体験談(留学・高度)

今回の先輩

Pham Thi Ngoc Diep(ファム・ティ・ゴック・ジェップ)さん
  • 2012年5月Thanh An高校卒業
  • 2012年8月ドンズー日本語学校入学
  • 2013年9月ドンズー日本語学校卒業
  • 2013年10月静岡日本語教育センター入学
  • 2015年3月静岡日本語教育センター卒業
  • 2015年4月公立大学法人宮城大学食産業学部入学
  • 2019年3月公立大学法人宮城大学食産業学部卒業
  • 2019年4月三谷産業入社

〈1994年生まれ、カントー省出身〉

はじめに

宮城県の「やくらいガーデン」で【2018年9月】

日本の大学を卒業し、日本の優良商社で働くジェップさん。大学生のときに後輩留学生たちに2年半に渡って勉強を教えたほか、在日ベトナム学生青年協会 や「ベト味」など様々な活動に参加し、交友を広げてきた。留学や技能実習で日本に行った後、どうやって仲間を増やしたらいいのか、彼女の多彩な活動にヒントを得てほしい。以下にジェップさんの体験談を紹介する。

ベトナム人がたくさん務める商社に就職

三谷産業に一緒に入ったベトナム人仲間(新人研修で)【2019年4月】

私は公立大学を卒業後、2019年に三谷産業に入りました。私の所属するライフサイエンス営業部は食材の輸入、および機能性食品や食品添加物の受託生産を行っています。食材は欧州や東南アジアなどから輸入し、食品メーカーに納めます。受託生産では、食品メーカーからの注文に沿って協力会社に生産を委託します。私の仕事は、注文通りに生産できるように生産技術について協力会社と打ち合わせたり製造現場で指導したりすることです。大学で学んだ食品の知識を生かせています。

出張先の大阪市内の夕暮れ【2019年12月】

三谷産業は、ベトナムにもグループ会社が7社あり、食品原料を含む様々なものをベトナムで製造しています。私の仕事は出張が多く、入社1年目だけで、大阪・神戸に5回以上、韓国やベトナムにも2回ずつ出張しました。ベトナムや韓国には、顧客と一緒に工場に生産の監視に行きました。

北海道・美瑛の「青い池」【2019年10月】

休日も充実しています。2019年10月には、休暇に初めて北海道に行き、美瑛などを観光しました。シーズンオフなので仲間と予定が合わず一人旅でしたが、素晴らしい景色だったので、次回は友だちと一緒に行って感動を分かち合いたいと思います。

ベト味

仙台での「ベト味」の様子【2018年】

私は日本でたくさんの友だちができました。そのこつの一つは、いろいろなグループに所属し、活動に参加することでした。その一部を紹介します。

「ベト味」は各地に支部があり、ベトナム人が日本人と一緒にベトナム料理を作る集まりで、中心メンバーが交代で先生役をします。仙台では、日本人だけで30人参加することもありました。参加費の一部をベトナムで暮らす貧しい子どもたちに寄付しています。

仙台国際観光協会など

大学時代は、仙台国際観光協会の委員もしました。主に国公立大の留学生が仙台の情報を発信したり、在留外国人のサポ-トをしたりします。ベト味の仲間に教えてもらい、審査を経て採用されました。委員は10人で任期は2年です。私は大学2年から2年間参加しました。また、“Go! Go!! Tohoku!!!” という地元放送局の企画にも参加し、みんなで農家に1泊して農業体験もしました。

仙台国際交流協会 https://www.facebook.com/sendai.sira/

(2枚とも)農家に泊まる企画でりんごや大根の収穫、そば作りを体験【2018年11月】

また、在留ベトナム人の写真愛好家の集まり「ディスカバー東北」の撮影会にも参加し、いろいろな観光地を訪ねました。

ディスカバー東北の撮影会で会津若松へ【2018年11月】

在日ベトナム学生青年協会 (VYSA)

VYSAの仲間と仙台市内の河原でバーベキュー【2018年6月】

大学時代はVYSAの活動にも力を入れました。VYSAは各地に支部があるベトナム人の若者の組織で、仙台では、大学・専門学校・日本語学校の学生や技能実習生、主婦など約1,500人が参加していました。

https://www.facebook.com/VYSAJP/

バーベキューの後は、みんなで歌ったり、花火をしたり【2018年6月】

私は大学3、4年の時に仙台支部の副会長を務め、文化イベントやバーベキューなどを企画し、楽しい思い出がたくさんできました。

就職してからもたまに仙台に戻って活動を手伝っています。2020年1月には、後輩と一緒にテト(旧正月)のイベントを開き、ベトナム人と日本人計約150人が集まりました。ベトナム文化を広める狙いで、このイベントには3年連続で関わっています。

