日本で働く

Vol.7 特定技能について “Bik tut(何でも分かる)”

働くサムネ_07
2021年04月02日

*By KOKORO(Báo Mainichi+VAIJ v.v. ; Đơn vị hỗ trợ:Đại sứ quán Nhật Bản tại Việt Nam v.v.)

特定技能制度について何でも分かる

これまで専門的・技術的分野以外の分野(いわゆる単純労働分野)で働ける外国人は主に次の3つの場合に限られていました。

❶「永住者」「日本人の配偶者」など(どんな仕事も可能/フルタイムもOK)
❷「留学」などの在留資格+資格外活動許可(労働時間は原則として週28時間以内)
❸「技能実習」(83業種/フルタイム)

これらに加えて、2019年に「特定技能」という新しい在留資格ができました。特定技能には、「相当程度の知識または経験を必要とする技能(特定技能1号)」と「熟練した技能(特定技能2号)」の2種類があります。それでは、特定技能制度のポイントについて解説します。

【弁護士法人Global HR Strategy・杉田昌平弁護士】

1.特定技能制度とは

農業の特定技能外国人(宮崎県)

特定技能制度の趣旨

2019年に日本の「出入国管理及び難民認定法(入管法)」が改正され、新しい在留資格として「特定技能1号」と「特定技能2号」ができました。これは、働き手が著しく不足している産業・サービスの分野で、研修などを経ずに働くことができる技能を持った外国人の就労を認めるための制度です。

特定技能の対象分野
1号 2号
介護
ビルクリーニング
素形材産業
産業機械製造業
電気・電子情報関連産業
建設
造船・舶用工業
自動車整備
航空
宿泊
農業
漁業
飲食料品製造業
外食業

それでは、働き手が著しく不足している産業分野とは何でしょうか? 特定技能1号の受け入れが認められている産業分野(特定産業分野)は上の表の14分野です。「外食」など技能実習生が働けない分野も含まれています。特定技能2号を受け入れられるのは建設と造船・舶用工業の2分野のみです。

特定技能の位置付け

この図をご覧ください。左上の「専門的・技術的分野」は具体的には「高度専門職(1・2号)」や「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を持つ方々を指します。こうした人材を「高度外国人材」と呼ぶこともあります。

日本では、特定技能ができるまでは、働く外国人を受け入れる方針としては、専門的・技術的分野の人材の受け入れを主眼にしていました。一方、「技能実習」は働きながら技能を学ぶ制度と位置付けられ、労働者を日本に呼び込む制度には含まれていません。

この専門的・技術的分野と技能実習の中間に作られたのが「特定技能1号」です。また、専門的・技術的分野と同じ技能水準で、産業・サービスの現場で働くための在留資格が「特定技能2号」です。

2.特定技能制度の仕組み

特定技能制度の登場人物

特定技能制度の主な登場人物は次の3つです。

  • 特定技能外国人
  • 受入企業(特定技能所属機関)
  • 登録支援機関

これらの登場人物の関係や役割について、「特定技能1号」の場合を中心に説明します。特定技能制度では、特定技能外国人と受入企業の二者間だけ契約を完結することも可能です。例えば、技能実習生として働いてきた人がそれまでと同じ企業で同様の仕事で特定技能1号になるような場合は、二者間で契約を結ぶことも容易です。

1号特定技能外国人支援

ただし、受入企業と特定技能外国人の二者間で契約した場合でも、企業が「1号特定技能外国人支援」と呼ばれる支援をその外国人に行う必要があります。

■1号特定技能外国人支援の内容

①入国前の生活ガイダンス
②入国時の空港への出迎えと帰国時の空港への見送り
③住宅確保に向けた支援(保証人になることを含む)
④在留中の生活オリエンテーション(銀行口座の開設や携帯電話の利用契約の支援を含む)
⑤生活のための日本語習得の支援
⑥本人からの相談・苦情への対応
⑦各種行政手続についての情報提供と支援(同行)
⑧日本人との交流機会の提供
⑨本人に責任がないのに解雇された場合に転職支援

