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「お役所仕事」は日本も同じ?

お役所仕事-7
2021年12月07日

私は最近、新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り、担当者によって説明が変わってもだれも責任を取らない「お役所仕事」に振り回されました。日本ではショッピングや公共交通などさまざまな民間サービスが充実しているのに、一部の行政機関では融通の利かない点があり、残念に思います。今回の体験を紹介します。〈Vân Hoàng〉

融通の利かない行政

私は2021年9月まで東京外大の大学院に通い、10月から東京の会社で働いています。就職に伴って9月末に東京都府中市の大学の寮から東京都北区に転居しました。8月に新型コロナのワクチン接種券が送られてきたので府中市内で1回目の接種を受け、転居後に2回目を受けようとしたところ、行政の対応に振り回されました。以下に説明します。

接種券を受け取った私は次のような計画を立てました。

❶ 9月14日:ワクチン接種1回目
❷ 9月24日:大学院修士課程の修了式
❸ 9月26日:転出手続き(府中市役所)
❹ 9月30日:引越
❺ 10月1日:転入手続き(北区役所)
❻ 10月5日:ワクチン接種2回目

その結果は…

❶:9月14日に府中市内で1回目の接種を問題なく受けました。会場では身分証として保険証を見せました。接種後、「2回目もここで受けてください」と言われ、案内の紙を渡されました。

❸:9月26日に府中市役所で転出届けを出した後、保険担当の窓口で「(住所変更に伴い)あなたの保険証は9月30日に失効しますので、この封筒に入れて当市役所に郵送してください」と指示されました。

私は「10月5日に府中市内で2回目のワクチン接種を受ける予定です。保険証なしでも大丈夫ですか?」と聞きました。相手は「あなたはマイナンバーカードを持っていますね。マイナンバーカードは保険証より強い証明書なので、それを接種会場で見せれば大丈夫です」と教えてくれました。

❹❺:私はそれを聞き、安心して引越と北区役所での転入手続きを行いました。

❻:ところが、10月5日、前回と同じ接種会場に行き、問診票に新しい住所を記入したところ、受付担当者から「あなたは今は府中市民ではないので、もうここでは接種を受けられません」と言われました。私は市役所で確認したので大丈夫だと思って正直に新住所を書いたのですが…。

抗議届かず…

私は抗議しました。

「1回目と2回目はセットのはずでは?」
「府中市に転出届を出した際、2回目もここで受けられると説明を受けた」
「ワクチン接種は予約制なので、今日は私のためのワクチンが用意されています。私に打たない場合、そのワクチンはどうするのですか?」

しかし、担当者はだれかに問い合わせるでも相談するでもなく、「規則では、今回はここでは接種できません」と繰り返すのみでした。

担当者が上司に相談するなど何か努力してくれさえすれば、結果は駄目でも納得できたのですが、彼女は私の抗議を聞いても意に介せず、機械的な答えを繰り返すのみ。私は「これではベトナムのお役所と同じじゃないの!」と心の中で思った次第です。

私はあきらめ、その担当者から北区のワクチン接種センターに電話して状況を伝えてもらいました。先方からは「北区から新しい接種券を発行するので、北区で接種してください」との回答でした。

クリニックの柔軟対応に救われる

私は後日、事の次第を会社の同僚に話しました。すると、同僚はオンラインで接種を予約できるウェブサイトをいくつか教えてくれました。そのうちの一つにワクチン接種ができる北区のクリニックのリストが載っており、リストの中で自宅に近いクリニックに電話してみました。電話に出た人は「原則は1回目と2回目がセットで、2回目だけでは予約できませんが、予約のキャンセルが出たら連絡します」と言ってくれました。

それから10日あまり経った10月15日の朝、クリニックから電話があり、「キャンセルが出ました。今日か明日に来られますか?」とのこと。こうして、私は無事に2回目の接種を受けることができました!

毎回変わる行政の説明

しかし、これですべてが終わったわけではありませんでした。記録書に接種済みシールを貼ってもらう手続きが残っています。2回目の接種の際にクリニックからワクチン接種センターに電話で問い合わせてもらったところ、「これから接種券を発行するので、それをクリニックに持参して接種済みシールを貼ってもらってください」と言われました。

しかし、なかなか接種券が届かず、私は10月28日、自分でセンターに電話しました。すると、「あなたの場合は、申請をしなければ、新しい接種券が発行されません」とのこと。聞かれるままに個人情報を細かく伝え、その電話で申請手続きをお願いしました。

その後も接種券が届かないので、11月11日にセンターにもう一度電話しました。すると、「接種券の発行には申請から約3週間かかるので、もう1週間待ってください」との説明でした。

ところが、翌日、センターから電話があり、「あなたは既に2回のワクチンを接種済みと確認できたので、新たに接種券は発行できません」と言われました。人によって言うことが次から次に変わる対応に疲れ、私は「承知しました」と答えるのみでした。

まとめ

接種済みのシールは今も1枚だけ…

今回の行政対応の一貫性のなさをまとめます。

〈府中市〉

・9月26日(保険証担当者)
「マイナンバーカードがあれば、2回目も問題なく接種できる」

・10月5日(接種会場の担当者)
「あなたはもう府中市民ではないので、ここでは接種できない」

〈北区のワクチン接種センター〉

・10月5日(Aさん)
「来週には新しい接種券が発行される」

・10月15日(Bさん)
「今週中に接種券が届くので、それをクリニックに持って行ってください」

・10月28日(Cさん)
「転入者の場合は、申請しないと接種券が発行されない」

・11月11日(Dさん)
「新しい接種券の発行には、申請から約3週間かかる」

・11月12日(Eさん)
「あなたは2回接種済みなので、新しい接種券は発行できない」

こうして振り返ると、担当者によって説明が異なり、だれも自分の発言に責任を持たず最後までフォローしてくれなかったことがよく分かります。このような対応はベトナムの役所での体験とまったく同じで、民間サービスの発達した日本で行政サービスにこのような非効率や無責任があることに驚きました。

ただし、ベトナムの行政機関なら、まだ非公式な救済方法があります。コネをたどって有力者から口利きをしてもらえば、電話1本ですんなり解決できます。日本の行政にはそれが通用せず、クリーンと言えばクリーンですが、手間暇かけてお願いし続けても何も解決しませんでした。

結局、私は記録書に2回目のシールをまだ貼ってもらえていません。今後、一時帰国する際にワクチンパスポートを取得しようとすると、2回の接種記録が必要です。それがない場合、代わりの証明書を発行してもらうことができるそうですが、実際にやってみないとスムーズに発行してもらえるかどうか分からないので不安です。