学生時代のつながりが今も

学生時代のつながりの延長で東京でも友人がたくさんできました。11月には、学生時代にVYSAの総会で知り合った友人やその友だちと富士山周辺に行きました。この地域には、昔からの親友や仙台のイベントで知り合った友人とも行きました。

富士山周辺の芦ノ湖で【2019年11月30日~12月1日】

山梨県の新倉山浅間神社で【2019年11月31日~12月1日】

ドンズー同窓会

私はホーチミンのドンズー日本語学校を卒業しました。ドンズー仲間のつながりは強く、私も東京の同窓生数人で食事をしたり、同窓会のサマーキャンプに参加したりしています。

甲府市内でドンズー卒業生がキャンプ。10代から30代の計100人が参加。【2019年8月】

ドンズー仲間数名で日光東照宮を観光【2019年11月】

学習会

勉強会の生徒たちが私の大学卒業式に駆け付けてくれました【2019年3月】

静岡県の日本語学校時代、私や同期はドンズーの先輩から無料で勉強を教えてもらいました。私も大学2年の秋、仙台でドンズーの後輩3人に勉強を教え始めました。その後、ドンズー卒業生以外も受け入れ、多いときは10人が参加しました。毎週2回(各2時間)で、留学生試験対策の日本語を教え、大学入試の面接や小論文、志望理由の書き方も指導しました。この勉強会は、体調が悪くても大雨が降っても雪が積もっても休みませんでした。心やさしい生徒ばかりで、私も彼らから多くを学びました。

東京での勉強会【2020年2月】

就職後も東京で2019年12月に勉強会を始めました。在日ベトナム人協会の協力で都内に場所を借り、毎週1回(4時間)教えています。知人からの依頼がきっかけで、大学進学希望のベトナム人が対象です。

日本での勉強と暮らし

大学生時代に仙台市内で

私は日本に来た翌年に日本語能力試験(JLPT)のN2とN1に合格しました。日本語学校時代は、先生に積極的に日本語で質問し、授業後も図書室で3時間勉強しました。学習教材は「耳から覚える日本語能力試験」シリーズ(アルク)の「語彙トレーニング」と「聴解トレーニング」を主に使いました。また、日本語で日記を毎日書き、日本語学校の先生に時々添削してもらいました。さらに、日本人とたくさん会話するように心がけました。アルバイトは居酒屋が中心で、勤務中にたくさん会話ができました。

学生時代の生活

私の家計簿(1カ月の平均)

※大学生時代※100円=21,839 VND(2020年4月15日現在)

収入(合計約130,000円)
アルバイト(居酒屋、auショップ)

計80,000円

奨学金

50,000円

※奨学金は大学1年:JASSO、2年:西仙台ロータリークラブ、3・4年:亀井財団

支出(合計 約120,000円)
家賃

25,000円

※1人暮らし、寝室・台所別

水道。光熱費

10,000円

※電気・ガス・水道の合計

Wi-Fi

5,000円

携帯電話

5,000円

学費

22,000円

※基準以上の成績で、学費は毎年半額免除になった

食費

30,000円

※夜はバイト先の飲食店で格安で食べる日もあった

雑費

20,000~25,000円

※交流費や衣類など

差額・貯金(平均10,000円)
差額

平均10,000円

※親への仕送りはなし。

※長期休暇時に増えるアルバイト代などを貯金し、旅行などに使った。

大学時代に蔵王を観光【2016年】

後輩へのアドバイス

私は日本が好きです。日本には四季があり、景色がきれいで、経済も発展しています。また、私の勤務先では福利厚生も充実しています。例えば、私の住む寮は東京都内の新しいマンション(寝室・台所)ですが、Wi-Fiも付いていて寮費は10,000円だけです。いい就職をするまでには困難もありますが、前向きにがんばっていると、助けてくれる人が必ず現れます。留学や技能実習でせっかく日本に行くなら、将来の目標を持って努力をやめないでください。

山梨県の新倉山浅間神社で【2019年】

また、私は日本でいろんなグループに参加して交友の輪を広げました。グループ参加が苦手でも、そのイベントに参加して周りの人と話すだけで友だちができるかもしれません。そういう機会を逃さず、いい仲間と巡り合ってくださいね。

