18きっぷの日帰り旅行:関西の城めぐり
2022年08月08日
JNTO&KOKORO コラボ企画
約2,410円でJRの普通列車に1日乗り放題の「青春18きっぷ」。夏・冬・春休みの期間にだけ発売されるこの特別切符をどこまで使いこなせるか。筆者は、18きっぷを使って日本に5つしかない国宝の城のうち滋賀県の「彦根城」と兵庫県の「姫路城」、そしてその中間にある「大阪城」にも行くという、ぜいたくな日帰り旅行を計画しました。関西の3つの名城を1日でまわる計400 kmの電車の旅をリポートします。
旅の計画
乗車区間
距離
乗車時間
通常運賃
大阪→彦根(滋賀県)
104.5 km
80分
1,980円
彦根→新大阪
100.7 km
73分
1,980円
新大阪→大阪城公園
8.8 km
21分
180円
大阪城公園→姫路(兵庫県)
92.9 km
76分
1,690円
姫路→大阪
87.9 km
62分
1,520円
合 計
394.8 km
312分
7,350円
今回の旅は、関西の城の中でも特に人気の高い「彦根城」「大阪城」「姫路城」を1日で全部まわるというチャレンジングな計画。しかも、普通列車利用で合計7,350円かかる運賃を「青春18きっぷ」1回分の2,410円(約424,000 VND)だけでまかないます。「18きっぷ」の活用例と日本を代表する3つの城の魅力を紹介します。
※100円=約17,600 VND(2022年8月1日現在)
青春18きっぷとは
「青春18きっぷ」とはJRの普通列車と快速列車に乗り放題の切符です。5回分12,050円(1日あたり2,410円)。乗り降り自由で、1日中どこまででも乗れる夢のようなきっぷです。
「青春18きっぷ」の買い方や使い方のくわしい情報はこちらです。
[iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 安い電車切符の買い方
大阪駅から国宝「彦根城」へ
JR大阪駅
大阪市内に住む私と友人が朝7時過ぎに集合したのはJR大阪駅。ここから旅のスタートです。大阪駅にはホームが多いので、何番線から電車に乗るか、事前に確認してくださいね。
大阪駅の改札
青春18切符を使うときは、駅員さんがいる改札(この写真では右はし)を通ります。私たちは駅員さんに1枚の18きっぷを見せ、日付スタンプを2つ(2人分)押してもらいました。
「18きっぷ」に2つのスタンプを押してもらい、2人で一緒に旅をします。最大5人まで一緒に旅をすることができます。もちろん、1人でも使えます。
大阪駅の8番線から米原(まいばら)行きの新快速に乗りました。「新大阪駅」や「京都駅」を通過して「彦根駅」(滋賀県彦根市)まで約80分です。
彦根駅は琵琶湖(びわこ)の近くにあります。
乗り換えなしで彦根駅に着きました。
駅員さんに18きっぷを見せ、2人一緒に改札を出ました。駅前の銅像は井伊直政(いい・なおまさ)という武士で、昔の彦根エリアの支配者です。彦根城は直正の息子たちが約20年かけて建てました。
駅から彦根城の敷地までは約1 km。私たちは城内の玄宮園(げんきゅうえん)を目指します。
駅からまっすぐ約800 m歩くと、護国神社に突き当たります。
護国神社の手前の左側に彦根城への方向を示す案内板があります。
彦根城の敷地が近付いてきました。写真の建物の手前に橋があります。橋はお城の堀にかかっています。城を取り囲む二重の堀が水路のようになっています。これは外側の堀なので、「外堀」と言います。
外堀を渡って城の敷地に入ると、内側の堀(内堀)があります。内堀にそって左方向に少し歩くと、人力車(有料)の乗り場と「彦根の古城」と書かれた石碑があります。
石碑のそばに橋があり、橋を渡って少し歩くと、天守のチケット売り場です。
