留学・就活

留学生5人のアルバイト体験_飲食店編

021
2022年05月24日

せっかく日本に留学したので、日本語の会話力をアップしたいですよね。それでは、どこでどのようなアルバイトをするのがよいでしょうか? 先輩留学生たちの経験を参考にして、自分に合うアルバイト先を探しましょう!今回は飲食店でのアルバイト体験を5人分紹介します。

アルバイトの一番の目的はもちろん「お金」ですが、働きながら経験を積むことができるのもアルバイトの良いところです。今回は、飲食店でのアルバイト経験があるベトナム人5人にインタビューしました。飲食店でのアルバイトにはどのような利点があり、どのような大変さがあるのでしょうか?

アルバイトの探し方

留学生が日本でアルバイトを探すには次のような方法があります。

・学校からの紹介
・先輩や友人からの紹介
・求人情報サイト
・求人情報誌
・店のはり紙
・ハローワーク
・留学生のSNSグループ

くわしい説明はこの記事をお読みください。


今回インタビューした5人のうち4人は先輩や友達の紹介でアルバイトを見つけていました。そして、残り1人は「バイトル」という求人情報サイトで牛丼店のアルバイトを見つけました。

WA. SA. Bi. でも留学生向けのアルバイトを紹介しています。母国語でも相談できますので、こちらにメールを送ってください。

go-en@morikosan.co.jp

飲食店での仕事の内容

日本には飲食店が多いので、飲食店のアルバイトは一番見つけやすいと言われています。飲食店にはキッチンの仕事とホールの仕事があります。日本語をあまり話せない人はキッチンの仕事しかできませんが、少し話せる場合はホールの仕事を探しましょう。日本語を話す機会が増えるからです。

ホールの仕事はおおむね次のような内容です。

① 注文を聞く
② 注文をキッチンに伝える
③ ドリンクを作って提供する
④ (居酒屋の場合)付き出し(お通し)を提供する
⑤ 料理を運ぶ
⑥ 空いた皿を下げる
⑦ レジをする
⑧ 掃除をする

牛丼店でのアルバイト

それでは、留学生のアルバイト体験を紹介していきます。まず、半年前から京都府の牛丼店で働いている大学生、バオさんに聞きました。

このアルバイトの良いところ

やさしいお客さん:深夜勤務のとき、「仕事をがんばってね」と声をかけてくれるお客さんがいます。

このアルバイトの難しいところ

さまざまなお客さん:牛丼店は様々な人が気軽に入れるお店です。話せない人や目の見えない人が来ることもあります。そういう方々にも心地よく利用していただけるように臨機応変に対応する必要があります。

1人勤務:お客さんの少ない時間帯には、1人だけで勤務をすることがあります。これはとても大変で、仕事をやめようと思ったこともありますが、まだ勉強したいことがたくさんあるので、がんばって続けています。

日本語を話す場面

ホールの担当ですが、当店では仕事中にお客さんと“おしゃべり”することはできず、ほとんどマニュアル通りに話すだけです。しかし、店長や先輩と仕事のやり取りで話す機会はたくさんあります。

敬語:この店で働いて「敬語」をたくさん覚えることができました。お客さんには当然、敬語を使わなければなりません。スタッフは、店が用意した動画を見て敬語の勉強をします。また、日本人の先輩や同期が接客するときの言葉を聞いて、まねをしています。例えば、次のような言葉です。

・少々お待ちください。
・(ご注文を)おうかがい致します。
・(注文と違う順番で商品を提供する場合)順番前後させていただきます。
・申し訳ございません。
・(代金を預かる際に)ちょうどお預かりします。

さらに、同僚のLINEグループへの書き込みを読んで、話し言葉や関西弁も勉強できました。

しゃぶしゃぶ店でのアルバイト

次に大学生のタインさんの経験です。彼女は大阪府のしゃぶしゃぶ店で1年半近く働いています。

このアルバイトの良いところ

時給アップ:この店では勤務歴や仕事ぶりに応じて時給を上げてもらえます。私の時給は最初は1000円でしたが、しばらくして1040円になり、今は1070円です。

交通費:1日500円の交通費がもらえます。私は自転車で通っていますが、その場合でも500円もらえます。

店長の指導:遅刻やミスをすると、店長や先輩に注意されますが、怒鳴られることはありません。「次回からこんなことをしないように」とやさしく注意してくれます。

やさしいお客さん:私たち店員にお菓子などをくださる常連さんが何人かいます。常連さんは帰る前にも「仕事がんばってね」と声をかけてくださいます。

このアルバイトの難しいところ

たくさんの仕事:たくさんの仕事を同時にしなければならず、最初は仕事が手に付きませんでしたが、マニュアルを頭に入れ、先輩のやり方をまねているうちに慣れました。

日本語を話す場面

お客さんと会話:客席はすべてカウンターで、お客さんと向き合って仕事をしています。お客さんから話しかけられた場合は応じてもよいので、日本語を話す機会がたくさんあり、日本語が上達しました。例えば、私が外国人だと気づいたお客さんからベトナムのことや留学のことを聞かれることがあります。