勉強会の生徒たちと仙台市内で【2018年12月】

今回の先輩

Pham Thi Ngoc Diep(ファム・ティ・ゴック・ジェップ)さん

  • 2012年5月Thanh An高校卒業
  • 2012年8月ドンズー日本語学校入学
  • 2013年9月ドンズー日本語学校卒業
  • 2013年10月静岡日本語教育センター入学
  • 2015年3月静岡日本語教育センター卒業
  • 2015年4月公立大学法人宮城大学食産業学部入学
  • 2019年3月公立大学法人宮城大学食産業学部卒業
  • 2019年4月三谷産業入社
  • 〈1994年生まれ、カントー省出身〉

はじめに

日本の大学を卒業し、日本の優良商社で働くジェップさん。大学生のときに後輩留学生たちに2年半に渡って勉強を教えたほか、在日ベトナム学生青年協会 や「ベト味」など様々な活動に参加し、交友を広げてきた。留学や技能実習で日本に行った後、どうやって仲間を増やしたらいいのか、彼女の多彩な活動にヒントを得てほしい。以下にジェップさんの体験談を紹介する。

宮城県の「やくらいガーデン」で【2018年9月】

ベトナム人がたくさん務める商社に就職

私は公立大学を卒業後、2019年に三谷産業に入りました。私の所属するライフサイエンス営業部は食材の輸入、および機能性食品や食品添加物の受託生産を行っています。食材は欧州や東南アジアなどから輸入し、食品メーカーに納めます。受託生産では、食品メーカーからの注文に沿って協力会社に生産を委託します。私の仕事は、注文通りに生産できるように生産技術について協力会社と打ち合わせたり製造現場で指導したりすることです。大学で学んだ食品の知識を生かせています。

三谷産業に一緒に入ったベトナム人仲間(新人研修で)【2019年4月】

三谷産業は、ベトナムにもグループ会社が7社あり、食品原料を含む様々なものをベトナムで製造しています。私の仕事は出張が多く、入社1年目だけで、大阪・神戸に5回以上、韓国やベトナムにも2回ずつ出張しました。ベトナムや韓国には、顧客と一緒に工場に生産の監視に行きました。

出張先の大阪市内の夕暮れ【2019年12月】

休日も充実しています。2019年10月には、休暇に初めて北海道に行き、美瑛などを観光しました。シーズンオフなので仲間と予定が合わず一人旅でしたが、素晴らしい景色だったので、次回は友だちと一緒に行って感動を分かち合いたいと思います。

北海道・美瑛の「青い池」【2019年10月】

ベト味

私は日本でたくさんの友だちができました。そのこつの一つは、いろいろなグループに所属し、活動に参加することでした。その一部を紹介します。

「ベト味」は各地に支部があり、ベトナム人が日本人と一緒にベトナム料理を作る集まりで、中心メンバーが交代で先生役をします。仙台では、日本人だけで30人参加することもありました。参加費の一部をベトナムで暮らす貧しい子どもたちに寄付しています。

仙台での「ベト味」の様子【2018年】

仙台国際観光協会など

大学時代は、仙台国際観光協会の委員もしました。主に国公立大の留学生が仙台の情報を発信したり、在留外国人のサポ-トをしたりします。ベト味の仲間に教えてもらい、審査を経て採用されました。委員は10人で任期は2年です。私は大学2年から2年間参加しました。また、“Go! Go!! Tohoku!!!” という地元放送局の企画にも参加し、みんなで農家に1泊して農業体験もしました。

仙台国際交流協会 https://www.facebook.com/sendai.sira/

(2枚とも)農家に泊まる企画でりんごや大根の収穫、そば作りを体験【2018年11月】

また、在留ベトナム人の写真愛好家の集まり「ディスカバー東北」の撮影会にも参加し、いろいろな観光地を訪ねました。

ディスカバー東北の撮影会で会津若松へ【2018年11月】

在日ベトナム学生青年協会 (VYSA)

大学時代はVYSAの活動にも力を入れました。VYSAは各地に支部があるベトナム人の若者の組織で、仙台では、大学・専門学校・日本語学校の学生や技能実習生、主婦など約1,500人が参加していました。

https://www.facebook.com/VYSAJP/

VYSAの仲間と仙台市内の河原でバーベキュー【2018年6月】

私は大学3、4年の時に仙台支部の副会長を務め、文化イベントやバーベキューなどを企画し、楽しい思い出がたくさんできました。

就職してからもたまに仙台に戻って活動を手伝っています。2020年1月には、後輩と一緒にテト(旧正月)のイベントを開き、ベトナム人と日本人計約150人が集まりました。ベトナム文化を広める狙いで、このイベントには3年連続で関わっています。