彦根城
滋賀県彦根市金亀町1-1
天守:8:30〜17:00(入場は16:45まで)
彦根駅から1 km
城(玄宮園とセット):高校生以上800円、小中学生200円▽玄宮園のみ:高校生以上200円、小中学生100円
公式HP (英語ページもあり)
彦根城(参考写真)
今回は時間の都合で天守まで行きませんでしたが、近くで見るとこんなお城です。
橋のそばに「本日のひこにゃん」という案内板がありました。彦根市のマスコットキャラクター「ひこにゃん」に会える時間と場所が書かれています。
ひこにゃん(資料写真)
これが「ひこにゃん」です。日本各地のマスコットキャラクターの中でも、熊本県の「くまモン」と並んで最も人気の高いキャラクターです。
内堀に沿って左回り(時計と反対回り)に歩き、玄宮園を目指します。緑が多く、とても気持ちが良い道です。
内堀の右側に美しい長い塀(へい)がありました。これが玄宮園の外壁です。
ここから玄宮園(玄宮楽々園)に入ります。
玄宮園は美しい日本庭園です。
園内の各所から彦根城の天守を眺めることができます。
玄宮園から天守を眺めるベストスポットはこちら。
彦根城を後にして駅に戻ります。護国神社の隣に大きな土産物店がありました。
この店の人気商品1位はひこにゃんが描かれたどら焼き「ひこどら」。2位はひこにゃんの「きんつば」でした。どちらもあんこの入った和菓子です。
[iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] JNTOの彦根城・観光情報
新大阪駅に戻ってランチ
彦根駅から再び新快速に乗って大阪駅の方向に戻ります。混雑時間を避けるため、新大阪駅で降りて早めのランチを食べました。上の図のA・B・Cのエリアに有名店がたくさんあり、ホームから1~3分で行けます。
Aは新幹線の改札内で、入場券を買って入ります。Bは在来線の改札内。Cは改札の外ですが、18きっぷなら出入り自由です。B・Cは「エキマルシェ」というショッピングモールです。
[iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 新大阪駅のエキマルシェ
大阪に行くなら、絶対に食べたいものと言えばたこ焼きでしょう。Aエリアに「くくる」というたこ焼きの有名店がありました。私たちはたこ焼き5個とお好み焼き(ハーフサイズ)のセット(税込1,080円=約190,000 VND)を食べました。
新大阪駅から「大阪城」へ
大阪駅
ランチを終え、隣の大阪駅で大阪環状線に乗り換えて「大阪城公園駅」へ。大阪駅はとても美しい建築です。時間があれば、駅構内をゆっくり見物しましょう!
大阪駅から約10分で大阪城公園駅に着きました。
ここでも天守閣までは行かず、少し手前の極楽橋まで歩きました。
歩き始めて間もなく、右手にビジネス街が見えました。写真の左下の低い建物はJO-TERRACEで、約20の飲食店が入っています。
JO-TERRACEや大きな噴水を通過すると、「大阪城ホール」に着きます。その手前を左に曲がり、写真のような緑道を進みます。左側に野球場があります。
極楽橋に着きました。城と堀と橋の組み合わせが美しく、人気の撮影スポットです。この橋で結婚式の前撮りをしているベトナム人のカップルに会いました。
「極楽橋」とは「天国への橋」という意味です。
極楽橋のたもとに「御座船(ござぶね)」の乗り場があります。1,500円で堀の水路を約20分間周遊します。乗ったことのある友人によると、とても素晴らしいひとときを楽しめるそうです。
大阪城天守閣からの眺め
今回は天守閣まで行きませんでしたが、2021年に天守閣に昇ったときの最上階からの風景です。黄金のしゃちほこ(魚)がきれいでした!
