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★基本情報=健康保険と年金

健康保険と年金3
2022年02月05日

日本に住む外国人は医療保険(健康保険)や年金に加入しなければなりません。病院などで健康保険証を出すと、自己負担が通常3割になります。また、年金保険料は帰国後に多くが返還されます。医療保険や年金などについてくわしく説明します。

日本の社会保険について

日本の社会保険には次のようなものがあります。

・医療保険(健康保険)
・年金保険
・労災保険
・雇用保険
・介護保険

医療保険(健康保険)

公的な医療保険には主に「健康保険」と「国民健康保険」があります。大きく分けてサラリーマンが健康保険、それ以外の人が国民健康保険に加入します。国籍や年齢に関係なく加入しなければなりません。

健康保険:「技人国」や特定技能外国人とその家族、技能実習生など。保険料は会社と従業員が半分ずつ負担します。

国民健康保険:留学生とその家族など

医療費の自己負担が減る

・これらの保険の「健康保険証」を病院などで渡すと、医療費の自己負担が通常30%になります
・保険が適用されない医療もあります。

医療費の自己負担が減る

国民健康保険への加入方法

「健康保険」は会社などが加入手続きを行い、保険料も会社が給料から引いて支払います。しかし、「国民健康保険」は自分で加入し、自分で保険料を納めます

  • 居住地の市区町村の役所で加入手続き
  • 在留カードやパスポートが必要
  • 同居する家族も一緒に加入
  • 住所が変わった場合は、新住所の役所で申請し、新しい保険証を受け取る

年金制度

公的な年金制度として「厚生年金保険」と「国民年金」があります。住民登録をしている外国人にも加入義務があり、大きく分けてサラリーマンが厚生年金保険、それ以外が国民年金に加入します。

厚生年金保険:会社などで働く人が対象。「技人国」や特定技能外国人とその家族、技能実習生など。保険料は会社と本人が半分ずつ負担し、毎月の給与明細に本人の負担額が記載されます。

国民年金:留学生とその家族など(20歳以上59歳以下)

どのような場合に年金を受け取れるの?

老齢年金:10年以上保険金を納めた人は、65歳になれば、年金を毎年受け取れます。受給額は納めた保険料の額によって変わります。

障害年金:病気やけがで障害を負った場合に支給

遺族年金:本人が亡くなった場合、配偶者か子どもに支給

国民年金に加入するには

「厚生年金保険」は会社などが加入手続きを行いますが、「国民年金」は自分で加入し、自分で保険料を納めます。国民年金の2021年度の保険料は毎月16,610円です。

・ 20歳以上で入国→市区町村で住民登録をした後、その役所や近くの年金事務所で加入手続き

・19歳以下で入国→20歳の誕生日から約2週間以内に自宅に「国民年金加入のお知らせ」や年金保険料の納付書が届きます。その納付書を使って保険料を支払うか、留学生の場合は、一緒に送られている申請書で「学生納付特例制度」の適用(=納付免除)を申請します。

・20歳になって約2週間たっても書類が届かない場合は、市区町村の役場か近くの年金事務所で手続きが必要

external link 国民年金制度の仕組み(ベトナム語)

external link 国民年金加入の案内(ベトナム語)

external link 各地の年金事務所

学生納付特例制度

学生の場合、卒業まで保険料を納めなくてもよい「学生納付特例制度」があり、申請が必要です。

申請して認められた場合は、支払いを免除されます。しかし、申請せずに保険料を納めないと単なる「滞納」になり、納付義務が残ります。

・日本語学校の場合は、1年以上のコースの生徒が対象です。

external link 学生納付特例制度|日本年金機構

基礎年金番号通知書

加入手続きの後、「年金手帳」と保険料納付書が自宅に届けられていましたが、2022年4月に年金手帳は廃止され、代わりに「基礎年金番号通知書」が届くようになります。

日本で会社などに就職するときに基礎年金番号が必要です。年金手帳を持っている人は基礎年金番号の証明書類として引き続き使えますので、捨てないでください。

保険料が返ってくる!

母国に帰国後、日本で納めた年金保険料の一部を返してもらう「脱退一時金」という制度があります。

external link 脱退一時金(ベトナム語)|日本年金機構

external link 年金保険料を返してもらうには

労働保険

労災保険や雇用保険を「労働保険」と呼びます。その内容を紹介します。

労災保険

・仕事や通勤が原因で起こった病気・けが・障害・死亡に関し、労働者や遺族に必要な給付を行う制度

・保険料は会社などが全額負担

・留学生も加入できます。

雇用保険

・失業した場合に失業給付などを受けられる制度。勤務先や実習先の会社が倒産した場合も、新しい会社に移るまで給付を受けられます。

・会社員の場合、会社と従業員が保険料を分担(会社の方が多く負担)

・留学生は加入できません。

まとめ

医療保険(健康保険)や年金などのポイントを紹介しました。健康保険には加入しても年金には加入しないという人もいますが、その場合、次のような不利益があります。

就職が決まって在留資格(ビザ)を変更するときや、在留期間を更新するときに、変更や更新を認めてもらえない場合がある。

永住権の取得が難しくなる。

永住権を申請する直前に過去の年金保険料をまとめて払ってもだめな場合があります。過去の滞納記録が入管の審査で不利になるからです。

会社が義務を怠って従業員を年金に加入させていない場合もあります。給与から「厚生年金」の保険料が引かれているかチェックしてください。

社会保険についてもっと知りたい方はこちらもチェック!

external link 外国人のための「生活・就労ガイドブック」(第7章:年金・福祉)