バーベキューの後は、みんなで歌ったり、花火をしたり【2018年6月】

学生時代のつながりが今も

学生時代のつながりの延長で東京でも友人がたくさんできました。11月には、学生時代にVYSAの総会で知り合った友人やその友だちと富士山周辺に行きました。この地域には、昔からの親友や仙台のイベントで知り合った友人とも行きました。

富士山周辺の芦ノ湖で【2019年11月30日~12月1日】

山梨県の新倉山浅間神社で【2019年11月31日~12月1日】

ドンズー同窓会

私はホーチミンのドンズー日本語学校を卒業しました。ドンズー仲間のつながりは強く、私も東京の同窓生数人で食事をしたり、同窓会のサマーキャンプに参加したりしています。

甲府市内でドンズー卒業生がキャンプ。10代から30代の計100人が参加。【2019年8月】

ドンズー仲間数名で日光東照宮を観光【2019年11月】

学習会

静岡県の日本語学校時代、私や同期はドンズーの先輩から無料で勉強を教えてもらいました。私も大学2年の秋、仙台でドンズーの後輩3人に勉強を教え始めました。その後、ドンズー卒業生以外も受け入れ、多いときは10人が参加しました。毎週2回(各2時間)で、留学生試験対策の日本語を教え、大学入試の面接や小論文、志望理由の書き方も指導しました。この勉強会は、体調が悪くても大雨が降っても雪が積もっても休みませんでした。心やさしい生徒ばかりで、私も彼らから多くを学びました。

勉強会の生徒たちが私の大学卒業式に駆け付けてくれました【2019年3月】

就職後も東京で2019年12月に勉強会を始めました。在日ベトナム人協会の協力で都内に場所を借り、毎週1回(4時間)教えています。知人からの依頼がきっかけで、大学進学希望のベトナム人が対象です。

東京での勉強会【2020年2月】

日本での勉強と暮らし

私は日本に来た翌年に日本語能力試験(JLPT)のN2とN1に合格しました。日本語学校時代は、先生に積極的に日本語で質問し、授業後も図書室で3時間勉強しました。学習教材は「耳から覚える日本語能力試験」シリーズ(アルク)の「語彙トレーニング」と「聴解トレーニング」を主に使いました。また、日本語で日記を毎日書き、日本語学校の先生に時々添削してもらいました。さらに、日本人とたくさん会話するように心がけました。アルバイトは居酒屋が中心で、勤務中にたくさん会話ができました。

大学生時代に仙台市内で

学生時代の生活

私の家計簿(1カ月の平均)

※大学生時代
※100円=21,839 VND(2020年4月15日現在)

収入(合計約130,000円)
アルバイト(居酒屋、auショップ)

計80,000円

奨学金

50,000円

※奨学金は大学1年:JASSO、2年:西仙台ロータリークラブ、3・4年:亀井財団

支出(合計 約120,000円)
家賃

25,000円

※1人暮らし、寝室・台所別

水道。光熱費

10,000円

※電気・ガス・水道の合計

Wi-Fi

5,000円

携帯電話

5,000円

学費

22,000円

※基準以上の成績で、学費は毎年半額免除になった

食費

30,000円

※夜はバイト先の飲食店で格安で食べる日もあった

雑費

20,000~25,000円

※交流費や衣類など

差額・貯金(平均10,000円)
差額

平均10,000円

※親への仕送りはなし。

※長期休暇時に増えるアルバイト代などを貯金し、旅行などに使った。

大学時代に蔵王を観光【2016年】

後輩へのアドバイス

私は日本が好きです。日本には四季があり、景色がきれいで、経済も発展しています。また、私の勤務先では福利厚生も充実しています。例えば、私の住む寮は東京都内の新しいマンション(寝室・台所)ですが、Wi-Fiも付いていて寮費は10,000円だけです。いい就職をするまでには困難もありますが、前向きにがんばっていると、助けてくれる人が必ず現れます。留学や技能実習でせっかく日本に行くなら、将来の目標を持って努力をやめないでください。

山梨県の新倉山浅間神社で【2019年】

また、私は日本でいろんなグループに参加して交友の輪を広げました。グループ参加が苦手でも、そのイベントに参加して周りの人と話すだけで友だちができるかもしれません。そういう機会を逃さず、いい仲間と巡り合ってくださいね。

勉強会の生徒たちと仙台市内で【2018年12月】