大阪城
大阪市中央区大阪城1-1
天守閣:9:00~17:00(入館は16:30まで)
地下鉄・京阪 天満橋駅から1.2km
JR大阪城公園駅から1.6km
天守閣:高校生以上600円、中学生以下無料
公式HP (ベトナム語ページあり)
駅に戻ってスタンプコーナーでスタンプを押し、旅の記念にしました。
[iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] JNTOの大阪城・観光情報
大阪~姫路:車窓の景色を楽しむ
「大阪城公園駅」から「姫路駅」までは約93 km(約75分)。乗換ルートがいくつかありますので、出発時刻に適したルートを乗換アプリで調べましょう。
[iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 日本生活に役立つスマホ・アプリ(交通編)
海岸にあるJR須磨駅(資料写真)
新快速の止まる「神戸駅」と「明石駅」の間にある須磨駅(神戸市)は海水浴場に接しています。この付近を通るときは、車窓から海景色を楽しめます。
JR舞子駅と明石海峡大橋(資料写真)
新快速は須磨駅を通過し、さらに数分で舞子駅(神戸市)を通過します。舞子駅は明石海峡大橋の下にあり、この付近では、車窓から大橋が見えます。
明石城
新快速の止まる明石駅(兵庫県明石市)のホームから「明石城」が見えます。天守閣はありません。
姫路駅に着きました。
世界遺産「姫路城」
駅の姫路城口(北口)から外に出ると、バス乗り場があります。写真はバスの運行情報を知らせるボードです。左側に城のマーク(オレンジ色の囲みの中)が付いているバスに乗れば、城に行けます。駅から城の入口まで約1kmなので、歩いても大丈夫です。
姫路駅から姫路城に向かうバス路線図(神姫バスHPより)です。
バスを降りて城に近付くと「桜門橋」に着きます。橋を渡って「大手門」をくぐり、城の敷地に入ります。
広い「三の丸広場」を抜けて天守に近付きます。日本で国宝に指定され、世界遺産にも登録されているのは姫路城だけです。
「菱の門」という大きな門を抜けると「二の丸」です。門の手前にチケット売り場があります。私たちは夕方に行ったのですぐに入れましたが、チケットを買うために長い行列ができることも多いそうです。
チケット売り場に各国語のガイドブックが並んでおり、ベトナム語版もありました!
姫路城
兵庫県姫路市本町68
9:00〜16:00(閉門は17:00)※夏期は1時間延長
姫路駅から1 km
神姫バス「路城大手門前」からすぐ
入城料:大人 1000円、小・中・高校生 300円
公式HP (ベトナム語ページあり)
天守へ向かう坂道です。塀(へい)の中の△や□の形の穴は、鉄砲を撃ったり弓矢を放ったりするための穴です。塀の向こうに天守が見えます。
3つある小天守のうちの1つ。
地下1階から大天守に入り、階段で1階に昇りました。
各階にこのような案内板があります。スマホでQRコードを読み込むと、その階の見所を日本語と英語で見ることができます。天守内では無料Wi-Fiも使えます。
階段は上階へ行くほど幅が狭く傾斜が急になっていきます。
最上階の6階からの眺めは最高でした!これは姫路駅方面です。
山側の眺めもさわやかでした。外から心地よい夕風(夕方の風)が入ってきました。
6階には刑部(おさかべ)神社という神社もありました。
天守を出て振り返ると、間近に美しい城の全容を仰ぎ見ることができます。
天守を背景に記念撮影。カメラスタンドがあるので、スマホを置いてタイマーを設定すると、このような写真が撮れますよ!
お菊井戸
昔、武家の女中のお菊に言い寄って拒まれた武士が、お菊が管理していた家宝の10枚セットの皿のうち1枚を隠し、責任をお菊になすりつけたうえ、殺して死体を井戸に捨てます。その後、お菊の亡霊が毎晩この井戸に現れ、「1枚、2枚、、、」と皿を数える声が聞こえ、武士たちは恐れおののきます。
これは「播州皿屋敷(ばんしゅう・さらやしき)」という有名な怪談で、お菊が捨てられたのがこの井戸だとされています。
帰る前に西の丸庭園からもう一度天守閣を眺めます。白く輝く天守閣は白鷺(しらさぎ)のように美しいことから「白鷺城」という愛称もあります。
姫路城は、日本に5つしかない国宝の城の中で唯一世界遺産にも指定され、日本で一番人気のある城と言ってもいいでしょう。
[iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] JNTOの姫路城・観光情報
夕飯は姫路駅の近くで食べました。姫路名物の1つは「おでん」。私たちが食べた写真の「大串おでん」(税込550円=約97,000 VND)は、初めて食べるしょうゆだれのおでんで、とてもおいしかったです。
灘菊かっぱ亭
▶︎ 姫路市東駅前町58
▶︎ 079-221-3573
食事を終えて姫路駅を新快速で20:37に出て、大阪駅に21:39に着きました。朝、大阪駅を出てから戻るまで14時間あまりの長い電車の旅。これを2,410円で楽しめたのは「お得」としか言いようがありません。また、3つの美しい城や庭園を満喫でき、充実した1日でした!
※この記事はJNTOのご協力で作成しました。
リポーター
エン・ティ・アイン・トゥエット
1996年生、ハノイ市出身。2014~18年:ハノイ国家大学日本言語文化学部。2019~21年:藤田観光グループ勤務(新宿)。2022年~Vietmart勤務(大阪)。