この支援について、受入企業は支援計画を作成して実行しなければなりません。また、図や表の中でオレンジ色を施した支援については、その外国人が理解できる言語で提供しなければなりません。こうした支援を受入企業が自社でできない場合、登録支援機関に委託することになります。

送出機関

既に日本で留学や技能実習、就労をしている人が特定技能外国人になりたい場合は、日本国内で就職活動ができますが、ベトナムから新規で日本に行って特定技能外国人になる場合は、ベトナムの送出機関を通じて就職先を探す必要があります。そのため、技能実習と同じで送出機関をどのように選ぶかがとても重要になります。送出機関の選び方については、下記のリンク先を参考にしてください。

送出機関の選び方

*このページではApache 2.0ライセンスで配布されているアイコンを利用しました。

3. 特定技能の在留資格の取り方

宿泊業の技能測定試験の過去問題

特定技能外国人になる2つのルート

特定技能1号の在留資格を取得するには次の2つのルートがあります。

①試験ルート…日本語力と技能水準を試験で証明する
②技能実習ルート…技能実習2号(1号と2号で計3年間)を良好に修了する

試験ルート

・日本語の試験…日本語能力試験(JLPT)のN4以上。または、国際交流基金が行うJFT-Basicに合格。

※介護については、これらに加えて介護日本語評価試験への合格が必要
※JLPTは年2回、JFT-Basicは年6回

日本でも受けられるようになったJFT-Basic

・技能測定試験(技能試験)…産業分野別の筆記試験に合格

このように日本語試験と技能試験に合格すれば、一度も日本に行ったことがない人でも特定技能1号になることができます。また、日本で留学していた人や他の在留資格で仕事をしていた人が試験を受けて特定技能を目指すケースも増えてきています。

技能実習ルート

技能実習を2年10カ月以上「良好」に行った人は、技能実習と同じ分野の仕事であれば、無試験で特定技能1号の在留資格を得ることができます。「良好」に技能実習を行ったと認定してもらうためには、技能実習3年目に受検する技能検定3級や技能実習評価試験(専門級)への合格などが大事です。

また、自分の技能実習と違う産業分野で特定技能をしたい場合は、その分野の技能試験に合格すれば大丈夫です。その場合でも、技能実習の3年間を良好に修了していれば、日本語試験は免除されます。

4.特定技能の特徴

特定技能の在留期間

・特定技能1号…在留期間は通算で5年まで(1年、6カ月、4カ月ごとに更新)
・特定技能2号…在留資格を何度でも更新できる(3年、1年、6カ月ごとに更新)

他の在留資格との違い

・技能実習との違い…①日本で別の会社に転職できる ②日本人と同等の報酬をもらえる
・「技術・人文知識・国際業務」との違い…学歴にかかわらず在留資格を取得できる

特定技能1号と2号の違い(家族の帯同)

・特定技能2号では家族を帯同できますが、特定技能1号では帯同できません。

永住について

日本に在留するうち、永住者の在留資格を得たいと思う方もいると思います。永住者の在留資格を得るためには、原則として続けて10年以上日本に在留していることなどが必要です。そして、その10年のうち5年以上については、就労資格か居住資格(日本人の配偶者等)を持って在留を続けたという経歴が求められます。その場合の「就労資格」には「技能実習」や「特定技能1号」は含まれませんが、「特定技能2号」は含まれます。つまり、日本に続けて10年以上在留し、そのうち5年以上が特定技能2号の在留資格だった場合、永住者の在留資格に変更できる可能性があります。

5.まとめ

ここまで説明してきた特定技能制度のポイントをまとめると、次のようになります。

  • 特定技能は専門的・技術的分野と技能実習の中間的な位置付け
  • 特定技能1号で働けるのは14の産業分野
  • 登録支援機関を介さずに会社と契約することもできる
  • 特定技能外国人になるには2つのルート(技能実習、試験)がある
  • 日本人と同等の給料+転職が可能(技能実習との違い)
  • 学歴要件がない(技術・人文知識・国際業務との違い」

特定技能制度はできたばかりで、手続きも複雑です。他方で、日本で働く新しいチャンスでもあります。制度の内容をよく理解し、自分の希望する働き方や進路と合致するかどうかを良く確かめて制度を活用してください。

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