文化

ベトナムの常識・日本の非常識_31:日本人は朝は外食をしません

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2022年08月15日

日本人には、朝食にフォーを食べに行くような習慣はありません。朝食は自宅で食べるのです。このため、日本の多くの飲食店の開店時間は午前11時ごろで、夕方から営業する店もたくさんあります。早朝からサービスを提供している店はほとんどありません。日本の飲食店の朝の様子と例外的に朝でも開いている店について紹介します。

朝から空いている飲食店は少ない

日本の朝は、ほとんどの飲食店が「準備中」

私の家族の話です。来日して1カ月も経たないころ、自宅から50 kmほど離れた観光地に行きました。現地で長く過ごすため、家族全員が午前6時に起床し、レストランで朝食を食べて電車に乗ろうと考えました。

しかし、7時に家を出ると、通りにはほとんど人がいません。ウォーキングやランニングしている人もまばらで、レストランもみな閉まっていました。カレー店やラーメン店に行きましたが、開店時間は午前10時か11時でした。

結局、私たちはコンビニでパンを買って食べました。日本人の友人に聞いてみると、日本人はベトナム人のように早朝から外食をする習慣がないことが分かりました。

朝から開いているベトナムの飲食店

ベトナムでは、午前4~5時ごろから人が運動するために通りにあふれ、レストランは午前3時、4時から水を沸騰させており、日の出と同時に来客に食事を提供できるように準備します。そして、午前5時ごろからバイクタクシーや一般のタクシーに乗ることができます。

日本人は仕事が忙しいうえ、電車・バスでの通勤に時間がかかることも多いため、必然的に帰宅が遅くなります。私の娘のクラスの友人によると、両親は午後9~10時に帰宅し、それから夕食を食べて午前0時に就寝しているそうです。

このような生活パターンも手伝ってか、早朝に外出して食事をする日本人はあまりいません。したがって、日本の飲食店の多くは朝は閉まっており、ランチタイムの直前に開店します。

日本のカフェの「モーニング・セット」

ただし、日本でも朝食を提供する飲食店が少しはあります。参考に例を紹介しておきます。

◆朝食を提供する日本の飲食店の例

カフェ
カフェの多くは「モーニング・セット」を提供しています。セットの内容は、トーストやホットドッグ、サンドイッチなどの軽食とドリンクです。
一部のファストフード店
牛丼、そば・うどん、ハンバーガーショップなど
ファミリーレストラン
ファミリーレストランにも、朝から営業している店が多くあります。
大きなホテルのレストラン
小さなホテルのレストランの多くは宿泊客専用ですが、大きなホテルのレストランは朝から一般に開放していることが多いです。

日本人とSNSで交流することに期待しないでください

Facebookでコメントしたりストーリーのコメントに返信したり、その他のアプリで一晩中チャットしたりすることは、ソーシャルネットワークサービス(SNS)が爆発的に普及してから多くのベトナム人の習慣になっています。

ベトナム人はさまざまな目的でSNSを利用しています。家族の話や仕事のこと、将来のことなどを友人と共有し、「投稿」も多数の人々に伝わります。

しかし、日本で日本人の友人ができても、ベトナム人同士のようにSNSで深く交流することはあまり期待できません。次のように、SNSの使い方に違いがあるからです。

▶︎日本人、特に日本人の若者はベトナム人ほどFacebookを使いません。彼らがよく使うのはTwitterやInstagram、そしてLINEです。

▶︎日本人がSNSに投稿するのは、主に不特定多数の人々と情報を共有したい場合です。例えば、「今年の夏は京都に行きます」とか「先週末はカヤックを体験しました」など、自分のことを広く「発信」するために使います。したがって、投稿にだれが返信しても構いません。

私には日本人の友人がいます。通常生活ではとても親しいのですが、彼女がスキーに行くことについて投稿したSNSに私がコメントを入れたのに、彼女からリアクションがありませんでした。

私は彼女に会ったとき、「Facebookに送った私のコメントを読みましたか?」と尋ねました。すると、彼女は「読みましたよ」と平然と答えました。「それがどうかしましたか?」というニュアンスでした。

日本人には、このように自分のSNS投稿へのコメントにリアクションしない人も少なくないようです。もっとも、他の日本人によると、コメントに返信するかしないかは、日本人の間でも個人差があるそうです。また、自分の投稿に対してコメントが少なくても、「いいね!」さえ多ければうれしい人も多いとのことです。日本人の友人ができたら、SNSでその人からリアクションがなくても、がっかりしないでくださいね。

日本のカフェでは「静かに」「きれいに」

ハノイのカフェ

「コーヒーショップ(カフェ)に行く」というのは、ベトナム人にとってとても楽しいことで人気があります。友人に会う▽独りでリラックスする▽写真を撮る▽勉強する▽仕事をする――など、さまざまな目的でコーヒーショップに行きます。その中でベトナムがカフェに行く一番の目的は「友人とおしゃべりする」ことです。

ベトナムでは、親子がカフェに入る姿をよく見ます。子ども同士や親同士が交流し、子どもたちは仲良くなると店内で一緒に遊んだり自由に走ったりして、かなり騒がしいこともあります。

大阪のカフェ

日本人もカフェに行きます。その目的は通常、仕事相手や友人と会ったり1人で仕事をしたりすることです。ベトナムのカフェと違うのは、日本のカフェに子どもはあまりいません。仮にいても、子どもが騒いだり走り回ったりすることはありません。

日本のママが子連れでコーヒーを飲むときは、カフェよりもハンバーガーショップやファミリーレストランなどを選びます。そこなら、子どもが少し騒いでも、周りから嫌な目で見られることが少ないからです。

ハノイのカフェ

先日、ハノイのハムギ通りにあるハイランズカフェに行ったときのことです。2~3歳の幼児が私のテーブルに来て、私のカフェラテのグラスに手をかけました。私はパソコンを開いて仕事をしていたので、危ないと思い、急いで両親を探しました。

母親はスマートフォンに夢中で子どもの行動にまったく気づいていませんでしたが、私の視線と子どもの姿に気付くと、こちらに来て子どもを連れていきました。そのとき、ひと言の謝罪もありませんでした。

ベトナム人は「子どものことだから」と大目に見るので、お互いにこのようなできごとをまったく気にしません。しかし、もしこれが日本だったら、母親はおそらく謝っていたことでしょう。

いつもきれいな日本のカフェ

ところで、日本の多くのカフェでは、「個人の良心」をよく目にします。何かというと、彼らは自分たちが使っている机をペーパーでふいたり、砂糖やミルクが入っていたパックをゴミ箱に捨てに行ったりするのです。特にセルフサービスのカフェでは、中学生でさえテーブルをきれいに片付けてから帰ります。

もちろん、カフェの店員もしっかり働いています。各テーブルを回り、散らかっていたらきちんと片付けます。

日本のカフェがいつもきれいなのは、このように日本人が自然にとる行動による結果なのです。日本のカフェでは「静かに」「きれいに」がルールです。