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日本の災害危険情報と避難指示

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2026年07月10日

近年は気候変動の影響により、大雨による洪水や土砂災害が増えています。そのため、日本では気象情報や避難情報が頻繁(ひんぱん)に発表されます。これらの情報の意味を正しく理解し、早めに適切に行動することが自分や家族の命を守ることにつながります。この記事では、災害危険情報や避難指示について紹介します。
※トップの写真はNHKニュース(2026年6月3日)より

1.現在の災害情報の概要

警戒レベル 新しい情報の例 住民の行動
レベル1 早期注意情報 最新情報に注意
レベル2 注意報 避難行動の確認
レベル3 〇〇警報 高齢者等は避難開始
レベル4 〇〇危険警報 全員避難
レベル5 〇〇特別警報 命を守る最善行動

新しい災害危険情報

日本の気象庁は2026年5月、防災気象情報の体系を見直しました。大雨・水害の危険度が分かりやすく伝わるよう、情報の名称や構成が整理されました。

従来の気象庁の警報・注意報は「大雨警報」や「土砂災害警戒情報」など名前がバラバラで、どの段階で避難すべきか分かりにくい面がありました。現在は、発表の名称に警戒レベルが示されています。

災害危険情報と避難情報の違い

災害危険情報は主に気象庁が発表し、避難情報は各市町村長(東京については23区の区長も含む)が発令します。

「危険警報」などをもとに市町村が地域の状況を総合的に判断し、「避難指示」を発令します。以前は「避難勧告」という発令もありましたが、現在は「避難指示」だけになりました。

「避難指示」は強制か?

法律的には「避難指示」に従う義務はありません。つまり、避難しなくても罰金や刑罰はありません。日本の市町村による「避難指示」は、行政による強い避難要請という位置付けです。

ただし、行政はさまざまな情報を分析して避難の必要性を判断しているため、「避難指示」が発令されたら、すぐに避難することが非常に大切です。それが自分たちの身の安全を守ることにつながります。

2.従来の災害情報との違い

「危険警報(レベル4)」を新設

2026年までの災害危険情報(気象庁)は、「注意報」「警報」「特別警報」の3段階でした。2026年5月からは、新たにレベル4の「危険警報」が設けられました。

例:
レベル4: 大雨危険警報
レベル4 :土砂災害危険警報
レベル4 :河川氾濫危険警報

これまでの制度では、「土砂災害警戒情報」「氾濫(はんらん)危険情報」「大雨特別警報」など、名称が統一されておらず、「今の情報は避難が必要な段階なのか?」が判断しにくい名称でした。

現在の制度では、すべてが警戒レベル1~5に整理され、「レベル4なら全員避難」といった判断をシンプルに行えるようになっています。

「特別警報(レベル5)」を拡充

「特別警報」これまでは大雨などに対する特別警報が中心でしたが、「河川氾濫(はんらん)特別警報」や「高潮特別警報」などが創設されました。「特別警報」はレベル5に設定されており、これが出た場合は、非常に危険な状況です。

一般住民への避難指示はレベル4の「危険警報」の段階で発令されます。レベル5「特別警報」が出てからでは避難自体が難しい場合が多いです。レベル4「危険警報」にともなって発令される「避難指示」の段階で必ず避難することをお勧めします。

河川氾濫情報の変更

従来の「洪水警報・洪水注意報」の体系が見直されました。特に洪水予報河川では、川ごとの氾濫危険度がより直接的に示されるようになりました。

例:
河川氾濫警報(レベル3)
河川氾濫危険警報(レベル4)
河川氾濫特別警報(レベル5)

3. 「線状降水帯」とは?

NHKニュース(2026年6月3日)より

線状降水帯とは

「線状降水帯(せんじょう・こうすいたい)」とは、発達した積乱雲(雷雲)が次々と発生・発達し、同じ場所を通過したり、そこにとどまったりすることで、その線上のエリアに猛烈な雨が何時間も降り続く現象です。

その結果、「1日で数百mmの大雨」や「1日で平年の1カ月分を超える雨」といったことも珍しくありません。これによって、次のような災害が短時間で発生します。

  • 河川の急激な増水・氾濫
  • 土砂災害
  • 市街地の浸水

台風は進路をある程度予測できますが、線状降水帯は発生場所や規模の予測が難しいという特徴があります。このため、最新の気象情報を確認し続けることが重要です。

近年の主な豪雨災害の多くは、この線状降水帯が原因とされています。

線状降水帯に関する予測・警報

気象庁は近年、線状降水帯に関する情報提供を充実させています。

半日前程度からの呼びかけ

大雨災害の危険性が高まると見込まれる場合、「線状降水帯が発生する可能性があります」という情報が、約12時間前から発表されます。

線状降水帯予測情報

危険性がさらに高まると、「〇〇県では線状降水帯が発生して大雨災害発生の危険度が急激に高まる可能性があります」という情報が発表されます。

対象地域も以前より細分化され、県全域ではなく複数市町村程度まで絞って発表されるよう改善されています。

線状降水帯実況情報

実際に線状降水帯が解析されると、「〇〇地方で線状降水帯が発生しました」という実況情報が発表されます。

この段階では、土砂災害や河川氾濫などが発生する危険性が非常に高くなっています。

大雨特別警報

さらに状況が悪化すると、大雨特別警報が発表されます。これは「数十年に一度」程度の大雨ではなく、「これまで経験したことのないような災害」が迫っていることを意味します。非常に危険です。

この段階になってからでは避難が困難な場合も多いので、その前の通常の「警報」によって「避難指示」が出た段階で避難することが非常に大切です。

しかし、もし避難しそびれて、その地域にとどまっている状態で「特別警報」が発令された場合は、命を守るための最善の行動(近くの丈夫な建物の上階への移動や、がけ・河川から離れた安全な場所への移動など)をしてください。

