困ったときは

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2021年03月16日

*By KOKORO(毎日新聞社+VAIJなど主催、在ベトナム日本国大使館など後援)

特定技能で突然解雇

カテゴリー労働・在留資格

・取材:KOKORO(毎日新聞社+VAIJ主催、在ベトナム日本国大使館など後援)

【相談者】
・特定技能外国人
・20代男性
・甲信越地方在住

相談の概要と対応

突然の解雇通告

相談者は大きな飲食店で特定技能外国人として仕事を始めましたが、研修を経て正式に勤務を始めて10日で、会社から辞めるように言われました。理由の説明はありませんでした。

弁護士に相談

知人の紹介で弁護士に相談し、弁護士を通じて「社員としての地位確認」と「未払い賃金の支払い」を会社に請求しました。会社は、相談者の方から退職を申し出たと反論し、交渉では解決しなかったので、相談者は地元の裁判所に「労働審判手続」を申し立てました。

労働審判と裁判で勝利

労働審判で相談者側の主張が全面的に認められ、裁判所は社員としての地位確認と74万円の未払い賃金(勤務を始めてから労働審判の決定が確定するまでの賃金)の支払いを命じました。店側は異議を申し立てて訴訟に移りましたが、裁判官の勧告にしたがって和解しました。「和解」には判決と同じ効力があり、未払い賃金の支払いが確定しました。

相談者の依頼先

この相談者の場合、外国人雇用や労働関係の法律に詳しい弁護士に巡り会えたことが幸いでした。

◎相談先:杉田昌平弁護士(弁護士法人Global HR Strategy)

ポイント:退職の合意があったかどうか

飲食店側は「相談者から退職を申し出た」と主張しました。これに対して、相談者の代理人(弁護士)は労働審判手続で次のように反論し、この反論が労働審判委員会に認められました。

【主張】

・特定技能は勤務先との雇用契約(労働契約)が前提となる在留資格。転職するには、新しい勤務先との雇用契約を結んで在留資格の変更手続をする必要があり、簡単に転職できるわけではない。

・特定技能外国人を雇用する会社はその外国人の生活支援を行うほか、労働関係の法律を遵守する必要があり、簡単に見つかるわけではない。

・このような状況から、転職先も見つかっていないのに、勤務を始めて間もなく自分から退職を申し出るはずがない。

ポイント:解雇を行う事由があったかどうか

特定技能1号では日本で最長5年間働けます。相談者は勤務先とまず1年間の雇用契約を結び、期間1年の在留資格を取得して仕事を始めました。1年後に勤務先と雇用契約を更新し、更新契約をもとに入管に在留資格の期間更新を申請する予定でした。

今回の雇用契約の期間は1年間でしたが、労働契約法17条第1項は、このように期間の定めのある雇用契約について、「やむを得ない事由(理由)」がなければ、期間途中で解雇はできないと規定しています。

相談者の代理人は労働審判手続で「解雇の理由を説明されておらず、やむを得ない事由は存在しない」と主張し、認められました。

ポイント:その後の生活

裁判所で和解が成立し、相談者は職場に戻る権利を得ました。しかし、戻っても1年の契約期間終了後に契約を更新してもらえない可能性が高いので、和解成立後、未払い賃金を受け取って退職しました。特定技能では本来はアルバイトをできませんが、新型コロナの特例で、失職した特定技能外国人もアルバイトをできるので、相談者はアルバイトで生活しながら特定技能での新しい勤務先を探すことにしました。

ポイント:労働審判とは

イラスト:最高裁HPより

最後に、この相談者が使った「労働審判」という手続きについて説明します。

・労働審判手続は、解雇や給料の不払いなど労働関係のトラブルを迅速に解決するための手続きです。訴訟とは異なり非公開で行われます。

・労働審判手続は、労働審判官(裁判官)1名と労働審判員2名(民間の専門家)で構成する労働審判委員会が行います。

・原則として3回以内で審理を終えることになっています。約7割の事件が申し立てから3カ月以内に終了しています。

・労働審判委員会はまず話し合いによる解決(調停)を試み、話し合いがまとまらない場合には、両者の主張を踏まえて労働審判という判断を下します。労働審判に不服があれば、異議申し立てを行うことができます。その場合、労働審判は効力を失い、訴訟手続に移行します。

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