スタッフと交流:ここは良い職場で、店長や先輩、同僚とよく交流しています。定休日にみんなで飲み会をしたり、仕事が終わってから店の奥で2、3人で1時間ぐらいおしゃべりをしたり、とても楽しく、なんでも相談できます。

キャベツ焼き店でのアルバイト

今は日本の会社で正社員として働いているチャムさんは留学生時代、大阪府のキャベツ焼き店でアルバイトをしていました。

このアルバイトの良かったところ

「社会」を学んだ:最初の店長とはうまが合いませんでしたが、相手に合わせないと仕事を続けることはできません。しかし、がんばって働いていると、よい出会いもあります。次の店長は親切な人で、おかげで私はこの店で4年間働くことができました。

このアルバイトの難しかったところ

商品の焼き方:キャベツや小麦粉をまるい形に焼くのが難しく、不器用な私はうまく焼けるようになるまでに時間がかかりました。

トラブル対応など:混んでいるときの動き方やお客さんに怒られたときの対応ができるようになるまでに3カ月ぐらいかかりました。

日本語を話す場面

店長や同僚と交流:仕事中は忙しく、同僚やお客さんと話す機会はあまりありませんでした。しかし、店員同士の仲が良く、中国人の店長や年配の日本人、同僚(中国人、ベトナム人)が休日によく集まって女子会をしました。そのときの共通言語は日本語でした。

中華料理店でのアルバイト

仕事後のまかない

大学生のリンさんは交換留学で日本の大学で1年間学んだ際、大阪府の個人経営の中華料理店でアルバイトをしました。

このアルバイトの良かったところ

中華料理を覚えた:この店ではキッチンとホールを1日ごとに交代で担当するので、接客もでき、中華料理を作るチャンスもありました。中華料理の名前や作り方を知ることができました。

日本文化を体感:昼間に日本人と一緒に働いたとき、日本人のお客さんがランチをあまり時間をかけずに食べることを知りました。それは、他のお客さんが待っているのを知っているからです。日本人は周囲への配慮が深いと実感しました。

親切な店長:店長が定休日にベトナム人の同僚と私を姫路城や神戸、淡路島など遠くの観光地に車で連れて行ってくれました。

店長が連れて行ってくれた淡路島

このアルバイトの難しかったところ

敬語:接客は丁寧(ていねい)語でもよいと言われましたが、日本語の力を伸ばしたいので、自分で意識して敬語を使うようにしました。例えば、空いているお皿を取りたいときには、「取ってもいいですか?」ではなく「お下げしてもよろしいですか?」と言いました。また、満席のときには、「本当に申し訳ございませんが、今は席が空いていないので、少々お待ちくださいませんか?」と説明しました。

日本語を話す場面

お客さんと会話:お客さんから話しかけられて自分の勉強のことやベトナムのことについて日本語で話し、仲良くなったことがあります。お客さんと話すことの多い店でした。お客さんがいないときは、店長や奥さんと話をすることもありました。

お好み焼き店でのアルバイト

今は東京で正社員として働いているチさんは留学生のとき、奈良県のお好み焼き店でホールの担当をしました。

このアルバイトの良かったところ

おもてなし:8時間も働く日があって疲れましたが、先輩にならって笑顔で接客しました。そのような日本の「おもてなし」を身に付けることができました。

ベトナム人の先輩:いつも忙しく、他店と比べて時給も安かったのですが、お店の方々に仲良くしていただきました。店長やベトナム人の先輩、日本人の同僚とプライベートで飲み会をしたり、旅行に行ったりもしました。

お客さんと一緒に行った奈良公園

お客さんとも交流:常連のお客さんたちと仲良くなりました。休日にお客さんと一緒に景色のきれいな場所に写真を撮りに行ったこともあります。

このアルバイトの難しかったところ

注文を聞く:最初は、料理名を短縮して言われると、何のことか分かりませんでした。慣れるのに1カ月ぐらいかかりました。

日本語を話す場面

お客さんとも話をする機会がたくさんありました。

まとめ

今回は、留学生のアルバイト体験として「飲食店」を取り上げました。牛丼店、しゃぶしゃぶ店、キャベツ焼き店、中華料理店、お好み焼き店の5つの事例を紹介しました。

同じホール担当でも、お客さんと話す機会が多いかどうかは店によって違うことがわかりましたね。また、店長や同僚と仲良くなれるかどうかも大事なポイントかも知れません。

先輩たちの体験を参考にしながら、よいアルバイト先を探し、日本語を話す機会を増やしたり、一緒に遊ぶ仲間を増やしたり、相談する相手を作ったりしてくださいね。