生活・ビザ

年金保険料を返してもらうには

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2022年02月05日

技能実習生や特定技能外国人、「技人国」などの方々の給料から毎月引かれる「厚生年金」ですが、日本での住所を引き払ってベトナムに帰国すると、支払った年金保険料の大半が返ってきます。「脱退一時金」と呼ばれる保険料の還付制度について説明します。
〈弁護士法人Global HR Strategy・杉田昌平弁護士〉

外国人も加入する「年金保険」

日本では、会社員は通常、「厚生年金保険」に加入させられ、年金保険料を支払います。また、20歳以上の学生や自営業などの人は「国民年金」に加入しなければなりません。加入者は「被保険者」と呼ばれます。

年金保険に加入し保険料を支払うルールは外国人にも適用されます。技能実習生や特定技能外国人、「技人国」の方々は通常、会社などが厚生年金保険への加入手続を行い、毎月の給料から年金保険料を差し引きます。ただし、会社が保険料の半分を負担します。留学生は自分で国民年金に加入しなければなりませんが、手続きをすれば、卒業まで納付を免除されます。

年金の意味

皆さんは「日本で年金を受け取ることがないのに、年金保険料を支払うことはおかしい」と感じるかもしれません。しかし、日本の年金制度は「現在働いている人が今の高齢者への年金給付を支える」という考え方で運営しています。そのため、日本で働く外国人も、今の高齢者を支える一員として年金保険料を支払うことになります。

そして、外国人も年金保険料を10年以上支払うと、自分が高齢になったときに日本の年金を受け取ることができます。受給額は、自分が支払った年金保険料に応じて変わります。また、望む事態ではありませんが、年金加入者が事故などで障害を負った際は、年齢に関係なく障害年金を毎年受給できる場合もあります。

脱退一時金(返ってくるお金)

外国人が日本の住居を引き払って帰国した場合、それまでに支払った年金保険料の一部を返してもらえます。それは「脱退一時金」という制度です。

次の3つの条件をすべて満たす人が脱退一時金を申請できます。

  • 年金保険の加入期間の合計が6カ月以上
  • 日本国籍を持っていない
  • 年金の受給権を満たしていない

脱退一時金の金額

脱退一時金の金額は次のように計算します。

A(加入していた期間の平均標準報酬額)×B支給率(保険料率×0.5×支給額計算に用いる数)=脱退一時金の金額

「標準報酬月額」とは、残業代や諸手当を含む毎月の給料の平均に近い額。年金保険に加入していた期間の「標準報酬月額」の平均がAです。

・仮にあなたの標準報酬月額が200,000円だとすると、保険料率は15.9%で、毎月の年金保険料は31,800円となります。これを会社とあなたが半分(31,800×0.5=15,900円)ずつ払います。

「支給額計算に用いる数」は保険料を納めた月の数に近い数字です。支払い期間が36カ月以上42カ月未満なら36、60カ月以上なら60となります。2021年に上限が60に引き上げられました。

・そこで、あなたが年金保険料を5年間(60カ月)支払い、その間の標準報酬額の平均が200,000円だったとした場合、上の計算式で計算すると脱退一時金は954,000円となります。

A 200,000×(15.9%×0.5×60)=954,000円

脱退一時金の申請手続き

提出書類など

脱退一時金を請求するには、日本年金機構に次の書類を送ります。

  • 請求書
  • パスポートのコピー(氏名、生年月日、国籍、署名、在留資格が確認できるページ)
  • 日本での住所がなくなったことを示す書類(住民票の除票の写し、パスポートの出国日を確認できるページのコピーなど)
  • 「銀行名」「支店名」「支店の所在地」「口座番号」
  • 本人の口座名義であることが確認できる書類(銀行の証明)
  • 基礎年金番号が確認できる書類(年金手帳など)

external link 脱退一時金(日本語・ベトナム語)|日本年金機構

転出届け

・脱退一時金の申請は、ベトナムに帰国する前でも帰国後でもできます。

・帰国前に申請する場合は、市区町村に転出届を提出し「住民票の除票の写し」をもらってから申請してください。

・技能実習2号を修了してベトナムに一時帰国し、その後、技能実習3号や特定技能1号として再来日する予定の人も、一時帰国の前に転出届を出せば、脱退一時金を請求できます。

10年以上加入で年金受給

外国人も日本で10年以上、年金保険料を払えば、将来、日本で年金を受け取ることができます。途中で途切れても合計10年以上ならOKです。ただし、脱退一時金を受け取ってしまうと、それ以前の加入期間はゼロとしてカウントされますので、日本で長く働く可能性のある人は注意してください。