4.避難指示はどのように広報されるか

避難情報はどうやって住民に伝えられるか

避難指示は複数の手段で住民へ周知されます。例えば次のような手段があります。

・防災行政無線:市町村が設置した屋外スピーカーから「警戒レベル4、避難指示を発令しました。〇〇地区の皆さんは直ちに避難してください」というように放送します。

・緊急速報メール(エリアメール):対象地域にいる携帯電話へ一斉配信されます。特徴は、登録不要、メールアドレス不要、大きな警報音が鳴ることです。例えば、携帯電話に大きな音が鳴ると同時に「〇〇市 警戒レベル4 避難指示 直ちに危険な場所から避難してください」といった情報が表示されます。住民だけでなく、その地域に滞在している人にも届きます。ただし、情報は日本語で届くことが多いので、基本的な災害用語を日ごろから学んでおいてください。

・テレビ・ラジオ

・インターネット

・防災アプリ:下記に具体的に紹介しています。

・SNS:市町村はXやFacebook、LINEなどでも情報発信をします。内容は「避難指示」「避難所開設」「河川情報」「道路冠水」などです。一方でSNSには誤情報(フェイクニュースなど)も流れるため、自治体や公的機関の公式アカウントを確認することが重要です。

・消防団・消防車、広報車

災害時の情報収集ツール

災害時の情報収集ツールには、テレビ・ラジオのニュースや行政の公式サイト、スマートフォンで受け取る緊急速報メールやエリアメール(大きな音とともに通知が届く)などがあります。

外国人向けの災害情報サイト

external link 国土交通省の防災ポータル(多言語)
※さまざまな災害情報にアクセスできるポータルサイト。市町村の避難情報にもここからアクセスできます。

external link 気象庁の災害情報(多言語)

external link ハザードマップポータルサイト

外国人向けの防災アプリ(スマートフォン用)

・Safety Tips:地震・津波・台風などの災害情報や避難情報を多言語で通知します。
・NHK WORLD-JAPAN:通常ニュースや災害情報を多言語で配信します。

日ごろの備えと実際の避難

日ごろの備え

「備蓄」や「非常持出袋」など日ごろの備えについては下記の記事を参考にしてください。

external link 外国人のための防災の基礎知識と情報収集方法|KOKORO

避難所に行くことだけが「避難」ではありません

「避難」とは避難所へ行くことだけではありません。危険な場所から安全な場所へ移動することが避難です。

避難所、親せきや友人の家、高台、ホテル、公民館など、安全な場所へ行くのであれば、どれも「避難」です。日ごろから、災害時にどこに避難するかを考えておいてください。

また、夜間や大雨の中で避難することは困難です。このため、「避難指示」が出る前の段階でも、危険を感じたら自分の判断で早めに避難してください。

5.近年の日本の主な水害

西日本豪雨(2018年7月撮影)

2026年までの10年間に起きた(2015~2024年)主な水害をいくつか紹介します。

① 2019年 東日本台風(台風19号)

  • 水害被害額:約2兆1,500億円
  • 死者・行方不明者:100人超
  • 堤防決壊:約140か所
  • 被災建物:約8万棟
  • 浸水面積:約2万ha超
  • 千曲川、阿武隈川、多摩川などが氾濫。統計開始以来最大の水害被害額を記録。

② 2018年 西日本豪雨(平成30年7月豪雨)

  • 水害被害額:約1兆2,000億円規模
  • 死者・行方不明者:250人超
  • 被災自治体:14府県以上
  • 災害廃棄物:約200万トン
  • 岡山県真備町、広島県、愛媛県を中心に壊滅的被害。平成最悪クラスの豪雨災害。

③ 2024年 能登半島豪雨・台風10号等

  • 水害被害額:約7,700億円
  • 死者・行方不明者:約20人
  • 石川県、山形県で統計開始以来最大被害
  • 能登半島地震からの復旧途上地域を直撃

④ 2023年 梅雨前線豪雨・秋田豪雨

  • 水害被害額:約7,100億円(そのうち秋田県:約1,590億円、福岡県:約670億円、和歌山県:約560億円)
  • 秋田市中心部で大規模浸水

⑤ 2020年 令和2年7月豪雨(熊本豪雨)

  • 水害被害額:約6,500億円(そのうち熊本県:約3,170億円)
  • 死者・行方不明者:80人超
  • 37府県で土砂災害961件
  • 球磨(くま)川流域で大規模氾濫。人吉市、球磨村などに甚大な被害。

⑥ 2016年 台風10号・北海道豪雨

  • 水害被害額:約4,660億円
  • 被災建物:約1万6,000棟
  • 浸水面積:約1万ha
  • 岩手県と北海道で被害の約7割。北海道・東北を襲った歴史的豪雨。

⑦ 2021年 令和3年豪雨

  • 水害被害額:約3,600億円(佐賀県:約650億円、福岡県:約520億円、広島県:約420億円)
  • 死者・行方不明者:約30人
  • 熱海で土石流発生

6.まとめ

NHKニュース(2026年6月3日)より

災害から命を守る3つのポイント

  • 気象情報を毎日確認する。
  • 警戒レベル4で避難を開始する。
  • 避難指示が出たら迷わず安全な場所へ移動する。

日本では災害は特別なできごとではなく、毎年のように発生しています。日ごろから避難場所(公共の避難所や安全な親せき・友人宅など)を探したり、非常時に持ち出せる非常持出袋を用意したりするなど、十分に備えてください。そして、大雨や台風が予想されるときは、気象情報をこまめに確認し、災害のおそれが起きたら、早めに行動してください。

災害時には「まだ大丈夫」と考えず、早めに避難することが命を守る最も重要な行動です。