳥や動物を捕獲してはいけません。 アイガモ タニシの場合は捕獲しても法律違反ではありませんが、食べると健康に害が出る恐れがあります。水田のタニシを食べたからといってすぐに病気になるわけではありませんが、食べ続けると、農薬などの化学物質が内臓に蓄積され、将来、深刻な病気を引き起こしかねません。「水田の生物は食べない」。これを徹底してください。

    2020年08月17日

  • ハノイの都市鉄道と日本の乗車マナー

    ハノイで待ちに待った都市鉄道が開通しました。ベトナム人が鉄道に不慣れなこともあり、開業当初に混乱が起きましたが、今後の改善に向けて、日本の乗車マナーも参考にしていきたいですね。鉄道が非常に発達している日本の乗車マナーを紹介します。〈※トップの写真はクオック・フォン撮影〉 路線図〈出典:Hanoimetro.net〉 ハノイ中心部で2021年11月6日、ベトナム初の都市鉄道「カットリン―ハドン線」が開業しました。道路の渋滞緩和を目的として2011年に着工し、当初目標の2015年開通からは大幅に遅れましたが、総工費約18兆ドン(約900億円)をかけて完成しました。高架式で、初乗り運賃は8,000ドン(約40円)。カットリン(Cat Linh)駅とハドン(Ha Dong)駅を結ぶ総延長13.1 kmで、駅は12カ所です。 開業当初の混乱や課題 〈撮影:クオック・タイ〉 ベトナムの都市間を走る古い鉄道に比べ洗練されたデザインで機能もアップグレードされたカットリン―ハドン都市鉄道は、首都ハノイの風景にモダンな風を吹き込みました。映画やインターネットでしか現代の公共交通機関を見たことのなかったIT世代の若者たちにとって、「首都の真ん中で電車に乗る」という夢がついに実現したのです。 多くの若者、特に都市鉄道沿線の学校に通う学生たちは、日本や韓国の映画に出てくるような「電車通学」を自分が体験することに期待をふくらませ、コーヒーを飲みながら会話がはずんでいます。 初乗りを楽しむ家族〈撮影:カオ・ミン・ゴック〉 ただ、多くの住民にとって電車に乗るのは初体験なので、適切な乗り方を身に付けるまでには少し時間がかかりそうです。ハノイの運輸当局によると、この鉄道は大盛況で、開業から3日間で約8万人が乗車しました。そして、混雑に伴ってさまざまなトラブルが起こりました。 「撮影の邪魔(じゃま)をした」とか「ぶつかった」などという理由であちこちでけんかや乱闘が起きました。また、車内から故郷の両親にビデオ電話をかけ大音量で会話する▽人混みに慣れない子どもが泣き出やまない――など、車内はかなりにぎやかだったようです。 駐車場・駐輪場でも問題発生 カットリン駅1階の駐輪場 カットリン駅に設けられた駐車場・駐輪場に関しても問題が起こりました。正規料金は乗用車25,000 VND、オートバイ5,000 VND(約25円)ですが、料金徴収係が勝手に乗用車50,000 VND、オートバイ10,000 VNDを請求する問題も発生しました。また、他の駅にはまだ駐車場・駐輪場がないので、運輸当局は各地区の人民委員会などに働きかけています。 乗車マナーを日本に学ぼう 東京都内の駅のホーム ベトナム人にとって都市鉄道は新鮮ですが、日本では鉄道が約150年、地下鉄も約100年の歴史があります。主要都市には鉄道網がクモの巣のように張り巡らされています。東京では地下鉄だけで9路線・180駅もあり、多くの人は最寄り駅まで歩いて行きます。したがって、東京の住民の多くは乗用車やオートバイを持たず、電車やバスだけで生活しています。 このため、日本では、電車内では電話通話をしない▽電車内でものを食べない▽電車内にゴミを捨てない▽電車を待つときは整列する――など、乗車マナーが発達しています。それは飛行機やバスでも同じです。ハノイの都市鉄道を使う際にも、こうした日本のマナーは参考になります。それでは、以下に日本の乗車マナーを見ていきましょう。 電車の待ち方と乗り方 列を作って電車を待つ人たち〈JR大阪駅〉 電車の到着を待つ間、日本人はきちんと整列します。2列か4列に並び、列車が到着するとドアの両わきに立って降りる人が通るスペースを作ります。朝夕の通勤・通学ラッシュ時間に主要駅は非常に混雑しますが、乗車・降車をめぐるけんかはありません。 残念ながら、ハノイの都市鉄道の開業直後にはけんかが起きました。皆が乗り慣れていないので仕方がないという側面もありますが、日本の乗車マナーを参考に改善していきたいですね。ちなみに、新宿駅(東京都)には五つの鉄道会社が乗り入れ、1日の利用者数は5社合計で350万人を超えます。それでも混乱が起きないのですから、日本の乗車マナーの発達ぶりが分かります。 バックパックは体の前に 日本の電車内では、多くの人がバックパックを体の前にかけます 日本人は整列して電車の到着を待つことに加え、車内が混雑しているときには、大きなバックパックはたいてい胸にかけます。そうすると、誤って他の乗客にバックパックをぶつけたり、背後を通る人の邪魔になったりすることを防げるからです。 車いすエリアや優先席 日本の電車内には車いすやベビーカーを利用する人のための専用エリアが設けられています。乗り降りも駅員が手伝ってスムーズに行われます。障がい者や妊婦、お年寄りなどを優先する席もあり、通常の席とは異なる色の布が張られています。その席には「優先席」と書かれており、車内がよほどすいていない限り一般の人はあまり座りません。混雑時に優先席と気づかずに座ってしまう若いベトナム人をときどき見かけますが、必要な人に席をゆずるのがルールになっていますので、気をつけましょうね。

    2021年12月02日

主催者

Nhà tài trợ Bạch Kim

後援

  • 在ベトナム日本国大使館
  • 国際交流基金ベトナム日本文化交流センター
  • JNTOハノイ事務所
  • 関西経済連合会
  • 一般社団法人 国際人流振興協会
  • 公益社団法人 ベトナム協会
  • NPO法人 日越ともいき支援会

協力

JASSO(日本学生支援機構)

外国人労働者弁護団

WA.SA.Bi.