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総まとめ:年金に関する重要ポイント

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2022年07月07日

日本に住む外国人が年金制度について正しい知識を持たないためにさまざまな不利益を受けることがあります。「留学生は年金に入らなくてもよい」と聞いて、信じていたら、就職したときに数年分の年金保険料をまとめて請求された▽留学生向けの年金保険料免除手続きを知らなかった▽仕事中に大けがをして障害を負ったが、会社が従業員を年金に加入させていなかったので、「障害年金」を受給できない――などといったケースがたくさんあります。年金に関する正しい情報をまとめました。

年金の種類とメリット

日本の公的な年金制度として「厚生年金保険」と「国民年金」があります。日本に住む外国人にも加入する義務があり、大きく分けてサラリーマンが厚生年金保険、それ以外が国民年金に加入します。

年金保険料を支払うことで下記のような年金を受給できます。

①老齢年金
10年以上保険金を納めた人は、65歳になれば、年金を毎年受け取れます。これは海外で受け取ることもできます。受給額は納めた保険料の額によって変わります。

②障害年金
病気やけがで障害を負った場合に支給

③遺族年金
本人が亡くなった場合、配偶者か子どもに支給

数年だけ働く外国人の場合、特に注意が必要なのは②の障害年金です。仕事中に大きなけがをした場合、労災保険が支給されることがありますが、障害が残った場合、障害の程度によっては、さらに障害年金も支給されます。しかし、年金に加入していなかった人には支給されません。

年金制度全体についてくわしく知りたい場合は、下記の記事をお読みください。

留学生の年金と保険料免除

「厚生年金保険」は会社などが加入手続きを行いますが、「国民年金」は自分で加入し、自分で保険料を納めます。20歳以上の留学生も国民年金に入らなければなりません。国民年金の2022年度の保険料は毎月16,590円です。

加入方法

・ 20歳以上で入国→市区町村の役所か近くの年金事務所で手続き

・ 19歳以下で入国→20歳の誕生日から約2週間以内に自宅に「国民年金加入のお知らせ」や年金保険料の納付書が届きます。

留学生の保険料免除

学生の場合、卒業まで保険料を納めなくてもよい「学生納付特例制度」がありますが、申請が必要です。申請せずに保険料を納めないと「滞納」になります。すると、日本で就職したときなどに、滞納していた保険料をまとめて請求されます。

「留学生は年金(保険料)を支払わなくてもよい」という情報がSNSなどに掲載されていることがありますが、それは間違いです。年金保険料を支払わなくてもよいのは、「学生納付特例制度」の適用を申請し、認められた場合だけです。

留学生の年金についてもっとくわしく知りたい場合は、下記の記事をお読みください。

会社が従業員の年金加入を怠るケースもある

滞納した年金保険料の催告状(督促状)

会社が従業員を厚生年金保険に入れることは法律で決められた義務です。

厚生年金保険の保険料は会社と従業員が半分ずつ支払い、従業員の負担分は毎月の給与明細に記載されます。給与明細の「厚生年金」などの欄に金額が記入されていない場合は、あなたが厚生年金に入っていない可能性があります。そのときは次のように対処してください。

・厚生年金保険への加入を会社に依頼する。

・年金事務所に相談する。(その後、年金事務所が調査し、会社に加入を促します)。

「日本でエンジニアとして3年間働いた後、転職した。すると、最初の会社が自分を厚生年金に加入する手続きや年金保険料の支払いをしていなかったことが分かり、3年分の年金保険料を請求された」というケースもあります。くわしくは下記の記事で紹介しています。

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会社でもこのようなケースがありますし、農業などの個人事業者が技能実習生を雇用している場合でも、年金の加入漏れが多数報告されています。注意してください。

給与明細をチェック!

external link 給与明細の見方など

会社や雇用主があなたの年金保険料を払っているかどうかは、給与明細でチェックできます。給与明細の「厚生年金」などの欄に金額が書き込まれているかどうかをチェックしてください。

滞納した保険料を納めないとどうなる?

年金保険料を滞納し、役所からの督促に応じなかった場合、次のような重大な不利益を受ける可能性があります。

在留期間を更新できない。
財産(貯金や給料など)を差し押さえられる。
永住権を取得できない。
遺族年金や障害年金を受給できない。

滞納分をまとめて請求されて困った場合は、納付方法などについて、勤務先の会社や近くの年金事務所に相談しましょう。分轄納付もできますし、収入が少ない場合は、納付を一部免除してもらえるケースもあります。

「学生納付特例制度」は後から申請し、過去にさかのぼって適用してもらうこともできます。ただし、申請時点から2年1カ月前の分までにしか適用されません。

まとめ

日本に住む外国人に年金に関する正確な知識が行き渡っていません。この記事では年金に関するポイントをまとめました。

・年金加入は在住者の義務
・年金加入のメリット:老齢年金
・年金加入のメリット:障害年金
・年金加入のメリット:遺族年金
・留学生が年金に加入する方法
・留学生の年金保険料の免除手続き
・会社が従業員を年金に加入させていないケース
・給与明細をチェックしよう!
・滞納した年金保険料を納めなかったらどうなるか?

日本に住む際、年金保険料の納付や免除手続きはとても重要です。わからないことは外国人向けの相談窓口や年金事務所などに確認してください。

external link 総まとめ・ベトナム人向け相談窓口